第417話「般若レディ?」
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「へぇ、この邪馬台国とやらは西の海から襲い掛かってくるタイショウイカとかいう奴に苦しめられているって言うんだあ」
最近、こういうのが流行っているんだろうか。というかこれで、クロウニンの情報尾が全員分揃ってしまったようなものだろう。なんだなんだ、最終決戦でも始まろうって言うのか。クロウニンとこんなに遭遇するなんて思いもよらなかったってのに、まさかこんな展開になるとは思わなかった。
私の代わりにブッチがこの鬼三人衆と会話して色々と聞き出していたのだけれど、タイショウイカがどうのとか言い出したので、私も納得できるかということで声に出してしまった。
それにしても、負けたら結構従順になったなこいつら。力こそ正義みたいなタイプなんだろうか。
「なぜ、そこで説明口調なのですか」
「…説明よろしく」
「俺たちはクロウニンとかいうのを全員壊滅させて、その後ろに隠れているかもしれない奴もぶっ潰そうって考えているんだ。いや、絶対これそういうパターンだし」
ブッチもそのあたり予想していたか。今更だけど私もそう考えている。なんか強そうな敵を数体以上倒すとラスボスが出てくるみたいなそういう展開になるゲームが多かったので、そうじゃないのかなあと考えていたところだった。
「俺たちをこれだけやるあんただ。確かに負けはしねえと思うがよ」
「あぁ、そんな奴らをぶっ潰すなんざそう簡単にはいかないだろうぜ」
「ええ。あのイカは、海の中にいますし、どうやって倒すのかが問題になります。」
海中か。それだとブッチも動きが鈍くなるだろうし、私だって海中で戦ったことがないので、簡単には行かないというのがよく分かるな。
あれ? それだったら別に相手をしなくてもいいんじゃないだろうか。こっちに出向いてこないんだたら、戦う必要性がないよね。別に私はここらへんが滅んでも構わないわけだし。こいつはわざわざ倒さなくていいんだ。
「え? ふむふむ。えー。それはちょっと」
「どうしたんですか?」
「仲間が別に倒す必要ないんじゃないかと。こっちには被害になりそうにないしって」
あ、こら。それじゃあ私が悪者みたいなというか無慈悲だとか思われてしまうじゃないか。そういう言い方はよくない! 本音で話しちゃだめだ!
「いや、そうとも限らないんじゃないか」
「ああ、奴が大津波を引き起こせば、この邪馬台国だけでなく、ナテハ王国、といってたか。あちらもただではすまないことになるだろう」
そうなのか。まぁ例によって先生とお店のハーツが無事なら別にいいか。
「仲間が別に国が滅びようが知ったこっちゃない。むしろ滅んでしまえと言ってます」
言ってない! そこまで言ってないから! という意味で隣のブッチを小突いた。この鬼たちもボロボロになっているとは言え、心証を悪くしたら、また襲い掛かってくるかもしれないのでもう少し気の利いた感じで話をして欲しい。
「もう、自分で話せばいいじゃん」
そうなんだけど、はぁ。もう諦めてそうするか。面倒くさくなってきたことだし。
「私は別にどこの国が滅びても自分が無事ならそれでいい」
「貴様、最低な奴だな」
「ああ、自分の事しか考えていない屑だ」
「飄々としていましたが、道理で」
何こいつら! 義理と人情で生きていけるみたいな事思っているわけ!? なんて奴らだ。至極真っ当に生きていけば幸せになれるみたいな考えの持ち主だな! 私はそんな疲れる生き方は嫌だぞ。そうやってこう生きるべきなんて決めつけられたら人生なんて退屈だ。
もっと自分の事を大事にして生きるべきなんだよ!
「ねっこちゃん。落ち着いて、落ち着いて」
「お前らいい加減にしろ! いきなり襲い掛かってきてまだ逆らうかこん畜生! ごちゃごちゃ言ってないで敗北者なら黙って言う事を聞けっ!!!」
癇癪を引き起こしてしまったなぁと思いつつも、後に引けずにそのまま続けた。
「いきなり襲い掛かってきたのはお前らなんだよ! お前が悪だろう悪! こっちは何もしてないのに問答無用で斬りかかるとか、そんなことあってたまるか! そこまでしておいてなんだそのでかい態度は! ふ、ざ、け、る、なぁああ!」
「おお。ねっこちゃんがブチ切れている! なんか俺楽しくなってきた!」
そうか、それは良かったなあブッチ。だけど私の怒りは収まらないよ!
「謝れよ」
「…」
三人の鬼はそこで俯いた。いきなり斬りかかって悪かったなんて思っているのかもしれない。だけど謝罪しても許すつもりなどないけどな!
「申し訳ございません」
「許さん!」
死ぬかもしれないような攻撃をされたんだから、簡単に許すわけないよね。常識的に考えてみようよ。死ぬってさぁ、怖い事だよね。そんなことされようとしたんだからさぁ、酷いよね。絶対に酷い。死にそうな目にあってもいいよ許すよなんて聖人君子じゃないんだ私は!
