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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
466/473

第466話「吸って吐いて」

明日多分追記します!

※すみません。3/28に追記します。

3/28追記しました。

「オヴォエアエオアアアオオオ!」

 象は、吸い込んだはずの闇の素を鼻からどんどん放出していく。そして、放出された闇の素が今度は私の体に吸収されていく。最悪だ! この象が鼻から出したものを口の中に入れていくとか気持ち悪過ぎる!

 更に、闇の素は、口の中だけでなく、私の体にもどんどん吸収されていく。だけど何故私には、象と同じように闇の素が漏れ出すような事が起きないんだろうか? これもやっぱり魔者という称号があるからということでいいんだろうか。

 色んな力を無尽蔵に吸収し続けられるってやっぱりゲームバランスを崩壊しているような気がするんだけどこれは良くないんじゃないのかな。

 私以外の他のプレイヤーにも似たようなことが出来出来てしまうならいいとは思うけれど、こういう有用で使い勝手の良いスキルは、バランス調整の一環として、性能が下方修正されることも多々ある。だから、強いからといって使いまくっていると、いざ下方修正をされた時に戦い方が制限されるようになるので、強いスキルに依存し過ぎないようにするのも重要だろう。


「…ううー、やっぱりなんか気持ち悪い!」

(母上、あまりその力を吸収し過ぎない方がいいです。いくら母上でも、大量に吸収してしまったらどうなるのか分かりませんよ)

 私も途中でやめようと思っていたんだけれど、勝手に吸い込まれるようになってしまったんだ。なんか止まってくれなかったし。またいつものようにスキルに振り回されちゃったみたいだよ。

(力が暴走することも考えられますので、母上の師匠が言ってた通り、あまり吸収し過ぎないほうがいいと思います)

 むしろ今、暴走しちゃっている気がするんだけどね。なんかこの闇の素が、全然消えてくれないと言うか、どこからかまだ集まってきちゃってるようだし、どうしたもんか。

(!? 母上! それはまずいです! それならその力を一気に外に放ってください! このままだと母上がその力に飲み込まれて、何が起こるか分かりません!)

 え! 外に放つってどうすれば、ああ、いつもの逆みたいな感じでやればいいのか。


「ヴォア! ヴォエヴォエアアア!」

 象が、真っ黒い象になって唸り声をあげた。なんだろうこれ。私的には焦げているように見えるんだけれど。あれ、違うな、溶けているような感じにも見えるし。

「ヴォエアア!」

 真っ黒い象がいきなり突進してくる。おい、やめろ。なんかちょっと気持ちが悪い感じがするからこっちに近づくんじゃない!

「ゲゲヴァアア!」

「あぶなっ!!?」

 象が真っ黒くなった鼻で私を叩きつけてこようとして、咄嗟に空に飛んでしまった。そう思ったら、天井に頭をぶつけていた。これって、やっぱりダメージになっているんだろうか。いや多分なっているよね。

「うぐぐ。この象野郎! 暴走状態とか言うんだったらもっと暴走させてやるよ! えーっと? 吸収の反対って何て言えばいいんだっけ。あーもう!」

(母上、恐らくは発散かと思われます!)

 お? なんとなくそれっぽい! じゃあちょっと、やってみるか!

「発散! 出ていけー!」


 気合いでなんとかできると思ってやってみたら、最初は何ともなかった。そこで、ひたすら、出ろ、出ろと祈っていたら、なんか口から真っ黒い煙を吐き出している私がいた。ああ、これは闇の素か。どう見ても煙にしか見えないけれど。

 もくもくと口から煙が出ていくが、急に勢いよく吐き出されて、黒くどろどろになったような象にど纏わりついていく。

 あれ、これ大丈夫か? むしろあの象に力を与えているんじゃないのかと思って不安になってくる。

「はぁ。なんか失敗した気がするなって、げ」

 そんな簡単に上手くいくなんて思っていなかったのでいいけれど、問題が発生していた。

「何あれ。私の口から出た黒煙を今度はあの象が鼻から吸い込むとか何!?」

 なんなんだそりゃあ。私が吐き出した黒煙を今度はあの象が吸い込むとか、最悪過ぎるだろ! 気持ちが悪い! なんでこんな気持ちが悪い戦いをしなければいけないんだ!

 私はどちらかというと綺麗好きな方なのに、こんなものを見せられるとか気持ちが悪いだろ! お互いゲロをかけあってるようなもんとか不毛すぎる!


「ヴォヴヴォヴァ!!」

 …で、結局象はこの力を吸収しきれていないって事なんだな。じたばたもがきだしたよ。ああーもうなんなんだこのぐだぐだは! やっぱり制御できない力なんてあっても意味がないだろ!

「ヴォゲゲッゲ!」

 象の全身を、漆黒の闇が飲み込み始めた。徐々に象の体は崩れていく。溶けていく。そして、象の前身は液体のようになってしまった。

「ヴ…」

「これが力に飲み込まれたとかってことなのかな」

 グロテスク過ぎる。闇の素が一体何なのかも実際よく分かっていないけれど、力を制御できなくなると全身がドロドロに溶かされてしまうというのは恐ろしい。

「あいつ、死んだと思う?」

(恐らくは。あの象の全身が全て闇の素へと変換されてしまったのだと思います)


 変換…というと、つまり象は闇の素になってしまったということか。力を制御できないとその力そのものになってしまうということか。ミイラ取りがミイラになるってわけじゃないけれど、なんだかそれに近い感じがするな。

 私も吸収の使い過ぎには注意しないといけないな。あんな感じで自爆してしまっては元も子もないし。

「倒したのに何も起こらないな…近づくしかないのかなこれ」

 液体になってしまった象の近くに行くのは嫌だったけれど、近づくと何かイベントが起こるかもしれないので近づくしかない。

 ってあれ? 私そう言えば飛んだままだったな。これまでまともに滞空なんてしていられなかったのに、もしかして慣れてきたのかな? それじゃあちょっと降りるとする…か!

