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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
429/473

第429話「悪天候だけど元気です」

明日追記します

1/25追記しました

 私は、木こりをしている、ねこますあるいは寿司ギャルと申します。じゃないですこんにちは。ブッチに肩車をされながら木を斬り倒して、そのブッチが竜巻に向かって投げつけるというゲームをやっています。現在までに捗々しい成果は見せられていないのだけれど、これはこれで案外楽しいかもしれない。

 レトロゲームではこういう反復作業をするものが多く、その反復作業がどれだけ出来たかで点数が競えることができるのが面白かった。

 単純だけれど面白い。そういうゲームは私も好きだ。誰にでもできるというのは強みだろう。

「作業ゲーだねえ」

「竜巻が迫ってきているのに危機感が無さすぎる!」

 ブッチは、のほほんとした態度だった。雨が降っているし、強い風が吹いてきているし、というか竜巻が来ているというのに、なんだその穏やかな感じは! 切羽詰まっている私が馬鹿みたいじゃないか! こういう追い詰められている時の重圧はきついぞ!


「だって、あいつ遅いし。俺が本気で走ったらあいつ追い付けないって事が分かってなんかちょっとやる気が落ちてきたよ」

 強い敵じゃないとわくわくしないっていうそういうタイプか貴様! ってそういうタイプだったな。ブッチは私と逆で危機感があるほうが好きみたいだからしょうがないか。だけどそれでも、こんな悪天候の状況でそれはないって。ないない。土砂降りなのにそれはない!

「このまま走ればいいんだろうけどさ、もしモンスターの国についたとして、あの竜巻はどうなるんだろうね」

 マップが斬り替わるから消えるなんていうのは昔のゲームだけれど、これは生憎最新のゲームだし、普通にモンスターの国にも来るんじゃないのかな。と言っても、国ってくらいだし、こんな竜巻がきてもなんとかなるように対策が考えられていると思うけどね。


「そのままモンスターの国に甚大な被害を与えてくれるんじゃないかな」

「おお。それじゃあ俺らは不幸をまき散らす極悪人ってことになるね。人間からもモンスターからも恨まれる、超極悪人、みたいな。」

 どちらの陣営にも相容れない存在か。それはそれで面白い気がするけれど、たけのこ達はモンスターだしなあ。どちらかというとモンスター側に入れこんでおきたい気がする。でもいきなり襲い掛かってくる奴はやっぱり敵だな。

 人間側は、先生含めて一部しか良さそうな人がいないし基本的みたいなものか。ただ、思う事と言えば。

「あの竜巻を引き連れて行って、運営に怒られないかな」

 よく、プレイヤーに不快な思いをさせないようにとかマナーを守りましょうって言われることがあるんだけれど、もしもこうやって襲い掛かってくる竜巻をモンスターじゃなくてプレイヤーに押し付けたらどうなるんだろうか。どこかの掲示板にモンスターを押し付けられたなんて書かれてしまうんだろうか。そしてそこから運営側から注意されて、最悪アカウントというかこのキャラクターが停止なんてことになったりしないだろうか。

「暴言とか言わない限りは大丈夫じゃない?」

「むしろ暴言とかNPCから言われた気がするんだけれど」


 クロウニンとかモンスターもNPCと言えばそうな気がするし、ナテハ王国でナンパしてきた奴らとかいたけれどあれもそんな気がする。そう考えると、意外とそのあたりの規制は緩いってことなのかな。それならいいんだけれど、事あるごとにマナーだルールだと締め付けられると段々うんざりしてくるし自由がなくなって嫌になるしな。

「ま、今はそんな心配よりも、迫ってくる方を心配したほうがいいか」

ちらりと後ろを見てみる。なんか大きくなってきてないか? いや明らかに大きいな。

「…何か本気でやばい気がしてきたんだけど」

「いざとなればなんとかなるよ」

 どうしろと言うんだ。あんなでかい竜巻、隕石拳を使ってもどうにもならない気がするんだけれど、ブッチには何か秘策でもあるというんだろうか。私にはさっぱり思いつかないとてもすごい切り札があるとか?


