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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
453/473

第453話「倒した後で」

明日追記します

3/2追記しました

「…魔王?」

 地面に仰向けになりながら、呟いた私だった。はて、マオウペンギンはどうなったんだろう。マオウペンギンを倒したかのようなメッセージが表示された気がしたけれど、一体どういうことなのだろうか。

「…魔法?」

 そういえば、魔法を覚えたとかメッセージが表示されなかっただろうか。気のせいな気がするのだけれど、気のせいじゃない気もしている。

「…え?」

 あまりのことに頭が追い付いてこない。確か私は空を自由自在に飛びまわろうとしていたんだった。そこまでは覚えている。だけど、そこから先は、失敗ばかりしていたはず。それがどうしてこうなったんだろうか。

「…これはないでしょう!?」

 ツッコミどころが多すぎる! まず空を飛んだと思ったら暴走しているうちにマオウペンギンを倒してしまったとか、呆気なさすぎる! こんなオチは誰も期待していない! やっぱりこう魔王なんて言うくらいだし、かっこよく倒したかったとかあるじゃないか! 


 ゲームの定番には飽きているところがあるけれど、そういう感動できるところは、やっぱり定番のままにして欲しかったよ! ああもう! 折角いい感じで戦えていたのにこのオチは酷い!

 でもって何だよ称号が魔王って!? 魔王をたおしたから魔王ってそんなのありか! 更にそこで魔法とか今更過ぎるだろ! そもそも私は魔力が大して多くないのに、そんなのが使えるようになっても意味がないだろう! ああもう! どうしてこうなったんだー!

「あー。でも良かったことと言えば、これで三匹目ってことか。」

 グローリーアント、ネガティブータ、そしてマオウペンギンでやっと三匹目。あと六匹もクロウニンがいるのか。長い道のりだなあ。


マブダチからのメッセージ:ねっこちゃん! マオウペンギンを倒したんだね!? なんかモンスター達が襲い掛かってこなくなったしそうなんじゃないかと思っているんだけれど!


エリーからのメッセージ:私も戦いに参戦したかったです…。


 うんうんそうだよね。みんなと一緒に戦いたいんだよ私も。折角こうやってみんなと来ているのに、一緒に戦う機会が少なすぎる。わざとやっているんじゃないかと言うくらい少なくなってきた気がするなあ。

「あ、あーひじき召喚。というわけで、よっこいしょ」

 いつまでも地べたに寝っ転がっているのもなんだったので起き上がる事にした。あー終わった終わった。だというのに、本当にすっきりしない終わり方だったなあ。散々苦労したのに、こういう感じだと本当に拍子抜けしちゃうなあ。前に魔者の塔でトラゴン相手にいきなり火薬草が詰まったリュックを投げつけた時は最初からそうするための作戦だったから良かったけれど、これは全然違うし。

「母上、やりましたね! マオウペンギンを倒すなんて凄いです!」

「いやぁ偶然倒せてしまっただけだからね…。ところでひじき、この漆黒の羽が消えないんだけれど、そのうち消えるのかな?」

「え? 消えませんよ。それは私が授けた羽なので、これからもずっと母上の背中に残り続けます」


「そうだったのか。」

 それじゃあこれは漆黒の羽というよりも、黒蛾の羽ってことになるのか。うーん。また装備が増えてしまったな。本当になんというか、私って装備ばかりな奴だな。

 蜂女王の羽と漆黒の羽の二つが背中から生えているなんて、どうにも見た目にはモンスターとしか映らなくなってきた気がするな。これは本当に魔王なんて言われてもおかしくはない姿だな。

「あの…もしかして嫌でした?」

「そんなこと全然ないって! ただこれから飛ぶ練習はしなきゃいけないなーって思ってね」

 あんな暴走状態でろくに飛び回る事ができていない現象を飛行なんて呼びたくはない。自由自在に飛べるようにならなきゃ、飛行とは呼べない。

「それで、ここからどうするか、だけど」

マオウペンギンは倒したけれど、私が魔王になってしまったしどうするかが問題だ。どうすればいいんだろうか。訳が分からない。


「それにしても、魔者と魔王ってなんか被ってる気がするんだけれど」

 魔王だったら魔者も兼ねているみたいな感じがするし。王だから者よりも高位の存在って感じもするな。これだと魔者の存在意義って何なんだって気がする。聖者の対となっていたとしても、魔王なんてのがいると、どうしても見劣りするな。

 これだと、魔王だけじゃなくて聖王ってのもいなきゃおかしい気がしてくる。魔者がいるくらいだし、いてもおかしくないな。

 そんでもって魔王を倒すのは勇者なんてのがRPGだと定番だし、勇者は確実にいるよなぁ。それを考えると憂鬱な気分になってくる。

 だって、私は魔王になってしまったし、勇者が私を討伐しに来るってことはほぼ確定したようなものだ。勇者なんて絶対強いだろうし、そんな奴と戦わなきゃいけないとか嫌になってくる。今だってクロウニンと戦うのに困っていると言うのに。これじゃあいつまで経っても戦いが終わらないじゃないか。敵を倒せばまた新しい敵が増えるとか尋常じゃないよ!