「チッ。この程度のことで許さないとは、底が知れてるな」
「黒薔薇の型」
こっちの二人は私が倒したわけじゃないけれど、私が勝てない相手じゃない。やろうと思えばやれる相手だ。私を甘く見ないで欲しいものだ。ここらで本気になっておかないと、私を馬鹿にした態度は変わらないと思ったので、実力を見せつけることにした。
「な、それは!?」
「魔者の力!?」
あぁもういちいちうるさい奴らだなあ。そんな騒ぐんじゃない。
「とりあえず、どうする。切腹でもして私達に謝罪でもするか? ああそうだなぁ。今なら土下座で許してやるぞ」
命を狙ってきたけれ土下座なら許すのだ。昔やっていたアクションゲームのラスボスなんか毎回土下座していたしな
「ぐ…」
「す…」
「すみませんでした」
全員からしっかりとした謝罪、土下座をされてすっきりした。
「よし許そう。」
ここまでさせたら逆に恨まれて襲われそうな気がしたが、その時は返り討ちにしてやるという気持ちの方が強かった。こんな連中にやられる私じゃない。というかクロウニンと戦って勝つために頑張ってきたんだし、こんな奴らに負けてたまるかってんだ。
「で、なんで魔者の力って言うのが分かるの?」
「そ、それは、我らが邪馬台国の女王様がお使いになられているからだ」
邪馬台国の女王って確か卑弥呼だよね。その卑弥呼が魔者の力を使えるってどういうことなんだろうか。もしかして、魔者の子孫的な設定があるのかな。それだったらどうにかすれば、クロウニンをこの卑弥呼とか言うのに押し付けてやれば良いのでは。
でも待てよ。確かタイショウイカに苦しめられているって事は、その魔者の力が原因で襲われているってことになるんじゃないだろうか。あいつらは魔者に襲い掛かってくる性質があるらしいし。
「つまり、タイショウイカが卑弥呼の命を狙っていると?」
「そ、そうです。我らが卑弥呼様は、あのタイショウイカに頭を悩ませられています。」
うーん。魔者の力を持っているからある程度強いって事だよな。それでも海の中にいるらしいタイショウイカには苦戦しているとなると、私も同じって事になるなあ。
卑弥呼に何とかして貰えると思ったけれど、それじゃなんともならないのかなあ。むしろ、私も同じ力を持っているって事で協力を要請されそうな気がするんだけれど、そんなのやっている暇がないし、そっちはそっちでタイショウイカ退治を頑張って欲しい。
ってあああ!? でもタイショウイカっておかしくないか。この場合どっちかっていうとドロヌマオロチが出てきた方が正しい気がするんだけれど。ここでの物語としてはヤマタノオロチ的な展開だと納得できるし。
となると、サンショウでも連れてきた方が良かったんだろうか。一応封じ込められているらしいし。
「…おーい。また考え込まないでよ」
「ああごめん。だけどここは真面目にならないといけないところなんだ」
西にタイショウイカ。北にマオウペンギン。地下にもしかしたらエレファントボス。ジャガーコートのジャガーちゃんは行方知れず、ゴーストロガノフはどこかで暗躍してそう。ドロヌマオロチはサンショウの中。レッドドラゴンは、イッピキメとニヒキメ。蟻と豚は倒したので残り七匹。
「強敵ばかりがいるって頭がくらくらしてくる」
「大丈夫だって、俺が全部ぶっ倒してやるから」
「な、なんと、あなたはクロウニンを全部倒すおつもりなのですか?」
「いや、あいつらだけじゃなくて、強い奴は全員倒して、俺がナンバーワンになるよ!」
「というわけなので、私達はこれで。」
また目的からそれてしまったので、こいつらに構っている時間はない。当初の目的は、あのスタンピードの際にモンスター達の行動を操っていたモンスターを探すことだった。あ、こいつらにでも聞いてみるか。
「モンスターのスタンピードを意図的に操るような奴に心当たりは?」
「…ある。そいつは邪竜だ。この邪馬の森に住まう竜で、その叫び声で、モンスター達の理性を奪い、動きを活発化させる。」
お。予想外なことに知っていたのか。邪竜か。あの叫び声は邪竜だったのか。そいつがどうしてあのタイミングで叫んだのか。マオウペンギンの部下か何かだとは思うけれど、まだ分からないな。
「なら、邪竜を退治しよう」
何度もスタンピードを発生させられたらたまったもんじゃないし。きっと頻繁に発生させる力はないだろうが、マオウペンギンから指示が入ったらそういう行動もとるかもしれないので、警戒しないといけない。
あのマオウペンギンが関わっていないのなら良かったんだけれど、絶対そういうことはなかっただろう。なので私は、さっさと邪竜を倒してしまおうと思った。だけど何匹もいたりしたら嫌だし、無限湧きのようになっても嫌だなあ。
「じゃ、邪竜は倒しても生き返ります。それを防ぐためには、魔者の力が必要です」
なんだ、私は持っているらしいので問題ないじゃないか。
「私でも大丈夫じゃないか」
「難しいかもしれません。卑弥呼様であれば、倒せるとは思いますが」
ん。それは私よりも卑弥呼とやらの方が、強いって思われていると言う事か。まぁ女王だし、そういう力が強いってのもあるかもしれないなあ。
うーん。私も、もっともっと強くならないといけないな。
「卑弥呼様っての凄そうだなー。一度手合わせ願いたいなー」
また戦闘狂が何か言っているようだが無視。
「女王がそんな強いなんてすごいなぁ。一体どんな人なんだろう」
「卑弥呼様ですか。卑弥呼様は、我ら鬼族の中でも特別な種族なのです」
あ、こいつらやっぱり鬼族だったのか。そうだと思っていたけれど、分かって良かったな。
「へぇ。それは凄そうだね」
「ええ、卑弥呼様は、我ら鬼族を束ねる、般若レディなのです。」
「は?」
な、なんだって!?
やっとこさ般若レディの話が出せました!!!
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