第438話「草刈りで性根を叩き潰す」
明日追記します!
2/4追記しました ※少し短めです。
本日分はお休みします。明日また後悔しますのでよろしくお願いします。
「な、なんだいここは?」
「草原だよ草原。」
「いや、なんでこんなに大量に薬草が、あるんだい? な、なんなんだここは?」
山姥は大量の草が生えていることに驚愕していた。というか薬草って分かるのか。それは凄いな。私なんて刈って手に入れたあとでしか分からないのに。悔しいのう。
「ここで私と草刈りをしてもらう。こんな感じでささっと刈りとって。で、ほら、見な。すぐに草が生えてきただろう?」
「…ありえないぞ。なんなんだいここは。薬草があっという間に発生する? そんなことありえないだろう。私は夢でも見ているのかい?」
結局私は、山姥を魔者の大陸にまで移動させる事にした。こいつはどうあがいても、自分だけで海底洞窟から移動する事はできないわけだし、まぁこのくらいはやっておこうと思った。
「夢を見る前に草を刈れよ。何ぼけっと突っ立ってるんだ!? ぶっころすぞこの野郎! 威圧!」
「うぐっ!? な、なんなんだいその殺気は!? 猛烈な悪寒が!?」
草刈りを舐めてそうな態度をとっているからそうなるんだバカタレが。これからこいつの性根を叩き潰すじゃなかった、叩きなおすために草刈りをしてもらうのだ。これをしっかりやればなんか魔者に対する誤解も無くなるだろうしな。ふっふっふ。
「…まさかこんなところで草刈りをさせられるとはねえ。かまいたち!」
山姥が腕を振るうと、そこから風の刃が発生したようで、どんどん草が刈られていく。ほうほう。それじゃあそれを沢山やってもらおうか。
「ふぅ。まぁまずはこんなところでいいだろう?」
「は? 何を寝ぼけたことを言ってるんだ。まだ始まったばかりだろ。しかもあれっぽっちやっただけで満足しちゃって、何しにここに来ているんだお前」
「いや、そっちこそ何だい。これだけ刈れれば十分だろう」
「まずは見本を見せてやらなきゃダメと言う事か、いいだろう。みていろ。黒薔薇の型」
私は、いつものように思う存分鎌を振るった。あぁー! やっぱり草刈りが楽しい! 真空波を撃ちまくって楽しい! あぁぁー! マジで楽しすぎる! 私はこうでなくちゃだめだったんだなぁ! 草刈りほど楽しい事はないのかもしれない!
「…こんな感じでエキサイトしてみろ」
「なんだいお前さん。こんなところで一心不乱に鎌を振るうなんて頭おかしいんじゃないかい!?」
「ババア! 何を言うとるんや!? いいからやるんやで! そんな反抗的な態度はやめるんやで! 草刈りは遊びやないんやで!!」
おお、ほら、だいこんもこうして私と同じように草刈りの素晴らしさをアピールしているではないか。全く、山姥の奴め。しっかりと草刈りをすればいいだけなのに、頭がおかしいだと? ふざけるなよ。そんなことで人生やっていけると思っているのか。ああ、山姥だから山姥生か?
「…やっぱりお前は魔者だよ。私ゃ、草刈りなんかにそこまで熱心になるなんて異常だ。ええい、こんなところにいるべきじゃなかったんだ私は! もういい! ここでお前には死んでもらうよ!」
「草刈りをさぼるな」
「ひっ!?」
威圧とそういえば邪気とか言うのも使えるようになっていたのを思い出したので、両方同時に使ってみた。なんだか急に出来るんじゃないかと思ってやってみたら出来た。
仕事でもなんでもそうだけれど、なめてかかってくる相手には厳しくしないと、いつまでたってもなめられ続けるので、これくらいやっても当然だ。
「あ、あ。ぐぐ。こ、こんな、私が全く動けないなんて」
「草刈りをさぼろうなんて事を考えるのは絶対に許さんからな。そんな甘い考えで生きてきて恥ずかしいと思わないのか。」
「な、う。うぐ。うあ。なんで。」
「山姥。いいか。お前は草刈りもまともにできない癖に邪馬台国に復讐しようってのか? そんな甘い考えで邪馬台国が潰せると思っているのか。そんなことができるわけがないだろう。草刈りをやれ。草刈りを真面目にやれば私くらいのことはできるようになる」
毎日草刈りをしていたことで鍛えられたんだ私は。そして、物凄くというわけではないが、ある程度の強さを手に入れた。鎌だって、ここで延々と草刈りをし続けたから強くなったというのがあるだろうしな。
あぁ、ねこます草原。私の第二の故郷とでも言っていい場所だなここは。すごく落ち着く。こんなに草刈りができるのは最高に楽しい。
クロウニンに襲われるストレスを一切感じることなくのんびりとできるここは、私の理想郷みたいなものだな。あぁー、ここから離れたくなくなってくるなあ。こうしてぶんぶん鎌をひたすら振り回しているだけで楽しいよ。
いつも悩みを抱え込んでいるようなものだけれど何も考えないで、できる事ってこんなに楽しかったんだなあ。最高だあああああああ!
「う。ぐ。はぁ、はぁ。息が、な、なんなんだい」
「とりあえず。刈れ」
さぼる事は断じて許さん。さっき山姥が使ったのがスキルだったとして、それが使えなくなった時の事も、当然考えてある。
「わ、分かったよ。くぅ。かまいたち! かまいたち!」
渋々とやっているような感じが見えたが、まぁいいだろう。まずは軽く草刈りをする程度にしておくかな。そのうち楽しくなって、邪馬台国への復讐心なんて一切なくなるだろう。やはり草刈りをすることで健全な心が育つのだと思うし。
「はぁ、はぁ。はぁ。かまいたち! かまいたち!」
なかなかやるじゃないか。そういえば私も阿修羅を倒した事だし、ちょっとは強くなっているかもしれないんだよな。よし、そうだ。私も真空波を全力でやってみようかな。
「真空波!!」
すると、どうだろうか。大きな竜巻が目の前に現れて一直線上に進み、草原にある草を大量に刈り取っていく。…これ、真空波じゃなくて普通に竜巻じゃないのか!? あれー!? 真空波のほうが使い勝手がいいんだけれどな! これは工夫して出せるようにしないといけないな!?
「な、なんだい今のは!?」
「まぁ気にするな。山姥。お前の言うところのかまいたちみたいなもんだろ」
「あれがかまいたちのわけあるかい!? くっ! やっぱりお前は非常識な奴だよ!」
なんて言いながらもしっかりと、草刈りを続ける山姥であった。このまま頑張っていけば更生して草刈り大好きな山姥になることだろうな。ここで薬草を集める専用の奴が出来て良かったな。