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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
464/473

第464話「象?」

明日追記します!

3/22 追記しました

「ヴァオオオン! ヴォンオオン!」

 この近くでモンスターが何度も唸り声をあげている。すぐさま襲い掛かってくるのかと思ったけれど、そうでもないようだ。単にこちらを威嚇しているだけなのだろうか。

 威嚇程度なら気にする必要はなかった。むしろ、周囲がかなり激しく揺れているこの状況の方が嫌だった。私は立っていられなくなり、その場にしゃがみこんでいる。獣王君は基本的に四足歩行だからなのか、普通に踏ん張ってみせていた。

 はあ、こういう動きにくい状況で襲われるのが怖いんだよなあ。

「…ここからボス戦っていうかもうボス戦が始まってるっぽいけれど、獣王君、やる気はある!?」

「やる気も何も戦うしかないじゃないっすか! ボス戦なんて逃げられないし!」

 逃げられるボス戦もあるといえばある。だけど、そういうのはレトロゲームが多いので、最近のゲームである<アノニマスターオンライン>ではきっと逃げられないんじゃないかと思う。


 一応戦略的撤退というか、一時的に距離を取るみたいなことは、これまでやってきたので不可能ではないと思うけれど、確実に逃げられるかどうかは怪しい。何より私達は今この迷宮に捕らわれているようなものだし。

「うん。やるしかないって言うのは分かっているんだけれど、後はどうなるかだよね。この後、床が突然抜けて落下した先にボスがいるみたいな展開な気がしているんだけれどね!」

「そういうこと言うと本当に起こるんじゃないっすか!?」

 あくまで予想だし、予知じゃあるまいしそんなこと起こるわけがないよね。

「あっ!? ゆ、床がぁぁぁ!? やっぱりこうなったじゃないっすかああああ!」

「え!? 嘘マジで!? おいおいいってひじき召喚! 翼を頂戴いいい!」

 いきなり床が抜けたとか、そういうフリじゃないんだから! そういうコントじゃないんだからさぁ! どうして私がこういうことを言うと現実になるんだ!? あっ! もしかしてここまでのやり取りとかエレファントボスが監視しているから、それでやっているってことか!?


「はいどうぞ母上!」

「おっけー! そんでもって飛行! 獣王君、気合いで飛んでみて!」

 ひじきの魔法で私の背中から黒蛾の羽が生えてきた。まだまだ制御が甘いが、一応空を飛んで、飛んで、うわっ!?

「ホバリングができないというか、そのままの位置で止まれないのがマジできつい!」

 動き的には部屋の中を動き回る蠅のような感じになってしまっている。挙動不審な飛び方だ。

「と、飛ぶ!? と、と、飛んだっす!? なんすかこれ!? ねこます先輩の力っすか!」

「ままままあね! わわ、私はこんな感じで飛ぶの慣れてないけれどどど! ってあ!?」

「ヴァオオオン! ヴォオオオ!」

「象…。ってことはこいつがエレファントボスか?」

 下を見てみるとそれっぽいモンスターがいる。灰色の象といえば定番な象だな。こういうところで出てくるでかい象なんてマンモスみたいなイメージをしていたんだけれどそうじゃなかったようだ。

 更に周辺を見渡すと、ここは大きな広間のようになっているようだ。なんだろう、どことなくインドをイメージしたくなるような広間だな。


「ヴァオオオン! ヴァヴァヴァ!!」

 何か喋っているような気がするが、私には象の言葉なんて分からないので、何も言えない。

「なんすかあれ。ただの象にしか見えないんすけど」

「ヴァオ!? ヴァオオオオオオオオ! ヴァオオオ!」

 なんだ? 獣王君の言葉に怒ったのか? ただの象なんて言われた程度で? まさかこいつ。

「アホー! アホー!」

「ヴォア!? ヴォアオア! アヴォー! アヴォー!」

 あっ、こいつ悪口が言われていると分かるタイプか。こっちに向かってもアホアホ言い返しているような感じだし。もしかして、この象、頭が悪いタイプなのか?

