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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第457話「エレファントボスの迷宮?」

 ログインした直後に真っ暗闇に包まれていることに気が付いた。すぐに転移石を使ってみたが失敗した。転移できませんというメッセージが表示されてしまった。

 このままここに居座っていると、それだけでダメージを受け続けるかもしれないと思い、使ってみたのが吸収だった。すると、みるみるうちに、私の手に黒い霧のようなものが吸い込まれていく。やがて、周囲の霧を全て吸い終わると、辺りが洞窟のような場所になっている事に気が付いた。これは、ダンジョンのようだ。

 壁際には、なぜかたいまつが飾られている為、ぼやけた灯を頼りに移動できそうだ。といっても私には、照目というスキルがあるので、無問題だったけれど。

 しかし、どことなく見覚えがあるような洞窟だ。これは、ブッチがいた場所に似ているといえばそんな気がする。まぁ洞窟なんてどこも似たりよったりな気がするけれどね。

(母上、私達は、何者かの中にいるようです。このまま飲まれないように注意しましょう)


 私の中にいる、ひじきが話しかけてくる。ということは、ここはエレファントボスの体内なのだろうか。だけど、私は飲み込まれたわけでもないのに、こんなところにいるのはおかしいのではないか。

 それとも、私がログアウトした座標にエレファントボスが重なったためにこのような現象が起きてしまったということなのだろうか。

 こういう何かがいるはずなのに他の何かがその場所に存在してしまい、重なり合ってしまうような状態は、ゲーム的には結構危険な状態なので、不安になってくる。

 例えば、テレポートして壁の中に入り込んでしまった場合、身動きが取れずに死んでしまうような状態になり、脱出の手段がなければそのまま死んでしまう。

 あるいは、壁と重なりあった瞬間に、別な地点に一気に弾き飛ばされ、大ダメージを受けてしまうといったことも考えられる。

 私は、幸いにして重なった状態ではなく、何かに飲み込まれたような状態になっているので、ダメージは受けていないと思うが、吸収が使えなかったら、その時点でダメージを受けてやられてしまっていたかもしれない。


「ここがどこなのかさっぱり分からないけれど、黙ってじっとしているってわけにもいかないか」

 ひとまず、ブッチとエリーちゃんにメッセージを送った。すぐに返事がくるかもしれないと、そのまま待っていると、すぐに返事が来た。


マブダチからのメッセージ:エレファントボスの体内に全員で入ったよ。迷宮になっているみたいで、色んなところ周っているんだけれど、全然出口にたどり着かない。


エリーからのメッセージ:このあたりの壁を攻撃して無理矢理道を作ろうとすると、岩みたいなモンスターが襲い掛かってくるので注意してください。多分そういうペナルティですね。

 なるほど。エレファントボスの体内は迷宮になっており、どこかにいる核か何かを倒せばクリアということになるのか。これは、かなり面倒くさいことになってきたな。

 ふと、気になったのは、霧が出ていたはずなのに、他のみんなのところでは出てこなかったのかというところだ。再度メッセージを送って確認してみる。


マブダチからのメッセージ:ヴァンパイアロードの力で、霧が取っ払えているよ。まぁなくても全員特に問題は無そうだけれど。霧は一定周期で濃くなるみたい。


 状態異常になるかもしれないので、安心はできないと思うんだけれどブッチ的には大して気にも留めていないような感じか。たけのこ達の方が心配だったけれど、そのあたりはブッチが気にかけてくれているだろうから大丈夫か。


 さてと、ここから出るまで転移石は使えないから帰れないということらしいがどうするか。この迷宮のどこかにいるはずのボスを倒せばきっと出られるんだろうけれど、ブッチ達もいまだ探索中。

 ということは、かなり広いってことになるな。一日、二日で終わるようなものじゃないだろうこれ。持久戦をしろってことか。嫌になってくるな。

「…そして、私はまた今回も一人、と」

 仲間外れをされているような気分になってきた。ここ最近、いつも一緒にいてくれるのがひじきだけとか。


(母上は皆さんのために頑張っているじゃないですか。それだけで皆さんの力になっていると思いますよ)

 ひじきから優しい言葉をかけられて素直にありがとうと返事をする。まぁ、なんだかんだ、皆で協力して色んな事をやってきたっていうのはあるからなあ。だけど、一人プレイが多くなってくると、あれ、これ本当にオンラインゲームなのかって気になってくるからなあ。

「あ、そういえば…」

 ゴーレムのビスケットが一匹だけ仲間外れになっているのが駄目だな。そのうちぐれてしまって敵対するかもしれないというところまで考えておかないといけないな。

 モンスターを仲間にするゲームなんかでは、連れて行ける数に制限があり、それが沢山連れて行くと管理できなくなるというものだったが、なるほどその通りだなあと思った。


 今の私は、全員と仲良くしているってわけじゃないからなあ。それに、そこまで仲良くなろうとか言うところまではなく、必要最低限は仲良くしておかないとってところがあるくらいか。

