表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
45/473

第45話「蜂の大群-開幕戦-」

 時間はかかったが、準備は概ね整ったと言える。丸太を重ねて家のような物を作

るという考えもあったがそこまで時間がかけられないので断念した。穴を掘ってお

いて隠れられるようにするという作戦については、穴がすぐに元に戻ってしまうこ

とが分かってしまったのでこちらは出来ないことが分かった。くやしいなあ。

 さてと、ここまできたら後は前回説明した作戦の通り戦うだけだ。よし、行くか。

「それじゃあいくよ!狐火!」

私は口から火を吐き、ブッチの持つ丸太に火を灯した。

「マブダチいきまあああああああああああす!」

 叫び声をあげて全力で森の入り口に駆け抜けるブッチ。私達も、念のため後に続

き敵の姿を確認後は速やかに森に戻るようにする。

 そして、ブッチが森から脱出した瞬間、無数の蜂が姿を現した。やはり森からの

脱出を条件に出現するようになっていたようだ。よし、これで勘は当たったな。

蜂は一斉にこちらに向かってきた。早い。

 ブッチは蜂に向かって火のついた丸太を振り回し、撃沈していく。簡単に潰れて

いく蜂。その他の蜂に対しては、後方から、私が火薬石弾を投げつけていく。

私の周りにだいこんが盾となるようにまとわりつく。そこに向かってきた蜂はたけ

のこが、爪で撃墜していく。大方予想通りの展開だ。ここで、ブッチのみを残し、

少しずつ森の奥へと後退する。ブッチは、やれると言っていた。きっちやれるのだ

と信じている。


 ブッチにはかなりの数の蜂が向かってきていたが、その攻撃を華麗にかわしてい

たので、多分大丈夫だろう。それより問題なのは私達だ。後方から火薬石弾を投げ

つけてやっていたが、数が多すぎるので処理しきれてはいない。だいこんが私の体

を覆うように守ってくれるためなんとかなっているが、針はやはり痛そうに見える。

「いづっ!いづっ!ワイが何をしたっていうんやああ!」

 薬草を噛みながら文句を言うだいこん。頑張ってくれ。たけのこも守るために撃

墜を頑張っているんだから。耐えるんだ。

「くっそ。やっぱり数が多すぎるわ。」

 無限湧きとかそういうふざけたことなのかもしれないが、それならそれで無限沸

いてくる元凶を確かめないといけない。ブッチは無限に湧いてくるなら無限に倒し

続ければいいなんてかっこよく言っていたが、それができたら苦労はない。

 私としては、蜂女王みたいなボスがいると思っているが、最初に森に出た時そう

いう奴の姿は見えなかった。だとすると、一定数を倒すことで出現するという条件

があると見た。ここでこの雑魚処理すらできないようでは、戦う価値はないみたい

なそういう奴をこれまでプレイしてきたゲームで沢山見てきたのでありえない話で

はない。

 ボスは、隠れていることがある。ボスは、実は存在しなかった。ボスはこの蜂全

部という可能性があるなど考えたらきりがないが、やれることは1つ1つ試していく

しかない。この謎解きこそがゲームの醍醐味でもあるのだからここで試行錯誤して

挑戦するのがゲーマーだ。当然、これには時間制限がある。私達のアイテムや体力

が尽きればその時はゲームオーバーになってしまう。だがそれこそが緊張感となり

ゲームをより一層楽しめるようになるスパイスだ。このスリルはたまらない。

 負けてもいいなんて考えはない。敗北したらたけのことだいこんと後多分私の持

っている薬草とかも失うかもしれない。冗談じゃない、まだ沢山プレイしてきたわ

けではないけれど、大事な物なんだ、何1つ失ってたまるものか。

 だからこそ、こんな蜂の大群なんか蹴散らしてやろうと思っている。こちとらゲ

ームが大好きなんだよ!好きなもんで諦めるわけがないし全力で迎え撃つんだよ!

そんで勝利するから楽しいんだから絶対に負けてたまるか!