「そういえば…こちらに襲い掛かってくる者がいませんが、母上は魔王になったから襲い掛かってこないということでいいんでしょうか。」

「あー。うん。まぁその通りなんだって、分かるんだ!?」

「はい。母上が魔王になったというのが私には伝わってきます」

 うう、なんてことだ。ひじきにそんな風に影響があるというのなら本当に魔王になってしまったということなんだろうか。認めたくない現実があるなぁというかここはVRだけれど、そういう事実というか現実があるのだから認めなくてはいけない。

 魔王になんてなりたくもなかったのに、魔者の時と同じように押し付けられちゃったじゃないか! ああーこのままじゃ私の平和なゲームプレイができないままになってしまう!

「そうだ。魔法も覚えたみたいだけれど、使い方がさっぱり分からないんだ」

「…母上が魔法を覚えてしまったと言う事は、私はこれから、今まで以上にあまりお役に立てなくなってしまうと言う事ですね」


「そんなことはないよ。だって魔法なんて沢山使えるわけじゃないでしょ私」

 元々魔法を使うような職業でもないし。錬金術士は多少魔法を使いそうな気がするけれど、そこまで沢山魔力を持ってそうな気はしないしなあ。アイテムを調合するほうがメインだと思うし。その調合に使う魔力があったとしても、そこまで大きいものにはならなそうだからなあ。

「いいえ! 母上ならすぐに色んな魔法が使えるようになるにきまっています!」

「いいえ! お母さんは魔法よりも錬金術の方を頑張りたいので魔法を使う練習は後回しです!」

 という真実。だって、忍術ですらまともに使えていないし、魔法なんて、とてもじゃないが使いこなせない。便利な魔法があれば確かに使いそうな気もするんだけれど、そんな魔法なさそうな気がするし。

「母上、そんなさぼってはいけません。折角力があるのですから特訓しましょう!」

「えぇー…」

 特訓って言ってもなあ。私が使ってみたい魔法って…あ、あるなぁ。攻撃力を上げるとか防御力を上げるとかどちらかと言えば補助系の魔法だな。後は全体回復系の魔法とかそういうのだな。生存確率を上げる様な魔法は好きだな。


 後は、あるかどうか分からないけれど、復活の魔法とかか。そういうのがあれば使ってみたいけれど、どうせ絶対かなり高度な魔法ってことになるだろうから、使えるようになるまで大変なんだろう。

 そういうところまで考えるとやっぱり魔法を覚えるのは得策じゃないと思うんだよなあ。

「母上…やっぱり色々考えていますね。それなら絶対魔法が上達しますよ」

「…時間がかかりすぎるから無理だって!」

 例えば仲間全員の体力を全回復する魔法は、覚えるのに絶対苦労する。かなり高レベルまで上げないと使えるようにならないとかそこまでやるくらいなら、絶対に錬金術優先だ。

「まぁ、機会があればそのうちやるかもしれないから、あと、その前に…。」

 なんか気配感知ですごい周りにモンスター達が集まってきているのが気になっている。こいつら、私をどうしようと言うんだろうか。


 自分が新しい魔王になるから、邪魔者の私を今ここで始末しようと考えているのか、それとも私を魔王として認めて仕えるとか言い出すのか。あるいは、私からの発言を待っているのか。

 どれもこれも、面倒くさい事ばかりだな。

「…」

「…」

 …じゃなくて。誰か喋らないのか。なんか悪魔っぽいモンスターがいるけれど、ああいう強そうな奴がここで何か発言してくれればいいと思うんだけれど。ただこっちを見つめてくるだけで何も言ってこないんだけれど。

「…」

 じっくり見つめてみる。が、向こうも黙っているので、今度はカンガルーっぽいモンスターを凝視してみるが、それに気づいたのか、目をそらされてしまった。おいおい! なんでそこでそらすよ!

「あー」

「!」

 私が声を上げると、周りにいたモンスター達はびくついて後ずさりをした。何なんだよもう!


「マオウペンギンは私が倒しちゃったけれど、後の事はそこの悪魔っぽいモンスター、そこのお前だお前! 後はお前に任せる! よろしく!」

という感じで指差をする。よし、これで面倒くさそうな事は回避できそうだ! やったね!

「ま、魔王様万歳! 新たな魔王様万歳!」

「は!?」

 何コイツいきなり大声あげてるの!? しかも私の方に向かっていきなり万歳しやがった! ふざけるな! これはよくない流れだ!

「魔王様万歳! 新たな魔王様万歳!」

「魔王様! 魔王様! 魔王様!」

「うおー! 新しい魔王様だー! やったぜー!」

「強い魔王様だ! 新しい魔王様は最強だー!」

 ふざけるなあああああ! これはこのまま祀り上げられる流れうじゃないか! そんなの認めてたまるかってんだ! 折角私があの悪魔っぽい奴を名指ししたのに!


「私は魔王じゃない! そこの悪魔っぽい奴が魔王だー!」

「魔王様万歳!」

「ちっがーう!」

「魔王様最高!」

「だから違うって言ってるだろ!」

 なんだこいつら、ふざけるなよ!?


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