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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
432/473

第432話「阿修羅陥落」

明日追記します

1/28追記しました。

 私が阿修羅を一方的に攻め続ける展開になった。阿修羅は防戦一方だ。それも私が振るっているこの鎌がとてつもない力を発揮し始めたからだった

 阿修羅には何度も刀で防御されているが、このまま鎌で刀を叩きつけていけば、いずれは壊れるという確信と手ごたえがあった。

 巨大化した阿修羅だけれど、ただ刀を振るってくるだけで、火を放ってきたり雷を放ってきたりすることがないが、巨大化した影響で使えなくなったと見るのが妥当だろう。まぁ実は使えましたって言うのならそれはそれでなんとかしよう。

「ぐぉっ!?」

 私が振るう鎌は、更に大きくなっていく。どうしてここまで大きくなっていくのかなんて細かい事はどうでもいい。気にしているだけ時間の無駄だろう。私はさっさとこのふざけた敵をぶちのめしたかった。


「う、ぉおおおお! お主には負けられぬ! 我はお主のような絶対強者には負けられぬのだ!」

 まだ何か言ってるな。何が絶対強者だ。勝手に人の事をそうだと決めつけて楽しいか。私はそんな大層な者じゃない。魔者みたいに勝手に称号みたいなものを押し付けるんじゃない。有難迷惑というか、ありがたくもなんともないけどな!

 巨大な六本の刀で、私に襲い掛かる阿修羅だったが、その動きにもはもはやキれともいうべきものがなくなっていた。更に、私はこいつの動きが手に取るように分かると言うか、次にどう動くのかもなんとなくで分かってきたので、いくら変幻自在に振るう刀だったとしても、容易く回避できるようになっていた。私はサイズが小さいから当たらなくて当然と言えば当然だったけれど。


「お前の動きはもう見切った!」

 という台詞を使ってみたくなったので使っただけ。ああ、なんかかっこいいな私。こんなどでかい漆黒の鎌を振るっているなんて、かなりいい感じじゃないか。

「我の動きを見切った、だと? そんなことがあるわけ、なかろうがーっ!」

 ゲームだからと言えばそうなんだろうか。それともこの阿修羅というモンスターにしてNPC、あるいは、人工知能ゆえの癖というものになるのだろうか。必ずしも一定の動きではないが、およそ攻撃の手順とも言える様なものが毎回ほぼ同じの事が多い。

 阿修羅の動きは、確かに複雑というか難解なものであるけれど、それでも次はこの腕から攻撃を振るってきそうというものがあるのは確かだった。

 右上段から刀を振るい始める場合は、左腕から攻撃を振るいやすいし、その逆もまた然りだ。考えてみれば、右腕で連続して腕を振るうと他の腕が邪魔になりやすいとかそういう事情な気もする。私は六本腕になったことなどないが、六本腕になったと仮定すると、どうも攻撃時に敵を視界から見失いやすいようなところもあると感じた。


 右から左、あるいは左から右に攻撃をしてくるのは、片側の腕が自由になっている状況が隙を見せやすいということなのだろうか。だがそんな癖があるせいでむしろ次はこちらからくるだろうという予測がつきやすいというのがある。

 私なら、基本的に片側を自由にしておき、相手から攻撃されてもいいように警戒するという使い方をしそうだな。それもまた隙になってしまいそうだが、このように六本腕ならではの隙は多数存在してしまう。

 このように、阿修羅は一定のパターンで私への攻撃を続けていくが、これはもう少し研究するべき課題だったのではないだろうか。

 これ以上無数のパターンがあったら、プレイヤーが対処できないなんて優しい設定なんだろうか。それはそれでなんだか舐められた気分がして腹が立ってくるな。強敵となんて戦いたいわけではないが、全力で攻撃を仕掛けられないのも、ゲームが上手くなれないので達成感が味わえない。


 現在の阿修羅の難易度設定がどこまでなのか分からないが、一般的なゲーマーならしばらく戦い続けたら絶対に動きに慣れてしまうだろう。私以上のゲーマーなんて沢山いると思うので、もっと早く動きに気付いた場合は、一方的に攻撃をし続けて倒してしまいそうだ。

