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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
409/473

第409話「般若レディVSプレイヤー」

明日追記します。

1/5追記しました。

「逃げてばかりで何がしたいんだお前は! あぁ!?」

 逃げている私に襲い掛かってきてお前も何がしたいんだと言いたい。この黒ずくめの剣士と戦ってから既に30分は経過している。後30分立てばブッチが再度ログインしてくる。そうすれば交代できるので私は、のらりくらりと逃げ回っていればいい。

 というかスタンピードはどうしたんだよ。そっちの方が気になってきているんだけど。なんでここにいるモンスター達は最初の時みたいに人間達の方に攻めにいかないんだ。最初は別にブッチ狙いでもなんでもなく攻め込んでいたじゃないか。なのになんで途中から方針を変えた。

「何かを狙っているのか!? あぁ!?」


 ブッチがモンスターもプレイヤーも両方攻撃して暴れ回っているのを見て危険だと判断したからこうなっているというのが正解だとは思うんだけれど、たかが一人のプレイヤーの為にそこまでやるなんてありえないと思うんだけど。

 それとも、もしかしてだけれど、ブッチが魔者だと誤解されて、そこからこぞって襲い掛かってきたって考えたほうがいいんだろうか。

「逃げてんじゃ…ねえ!」

「む!」

 思いっきり巨大な剣を振り回して、衝撃波のようなものを放ってきた。一直線に飛んでくるだけだからこれの回避は慣れた。いくら衝撃波が速くても、放つ時の動作で分かる。毎回同じような動作をしてくるので、事前に距離を置けばいいと気づく。


 という感じだけど、これもフェイントを仕掛けられることがありそうなので、そこもちゃんと警戒する。プレイヤーというのはひねくれている奴が多いので、罠にかけてこようという考えがありそうだ。

「おい。本当になめてんのかお前。つーかお前サイコロ野郎とかいう奴の仲間なんだろ。そいつはどこへ行きやがったんだ。」

 サイコロ野郎って言うのはブッチってことだよなあ。そうか、こいつはブッチと戦いたかったのか。いやー申し訳ないなあ私が相手で。

「!」

「おい、今度はいきなり攻撃を仕掛けてきやがって。てめぇふざけてんのか。」


 油断してくれればいいものを油断してくれないんだもんなあ。周りの敵も今は攻撃を仕掛けてこないでこちらを見守っているような状態だけど、こっちは四面楚歌のせいで神経すり減らしてきているってんだよ。もうちょっとゆとりある戦いをさせて欲しいものだよ。

「真剣に攻撃を仕掛けて来いよ!」

 あっはっは。私が真剣にやると思っているのか。そんなわけないっての。ここは悪ふざけのように戦うのが合っている! ここで真剣に戦ったらプレッシャーで押し潰されちゃうっての!

「ちったぁ何か喋ったらどうだ! ああん!?」

 うわー、こいつチンピラだよ。嫌だなあこういうの。何でも暴力で解決しようとしてくるタイプだな。まったく、私のように平和主義でいて欲しいものだ。

「くそ、つまんねえ奴だ。俺はもっと面白い戦いができると思っていたのによ! これならここらの奴ら全員を相手にしていた方がまだ面白かったぜ。」

 うわー。それ是非ともやってもらいたいんだけど。今からでもやってもらいたいんだけど。もう私なんかを相手にしていないでここらへんのモンスターでも狩りしてくれればいいのに。おりゃ!

「! お前さっきから俺の頭を狙ってこようとしているな。何なんだ。」

 ふふん。お前の頭じゃないな。そんなのを狙っても面白くもなんともない! 私はお前の髪の毛を狙っているんだよ! 髪の毛をばっさり切ってしまおうと思っていてな!


「頭…。お前頭蓋骨でも食おうとしているのか!」

 おい、なんでそんなグロテスクな事を平気で言うんだ。そんなわけないだろ! 髪の毛だよお前の髪の毛! もうこうなったら絶対刈ってやる!

「うぉっ!? なんだお前。急に攻撃が激しくなりやがって!?」

 草刈りするように髪の毛を刈るんだよ! この野郎。そのふっさふさの黒髪を刈ってやるよ。この黒ずくめ野郎!

「へっ。やる気になったってことか! ならこっちも遠慮はいらねえよな! オラァ!」

 だけどここで逃げる! 攻撃を当てる。そして逃げる。ヒットアンドウェイ作戦だ!


「だーっ! お前コラ! 結局何も変わってねえじゃねえか。ああもう。うっとしい奴だ! こんな奴に本気出すなんか何か腹立つし調子が狂ってくる!」

「おい! お前一人だけで戦ってんじゃねえよ!」

 お、仲間の魔導士っぽい格好をした奴が何か注意しているぞ。へへへ。これは仲間割れか!? 最高だな。仲間割れは見ていて最高だ!

