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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第46話「蜂の大群-電撃蜂降臨-」

 ブッチは丸太でひたすら蜂を殲滅していった。猛烈な勢いだった。何が彼をそこ

まで突き動かしたのかは分からなかったが、とにかく、蜂は大幅に数を減らしてい

った。あれだけの大群をほとんど蹴散らすことができている。このまま順調にいけ

ば、敵は全滅させられるだろう。だがそんな甘いことがないくらい私たちは知って

いる。必ずボスは現れる。それがどんな奴かは分からないが、この数を倒しただけ

で終わるのだったら、そんな拍子抜けするゲームはつまらないと評価を下されてし

まうことも少なくない。

 だからこそ、ゲームプレイヤーとして、これは絶対にボスが現れる展開だと確信

を持っている。出てこないわけがないだろうと。

「みんな!警戒!絶対に油断するな!どこからかボスがでてきて奇襲をしかけてく

るかもしれない!」

 奇襲は定石。地面からでてくるかもしれない可能性もあるし、超遠距離から攻撃

をしかけられる可能性もある。あるいは空中から突然姿を現すかもしれない。ボス

出現で一番いいパターンは自分の実力を過信して、どっしりと構えているタイプだ。

いきなり攻撃されるとかがないので対策を打ちやすい。だが急な攻撃をしかけてく

るタイプはまずい。下手すると一撃でやられてしまうかもしれないからだ。

 ここで重い一撃に耐えられるのは恐らくブッチだけだ。私は今も自分のステータ

スは見るつもりがないのでどれだけの実力かは分からないが、恐らくそこまで性能

はよくないだろう。般若レディという種族がどういうものなのかが分からないし、

錬金術士という職業で言えば直接攻撃タイプではないのが分かっている。

 攻撃をくらえばひとたまりもないだろう。だが、一撃さえ耐えられればあとはな

んとかなる。なぜなら私には大量の薬草があるからだ。これを飲み続ければいいだ

けだからな。そういうことができるのでやはり薬草は最高だと思う。


「ねっこちゃん!どうやら上からでてくるようだよ!!!」

空を見上げると、真っ黒い空間が現れていた。そこから何かがでてきようとしてい

た。私はそこに向かって、残り僅かになった火薬石弾を投げ込んだ。爆発は起きた。

そして衝撃が生まれた。そして現れる。


「バチバチバチバチバチバチバチバチ!!!」

大きな、とても大きな蜂が現れた。全長5メートルはある巨大な蜂だ。この蜂の周

りには時折青紫色の光が輝いている。これは電気だろうか。つまりこいつは電撃

を使ってくる可能性が高いということか。


「バチバチバチ!!!」

「っぶね!!?」

巨大な蜂は、青白い光の光線をブッチめがけてはなった。それを間一髪かわすこと

に成功したブッチだったが、その光は、周辺にいた蜂に命中した。蜂は黒焦げにな

っていた。

「電気蜂ってところか。へっへっへ。おいおい。燃えてきたぞ!」

ブッチは、かなり興奮している。今度こそ自分が活躍する番だと信じているようだ。

「いいねお前。死ぬまで殴らせてもらうぞ!」

だが、電気蜂はブッチから距離をとり、遠くから先ほどの青白い光を何度も放つだ

けだった。どうやら直接戦闘タイプではなく、逃げながら戦うタイプのようだ。

「逃がすわけないだろ!」

それを追いかけるブッチ。流石に早い。そして、丸太を思いっきり電気蜂の巨体に

打ち込んだ。それを1発撃ち込んだ瞬間、電気蜂は動きを止めた。そこでブッチは

「はっけよおおおい残ったああああああああああ!」

思いっきり全力の体当たりを電気蜂にしかけた。電気蜂にも当然針はある。だが

ブッチに針を向ける前に、思いっきり体当たりを食らうのだった。

「バチバチバチ!!!?」

「はああああああああああああああ!」

張り手の連続。電気蜂の全身に何度も何度も打ち込むブッチ。電気蜂はその勢いに

圧倒され、抵抗が出来ずにいるようだ。ブッチはこのまま一気に決め込むつもりだ。

「まだまだ死ぬなよ蜂野郎。俺は今お前らのやり方に頭きてんだからな!絶対に逃

がすつもりはない!」

「バチバチ!!!」

そこへ電気蜂が、青白い光を放ち、ブッチのサイコロの頭部をかすめた。その一部

分にはくぼみが出来上がっていた。

「おいこら、何しやがってんだ?」

 ブッチの張り手は更に加速していく。電気蜂の体に命中するたびに大きく鈍い音

が聞こえてくる。かなりの衝撃のようだ。それを何発もくらっているはずなのに、

電気蜂はあまりダメージを受けている様子はなかった。


「ボスお得意の耐久性か。いいね。気に入ったよ。俺も持久戦は大好きでね。いく

らでも戦ってやるよ!」

 ブッチは、本当に嬉しそうだ。今まで自分でボスにとどめをさせていなかったフ

ラストレーションが激しかったのだからだろうか。ボスにひるむことなく戦ってい

るのはすごいな。

「ねっこちゃん!こいつは俺が貰うよ!なので雑魚を頼む!」

「おうよっ!絶対勝てよ!」

「必ず勝つ!正義の味方マブダチの力を見せてやるよ!」

 正義の風貌には見えないがそういうことにしておいてやるとしよう。さて、ブッ

チがこういってることだし、私たちは残党の蜂を処理していく。かなり数を減らし

たはずだが、百匹以上はいるような気がする。

 