 ブッチなんかは、本当にこの阿修羅を圧倒しそうだ。というか私の頭の中ではブッチだったらどう戦うかというイメージがあった。つまり、ゲームが上手いプレイヤーだったら攻撃なんて絶対に回避できるはずだし、もしもそのようなプレイヤーであっても、攻撃が回避できないとしたら、それはもう避けることが出来ないゲーム的な設定になっているのだろう。

 避けられない攻撃なんて酷いとは思うが、それをいかにして避けられる攻撃にするかという技術もあるはずなので、それがまた研究が必要だ。


 例えば戦闘中、移動できる範囲が決められているゲームの場合は、移動範囲の隅には移動しないようにするといったものだ。隅に移動すれば逃げ場を無くしてしまうので、極力敵の近くにい続けるというほうが安全だ。

 私は阿修羅の攻撃を回避し続ける。これでもかと言わんばかりに阿修羅は六本腕の刀を振るう。がむしゃらに振るっているわけでもないのだろうし、それが阿修羅の剣術のようなものなのだろうが、びびらなければ回避できる。

 攻撃が当たりたくないと考えて遠くに逃げればそれが隙になる。攻撃が当たりたくないと考えて接近すれば、常に攻撃が当たってしまうかもしれないという恐怖を感じてしまうが、それを乗り越えられれば、ひたすら回避する事も可能だ。

「お主!? 我が刀を、なぜそこまでかわせる!」


 焦燥感で動きが雑になる阿修羅。ブッチも攻撃を散々回避している時、敵はそれに驚愕していたっけ。サンショウがそうだったなあ。なんで当たらないんだって。今考えてみると、サンショウの重力魔法にも癖があったんだろう。私は気が付かなかったけれど、そのあたり今度サンショウが魔法を使った時はじっくり見極めてみよう。

「お前に呪いをかけたからな」

 ここで嘘をつく私。そんなわけあるかという事であっても、意外とこういうのが効果を発揮する事がある。なぜか分からないことを呪いだとかで済ませてしまえば手っ取り早い。そんなありえもしないことを伝えることで、違和感を与え、本当に何かされたのではないかと混乱させることができる。

「世迷い事を! 我に呪いなど効くわけがあるまい!」

 こうして激昂した阿修羅は、六本の腕全てを高く上げる。私の挑発に引っかかったようだ。これはかなり高い確率で、全ての腕で叩きつけてくるだろう。

「死ね!」

「!」

 私は、そのまま阿修羅に向かって突っ込んだ。阿修羅に接近すればこの攻撃は当たらない。そんなことは分かっていた。だがここで私は、阿修羅が自分の予想の範疇を超えてくる事も想定していた。阿修羅は、左腕の一本だけは、叩きつける攻撃に使ってこなかった。


 だがそういった事も想定していた私は、それも回避した。絶対こういう攻撃だけしか仕掛けてこないなんて保証はない。ありえない事だって起こるかもしれない。私のいつもの考えだ。ここ一番の勝負という時に、直球を投げるということはあり得るかもしれないが、直球を投げてくるという考えを読み切って変化球を投げつけてくることだって十分あり得る。

 そんな予想外の出来事ですら、考えておく。

「なっ!?」

 阿修羅は私に攻撃をかわされるとは思っていなかったようだ。これもまた演技かもしれない。いつだって勝負なんて化かし合いみたいなものだ。

 相手の事を知り、相手がどういうことをしてくるのか。それを読み切った上で、次はこう動くというのを知ればそれだけ勝率は上がるだろう。


 私は、巨大な鎌を全力で振るった。もう全身全霊の力を込めて振るった。阿修羅の刀は全て回避した。私と鎌を阻むものは何も無かった。ここで不思議な力が働いたり、おかしなことが起こったりしない限りは、命中する。そんな攻撃だった。

 そんな運命とも言えるようなことは起こらなかった。阿修羅の体に鎌の刃は襲い掛かり、そして斬り刻んでいく。一回だけじゃない。それを何度も繰り返し、怯んだところで阿修羅の腕にも攻撃を加えた。

 そして、私は阿修羅の腕は、左右二本ずつ、合わせて4本を斬り落とした。

「ぐ、おおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 阿修羅の悲痛な絶叫が響き渡る。

「まだ、終わってないからな」

 これで終わり、なんてことにはならないだろう。ここからが正念場だ。さぁ倒すぞ。


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