第407話「ブッチがラスボス?」
すみません。力尽きそうなのでここで一旦投稿しておきます。
明日追記しますorz
1/3追記しました
「ブッチが人間とモンスターの両方を相手に戦っているんだって。そんでもって、人間とモンスターは協力してブッチを倒そうとしているらしい。」
という話をみんなにしたところなのだが、みんなやっぱりねみたいな顔をしていた。ブッチならやりかねない行動だと言うのは分かるんだけど、どうしてそうなった。
「だけど、あのスタンピードのモンスターと大量のプレイヤーを一度に相手にするなんてねえ。どうやっているんだろう。」
四方八方、そして空中から襲い掛かられて、どうやって対処しているんだ? あの目があるにしたって、攻撃を回避するって無理ゲーな気がするんだけど。
「ワカリマセンガ、ブッヂドノナラナントカスルンダトオモイマス。」
やっぱりそれか。なんかそのブッチなら出来るみたいなワンパターンをそろそろなんとかしたくなってきたな。
「はぁ。ブッチがラスボスみたいな気がしてきたよ。」
「第一ご主人。第二ご主人。ブッチさんは、なんであんなに強いんだチウ?」
それは私が聞きたい。ブッチに聞いても俺だからとかそういう答えしか返ってこないだろうけれど。どうやったらあんなに強くなれるんだ? 天才アクションゲーマーか何かなのか? もしかして日本人じゃなくて外国人ってこともありそうだよね。
「きっと、そういう職業だったりするんだと…。」
格闘技をやっているとか!? それもありそうだな。でも結構ゲームばかりやってそうなイメージもあるからなあ。って待った待った!
「ちょっと待ってね! あそこですごい爆発とか起きてるように見えるけど、ブッチが戦っているって事だよね。スタンピードのモンスター達ですら何故かブッチに襲い掛かるようになってきているのはおかしくないかな!?」
理性を失っている奴だっているだろうし、全員がブッチに向かっていってるようにも思えないんだけれど。それとも、まさか敵を自分に引き付ける様なスキルでもブッチは習得していたとでも言うんだろうか。
(ブッチさんは、素手でひたすら近寄ってくる敵を薙ぎ倒しています。敵からの攻撃は敵の体を盾にして防いだりしています。)
ひじきから報告が入る。いつもと変わらないじゃないか。一体どういうことなんだ。
「…もうちょっとこのまま見てようか。流石にブッチでも両方の敵を壊滅させるなんてことまでにはならないと思うし。」
数が多いし、プレイ時間が凄まじいことになってしまうから、VR機器の安全装置が働いて強制ログアウトされてしまうだろう。ブッチだってそれは分かっているはずだし。というか私達だってこの場にずっとい続けることはできない。その前に一旦魔者の大陸に戻ってからログアウトがいいかな。
たけのこ達の安全確保だってあるし。このスタンピードは1日で終わるとも限らない。そしてその間沢山のプレイヤーがこの地に集まってくるだろうから、みんながいても狙われて危険が増すだけだ。
「あ。私がここに来なければ、モンスター達も来なくなるかもっていうのがあるのかな。」
「そうなったらなったで、ねこますさんがずっと魔者の大陸から出てこれなくなりますよ。」
それが問題なんだよなー。基本的にあそこでずっと草刈りしていれば満足なんだけど、折角のVRなんだし、もっと冒険したいって思うんだよねー。なのに全然できている気がしないし! この王国以外にも色んな場所があるんだろうから、旅をしたいんだよ私は。そんで、一通り色んな所に行ったら、それで満足するんだよ。
「結局、私が普通の冒険するためにはクロウニンを倒さないと駄目なんだよなあ。はぁ。」
「ねこますサマナラキットデキマス!」
あぁたけのこ。もふもふで癒してくれ。で、現実逃避するわけにはいかないなっていってもこれ現実じゃなくてVRだけど。
「エリーちゃん。とりあえず交代でログアウトしよう。」
「分かりました。ところで、ブッチさんを助けに行くってことはしなくていいんですか?」
「邪魔になるだけだと思うんだけど、強制ログアウトになっちゃうのはなぁ。」
どうしたもんか。ブッチも一旦ログアウトして1時間くらい休憩すれば連続ログイン時間がリセットされた気がするんだけど、いかんせん私もそこまでプレイしたことはないから分からないんだよなあ。
「かといってブッチの代わりに1時間戦い続けるなんて無理だし。」
「ねこます様なら出来ますよ。我が保証します。」
「あのぉ。あたしもできると思うんですが。」
いやだなぁもう。あんな強そうな奴らの相手を1時間も出来るわけが…。
「ねこますさん。確か変装する道具を手に入れたんですよね。それを使えば正体がばれずに済むんじゃないですか?」
「それはそうだけど。私があの猛者どもと戦うって無理ゲー過ぎない?」
衝撃破だけじゃなくて爆発だの雷だの落ちているような場所でどうやって生き残れと。
「マスター。マスターに足りないのは自信だと思います。マスターならやれるとここにいる全員が思っているでござる。」
