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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第447話「懐かしの人面樹」

明日追記します

2/17 追記しました

「どうしたどうしたぁ! そんな翼じゃ俺たちに傷一つ付けられねえぞ!? アホがぁ!」

「あぁん!? なんだその嘴は!? もっと高速で体当たりしてみろやクソボケェ!」

 うんまぁ。口が悪いと言うかなんというか。いかにも悪者らしい台詞をはいているので、むしろこいつらのほうが嫌な奴みたいに思われそうな気がするな。

 こいつら、自分でも動けるし、そんでもって、なんか成っている実を投げ飛ばして攻撃しているんだけれど、それが凄い速さだから驚く。まぁマオウペンギンには回避されちゃっているようだけれど。

「…」

 でもこれ、私と連携するような戦いっぷりじゃないな。そんでもってマオウペンギンも今、私よりもこいつらに夢中になっているし、うわーなんだこれ。またぐだぐだしてきたぞ。こういうのはいいんだよ。私は普通に戦いたいんだけれど。


(母上、どうしますか?)

 今は薬草とドラゴンフルーツを大量に食べている。更に持っていた肉とか色々食べてひたすら回復し続けている。一応あの人面樹達は役に立ってくれているようだ。というか大分善戦しているようだ。むしろ優勢か? いやぁ待てよ。天下のマオウペンギン様ともあろう奴が、あんな人面樹達に負けるわけがないし、そんな展開は在り得ないだろう。

「オラオラぁ! どうしたどうしたぁ!? 俺らの主に逆らっておいて生きて帰れると思うな!」

「そうだぞこらぁ! お前に許されてるのは、死あるのみだコラァ!」

 …うわぁ、私も言いそうな言葉を選んで言わないでくれ。まるで私がお前らの親みたいになってしまっているじゃないか。いや、実際親みたいになるんだろうけれど。

 うーん。どうしようか。このままあいつらを戦わせて様子を見るか悩むぞ。私も参加したいんだけれど。


「クァーッ!」

「おぅおぅ! それがどうしたってんだ!」

 嘴からだけじゃなく、翼の先からも水鉄砲を飛ばしてくるマオウペンギンだった。よく見ると先ほどまで私がされていた攻撃ではなく、超高速で、更に圧縮して撃ちだしてきているのが見えた。

 確かこれって、ウォーターカッター、だっけ。物凄い勢いで撃ちだすので、鋼なんかも斬れてしまうような水圧になるから、カッターなんて言われていた気がする。

 そんな攻撃を直接受けているはずなのに、人面樹達は平然としている。なんなんだよこいつら。たけのこ森の奥地にでも行って修行を積んだとかそういうオチなのか?

 あるいは、進化しているとでもいうんだろうか。前に見た時よりも、本当に真っ黒い木になっているから何か変わっているとは思うんだけれど、どうしてこうなったんだ。

 うう、気になってきてしまった。今がマオウペンギン戦だってのに、たけのこ森って一体何なんだと気になりすぎる!


「…貴様ら、魔者に改良されたか?」

「あぁー? 何言ってんだこいつ?」

「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえよ。俺らの実力にびびってんのか!」

 この人面樹達本当に威勢がいいのな! でも攻撃が効かないからって調子に乗りすぎだろ。そんでもってマオウペンギンも油断しているようだし、ここは私が攻め込むべきタイミングだな。薬草とドラゴンフルーツを食べたことだし。

「…我が力を思い知れ」

 なんだか背筋が凍るような、ぞくりとした感覚が襲い掛かってきた。これは、やばいと思い、カブトスピアーを持ち加速し、人面樹達の前に私は出た。そして鎌を振りかざした。


「黒薔薇の型ぁ!」

「深淵なる翼」

 マオウペンギンの翼が、私の鎌と全く同じような赤黒い光を放っていた。こいつも、私と同じ力を使えるのか!?

「ぐぐっ!?」

 押されている。明らかにマオウペンギンの翼で放たれる衝撃の方が強い。私の鎌の威力を上回っていると言う事だろうか。

「どうした? まだ我は片翼しか使っていないぞ?」

 絶望的な事を言われるのは慣れているのだけれど、このタイミングで言われるときつい! というかこれ、人面樹達がもろにくらっていたら絶対にやばかったやつじゃないか! 間に合ってよかった! こんなことしやがってこいつって奴は!


「おいおい主! そんな攻撃俺らが受け止…」

「できないっての! これは何でも斬り裂くから、お前らだってやばかったよ! なんとなく分かっているだろ! ってか重たい!」

 か弱い乙女である般若レディの私がこんな重たい翼を受け止めているとか酷すぎる!根性でなんとかしたけれど、これはやばい!

「浮遊!」

「む」

 一瞬だけ、マオウペンギンを浮かし、バランスを崩させた。なんとか今の攻撃は防いだが、今度は両翼を一気に振るってきた。こいつって奴は! そんなの絶対やばいだろ!