「ヴォオオオオ!」

「うおあっ!?」

 鼻から水鉄砲を飛ばしてきたがぎりぎりのところで回避した。大広間の天井に命中したが、水鉄砲が当たった個所が崩れ落ちていった。

「あっぶな…当たったらまずいなこれは」


「ヴァオオン!」

 今度は無邪気に喜んでいる象だった。こいつが本当にエレファントボスなんだろうか。間抜け過ぎて弱そうに思えるし、こんなの偽物じゃないのか。

「私は、一旦降りるよ。獣王君も、飛べる時間は数分程度だから降りたほうがいいよ」

「了解っす!」

 そして私は先に着地しようとするが、どうせ上手くいくわけもないと思って、鎌を持ってエレファントボスっぽい象に突っ込んでみた。

「黒薔薇の型! おいしょおおっと!」

 よし、この象は巨体だし、確実に当てられるぞと思ったら、空振りした。絶対に当たったはずなのに、それが当たらず、その勢いで私は床まで激突した。

「くぅう…。どうなっているんだ? ってわっ!」

 エレファントボスが、鼻でこちらを叩きつけてきた。これを間一髪で回避した。

「ずるい…」

 どういう事なのか分からないが、こいつは、私が攻撃をした瞬間に攻撃が当たらないように何か仕掛けていたようだ。


 これまでのゲーム経験的に分析すると、恐らくこの象は、攻撃する時には実体を現し、そうじゃない時は攻撃が当たらないようになっているのだと思われる。

 つまり、こいつが攻撃をしてきている時だけダメージを与えることが出来るのだろう。それならこいつが影象とか言われている意味と合致するような気がする。

 だけど、そのように判断するのも危険だ。一定時間だけ無敵になれるとか、何かの動作中は攻撃が当たらないとかまだまだ色んな可能性がある。

 思い込みで突撃すると手痛い目に遭うので、色んな方向からこいつを攻撃しないといけないな。

「ヴァオオン!」

「浮遊!」

「ヴォア!?」

 浮遊が効いた。ということは、こういうスキルなら効果があるということか。よし、それなら更に使うか。

「アリボール! それっと!」

 まずは一個投げつけてみる事にした。これが普通に当たるのか、それとも回避されるのか。あっ…。アリボールがそのまま象の体を通り抜けていった!?


「ヴォァァア!」

 この象! 今度は鼻から勢いよく風を飛ばしてきた! しかもかなりの突風だ。鼻を自由自在に操れるのは知っているけれど、器用過ぎると言うか動きがスムーズ過ぎて狡い!

「真空波!」

 私は、象に向けて鎌を振り真空波を放った。が、これもすり抜けていく。私が真空波を放った瞬間は、こいつは攻撃をしていなかったので、当たらなかったと判断してもいいかもしれないな。

「ヴァオオン!」

 今度は、鼻を鞭のようにしならせてこちらに叩きつけようとしてきた。よし、これなら防御できるだろう! そう思って鎌で防御態勢に入ったが、こちらに当たる直前にとても嫌な予感がしたので、回避することにした。

「あっぶな!」

 寸でのところでなんとか回避したが、心臓に悪かった。だけどかわして良かった。最悪、一方的にこちらが吹っ飛ばされることになっていたかもしれなかったし。

 こちらの攻撃が当たらない状態を、影状態とする。そして象が攻撃してきた状態を光状態とすると、この光状態と影状態を一瞬で切り替えられたら、影状態でこちらの防御をすり抜けた後に光状態で攻撃が命中する事になるので、防御は意味を成さなくなる。


 こいつはそういうことをやってのける気がしたので、防御する事を躊躇った。そこまで器用な事ができるかどうか分からないし、一発くらいは攻撃を食らってみて検証したほうがいいかもしれないと思うけれど、あの巨大な鼻にぶつかったら、思いっきり吹っ飛ぶのは確定なので、それも止めておきたい。

 一回でも当たってしまったらそのまま追撃されることが確定だし、そのまま逃げられずに延々と攻撃され続けて終わるかもしれない。

 なので、できるだけ攻撃を避けなきゃいけない。いつも通りといえばいつも通りか。

「サンダーショック!」

「ヴォオオ」

 私と象から遠く離れた位置から電撃魔法が放たれた。だけど、象には当然命中はせずにすり抜けていく。これは、獣王君か。


「ヴォア!」

「うわー、でかい象っすね! これは戦いがいがありそうっす! サンダーショック!」

 獣王君は、更に魔法を連発していくが、どれも象には当たらずにすり抜けてしまう。

「な、なんで当たらないんだ!?」

 こちらの攻撃は全く当たらないのに向こうは攻撃したいときには当ててくるって本当に狡いよなあ。とりあえず、その情報が分かっただけなので、どうすればこちらの攻撃を当てられるのかを考えないといけないな。

「先輩! あいつに攻撃当たらないんすけど!」

「気合いで当てるしかないよ!」

 というのは嘘だけれど、攻撃中には、こちらの攻撃も当たられるなんてことをここで獣王君に話して伝えることはしない。この象が私の喋っていることが理解できると警戒されてしまうかもしれないし。ああ、こんなことなら、獣王君と友達登録しておいてメッセージのやり取りができるようにしておけば良かったな。

「ヴォワアアアアア!」


 突然、象が大広間全体に響き渡るような咆哮を上げると、私の体の動きが鈍くなったような気がした。こいつ! こういうことも出来るのか! 嫌な奴だな! そういう足止めしてくる攻撃は私の得意分野なのに、それをこいつに使われるのはむかついてくる!

「威圧!」

 なんとなくこれでびびっているような状態を吹き飛ばせるような気がしたんだけれど、予想通り吹き飛ばせた。咆哮をくらうと、委縮状態になるようなので、これは今後気を付けないといけないな。大きいモンスターってそういう攻撃が得意そうな気がするし。

「ね、ねこます先輩、なんすか今のおおおお!?」

 あれ? どうやら獣王君も巻き込んでしまったようだな。まぁしょうがないか。

「そろそろこちらからも攻撃を仕掛けるとするか」

 錬金術士の杖を取り出す。更に、カブトスピアーも取り出す。よし、左手に錬金術士の杖とカブトスピアーを持って、右手に鎌を持つのができた! そろそろこれくらいできるんじゃないのかなーと思ってやってみたけれど、意外とできるもんだな。


「恐竜力! そんでもって甲殻化!」

 ここらでそろそろ全力で行かないと、時間ばかりが過ぎていくと判断したので、ちゃっちゃと倒してしまおうと思う。

 どうせこいつが本物のエレファントボスってわけじゃないだろうし!


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