そんな真剣な眼差しでこちらを見ないでくれよくろごま。確かに私はリーダーだし、始めた頃よりかは大分強くなっているはずだけれど。プレイヤーだよ相手は? まだまだレベルアップしてからじゃないと絶対きついって。
「あー。」
お前はやればできる子なんだみたいに言われた子供時代を思い出すなあ。実際にできたことなんてないけれど。
「んー。あぁー。んー。」
当然悩む。ここで私がブッチと交代で戦うことになった場合を想定してみる。私がブッチの仲間だと知ったら、人間とモンスター両方の軍勢が山ほど襲い掛かってくるだろう。最悪の場合、そこでマオウペンギンが出張ってくるかもしれない。人間側のトッププレイヤーが出てくる事もあり得る。
もしそうなったら私は勝てるかどうか? うん無理。自信がないとかいうんじゃなくて、戦力差がありすぎる。
「私一人で行くのは無理だよぉおお!」
「え。いや全員で行けばいいんじゃないですか?」
「えっ!?」
あれ、すっかり私一人で行くような流れになっていた気がするんだけれど。
「マスター。拙者たちもそろそろ、覚悟を決める時がきたのでござる。」
「我らが、死なないようにと、ねこます様はいつも率先して戦ってくれていましたが、そのような甘い考えではこの先どうあってもやっていけません。」
「ワレワレモ、シヲカクゴシテイマス。」
う。いつかこういう展開が来るんじゃないかなぁと思っていたんだけれど、ゲームでこれは重い。だってさぁ、私達プレイヤーは死んでも復活するけれどさ、たけのこ達がどうなるかは本当に分からないんだよ。
過去に、死んだら全部消えてなくなるオンラインゲームがあった。どれだけレベルを上げてもキャラクターが死んだら本当に消えてしまうという。復活が一切なしのシビアなゲームだった。当然私もそれをプレイしたことがある。そしてキャラは消えた。
かなり一生懸命頑張ってプレイしたけれど、最後は極悪難易度なボスが出てきて、そいつを倒したと同時にやられてしまった。楽しかったけれど、すべて消えたことを期に辞めてしまった。
どうもその作品で死んでしまったときのことを思い出してしまう。あの頃に仲良くしていたプレイヤーとも辞めてからは一切連絡を取り合っていないし。
ここでもし、たけのこ達が死んで二度と戻らないなんてことになってしまったら、それこそ私のプレイ意欲は格段に落ちてしまうだろう。そのくらいもう仲間意識が芽生えてしまった。もしも、みんながいなくなったら?
「心臓に悪すぎるぅうう。」
もうちょいお気楽にいきたいんだけど私。それなのに死を覚悟するとか重すぎる! だけど言いたいことは分かる! だってそれって信頼されてないとかそういうことになるよね。あるある! ゲームとか漫画でよくある展開だし! 隣に立って戦いたいとかそういうのだよね! 分かってる分かってる。私だってそういう風に思ってことあるし。
「私が臆病だってのは分かってるけどさぁ。みんなにそんな死ぬとか言われたらそりゃあもうなんかすごい苦痛なんだけど。」
「ねこますサマハ、イツモ、ソンナシニソウナメニアッテイルデハナイデスカ。」
プレイヤーだからね。生き返るからね私は。だから無鉄砲でいられるんだよね。あ、別に死んでも現実に影響でてこないしーみたいな。
「私は、死んでも死なないんだよ。そういうもんなんだよ。」
「ソンナワケナイトオモウノデスガ。」
というように、死ぬことについて説明しても、信じてもらえない。NPCに対してこのように説明しても決して信じてもらえず、死んだら終了と思われてしまう。
「よし! 分かった! ここはブッチが一人で戦っている事だし、私も一人で戦ってやらぁ!!」
もうこれしかない。結局私一人ってことになるけれど、みんなが死ぬよりいい。ブッチが一人だし私も一人でやってやると言えばみんなも納得できるだろう。
というかこれ、そういえばこの話って、結局ブッチが一人で戦いに行ってしまって、きっとまだ戦いたいだろうからっていうところから来てたんだよね! なら後でブッチに戦いすぎだ! って苦情の一つでも言ってやらないと駄目だな。そんでもって。
「ここで、私が、どれだけ戦えるか見せてやるよ! 本気でやってやるよもう! 人間もモンスターも私に襲い掛かってくる奴は血祭りにあげてやる!!」
あぁ。なんか後戻りできないような大袈裟な事を言ってしまった気がする。大丈夫、じゃないよねこれ。
「ウォオオオオオ! サスガねこますサマ!」
「姉御かっこええで! これぞ姉御やで!」
「マスター。拙者、感動したでござる!」
「ねこますドノ。ソノツヨサヲゾンブンニフルッテクダサイ!」
「ワレワレノブンモ、ゼヒ!」
「我はねこます様が全てを殲滅することを信じていますぞ!」
「ねこますさん! ついに<アノニマスターオンライン>で有名になれますね! 頑張って下さい!」
ああもう! やってやろうじゃないですかっ! 私だってねえ! たまには目立って戦いたいって思う時はあるんだから、こういう時くらいやってやりますよ! もうやけくそだ!