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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
410/473

第410話「ブッチ戻る。そして。」

明日追記します!

1/6追記しました。

「はっはっは。というわけで、ここに来たお前らは全員、俺がぶっ倒す!」

 ブッチがやっと帰ってきた。これで連続ログインが更にできるだろうから大丈夫だろう。私はそそくさと帰ろうとする。


マブダチからのメッセージ:ねっこちゃん。もうちょい一緒に戦ってくれる? この状況がどんな感じなのかよく分かってないし!


 う。引継ぎってことか。仕事の引継ぎとかって大事だよね。何がどういう状況なのか分からないままあとよろしくなんて言うのは後任者には可哀想だし。はぁしょうがない。もうちょっとだけやってやろうか。

「お前がサイコロ野郎か。今まで散々暴れてくれやがったみたいだな。」

「俺がサイコロ野郎だ。今まで散々暴れてくれやがったんだぜ!」

「こいつ、こういう頭のおかしなことを言う奴らしい。もしかしたらNPCかもしれねえぞ。」

「俺は、マブダチって言うんだ。よろしくな!」

 物真似したり、わざとNPCっぽい事をやってみたりと煽るなあ。凄いなあ。私も喋りたいけれど、後で声がばれたりしたら嫌なので話はしない。それにこんな初対面の相手にここまで言うのも苦手だな。

「キサマカ。ワレワレノジャマヲシテキタモノハ。」

「いいや。俺じゃないよ。お前だよ。」

「? ナニヲイッテイル。」

「そこの黒ずくめ。お前、何無視しているんだよ。クズだなぁ。あはは。」

「お前だ! お前! この! 死にやがれ!」


 黒ずくめの剣士は、持っている巨大な剣をブッチに振り回して突進していた。だけど、その次の瞬間には、頬に張り手をくらわせ、魔導士の方の腹にも同様に張り手をくらわしていた。やっぱりは早い! 私はかろうじて見えたけれど、こんなのまともにかわせるわけないだろうが!

「な、に!?」

「ぐ。こいつ!?」

「ヘルブ…」

「どっせえええええい!」

「ヌオオオ!?」

 うへっ!? あ、あの巨大な狼を、腹の下から、も、持ち上げた!? なんだそりゃあ!? これから脳筋系というかパワー系はずるいんだよお!? ありえないだろ!

「どっこいしょ!」

「グウウウ!?」

そのまま横に叩きつけてしまうブッチだった。なんだこいつぅ! というか私がまだここに残っている意味がないだろ! お前おかしいよその強さ! 何なんだよもう! もう全部ブッチ一人で事が済むんじゃないんですかね!?


「おっ! もう起き上がろうとしているな! よーし! オラッ!」

黒ずくめの剣士が起き上がろうとしているのを見ると、すぐさま駆けつけて、そのまま抱きおこし、思いっきり地面に叩きつけた。

「だ、大丈夫ですか!? お怪我はありませんか!?」

「こ、この野郎! ライトニングブラスト!」

「バリアー!」

「ぐあっ!?」

 魔導士が放った電撃魔法を防御するため、電撃魔法に向けて黒ずくめの剣士を投げ捨てるブッチだった。


「だ、大丈夫かい? 全く、いきなり攻撃するなんて卑怯な奴だ。」

「て、てめぇが、てめえがやったんだろうが!」

「む。お前の指示か。全くなんてやつだ。こんな大剣を持っているからいけないんだな。よし。よいしょおおおお!」

 …ブッチは、黒ずくめの剣士が持っていた巨大な剣を持ち上げると、遠くに投げ飛ばしてしまった。ああ、じゃあこいつはただの黒ずくめの男ってことになるのか。

「こ、この野郎。ふざけやがって。まともに戦う事もできないのか!」

「こ、この野郎。ふざけやがって。まともに戦う事もできないのか!」

「くそっ! からかいやがって。おい。俺が武器をとってくるまで待ってろ! すぐに戻る!」

「パチン。」


 ブッチが何かの合図のように指を鳴らした。ああ、私に動けって事か。損な役回りをさせないでくれよ全く! 私は、黒ずくめの男の近くまで急いで走り、そのまま鎌で背後から斬り裂いた。

「なっ!? お、お前!? ぐぐ!?」

 そんな隙だらけの状況は普通見逃さないよ。私だってやるときはやる。こういうプレイ方法が卑怯だとかなんだとか言われたこともあったけれど、今の私は、良いプレイヤーじゃないからね! どちらかというと悪役プレイヤーだからこういうこともやるのだ! ふっふっふ!

「!」

「く。くそがっ!? こんな奴に!? うああああ!」

 そのまま何度も鎌で斬り裂き続けると、黒ずくめの男は消えてしまった。ふむ。どうやら倒したようだな。


「こっちも片付いちゃった。というわけで、次はお前だなー犬。」


マブダチからのメッセージ:一応聞いておくけれど、この狼って、たけのこちゃんとは何も関係ないんだよね?


 もう攻撃しちゃってから何を言うんだと思ったけれど、そうだよと答えておいた。


マブダチからのメッセージ:おっけー。それじゃここから先は俺に任せておいてくれー。早く全滅させる方法も考えたから、もう大丈夫!