「空間転移!」


 マオウペンギンの位置を、強制的に別な地点まで移動させた。私の位置から、斜め前あたりにまで動かすことに成功したが、そこで恐ろしい現象を目の当たりにした。

 地割れが起こっていた。私のすぐ隣の位置から地面が大きく割れている! とんでもない威力じゃないかこいつの攻撃は!?

 今まで私が使ってきた黒薔薇の型を敵が使ってくるとこんな感じなのかと戦慄した。こ、これどうしろっての。私じゃ受け止めきれないし。かといって、私以外が前線にでても、この攻撃を食らえば即死間違いなしだし。

「…回避を選択したな? つまり貴様は我の攻撃を受け止めることができない、というわけだ。これでおしまいだな」

 こいつ! 私がいつも考えていることを読んできている! 攻撃を防御するのは、攻撃をくらうとダメージを受けてしまうのが嫌だから、あるいは攻撃を受け止めきれるからだけれど、回避を選択したということはそれができないということを意味する。

 つまり、当てられてしまえばおしまいということだ。


「お前、さっきまで手加減していたな。何が本気を出すだ」

「貴様もしょっちゅうやっていることだろう?」

 こいつのやり方がすごい気に食わない。なんなんだろう。別に同族嫌悪とかそういうのじゃないけれど、どこか私の考えに近い戦い方をしてくるので腹が立ってくるな。

 安定した戦いを好むというのと騙し合いをよくしてくるというのと、魔王とか言う癖に、なんだか小賢しいと言うか、なんというか、もっとこう、最初から圧倒的な実力で攻撃してくれればいいものを、こつこつ地道に攻撃してくるのがなんともいやらしい。

「魔者、貴様も年貢の納め時だな」

 こういう一度は言ってみたい台詞を言い出すところも私と似ている。

 あぁもう! こいつすごい戦いにくい! なんなのこいつ!? なんでこんなに戦いにくいわけ!? 冷静じゃいられなくなりそうだ。


「…黒薔薇の型!」

 やれることって結局これしかないんだよな。こいつの翼も同じものだからこれをぶつけるしかないってのも安直な気がするけれど、別な戦い方が通じると思えないし、時間凍結だって使いたいところだけれど、タイミングが厳しい。

 念のため、再度、錬金術士の杖を取り出すが、これでなんとかなるとは思えない。いや、なるか? もっとこいつを近寄らせればなんとかなる。いや、厳しいな。

 こいつ、もしかしなくても、私が時間凍結を出来ることを知っているかもしれないし。もしそうだとしたら、それすら手玉にとられてしまいそうなところがあるな。

 時間凍結の間、動ける的は今までのところいなかったけれど、こいつが動けてしまったら、私が逆にやられてしまうことだってある。考えすぎかもしれないが、マオウペンギンなんて言うくらいだし、それくらい出来てもおかしくはない。


「無駄な力比べをしようというのか。」

 そんなことはやって見なくちゃ分からない。鎌で受け止められなければどの道死ぬだけなのだから、やってみるしかない。何もしないっていうのはこの場合選択肢にない。

「深淵なる翼!」

「黒薔薇の型!」

マオウペンギンは両翼で私に攻撃を仕掛けてきた。私はそれを鎌で受け止め…なかった。そう、受け止めなかった。こちらが負けると思われる攻撃をこちらが受け止めなければいけない理由はない。

 だけど、ぎりぎりまで引き付ける必要があった。私がここで絶対に攻撃を受け止めるといった状況を作り出して、マオウペンギンを騙す必要があった。

「スキル妨害!」

 私が叫んだ瞬間、マオウペンギンの両翼から赤黒い輝きが失われた。そしてそのまま私はマオウペンギンの翼を鎌で斬りつける。全力で。

「おりゃああああ!」

「ぐ!?」


 マオウペンギンの翼から、血飛沫が飛んだ。しかし翼を斬り落とすことは叶わなかった。一瞬にして後方へと飛んだしまったからだ。こいつ、やっぱり時間凍結がされるか何かされることを警戒していたように見えるな。

 今回はスキル妨害を選択したけれど、これができる事は分かっていなかったようだ。

 これで手の内がばれてしまったので、こいつがどういう風に攻撃をしてくるかどうかは分からなくなった。

「無効化…か。貴様。我を謀ったな」

 こうやって騙し合いをしなきゃ勝てないからな。私はそんなに強くないから、やれることは何でもやらなきゃいけない。


「はっはっは。さぁて、どうするよマオウペンギンさん。まだ何かやれることは残っているのかもしれないけれど、こっちにはまだまだ奥の手が残されているんだぞ」

 んなもんあるわけないけれど、ハッタリは必要だ。弱みを見せるわけにはいかないし。だけどこの状況。どう打開しようかな! やれることはほぼやってるけれど、倒せる気がしない!


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