「~~! ぎりぎりだ! 制御できていないし!」

一気に地面に激突しそうになったが、ぎりぎりのところで回避した。やっぱりまだまだ飛ぶ練習をしないといけないなあ。

「ねこます先輩! 俺、ホラーゲームやってるんすかね!? もうなんか先輩と会ってからホラーゲームやってる気分にしかなってないっすよ!」

「獣王君…。」


 言われて私も今、ホラーゲームをやっているような気分になってきた。なんかこういう時って、液体化した象が復活して襲い掛かってくるとかそういうのがありそうだよね。まぁ今の所ある程度距離を取っているから、近づかなければ大丈夫だとは思うんだけれど、それでもやっぱり怖いな。

「一応、倒したっぽいけど、まだ近づかない方がいいよ」

「そうっすね。ねこます先輩があいつを確実に倒したか確認してから近づくっす」

「私も近づきたくないんだけど」

 あの黒い液体に触れるとどうなるんだろうか。私も溶けてしまうとか? 嫌だなあ。あれは消えないものなのかな。さっさと消えてくれればいいと思うんだけれど、残ったままだし。

「あれ、俺が触ったらきっと全身が解けて死ぬとかっすよね」

「試してみるといいかも!」

「嫌っす!」


 好奇心を持つことは大事だけれど、持ちすぎてもいけない。あの黒い液体に触るのはリスクが高すぎるし、あの液体に対して何かするわけにもいかない。あの液体が意志を持ってこちらに近づいてくるかもしれないし。

 なので、更に距離を取っておく。あの液体が急に動いてきて、それに当たって即死する可能性も考えられるし。

「えっ。ねこます先輩マジであれが何なのか見にいかないんすか?」

「どう考えたってやばそうなものに近づくわけないよ。もしかしたら復活するかもしれないけれどさ、ここで近づいて何か起こったらそっちのほうが嫌だし」

 追い詰められた敵が何をしてくるのか分からないのは何度も経験済みなので、余計な事はしない。むしろここから脱出するほうが最優先だ。

 この大広間のどこかに出口か出来ていないか探しだしたい。それで見つからなければあの液体の所に近づくしかないけれど。

「ひじき召喚。えーっと。あの象の液体の様子だけ見ててくれない? 何かおかしなことがあったらすぐ知らせてくれると助かる」

「かしこまりました。」


「ひじきちゃんは可愛いっすねー」

「仲良くなりたいなら協力してやるよ! あの液体に触ってきてくれるならだけど!」

「無理っす」

 そう簡単に諦めるなと言いたくなったけれどしょうがないか。あの液体に触ってこいなんて言って聞いてくれそうなのはブッチくらいな気がする。あ、でもブッチでも嫌だよ気持ち悪いしとか言うかもしれないな。

「私は出口を探そうと思っててね」

「手分けして探そうとか言わないでくださいっすよ。こういう時に片方が襲われて、それに気が付かないでおーいどこにいったーとか声をだしていると、死体とかが見つかったりするんすから」

「そういうホラーゲーム結構あるから分かるけれど、まぁそうだね。一緒に探すか。やっぱりか弱い私が後ろで、獣王君は前がいいかな」

「前衛とか真っ先に襲われるじゃないっすか! 嫌っすよ!」

「こういう時って後衛が先に襲われて、前衛が振り返った瞬間に襲われてましたとか言うのが定番だから大丈夫だって!」


 ホラーゲームって色んな展開があるから面白いんだよなあ。天井を突き破っていきなり出てくるわ、背後からいきなり襲い掛かってくるわ、不気味な姿のモンスターが何匹も出てくるわ、まぁそんな感じだ。

「うう、なんかどう転んでも不幸になる未来しか見えないっす」

「ホラーなんてそんなもんだよ。何が起こるか分からないから面白いわけだし」

「心臓に悪すぎるっす」

「あー分かったよもう。じゃあ私が前行くから安心して」

「後ろはやばそうっす! 並んでいこうっす! ね!? ね!?」

「ビビりすぎだよ…」

 並んで歩いても片方が狙われて一撃死して、びびっているところに別な敵が現れることが多々あるしなー。こう考えると、ホラーゲームって結構理不尽だな。

「右も左も上も下も斜めもみんな怖いっす。先輩も実は悪の手先だったりとかしそうで怖くなってきたっす」

「既にパニック状態だねえ」


 懐かしいなあ。私もホラーゲームをプレイしたてのころはこんな感じだったっけ。今じゃ全然ビビらなくなったような気はするけれど。VRだと臨場感があって怖さがあるなあ。

「ここから脱出できたら、仲間たちと合流して、楽しい未来が待っているでしょ獣王君」

「なんか死にそうになるようなこと言うのやめてくれないっすか!?」

 こういう死にそうな事を先に言っておけば大体生き残るんだよなこういうのって。


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