第42話「巣」
1行の長さが、全角で37文字ということに今さら気づきましたので、今後はそちらで
投稿します。これまで、見辛くてすみませんでした。深くお詫び申し上げます。
過去話の訂正につきましてはは、少しずつ進めてまいりますのでよろしくお願いい
たします。
たけのこの猛襲により、女王蜂は、瀕死の状態だ。まさか、角で簡単に貫くとは
思わなかった。そもそも火薬草の攻撃にも耐えていたと思われる女王蜂が、そんな
にあっけなくやられるというのも納得がいかなかった。
そしてたけのこも、そこまで動けるようになっているとは思わなかった。それと
も、実は女王蜂が影武者的な奴なのだろうか。そういう予想も考えられる。だとし
てもそれを一撃で倒すたけのこはすごいはずだ。
「ワウォオオオオオ!」
たけのこの爪で、女王蜂の胴体が完全に真っ二つに分かれた。その瞬間に針が飛び
でたので少しびびった。何しろ2メートル超えの蜂なのだから、怖い。
「これが実は尖兵だなんて言わないよね。」
「そういうオチだったほうが俺としては嬉しいんだけどね!俺全然活躍できてない
し!あんなに啖呵きってたのに!」
非常にくやしそうなブッチであった。そうだよね。もうあの展開だとブッチが女
王蜂を倒しそうな勢いだったのに、たけのこが倒すなんてね。いやあ流石私のたけ
のこだ。よーしよし。もっふもっふ。
「たけのこすごいじゃん!お手柄だったよ!」
「アリガトウゴザイマス!ねこますサマ!」
「いやあすごいよまじすごいよたけのこちゃん。ああもうすごすぎる。」
ブッチ、落ち込むなよな。勝てたんだからいいだろ勝てたんだから。
「わんころやるやないけ。」
「オマエニモコノクライヤレルヨウニナッテモラワナイトナ。」
「ワイには無理やで。」
「オトリニハナレルダロウ。」
「なんでやああああ!」
さて、ここにある女王蜂の死骸だけれど、特に何かが手に入るわけでもないのか?
ボスみたいな感じだし、倒したんだから何か褒美をくれよ。
メッセージ:蜂女王の羽を手に入れました。自動で装着されます。
ん!?なんか手に入ったぞ。つーか自動で装備って何事だよおい。
メッセージ:蜂女王の羽を装備したことでスキル「浮遊」を使えるようになりました。
飛行じゃなくて浮遊ってあたりにどことなくリアリティを感じるんだが。まぁそれ
はそれとして、背中に4枚蜂の羽が生えているんだが。
「おっ!何それ!?ねっこちゃんが次の女王ってことか!すげえ!なんか強キャラ
感あるな!般若レディで狐の尻尾があって蜂の羽があるとか得体の知れなさがすご
いよ!」
「黙れ!蜂女王の羽っていうのがたまたま手に入っただけだ!そんなゲテモノみた
いな扱いはやめろ!」
勘弁してくれ。もっとスタイリッシュな羽のほうが良かったのになんだよこれ。
「女王蜂じゃなくて蜂女王なのか。奇を衒っているねえ。他に何か手に入ったりし
ないもんかなぁ。お、あ?」
「どうした?」
「俺、毒耐性ってスキル手に入れたって。」
なんだとお!絶対そっちのほうがいいだろ!浮遊ってきっとあんまり役に立たない
感じだろ!くそっ私と交換しろ!こんな目立つ羽よりそっちのがずっといいっての!
「いやあ羽が羨ましいなあ。」
にやにや笑いながら話しかけてくる!やめろ!