「うるせぇ。お前らが苦戦してたっつー奴と戦いに来たってのにいるのはこの黒い変なのだけじゃねーか!」

「その黒いのにも苦戦しているだろ。ここは全員でそいつを倒すべきだ。あのサイコロ野郎の仲間ってことは分かっているんだからな。」

 喋っている余裕があるのが腹立つなあ。にしても、本当にモンスター達が襲い掛かってこない。これじゃあスタンピードでもなんでもないじゃないか。となるとこいつら、やっぱり結託しているってことだよな。


「そいつは何か時間稼ぎをしているような動きだぞ。このまま戦っていても埒が明かない。おい、モンスターども。お前らのリーダーはどうした。」

「ココニイルゾニンゲン!」

 全身に寒気が走った。こいつは、今この瞬間現れたな。気配感知では何も引っかからなかったし。だけど姿が見えないな、と思ったら。私の背後に現れていた。そして。

「ぐっ!」

「フン。イマノヲカワストハナカナカヤルヨウダナ。」

 巨大な爪で引き裂かれそうになったが、間一髪で回避した。あぶなかったー! 本当にぎりぎりだった。そしてそんな攻撃をしてきたモンスターの姿を見て、驚いた。まるで、そうだ。これは、たけのこを大きくしたかのような、巨大な狼型のモンスターだった。だけど、頭部に角は生えていない。


「おい、邪魔をするんじゃねえよ。こいつは俺の獲物だ。」

「フン。コンナヤツ、イッピキニナニヲ、テコズッテイル。ジカンノムダダ。サッサト、ソウコウゲキヲシカケタホウガハヤイ。」

 だー。それは勘弁してくれ。あと。15分か。それまでは待っててくれっての。こっちはブッチが戻ってくるまで耐えればいいだけなんだから。余計な事をしないでくれ!

「フン。コンナザコニイツマデ、テマドッテ…ム?」

 こっちを凝視してくる巨大な狼。なんだ。まさかたけのこと関連性がある狼だったりするんだろうか。

「ホウ。キサマ、カスカニワレラト、オナジニオイガスルナ。」

「!」

 うっ。それはもう、たけのこにもふもふしたりすることが多いから、匂いが移っていると言われればそうかもしれないな。こいつ、鼻がいいのか、ってそうじゃなくて、私の個人情報をぺらぺら喋るんじゃない! くそー。今度からはそういう匂いにも注意した変装をしないといけないな。迂闊だったあ!


「どういうことだ。まさかこいつは狼だって言うんじゃねえだろうな。」

「ソレハ、タタカッテミレバワカルコトダ!」

「あっ、お前!」

 巨大な狼が私に向かって突進してきた。早…いけれどかわせるな。例えこの状況で急加速してきても、だ。緩急をつけてくる攻撃なんかブッチがいくらでもしていたところもみているし、回避できない攻撃じゃない。

「コレモサケルカ! ナラバ! ウォオオオン!」

「!」

 威圧のような何かを飛ばしてきた。これはどちらか言えば、威嚇か。なんだか少し痺れるような感覚があるけれど、これも大丈夫だな。この程度なら、威圧で反撃するまでもない!

「グォオ!」

口を大きく開けて噛みつこうとしてきた。これも寸でのところで横に飛んで回避したが。爪が振り下ろされた。危ない当たるー! なんてわけもなく、これは鎌で防御した。

「ヌ! ソノカマハ…。」


 あっ。思わせぶりな発言来た! 鎌がどうしたんだ! というかお前ら一族の狼の話とかそのあたりを詳しく聞かせてもらおうか! ってうぉあ!

「っ!」

 不意打ちか! 電撃の魔法がこちらに飛んできた。さっきの魔導士だな。あいつめ。さっきの黒ずくめの戦士も、もっとしっかり仲間割れしろよ!

「お前ら。そいつは俺の獲物だつってんだろ。下がってやがれ。」

「コイツハ、オマエデハニガオモイ。」

「こいつをさっさと倒さないとこの先進まないだろ。だから俺は。」

「うるせえ! 俺がこいつをやるんだよ!」

 あぁ。もう滅茶苦茶だよ。結局ここからは二人と一匹を相手にしろってことだろ。折角一対一だったのにさあ。


「お前もさっさと本気を出せ! もっとやれるんだろう!? いつまでも逃げ回ってんじゃねえ!」

「ぐ!」

 先ほどまでよりもかなり力を込めた一撃が振り下ろされた。それを鎌でガードしたが、そのまま後方まで吹っ飛ばされる。そこへ、魔導士が氷属性の魔法を放ってきた。こいつら、結局連携して私を倒すつもりなんじゃないかー!? あんまりだ!

「フム。キサマガイルセイデ、コチラモ、マトモニタタカエナクナッテイル。ココデシンデモラウゾ。」

 これさあ、分かってはいたんだけれど、ブッチが両方を叩くもんだから場が混乱してとんでもないことになったから一時休戦、ブッチを叩こうって流れになったんだよねきっと。

 元々なんでこんなことになったのかまでは話を聞いていなかったんだけどさ、絶対にそうだと思うんだよね。


 戦闘狂だから、嬉々としてモンスターもプレイヤーも倒しまくっていたに違いない。そんなおかしなことをする奴がいたら、そりゃどちらにとっても迷惑だろう。

「ヘルブラスト!!」

 魔法なのかスキルなのか知らないけれど、名前を聞いただけでなんとなくヤバそうな予感がしたので巨大な狼の直線状に立たないように、一気に走る。走る。そして。森全体に狼の咆哮が響き渡ったと同時に、極太のレーザーのようなものが全てを薙ぎ払い、消し炭にしてしまった。

 お。おおぅ。今のはいわゆる必殺技じゃないのか。あんなのをくらったら絶対に死ぬだろう。ふざけるな。

「ぐぅう!」

爆風のようなものが発生する。こいつ、クロウニン級の強さがあるんじゃないのか。かなりやばくなってきた気がする!


「…チッ。ここまでやるとはな。」

「俺たちも気を付けないといけないな。」

 むしろお前たちがこの狼の相手をしてくれ。というかもう私は知らん知らん。そろそろブッチ戻ってくるころだよな。早く戻ってきてくれ!

「はっはっはっはー! 俺が来たぞ!」

 …やっぱり帰っていいよ。


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