第413話「スタンピードの後?」
文字数少なくてすみませんorz
明日追記をしますorz
1/9追記しました。
スタンピードがあった翌日にログインした。場所はいつものように神殿の近く。早速、ブッチはどうなったのか確認しようと思ったら、いきなり目の前にいたので驚いた。他の皆は昨日、エリーちゃんと一緒に魔者の大陸まで一旦帰還したので、当然ここにはいなかった。
「やぁねっこちゃん。いきなり目の前に出てくるなんて、神出鬼没だね!」
「こんちわー偶然だよ。じゃなくてブッチ! 昨日あれからどうしたの!?」
「残念な事に倒せなかったよ。あはは。」
「えっ!? ちょ。まさか死んだの!?」
まさかのブッチ死亡!? そんなことがありえるなんて考えただけでも恐ろしかった。いやいや、そんなのありえなくない!?
「いや、死んでないよ! そう簡単には死なないよ!」
「え、でも倒せなかったって。」
「いやー相手がどっか行ってしまってさぁ。楽しかったのに。あーあー。」
相手がどこかへ行った? いや、それって逃げたってことじゃないのか? ブッチは相手が逃げたって言いたくないだけなんじゃないだろうか。でもまぁ、ブッチが死んでいなかったってことが分かってほっとした。そんな強いプレイヤーどうやって倒したらいいんだと思うし。
「どこか行ったって、それって相手が逃げたってことになるんじゃ。」
「なんか急用が出来たとかなんとか言って消えちゃったよ。楽しく戦っていたのにさぁ。凄い勿体なかったなあ。」
…急用? それ、逃げる奴の捨て台詞じゃん!? 絶対あいつ逃げたんだよ! そうに違いないよ! でもブッチは、あくまで相手に急用があったと信じているみたいだ。
「勿体なかったって、他にも大量にモンスターがいたんだし、そいつらとは戦わなかったの?」
「俺とあいつ、えーっとロウとか名乗っていたかな、が戦っていたら、どんどん周りに誰もいなくなっていって、気が付いたら、モンスター達もプレイヤーもみんな消えていたんだ。」
何だそれホラーか。というわけじゃなくて、きっとみんな、ブッチ達の戦いの巻き添えをくらったんだろうな。これはまずいと思っていた連中はきっと逃げ出したんだな。
「そうか。スタンピードが解決して良かったよ。」
「毎日発生してくれないかなー!」
「してたまるか!!」
あんなに大量の敵が毎日わんさか湧いてきたら困る。毎日命賭けの戦いとかやってられるか。
「まぁ冗談はさておき、これからどうする?」
「気になる事があってそれを調べたい。ブッチは聞こえていたか分からないけれど、昨日、強そうなモンスターの唸り声が聞こえてきてさ。その後またモンスター達が暴れだしたんだ。と言う事は、そいつがいる限りスタンピードが何度でも起きそうでさあ。」
「おお! つまりそいつを保護して、何度でもスタンピードを発生させてやろうってことだね!」
「んなわけあるかいっ!!」
…あぁ、ツッコミを入れてしまう。そうだったよ。ブッチってこういう奴だったよ。最近別行動が多いからそこまで話をしていなかったけれど、このうざさがブッチだった。あと戦闘狂。
「ねっこちゃん。今回は俺、マジなんだ! スタンピードを何度でも発生させまくることが出来れば、経験値とかそういうのウハウハだと思わない!?」
「それは私も考えたけれどさぁ、雑魚をいくら狩っても経験値がほとんど得られないと思うんだよね。強い奴が大勢襲い掛かってくるなら別だと思うけれど。」
このゲームの経験値がどうなっているのか知らないけれど、昔のゲームの中には、あまりに弱い敵からは経験値が手に入らないなんてものがあった。それを踏まえると、このゲームでだって同じような事があってもおかしくはない。
「あぁ違う違う。そういうゲーム的なのじゃなくて。動かすほうの。あーえっと要するにプレイヤースキルとか言うのだね。大量のモンスターをどうやって倒すって言うのを学べる機会ってないし、いい練習台になるよ!」
ああ、そっちか。自分のキャラの性能向上を目指すんじゃなくて、自分のキャラの操作向上を目指すって事か。
なるほど。一理あるのが悔しいな。確かにスタンピードの経験なんて全然ないと、どうやって戦ったらいいのか分からないことだらけで緊張しそうだ。だけど何度もやってみることで、いい結果がだせるようになるというのはありそうだ。
「普段練習なんてできるもんじゃないし、そういう練習ができるのは確かに面白そうだ。じゃなくて。そのモンスターがいるのは危険だから、倒したいって思っているんだよ私は。」
「俺だって戦いたいよ! 何千、何万というモンスターを暴走させる力があるなんて絶対面白いよ!」
ブッチが輝いている。本当に戦いの事になるとテンションが上がるなあ。
「で、ねっこちゃんは、つまりあの時どこかにいたはずの敵を倒したいってこと?」
「その通り。私はモンスターの国を探すためにあの森を動き回らなければいけなくってね。探索中に、スタンピードを発生させることができる敵なんかがいたら、邪魔でたまらないよ。」