 そんな気持ちで私はどんどん火薬石弾を投げつけていく。徐々に数は減らしてい

るはずだが、本当にどんどん湧いてくるな。


「2本目の木いいいいいいい!」

 ブッチがこちらに戻ってきて、すぐさま丸太を持ち出していった。残念ながら私

達の近くにまではこれなかったので狐火で燃やしてやることは出来なかったが。く

そう、射程距離が短いので残念だ。ブッチは丸太を持つとすぐさま蜂にぶつけてい

く。あんなに重そうな物を軽々しく振り回しているというのがすごい。というか丸

太強すぎじゃないか。あんなでかくて射程もあって耐久性もあるとかやばいぞ。も

うあれを今後武器にすればいいのではないかと思った。ブッチはかっこいい武器が

好きと言っていたが、丸太も十分かっこいいだろう。

「ブッチ、これだけもってけええええ!」

布に薬草を包んでいるのでそれを投げて渡した。

「おっとさんきゅう!ありがとう!」

 右肩で丸太を担いでいたので左手で受け取れたようだ。そのまま布事口の中につ

っこんだように見えた。口の中に含む作戦か。

 ちなみに、ブッチは全くの無傷というわけではなかった。やはり何発かは食らっ

ているようだ。刺されたような跡があったのですぐに分かった。毒耐性がなければ

やばかったんだろうな。

 私たちは、前線のブッチがどんなものか分からないまま戦い続ける。それしかや

れることがないからだ。それにしても、今回の戦いでかなり薬草も火薬草もなくな

ってしまっている。こいつらのせいだ。もうこの戦いが終わったら今回の10倍は絶

対に集めてやるからな!

 

「それにしても、数が、数が減らないぞ!」

段々嫌気がさしてくる。だいこんもかなり薬草を食べまくっている。本当にイライ

ラさせてくる蜂どもだぜ。こいつらに対する怒りがわいてきた。

「さっさと死ねや!!!!」

 火薬石弾も少なくなってきたが、投げつける。ここでそろそろブッチの様子を伺

いにいかないとと思ったので少し前線に行くことにした。任せるとは言ったが、完

全に任せるだけっていうのもいただけないだろう。

 私は、ここで気合いを入れるため、蜂に向かって「威圧」を放った。

「どけや虫野郎!!!」

 なんと、ここで蜂が一瞬怯んだではないか。いや一瞬ではなかった。そのまま動き

が緩慢になっている。威圧が完全に効いている!?これは、よし!かなりいけるんじ

ゃないのか!

 私たちはそのままブッチのところへ急いだ。そして驚くべきことに、無数の蜂の死

体が転がっていた。千匹なんてもんじゃない。二千匹以上だろう。私達も遠距離から

攻撃していた分が含まれているかもしれないが、この大半は恐らくブッチが倒したの

だろう。凄まじい。こいつ、本当はとてつもないゲームプレイヤーなんじゃないのか。


「どうしたコラァ!俺を倒したきゃ一万匹はつれてこいやああああああ!」

 丸太を振り回しながら叫ぶブッチ。非常に楽しそうだ。生き生きとしている。なん

というか、輝いている。心の底からゲームが好きと言うのがわかるような感じだ。サ

イコロプスとかいうわけのわからない種族なのに、それが手に取るように分かる。

「ブッチ!あと少しじゃん!」

「まだまだだよ!俺はまだまだ遊びたりないよ!そろそろボスでもきてくれないと!」

 おいいいいいい。とりあえず私たちの目的は安全確保なんだよ!蜂女王の時のせいで

鬱憤溜まっているのは分かるが、不吉なことを言わんでくれよ!

 私は、今日そろそろログアウトしたいんだからさああ!いや、この戦いは最後まで

やりつくすけどさああ!

「蜂は許さん!薬草をこんなに使わせやがって!蜂は許さん!お前らのせいで薬草が

なくなったじゃねえか!」

 ブッチは薬草がなくなったことに怒りがあるようだ。そうだよな。薬草は確かに

大事だよな。

「この戦いが終わったら!前回の10倍はやるから安心していいよ!ブッチ!」

「あ、姉御!?」

「くっ…。くそっ!まじかよ!くそっ!絶対に許さんぞ蜂野郎!皆殺しだ!」

更に怒りを爆発させたブッチは、戦いの申し子のように、蜂を一網打尽に潰していくの

だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