「たけのことだいこんは何か新しい能力とかに目覚めてない!?」
「ワイは、ないんやで。」
「ワタシモナイヨウデス。」
そんなもんか。それともAIは敵を倒しても新しい能力ができたりはしないのかなあ。
「で、これからどうするかなんだけどやっぱりここから更に奥というか真っ直ぐ
行ってみようか。」
他に行く当てがないのでとにかくもう当たって砕けろだ。
「女王蜂だか蜂女王だかなんだかよく分からないけど、自分の子供を守っていた的
な展開だったとしても俺は情け容赦なく潰すからよろしくね。」
私もだけどな。命は尊いとはいうが、弱肉強食なんだから、甘いことなんて言って
られない。やばそうなやつがいたら全部燃やすぞ。
「なぁ姉御、向こうからなんか不気味な気配がするんやがどうする?」
「ん?」
不気味な気配か。裏ボス的な奴だろうか。よし、ここにきて逃げるなんて真似はし
ない。先に進むとしよう。何かでたら今度こそ多分ブッチが頑張てくれると思う。
消化不良って感じだし。
「何かでてこい。何かでてこい。何か」
ブッチがブツブツ言っている。おう。何かでるといいな。
「こんな森の中に何がいるってんだろうな。おわっ!?」
森の奥地には、六角形型の穴が大量に集まった、いわゆる蜂の巣があった。見た
感じ穴の中には何も入っていないようだ。女王蜂じゃなかった蜂女王を倒したから
消えてしまったということなんだろうか。何がなんなのか分からない。
だいこんに聞くと、どうやら、怪しい気配はここからでてきているようだ。
「ここの蜂共が入るのには小さくない?これマジで普通の蜂の巣って感じだよ。」
確かにそうだ。とてもじゃないが、ここらにいた蜂が中に入れるような大きさじ
ゃない。なんなんだこれ?
メッセージ:このメッセージはこの付近の方にお知らせしています。
ん?何が始まるというんだ?
メッセージ:レアアイテム『蜂蜜の巣』を手にいれました。おめでとうございます!
『蜂蜜の巣』は自動で蜂蜜を生成していきます。1日1瓶分溜まり瓶の中に入った
状態でアイテムインベントリの中にたまっていきます。
「お、おおおおおおお!蜂蜜とか嬉しいな!無限に手に入るのかこれ!?」
「なんか報われたって感じがする。みんなで使えるのかな?」
「私とブッチだけじゃないかな。ああっ持っておきたいならブッチにやろっか?」
「いやいいよ!俺が蜂蜜の巣とか持っていても微妙だし。蜜が手に入ったらくれれ
ばそれで頼むよ」
意外に謙虚な奴だな。ん?ちょっと待て、これは、ていよく押し付けられたか?
「私としては、瓶が手に入るっていうところが嬉しいな」
これからは水も保管できるってことじゃないか!地味にこれは嬉しいぞ!蜂蜜を舐
めきったら水を入れる。ふっふっふ。最高じゃないか!ついにまともな錬金術を使
えるようになるかもしれないって嬉しい!
「瓶かぁこういうので調合するのが一般的な気がするよねえ。くっ口の中で調合とか
普通、し、しないよね。」
「両手で口を抑えて笑うな!」
もうそれはおしまいになるんだよ!これから色々できることが増えるんだからな!
「ねこますサマ。ハチミツヲコンドナメテミタイデス。」
おっ、たけのこは可愛いなあ。そうだね。今回のMVPはたけのこだもんね。蜂蜜
を沢山あげないとな。
「レアアイテムが手に入るとはみんながすごいからやね。ワイも頑張ったしその
ハチミツとやらをおくれや。」
「トクベツニワケテヤロウ。」
「おおっ!わんころが優しいとはすごいやで!驚きやで~!」
美味しいものが食べられると思って上機嫌なだけだと思う。
「それで、更に奥地を目指すかって話だけど。」
「うん。」
「とりあえずいったん打ち切ろう。消耗が激しいし。」
「わかった。それじゃあひとまず森の入り口まで戻るか。結構かかりそうだけど。」
後日、改めてこの森を探索しないとな。私達が考えている以上に広大な気がするし。
ん?何か忘れているような、あ、森林火災…。
「この森の不思議な力で消えている気がするから大丈夫じゃないかな?とりあえず
戻れるだけ戻ろうか。」
蜂ばっかり倒してて確かに疲れた。そろそろ休みたいと思ったが、たけのことだい
こんをここに置いておきたくないので、頑張って戻ることにした。