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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第44話「戦の前に」

 敵が出ないというのは、どう考えても怪しい。豚の1匹も見かけていない。何か異

変が起きているに違いないというのが私の見解だ。ブッチも蜂を1匹も見ていないこ

とに気が付いていたので、少し考え込んでいる。

 森の出口で待ち伏せされている可能性は、非常に高いと思っている。当然何もで

なければそれに越したことはないが、千匹はいるかもしれなかった蜂が蜂女王の死

亡と同時に消えるというのは正直納得がいってない。確かに、ボスさえ倒せば取り

巻きも同時に倒せるゲームはあるが、そんな展開がここで起こっていると思えない。

 すなわち、私の推測だと、この先に蜂の大群と、本当の意味で蜂のボス的存在が

いるということだ。ありえない話じゃない。

 昔のゲームで、とてもいいアイテムを手に入れると、そのあと敵の出現率が増大

したり、最後の最後で襲い掛かってきたりする奴がいた。そういうタイプが今ここ

にでてきいると思う。そもそも、ブッチがいた洞窟から出る時もそういうことを想

定してみんなで一斉にでたというのがあるし。あの時は何もおこらなかったけれど

最終的にはだいこんと戦ったわけだし。今回、何も起こらず無事に終わるわけがな

いだろう。


「だいこん、何か気配はする?」

「なんだか微妙な気配はするで。だけど何もないような気もするんやで。」

ふむ、つまり、この場合は私たちが森から脱出したと同時に出現する仕組みになっ

ているのかもしれない。何も探れないけれど違和感があるのならそういうことだろ

う。だがこれで何かが、現れる可能性は高くなった。

「それで、ねっこちゃんどうする?」

「準備をする。ちょっと聞いてくれ。」

 巨大な鮎と戦った時に作った火薬石弾について説明する。その辺に手ごろな石は

あるようなので、それを集めてもらう。そして、私はそれに火薬草を巻き付けて布

でコーティングする。これで大分投げやすくなる。そして、ブッチにお願いをする。

「大きめの石を探してくれる?それに火薬草を何枚も巻き付けるから。」

「本当に、それだと爆弾みたいな感じになりそうだね。」

 その通りだ。その爆弾を用意し、蜂の大群がいればやっつけられる。いなかった

ら、なんてことは考えないでおく。

「なんていうか錬金術士らしいねえ。」

含みのある言い方はよせや…。口の中に入れて調合しているのばかり見ているから

かブッチがにやにやと笑っていた。

「布がそこまで多くないから、沢山は作れないなあ。今度ゴブリン狩りにでもいか

ないとな。」

「ゴブリン狩りかぁ。あそこはもう飽きたけどたまに行くくらいならいいかな。」

 1か月閉じこもっていたとはいえ、戻りたくなる場所ってあるもんだよな。私も

草原にはすぐに帰りたくなるし。


「ところで、何かいるっていっても、蜂女王がまたいても楽勝な気がするよ。た

けのこちゃんの角で一撃だしさあ。」

 また蜂女王が出るとは限らないと思っている。

「むしろここで真のボスみたいな奴がでてくるんじゃないかと考えているよ。も

っと強い奴かもしれないからこうして作っているわけだし。」

 蜂女王がここでまた出てきても拍子抜けする。だけどそれはなさそうだし。

「よっしゃ!ボスがいるなら俺が戦うよ!毒耐性も手に入れたし!ここは俺の出番

でしょ!?絶対俺がやるからね!」

ものすごくやる気の満ちたブッチだ。そうだな、やはりこういう燃えている奴に戦

ってもらうのが1番だ。

「ねこますさんのーよくあるゲーム話~!」

指を一本立てて説明口調で話す私。

「ボスを倒す直前に、なんか強そうな奴が現れて、役立たずめとかか言いながら一

撃で倒すことってあるよね!それでそいつは颯爽と去っていくの!」

「あるあるだけど勘弁してくれ!そんなん現れたらもう宿命の敵と見定めるわ!俺の

獲物を奪いやがって!ってそんで犬猿の仲になる!」

 うんうん。そういう展開があるんだよね。そんで、簡単にあしらわれて、修行して

強くなってそいつに認めさせる展開までがいいんだよねえ。

「まぁそんなの今のところねっこちゃんの妄想だからいいんだけどね。」

「フッ。だからお前はだめなのだ。」