 あまり近くなり過ぎず遠くなり過ぎずって感じのバランスかな。

「…とりあえず一人でいすぎるのもなんだし、毎回誰かと一緒にいけるようにしておかないと」

 こんな薄暗い迷宮の中をほぼ一人で歩き回るというのは少し心細い気がしてくる。何かあっても全部自分で対処しなきゃいけなくなるし。

「…ここでぐだぐだしててもしょうがないし、頑張って迷宮探索するか」

 移動する前に、持っていた石ころとその下に火薬草を敷いた。これくらいしか目印になりそうなものが無いので、こうしておくことにした。誰かがこれを拾ってしまったら元も子もないが、何もしないよりはマシという考えだ。だけど、スタート地点であるここに戻ってきたくはないな。この目印があるところを発見してしまったら迷ってしまっているって事になるし。


「照眼は…使わないでおくか」

 そう簡単にスキルは使わないようにしよう。だけど、いざとなったら沢山使おうとは思う。隕石拳で一気に破ってみることもできそうだけれど、迷宮探索自体は多少面白そうだと思うので、さっさと使わなくてもいいだろう。 鎌で次元を斬り裂ければ、脱出もできるかもしれないし。

「…こんな暗いところをとぼとぼ歩くなんてなあ」

 壁際に灯りがあっても、本当に少し輝いているだけなので、暗くてじめじめしていそうな感じがある。ん!? あれ? でもこれって、エレファントボスの体内だとしたら、こんな灯りがあるなんておかしくないか? だって、これは生物の体内ってことなんだろうし。それなのにこれって、どういうことだ? まさか、エレファントボスって機械の体、じゃなくて体自体が迷宮というかダンジョンで出来ているとかってことか? まさか動くダンジョン!?

「これはちょっと面白くなってきたかも」


 そういう謎を解き明かすためにここをひたすら探索し続けなきゃいけないって事か。

「グギャァァ!?」

「ゲァアアア!?」

「ん!?」

 なんだ今のは。ゴブリンのような奴が何匹かいて、私の姿を見ると即座に逃げて行ったぞ!? っていうかいきなりゴブリンか! 何なんだここは。あいつらを追いかけるか? ああ、ああやって奇怪な行動をとって、追いかけてきたところを罠にかけるなんて作戦かもしれないな。その手には乗らんぞ!

「もう逆の道を行くか…。」

 私が最初にいた地点から四方の通路に移動することができそうだったので、まずは一つ目の道を移動していたのだが、そこを今さっきゴブリンがでてきたところなので、別な道を試す。

「その前に、暫定的に東西南北を決めるか」

 現時点ではどれがが北なのかも分からないので、適当にさっき行ったところを北と決めておく事にした。なので次は東にでも行ってみるか。


 再度とぼとぼと歩き出す私だった。さっきのゴブリン達はなんだったのか分からないけれど、こちらにも出てくるかもしれないので警戒しておく。右手には鎌を持つ。

「ん。そういえばさっきは気配感知にはでてこなかった?」

 気配感知を使ってみるが、何も反応を示さなかった。まさか、ここってスキルは使えないんだろうか。試しに照眼を使ってみる。あ、使えたと思った時だった。

「キィイイイ!」

「わっ!?」

 当たりを照らすと、大きめのこうもりが何十匹も襲い掛かってきた。

「くっ! 邪魔だよ!」

鎌を適当にぶんぶん振り回していると、意外と簡単に命中してしまい、そのまま何匹か倒してしまった。それを見た他のこうもり達は、突然逃げ出してしまった。

「あっ! こらっ! というか気配感知!」

 反応しない。照眼が使えて気配感知が反応しないって事は…。ここだと使えないってことなのか。それとも、エレファントボスの体内なので、エレファントボスの反応が大きすぎて他の反応は検出されないってことなのかもしれないな。


 どうするか。また別な道に行こうとしても、更に他のモンスターが出てきそうだし、このまま東に真っ直ぐ進んでみようかな。こうもりが出て来たらそのまま戦うとするか。

 戦う時は、できるだけ壁を傷つけないようにしないとな。偶然でも攻撃が当たってしまったら、エリーちゃんの言う岩のモンスターが出てくるかもしれないし。

 岩というくらいだから大分堅そうだし、そいつらが何匹もでてきて、いちいち戦うことになったら面倒くさい。なので、出来るだけ慎重になって移動しよう。

 ただ、こういう時って、わざと壁に攻撃させようとしてくる嫌な敵もいると思うので、そんなのがいたら真っ先に叩くことにしよう。

「のんびり行くか」

 ここで焦る必要はない。今の所は迷宮に入ってしまったというだけだ。エレファントボスはずっと見つからないかもしれないが、まだどこにいるか探し始めたばかりだし、諦めるつもりもない。仮にここで何日もプレイすることが続いたとしても、それでもいいな。


 だって…何かお宝がありそうな気がするし! こういう場所には絶対あると思うんだよね! もしなかったら、エレファントボスをぼこぼこにしてストレス発散すればいいだけだしね! よし! 探索頑張ろう!


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