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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
451/473

第451話「絶対零度砲」

明日追記します

2/26 追記しました

「絶対零度砲! 絶対零度砲! 絶対零度砲! 絶対零度砲!」

 …。……。………。いやいやいやいや!? なんでここまできてそれを連射してくる!? 格闘ゲームでNPCや初心者がやたらと飛び道具を連射してくるかのような戦い方じゃないか!

 マオウペンギンは、上空からひたすら、絶対零度砲とかいう冷気を纏った極太のレーザーのようなものを延々と撃ち続けてくる。

 一旦、土潜りでもしようかと思ったけれど、これがあと何発撃たれ続けるのか分からないし、出てきた瞬間にくらってお陀仏なんてことにもなりかねない。

 一度はこのスキルを分解というか無効化に成功したけれど、タイミングがシビアで、これだけ連発されると、失敗する可能性が高い。

 ならば空間転移をして、マオウペンギンが発射する前に別な位置へ動かしてしまえばどうだろうかと考えたが、これでなんとかなった、と思いきや空間転移には射程距離があった。何回かは空間転移させることで回避していたけれど、マオウペンギンは、それに気づいたのか空高くに浮上してしまった。

 こうして、空間転移の射程圏外になってしまった結果、絶対零度砲の連発に対しては、対処法が逃げるという選択肢を選ぶことになった。


 …そんなわけで、マオウペンギンの最後の抵抗は絶対零度砲の連射だった。物凄く単純だけれど、すごい効果的な攻撃だよ全く!

 上空に向かって隕石拳を繰り出せばいいんじゃないかとも思ったけれど、足止めをしないと絶対にかわされてしまうだろう。マオウペンギンは、上空で高速移動しているし。

 ようやくあと少しで倒せるのではないかと追い詰めたと思ったら逆に追い詰められてしまっている。やっぱり戦いって最後まで分からないものなんだなとつくづく思った。

「ひたすら走って逃げるしかないとか辛すぎるううう!」

 遠くから飛ばしてきているので、着弾まで時間がかかる。その隙に今いる位置から移動するのだけれど、連発してきているので、ひたすら走り続けないといけないのが辛い。

 VRだから疲れないなんて言うのは嘘だな! 肉体的にというか精神的に疲れてくるし!


「ギャアアア!」

「グェエエ!」

 モンスター達が、絶対零度砲の巻き添えになっている。こいつらのほとんどは私に襲い掛かろうとはしてこないのだが、一部のモンスターは、やはり攻撃を仕掛けてくる。そいつらも基本的には無視して走り去っていくのだが、その場にいたモンスターは当然絶対零度砲の餌食になってしまう。

 自国民すらも傷つけているマオウペンギンに、それでいいのかと言いたくなったが、魔者という私の存在が目障りなようなのでしょうがないんだろうなあ。

「絶対零度砲! 絶対零度砲! 絶対零度砲!」

 こんな高威力の攻撃を永遠に連発し続けれられるわけはないと思いたいが、そうはならないだろう。追い詰められたモンスターっていうのは、このくらい永遠とやってきてもおかしくはない。こういうのはRPGでよくある設定だからだ。敵のMPは無尽蔵で、いくらでも同じ攻撃を連発する事ができるなんていうのも多い。それを踏まえると、このくらいマオウペンギンがやってきても普通の事だ。


「だからってふざけるなああ! そんな何連発もしてくるとか狡いだろう!」

 思わず叫んだ。普通にゲームやってるときもこんな感じで叫んだことはあるし、うるさいと家族から怒られたこともあるが、今はこのゲーム内にて大声で叫んでいる。

 だって、こんなのおかしいじゃないか! 敵はこちらの攻撃が届かない上空にいる。いや、真空波とかなら多分届きそうだけれど、そう簡単に当てられないだろう。

 鎌で次元ごと斬り裂くこともやってみようとしたが、それについては失敗した。多分発動条件があるのだろうが、まだそれは判明していない。まぁ確かなのかは、もう一回使うまでに時間がかかるってことじゃないだろうか。連発が出来たら強すぎる気がするし。

 で…だ。ここは、あいつが下りてくるまでは、ひたすら逃げるしかない。

 折角威勢よく、もうお前はおしまいだぞって戦っていたのに、このままじゃいつ戦いが終わるか分からないじゃないか!

 ここまで来て死んで終了なんてことにはしたくないし。こいつもそろそろ倒されてくれよ!さっさと地面に下りてきて戦ってくれよ! そんな遠距離からちまちま撃ってないでさぁ! ってうお!? 危なかった! 当たりそうになったじゃないか!


「はぁ…。くそう。いつまで走り続けろって言うんだ!」

 モンスターの国の建物の多くは、私が隕石拳で粉砕してしまったことで瓦礫になってしまっていた。その瓦礫がある中で移動するので、逃げるのも大変だ。自分でやったことだけれど、ここまでこの国を荒らしてしまったからには、指名手配にでもなってしまうんだろうなーってまた引っかかりそうになった。

 マオウペンギンはずっと私を追いかけてきている。この鬼ごっこ、いつまで続くのか分からないのが辛い。逃げて、逃げて、逃げて、いつまで逃げなきゃいけない? 何か対策はないのか。考える。考えるけれど、浮遊も飛行もどちらも自分には使えないのが本当に何でだと思ってしまう。誰かいてくれれば使ってそこから……あっ!? あーーー!? なんで忘れていたんだ!? ひじきがいるじゃないか! いつも一緒じゃないか!? 何をしてるんだ私! ってことで!