 やっと終わったか。よし、それじゃあ私は戻ろうか、と思った時だった。この場に一人のプレイヤーが現れた。以前、神殿で私とエリーちゃんに攻撃してきた、あのプレイヤーのうちの一人だと思われる。なぜそうだと分かるのかと言うと、そういう気配がしているからだ。あの時のプレッシャーは忘れられない。もしかしたら違う奴かもしれないけれど、あの時と同じような気がしてならない。


 短髪の黒髪に無精ひげを生やした、剣士系のプレイヤー。鎧を装備し、マントをつけている。いかにも主人公っぽいキャラクターのような気もするが、どこか眼つきが悪いというかなんか暗い。体は細身で平凡な身長だが、なんだか不気味な感じがする。

 そして、よくは分からないが、何かオーラのような物を纏っているような感じがする。


「あいつ負けたのか。ったく低能が。」

「…。」

 ここでブッチは黙ったままだ。何か思う事があるんだろうか。いつもならここで攻撃を仕掛けているはずなのに、どうしたんだろう。私もこいつはやばい奴だと思っているけれど、ブッチですら警戒しているということなんだろうか。

「お前も、そっちの奴も、低能だな。だから攻撃を仕掛けてこないんだな。で、そこのサイコロ野郎。俺はお前をずっと探していたんだよ。まっ、お前が低能だから俺にこうして発見されたわけだがな。」

 そこで、ブッチが、動いた。このプレイヤーの頭に張り手を仕掛けていた。だけど、その攻撃は弾かれていた。何かのアイテムかスキルで防御したのかも分からなかった。


「不意打ちまでしてきてこの程度か低能。」

「不意打ちされる程度の実力しかないのか低能。」

 いつものやり取りだけれど、ブッチはどこか余裕が無いように感じるな。ということはこいつ結構やばい奴なんだろうか。神殿にいた時もたしかになんだか威圧感があったような気がしたけれど。ブッチの攻撃を防ぐなんて、かなりの強さってことか?

「おい。」

「あ? なんだてい…。」

 ブッチの動きが、私には全く見えなかった。何をしたのかさっぱり分からなかった。結果だけが底に残った。このプレイヤーは、後方に大きく吹っ飛ばされて、尻もちをついていた。


「お前低能が!!!」

 すぐさま起き上がり、長剣でブッチに斬りかかるプレイヤーだった。それをブッチは、真剣白刃取りをした。一瞬の出来事だったというのに、やはりサイコロの目の力とブッチ自身の力が合わさっているからこそできる技なのだろう。

「おいしょおおお!」

そのままブッチはその勇者系プレイヤーに張り手を仕掛けた。だけど、

「低能が。死ね。」

 ブッチの腹部から血が流れていた。ブッチが、傷つけられた? まさか、反応できない攻撃だったのだろうか。今までこんなことなかっただけに私は動揺した。が、私もこのままじゃいられない。ブッチはこのプレイヤーと戦うので、私がこの狼の相手をしないといけないということだ。

 一触即発のとても嫌な状況だ。


「だー見切れなかったかー! 悔しいなー!」

「何を言っている。お前のような低能に俺の剣技が見切れるわけがないだろう。」

「今の、一回目の攻撃が消える剣だろ。二回目の攻撃をすると消えた刃が戻ってくるとかそういうだってもう分かったよ。」

 要するに消える剣技か。使われる方としては最悪だな。


「オイ。キサマ。ヨソミシテイルヨユウがアルノカ? ココヲアラシタセキニンヲトッテモラウゾ。」

 それは私じゃないんだけどなあ。完全にとばっちりだよ。私としてはむしろあっちの勇者系プレイヤーの相手をしたいところなんだけれど、ブッチがエキサイトしているからどうにもなりそうにないし。

「!」

 結局、私は鎌一本で戦うことにした。勇者系プレイヤーがここに一人いるだけになったが、その他のプレイヤーが突然姿を現したら厄介だし。私は手の内を隠しておかないと負けてしまう系のタイプなので、ここで色々ばれてしまうのは嫌なんだよなあ。


「オソイゾ!」

「!」

 早いっての狼さん! それと、私のような鈍くさい奴を、そんな鋭い爪で斬り裂こうとするな。死んでしまったらどうするってんだ!

「ナンナノダキサマハ。オソイカトオモッタラソノハンノウソクド。フザケテイルノカ?」

 あ、それは結構言われるんだよなあ。私は真剣に戦っているんだけれど、ふざけているのかって言われることが多い。対戦ゲームだとか色んなゲームでやることなすことが全て挑戦みたいなものなので、その場で思いついたことをやってしまう。

 その結果、ふざけているなんて言われるんだけれど、私、かなり真面目にやっているつもりなんだよなあ。

「づっ!!」

「グウウオオ!」


 狼さんよお。私は別に本気を出していないわけでも冗談でやっているわけでもましてや、ふざけてやっているだけじゃないんだよ。ただ自分がこの<アノニマスターオンライン>を楽しむためにやっている行動なだけだ。

 なんて事は声に出さないので説明できないし、するつもりもないけれど、はっきり言って私は自分のゲームスタイルというものを貫いているだけなんだよね!

「!」

 私は思いっきり鎌を振るう。何度も振るって狼の爪を割ろうとする。だけど、むこうも爪が大事なのか爪とぶつからないように途中で攻撃をやめることがある。

 ひょっとして、黒薔薇の型が痛いとかあるのかな。爪って結構デリケートだし、割れたら痛いもんな。

「フザケタタタカイヲシオッテ! ワレヲグロウスルキカ! ユルサンゾ!」

 あ、あー。勝手に相手が怒り出す展開か。嫌だなあ。


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