「何その悟りタイプ。ねっこちゃんには似合わないよ。ほら、生肉でもお食べ。」

「くわねーよ!アホ!」

生肉言うなこの野郎。


「姉御、ここから先にその蜂が沢山いるんやったら薬草ワイにもおくれや。どうせワ

イのこと囮にするつもりなんやろ?」

「ん?分かった。」

「戦う前に、薬草をある程度口に含んでおいて、刺されたらそのたびに飲み込むよう

にしてみるんやで。」

 なかなか賢いやり方だな。私がプレイしてきたゲームではそんなやり方なかったな。

そうだよな。薬草で傷が簡単に治るなら、最初から口の中に含んでおけやって確かに

思った。というか今まで私達もやっておけばよかったじゃないか。

「だいこん。それ俺もやるよ!すげえいい考えだわ!」

ブッチも感心している。だいこんはたまにこういうことをするから侮れないな。

「オマエモカシコクナッタモンダ。」

「ワイはやるときはやる蛇なんやで!もっと褒めとくれや!」

調子に乗り始めたのでそこからはスルーした。


さて、色々とした準備はできてきているが、後は、ちらりとブッチの方を見る。

「木を切り倒してそれを武器にしろってんでしょ?時間かかるからやる気はなかっ

たんだけどまあしょうがないね。」

というわけだ。ブッチなら恐らく木をそのまま武器にできそうだし、なんなら

投げ飛ばすこともできるだろう。敵がこちらにやってこないのであれば何が何

でも絶対に勝てるように準備しておくべきだ。


「森から出たらでるなら、しばらくでなきゃいいんじゃないかな?」

「今が膠着状態みたいな感じだとして、ここで私とブッチがログアウトしてたけの

こ達に襲い掛かられたら嫌だ。」

「ああー。ありえるかな。」

 今は、決して安全な状態ではない。敵がいることが想定されているので、それを

考慮せずにログアウトするなんて得策ではない。絶対に倒してからログアウトしな

いと。


「他に作戦はある?」

「森を抜ける直前に、ブッチには木を持ってもらう。そしてそれに私が狐火で燃や

すから、燃える木を振り回してしばらく戦ってもらう。」

「よさそうだね。そんである程度燃えてきたら投げ飛ばして次のに持ち替える。」

というわけだ。燃える木で戦うという事自体がでたらめな気もするが。

「一応、相手が蜂ということを想定しているからね。違う場合があってもそのまま

戦ってもらうけど。」

 蜂じゃないという可能性は捨てきれないので蜂だと思い込み過ぎないようにする。


 さて、ここで戦い方だ。私は、ブッチと違って前線で戦えないので、後方支援だ。

主に火薬草と火薬石弾で攻撃。あとは薬草。たけのこは、毒耐性がないので私の護

衛をしてもらう。まとわりついてくる分は頑張ってもらう。だいこんは囮。薬草を

頑張って食べてもらう。

 ブッチは、前線だ。ボスがいたらそいつを倒してもらう。毒耐性がある上にタフ

でパワーがあるから、火薬草攻撃を除いた場合、ブッチの接近戦が戦力だ。必ず勝

ってもらいたい。というか根性いれてもらうしかない。

 それと、あまりやりたくはないのだが、今回切り札を一つ用意している。ふふふ。

こればかりは秘密だ。何が起こるかのお楽しみだ。


「この勝負。勝ちに行くぞ。」

「これで何も出なかったら、大笑いするね俺。」

「それもええやんか!何もでないことがええことやで」

「オクビョウモノメ。」

「なんやとわんころ!ワイは慎重派なんやぞ!」

「何もでなかったら俺落ち込むなあ。」

「私を見て恨めしそうな目をするな!絶対でるから!私の勘は当たる!」

「おっし!それじゃあ頑張りますかい!」


こうして全員が戦いの準備をしていく。何が出てくるかも分からないが、今、とて

もわくわくしている。私の体が武者震いしている。こういう何かが起こりそうな時

の雰囲気は大好きだ。ゲームをやっている時に何度も味わってきた感覚だ。

 先はある程度読めるけど結果までは読めない。それが本当に好きだ。よし、それ

じゃあ頑張るぞ!

読者の皆様もこういう風に準備をして挑んだことがあると思います。

こういう作戦考えている時ってすごい楽しいですよね!

次回は、多分決戦です!

そんなわけで、お暇な方がいましたら、評価、ブックマーク等お願いします!

(ブッチみたいにちゃっかり宣伝みたいにしておきます。)


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