 ひじき…ひじき。お母さんだよ。聞こえてるかい。

(はい、母上。ひじきです。どうしましたか?)

 もう一回召喚していいかい? お母さんは今から魔王と戦わなくちゃあいけないんだけれどね。あの魔王、空を飛んでいるので、私も飛ばなきゃいけないんだよ。

(え。では、一緒に飛んで戦うと言う事でいいのですね?)


 ん? 一緒に? いやいや。お母さんにはねえ。飛行ってスキルがあるから、それをひじきに使って、私を持ち上げて貰って戦うんだよ。

(え? 私は今、大量の魔力があるから、普通に母上を飛ばすことができますよ?)

 ……えっ? あの、お母さんはね、お母さんだけれど魔王をぶっ倒しに行くお母さんなんだけれど、え? ひじき今なんて?

(母上が自由自在に空を飛べるようにできます。)

 な、なななな、なんだってー!? じゃなくって、えっ!? ちょっとまじで!? もうひじきってば、さっさとそれを教えてくれても良かったのに! もう!

(す、すみません! 母上が何かを狙っていると思っていたので!)

 そ、そうだったのか! 私もいつも何でも狙っているわけじゃないから、色々言って貰った方が助かるから今度からはそうしてね!?


(は、はい。ところで、口調がいつもと違うようなのですが…。そちらは何かしたんですか?)

 え。あ、うん。ごめん。特に意味はなかったよ…。なんとなくノリでやってみただけだから気にしなくていいよ。それで、今から再召喚するから、飛べるように? して欲しいな!

(かしこまりました。)

「ひじき召喚っ!! っとあぶなああ! あいつ! 空気を読んで攻撃しないとかサービスしれくれるべきでしょう! っとおお!?」

「母上、では! モス・ウイング! これで飛べるようになりました!」

「おお! ついにこの私も空を飛ぶことができるようになったか! やったね!」

 そして、空を飛んでみようとするのだが、何も起きなかった。あれー!? どうしたんだ? もう飛べるようになったんじゃないの?


「ひ、ひじきいい!? おっお母さんはねえ! と、飛べないんだけどお!? どういうこと!?」

 魔法をかけて貰ったのだからここから、すいすい飛べるようになってなきゃおかしいと思うんだけれど、全然飛べない。私は飛べる! とか強く願う気持ちが無いと飛べないとかそういうことなのかな?

「え! えっと母上! 背中の羽です! 私とお揃いの黒い羽を羽ばたかせてください!」

「は、はねえ!?」

自分の背後を見ると、蜂女王の羽しかないんじゃないかと思ったら、羽があった。確かにひじきとお揃いの漆黒の羽だ。おおぅ。しかもなんだこれ。かなりでかいじゃないか。ってこれをどうやって羽ばたかせればいいんだ。羽を使った経験なんてないんだけれど!?


「こ、これどうやって使えばいいの!?」

「え? えっとこう。こうです! こんな感じで羽ばたかせてください!」

 …!? いやいや、それがどうやるのかさっぱり分からないんだけれど!? 動け! 動いてくれ私の羽! 動かないよ!? ちょっと待ってよここまできたってのに!?

「うご、動かない!」

 全く羽ばたかない。これは何かコツがいるんじゃないだろうか。だけど、そんなコツを探している時間なんて全然ない。こうしている間にもマオウペンギンは、絶対零度砲を何発も撃ってきている。さっさと飛びたいというのになんてことだ!

「う、うううー! ひじき、しょうがないので、一旦ひじきに飛行を使うから私を持ち上げてくれない!?」

「あ、あの…私はもともと空を飛ぶことができますが、飛行を使われてしまうと、効果が切れた後飛べなくなってしまうと思いますが、いいですか?」


 …えーっと。ひじきに飛行を使うと効果時間が切れると、スキルの影響を受けて、飛べなくなってしまうって事か。あ、それなら、普通にひじきに持ってもらって飛ぶって言うのはどうだろう。

「じゃあ飛行なしでひじきが私を掴んで飛ぶっていうのは!?」

「私、たけのこさんみたいに母上と一緒に飛んだことがないので、動きが不慣れですが…構いませんか?」

「あ。あー!!」

 そういえばそうだよ。たけのこには結構背中に乗せて貰っていたけれど、ひじきは初めてじゃないか。そんでもって、たけのことは違って、持ち上げてもらうみたいな感じだろうし。う、うう、ここはやっぱり私が飛ばないと駄目って事か!?

 というかなんなのこの羽! ひじきが折角用意してくれたんだから飛びたいのに、どうして動いてくれないんだ。動けってのおおお! ばたばたばたー! 動かない! なんで!?


「だーっ!? おりゃー! 飛べっ!」

 羽ばたかせることに集中してみるが、何も起こらない。もうなんなのこれ!? 普通はこういうのって、動けって念じたら動くものじゃないのか!? どう考えたっておかしいよ!

「動け! 動かんかああああああ!」

 こうして、羽を動かすことに何度も挑戦してみたのだが、結局羽は動かないままマオウペンギンの攻撃からの逃避行を続けるのであった。


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