「バチバチバチ!」

「おっと、余計なことをするな。」

 ブッチは、電撃蜂の触角にチョップを打ちつけた。

「お前があの光を飛ばすときは必ずここが動いていたなぁ!お前、動けば動くほど

俺に動きが見切られていくぞ?さぁどんどん動け!はっはっはっは!」

 なんだあいつ、悪人キャラに成り切っているぞ楽しそうだなあ。油断はしないと

思うがいつものペースすぎて気が抜けてしまいそうになる。まったく悪ふざけはよ

せっていうんだ。


「ねこますサマ。ヨソミハイケマセンヨ!」

「そうやで、ワイらにはまずやることがあるやないか!」

そうだった、ブッチの事ばかり気にしているわけにもいかない。私達は私達で残党

狩りをしないといけない、それが終わったら一応ブッチのサポートだ。私達はここ

で、一匹も逃さず倒さないといけない。ここで禍根を残したくはない。草原に近い

ここは、とにかく平和な場所にしたいからだ。ここに危険が迫るようなことがない

よう、蜂は絶滅まで追い込む!


「私の薬草ライフを邪魔する蜂は絶対に許さんぞ!」

火薬草を投げつける。もはや火薬石弾はなくなってしまったからだ。それでも一応

充分な威力がでているのがいいが。

「蜂め!根絶やしにしてくれる!貴様らは絶対に生かしてなるものか!未来永劫に

渡って地獄の苦しみを与え続けてやる!」

そのくらいやってもいいよね。だって薬草が大事だし。

「ひえー。姉御こわいんやで!」

おい、どこがだ、私のどこが怖いというんだ!

「ねっこサマ。オソルベシデス。」

たけのこまで!?うっそ私プリティーな般若レディっすよ?そんな怖さなんてある

わけないでしょうに!あっ蜂、しねーい!火薬草!ふっ、また一匹あの世に送って

やったぜ、ざまあみろ。

「ワイは姉御の情け容赦ない所そこそこ好きやで」

「情けありでしょ!火薬草一撃であの世に送ってやっているんだから!」

 本当はこいつら全部捕まえてじわじわとなぶり殺してやりたいくらいなんだぞ。

この戦いが終わった後の苦労を考えるとそのくらいしてやりたい。私はそういう

思い出は忘れないタイプなんだ。


「こいつらを倒してさっさとブッチの援護に行きたいからね。」

「ブッチニキ一人でなんとかさせるんちゃうんか?」

「それはない。全部一人で美味しい所だけ持って行かせるわけがないのだろ。漁夫

の利を私が貰うのだ!はっはっは!」

 え?だって、貴重なアイテムが手に入るかもしれないじゃん。もしこれが、きち

んと戦いに参加したプレイヤーだけが貰える権利が発生するとかなってたら私は最

初にあいつが姿を現そうとした時に攻撃しただけだから、それじゃあ貰えませんっ

てことになったら嫌だし。だから一応、ブッチが戦っているところで手伝い的な何

かは少しはやっておきたいんだ!

「というわけなので分かった?」

「姉御意外とがめついんやな。」

「だいこん。ねこますサマはハ、コンゴノコトヲカンガエテイルノダゾ。」

「ほーぅ。」

 疑惑の目を向けるんじゃないだいこん。私はこの戦いでも一応何か得るものがな

いとやっぱり納得がいかないんだっての。つーかこのゲームって敵と戦っても本当

に苦労しかないけどな!もっと楽に勝たせていいアイテムくれよってな!


「それと、ブッチ一人だけなんて心配に決まってるでしょ。あいつああ見えて結構

ドジっこな感じだし。」

 どこか抜けているところがあるから、どうも頼りないと思ってしまう。まあさっ

きの戦いぶりはすごかったけれど。

「ブッチニキは頼りになるんやで。けどまあ、確かに一人だけはかわいそうやで。

はやくみんなで一緒にいこうやで。」

 そうだな。ここらの残党をさっさと狩って戦いに参加してレアアイテムを私も手に

入れるのだ!」


「ねこますサマ。」

「姉御が悪そうな顔しとるんやで。あっ前からか。」

だいこんうっせ。いいからやるぞ。私達はそこから確実に残党を仕留めていった。

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