そしてそんなことができるモンスターなんて絶対ボスか何かだよなぁ。無限に仲間を呼び続けてきて自分を守るための壁にしてくるなんていったらかなり厄介だ。そういう奴は早めに倒しておきたい。そういう奴に限って、復活というか、再度発生するとは思うんだけどね。
オンラインゲームの敵は、一回倒せばもう二度と出てこないなんてことにはならないだろう。沢山のプレイヤーが楽しみにしているのに、そこで出て来なくなったら、誰もが楽しめないことになってしまうし。
実際は、厄介なモンスターを配置しておくことで、プレイヤーが苦しむところが見られて楽しいとかいう運営がいる気がしている。絶妙な位置に嫌な敵を配置したりするのが好きなんだろうなあと思う事はこれまでのゲームで経験済みだ。
「じゃあ、折角だし、今から俺と邪馬の森のデートしにいこう!」
「おー。いいね。」
デートと言う気やすい表現はともかくとして、ブッチがいてくれれば、最悪な状態は避けられそうだ。だけど、プレイヤーがいるかもしれないのが不安なんだよなあ。散々暴れ回っていたブッチに復讐しにくるプレイヤーとかいそうだし。
私の事も多分一部のプレイヤーは知っていることになるしなあ。本当はこそこそ隠れて活動したいんだけれど、そうもいかない気がする。スタンピードがあったばかりだからと、迂闊に入らないプレイヤーがいればいいんだけれど、そんな事にはならない気がする。
「ねっこちゃんはまた変装していくの?」
「まぁ。色々バレるのが面倒くさいし。」
「そう? 俺、思ったんだけれど普段がいつもの姿で良くて、何か隠れた行動する時にあの黒ずくめの格好になればよかったんじゃない?」
「ああ。それも考えたんだけれど。私はあの姿を極力見せたくはないんだよ。」
「ええー? かっこいいじゃん!」
と、ブッチは言うのだけれど、私はむしろ正体を隠している方がかっこいいと思う派だ。黒ずくめの格好や人間化している状態は世を忍ぶ仮の姿とでも言えばいいんだろうか。本当の姿をさらけ出すことをしないというのがなんかこう、いいって思っている。
だけど本当の理由としては、般若レディという種族を公表したくないところにある。既に何人かのプレイヤーには見られてしまってはいるものの、そう多くはない状態にしておきたい。
私以外に般若レディはいない。というが現時点で分かっている事だ。もしかしたらどこかに潜んでいるのかもしれないけれど、今だ遭遇したことがないので、きっと、どこにもいないのだと思われる。
となると、だ。このゲームで唯一の種族にして唯一のキャラクターなんてことがばれたら、それこそ私が魔者であると疑われる可能性が高い。とてつもなく高い。
私が他のプレイヤーだったら絶対に怪しいと思う。そういう勘の鋭いプレイヤーは結構いるはずなので、そういう奴らは一度気になったら徹底的に調べ上げようとしてきてしまうので、出来るだけ姿を変えておきたかった。
「これはこれで、なんか忍者っぽくていい気がしない?」
「くノ一じゃないってところが特徴なんだね。でもなんていうか、裏方さんって感じはするね。なんだか地味と言うか。本当に存在感がないみたいな。」
いや、忍者だし目だったら駄目だし。それに存在感がないのはいいことだよ。隠密に活動するためには。
「ところで、俺用のその変装セットは?」
「あ、忘れてた。これこれ。」
そうだった。ブッチにも変装してもらえるようになったんだった。
「何コレ! 超イカしているじゃん! うおおおおお!」
私が渡したのは変身ベルトだった。バックルの辺りがいかにもなデザインになっている。ブッチはこういうのが気に入ると思って制作したのだった。
「多分、こうだよね! 変! 身!」
一瞬にしてブッチの姿が変わった。この道具は身長なども変化させられる凄いものなのだが、ブッチの身長が少し縮んで180cmくらいになった。
「か、かっけぇ。」
ブッチは、戦隊ヒーローが着ていそうなコスチュームになった。色は黒。私と同じように目立たないような色にしてみた。
「お? これ、変身してもいつものように目が見えるよ!? 凄くない!?」
「え。それは知らなかった。凄いな!?」
あれ、そんなことまで出来たのか。凄いな私。じゃなくて先生だな。先生に教えてもらいながら作ったものだったからなあ。あー頑張ったな私。
「これならどっからどう見てもヒーローだ。なんかヒーローらしい必殺技を作らないといけない気分になってきた!」
「ああ、そのうち作ればいいんじゃないかな。」
「そ、そうだ!? ねっこちゃん。この際、匿名戦隊ももりーずVとかに…。」
「却下。」
匿名戦隊アノニマスレンジャーとかも却下だ却下。メンバーが中途半端な人数になってしまうしな。
「まぁいっか。ありがとう! こんなかっけーの作ってくれて! 俺たちはやっぱりマブダチだな!」
「ああ、うん。マブダチだな! それじゃあかっこいい姿になったことだし、邪馬の森に行くとするか。」
「おうよ! 悪い奴も悪くない奴も片っ端からやっつけてやるぜー!」
…それはやめろ。