「何か案があるの?」

「え!? 寿司ちゃんが本気になったらあんなの止められるよ!」

「え」

 んー。そうか私に止められる、か。ブッチが言うならそうなんだろうなあ。ここで私には無理だよとツッコミを入れたくなったけれど、ブッチが私に出来ると言ってるときは意外と何とかなる気がしてきている。

 何か私にできる事。あの竜巻をどうにかできるやり方。竜巻を吹き飛ばす。無理だな。そんなことできない。黒薔薇の型であんなもんをどうにかできるわけがない。それじゃあどうする? 竜巻を消す。いやどうやってだ。あんな途轍もない風、私が消し去る方法なんて。あ。まさか、いや、でも。

 魔素の吸収? 漆黒の壁を吸収したときのように、魔素というかこの場合は風の魔素か何かがあってそれをどんどん吸収していけばいけるってことか?


「あんなでかいのを私一人でなんとかするとか酷な話だと思わない?」

「コクのある味わい深さがあると思うよ。あはははははは」

「だぁぁああ! 何笑いながら言ってんの!」

 ピンチだってことには代わりないじゃないか。だけど、このままだとあの竜巻の餌食になってしまうことは間違いないぞ。今はブッチの方が早いけれど、どんどん早くなってきている気がするし。

「転移石使ってログアウトとか言うのじゃだめ?」

「だめだね。多分。転移石を使ったあたりにあの竜巻が移動して留まって、次にログインした時に即死だと思うよ」

 何それ酷くない。そんなことありえるの?

「このゲームはそう言う事やってのけるって絶対」


 駄目だ。本当にそうとしか思えなくなってくる。ログインしたら即死攻撃を食らいましたとか、逃げるのは許さないとか本当にありそうだ。

「でもログインしない間に他のプレイヤーがなんとかしてくれるとかは」

「あっまーい! それだったら俺があの洞窟から出られないなんてことにはならなかったはず」

 説得力がありすぎる! ええい、こんな竜巻にいつまで手間取らなきゃいけないってんだ。吸収を使うのは別に構わないんだけれど、ああもう!

「その姿のままでもスキルは使えるでしょ? それなら別にいいんじゃないの」


 それはそうなんだけれど、ここまでやってきた苦労が! はぁ。もういいか。やるしかないわけだし。まずはちょっとずつ、やってみるか。

「手をかざして。吸収」

 なんだか大量の空気というか何かが私の手の中に吸い込まれていくような気がした。いや、軽くやろうとしただけなのになんだ今の。すごいな。

(母上、私を召喚していただければ、その力を私が経由して行使することができますよ)

 ありがたい申し出なんだけれど、そうなるとひじきが目立つことになるから駄目だよ。なのでここは私がやらなきゃいけない。

(そうですか。ですが、どうしてもやらなければいけなくなったときは教えてください)

 あいよー! まぁそうならないよう頑張るけどね!

「どうだった?」


「いけそう。でも全力で使ったらこっちに反動がありそうだから、少しずつやるしかないね。というわけでブッチ。まだ頑張ってもらうけど大丈夫かな?」

「馬車馬のように働くぜ!」

「じゃあよろしく頼んだ!」

「よろしく頼まれたぜ!」

 そこからは、私が吸収を使い竜巻の勢力を落とすよう頑張る事になった。軽く使っているだけなのにどんどん力が溢れてくる! ヴァンパイアロードの時もそうだったけれど、これ、全部を吸収したら私とんでもないことになるんじゃないだろうか。

「グォオオ!? ナンダアア! キサマアア! ナニヲシテイルウ!」


 竜巻から苦しそうな声が聞こえてくる。お前のエネルギーを吸い取っているだけだなんて心の中でだけしか教えてあげないよ。私はなぁどこかの漫画のようにいちいちこういうことをしましたって説明はしないんだよ。へっへっへ。誰が教えてなるものか。

 昔は馬鹿な敵がいたんだよなあ。この鍵を手に入れない限り、貴様らはここから出ることはできんぞとか言ってた馬鹿な敵が。なんでそこでばらすんだ。馬鹿なのかなんて思ったっけなあ。だけど私はそんなことをしないからな! ふはは。何も分からないまま力を吸い取ってくれようじゃないか!


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