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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
406/473

第406話「狙いは般若レディ?」

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!

そして新年早々すみません。明日もうちょっと追記しますorz

1/2追記しました。


 私達は、しばし傍観者としてこのスタンピードを眺めていた。強力なプレイヤーも参戦したことで手を出す必要はないけれど、この戦いの結末がどうなるのか、まだ予想もつかない状態だったからだ。

「そもそも、なんでナテハ王国に狙いを定めているかが分からないよね。」

「人質ならぬモンスター質か何かでもいそうですね。後は何かのアイテムを奪おうとしているとか。単純に人間の王国自体を滅ぼそうとしているのかもしれませんが。」

 エリーちゃんが大体私が言いたかった事を代弁してくれた。単純にただのスタンピードってだけなのも考えられそうだけれど、どうも、目的があるような気がしていた。

 ナテハ王国対モンスターの国という構図になるのは分かるのだけれど、なんで両国が争い合わなければいけないんだろうか。

 モンスターが人間に危害を加えてくるなんて言えばそうなのかもしれないけれど、そういう世界観のゲームは既に沢山プレイしてきたので、考えてしまう事がある。


 どちらが先に攻撃したんだろうとか、平和的に交渉するつもりがないんだろうかとか、領土の問題なのかとか色々あるんだけれど、お互い争い合っても資源を消費するだけなんだから、基本的には無視していればいいのではないか、と思ってしまう。

 どちらもお互いの存在が目障りだからと言われてしまえばそうだとは思う。だけど、実はモンスターの国の方が正しかった的な展開もありえるから、そう考えると安易にナテハ王国を応援する事もできないし。

 モンスターを使って非道な実験を繰り返していたなんて設定のゲームもあったっけなぁ。そう言う事も考えられるから、私にとってみれば、どっちの国の事もろくに知らないので、ナテハ王国が滅びそうになっているからといって協力する気にはなかなかなれないというのがある。とはいえ、私達に危害を加えようとしてくるなら、当然反撃はするけれど。


「モンスターの国が攻撃をしかけてくるにしてもなぁ。マオウペンギンがこのタイミングでやるものなのかなぁって疑っちゃうんだよね。」

「姉御と戦うって言ってる奴が、別の事をやるなんておかしいやで。はっ。ワイ思いついたやで! 姉御のあったマオウペンギンは影武者かなにかで、本当のマオウペンギンは別におるとかやで!!」

 !?………。いや、普通に驚いたんだけど。何このだいこん。影武者なんじゃないの。いや偽物なんじゃないの。みんなも疑惑の視線を向けているし、いつの間にか誰かと入れ替わっているとかじゃ。クロウニンの誰かが化けていたり、ゴーストロガノフがとり憑いていたりするんじゃないだろうな。

「だいこんちゃん、なかなか冴えてますね。」

「せやろ! みんなワイを褒めてクレメンス!」

「オマエハ、イツモヤクニタッテナイノダカラ、コウイウトキクライヤクニタッテトウゼンダ。」

「ファッ!? 何を言うんやわんころ!」

「はいはい。そこ喧嘩しない。でも影武者か。面白い考えだね。だけど。」


 影象の森の話もしたし、そこでなんとなく影武者の話を思いついただけなんじゃないか。だけど、影象って名前が森についていたくらいだし、ありえるならエレファントボスの方だよなあ。そっちが二匹いるかもしれないとか。なんだか億劫になってくるな。

 マオウペンギンにしても、一匹だけなんてことはないもんな。それに、ネガティブータが三匹いたくらいだし。相手が必ず一匹だなんて先入観を持ってはいけないって事だな。

「それが本当かどうかも確かめることができないからね。だけど、ここでマオウペンギンが出てきたりしたらそれはそれで私達が困る事になるね。」


 スタンピードは単に暴走状態になっているだけとも考えられなくもないんだけれど、マオウペンギンが指揮官のようになっていた場合、恐ろしいことになる。

 最悪、このスタンピードがこの後私に向かってくるかもしれないということだ。マオウペンギンはモンスターの国のモンスター達を犠牲にしたくないとかなんとか言っていたけれどそれも本当なのか分からないし。

 敵の言う事なんて完全に信用しないって言うのが基本なので、騙されて被害に遭ったら自分が愚かだったと思うしかない。

「この戦いって、ねこますさんが鍵を握っているような気がするんですよねえ。」

「我もそう思います。マオウペンギンは最終的にはねこます様を倒しにくるはずですから。」

「イマノコノウゴキハ、ねこますドノヲユダンサセヨウトシテイルノカモシレマセン。」


 冗談じゃないよ。なんで私がこんな戦争に巻き込まれなきゃいけないんだ。参加したら目立ってしまうし、こんな集団で襲い掛かられたら、私が生き残れるわけないだろう…。ってあ! それが狙いかあの野郎! この間会った時、私が嫌がるような事をやりたがるような話し方だったし、そういう攻撃も仕掛けてきた!

 そうか、あいつはクロウニンの中での魔者に嫌がらせする担当ってことじゃないか!? 十分ありえる! なんか陰湿そうな気がしたしあのペンギン!

「ひじき召喚!」

「えっと。母上? まさか私にあの場所を探れと言う事でしょうか?」

「人間形態じゃない状態になれば行ける気がするんだけれど難しい?」

「できますけれど、流れ弾が当たってしまえばすぐに戻ってきてしまいますよ。」

「頼むよひじき! あの嫌がらせ担当が何をしようとしているのか、知りたいんだ。」

「分かりました。母上の指示とあらば、私も誠心誠意頑張りますね!」


 というわけで、ひじきに様子を探ってきてもらうことにした。このまま逃げ出してしまえばいいと考えていたけれど、それができないと今悟ったし。

 例えばここでマオウペンギンが出てきたらどうするか。その場合きっと、ここに魔者がいるから襲い掛かってきたなんて言うだろう。つまり、このスタンピードの原因がこの私にあるということにして、私のせいでこの王国が甚大な被害に遭うと責任を押し付けてくるつもりなんだ! というのが一番嫌な予想だ。

 そんなことにならないのが一番いいと思うんだけれど、あいつはやりそう。そういう奴だ。そんでそうなると人間側は魔者に対する悪意が増大する。魔者のせいでこうなったんだと。こういう展開は漫画とかゲームでもよくあるしな! 勇者がきたせいで魔王が襲ってきたみたいなそういうノリ! で、ここで私が逃げ出してもいいんだけれど、後で散々色々言われ続けるようになるという。そんでもって私が出てくるまで何度でも襲い掛かってくるとか言い出しかねない。


「ねこますさーん。どうしたんですか? 急に真面目になって。」

「私のせいでこの戦争、スタンピードが発生したのかもしれないって思ってね。」

 そういうこともここではっきり言っておかないといけない。こういう時に黙っておいてはやっぱり駄目なんだ。正直に話すのがいい。隠し事はしない!

「え? あたし達は初めからそう思っていたんですが…。」

 あっ。もしかしてさっき私が鍵を握っているとか言っていたのも、というかみんな最初から本当に私が狙われているだけだって思っていたって事か!? えぇー。そんなぁ。

「はぁ…。誰か私の代わりに魔者をやってくれない?」

 いつもの愚痴が出てしまった。だってさぁ、ただの会社員で自称ゲーマーも私がやるのには重すぎないこれ? <アノニマスターオンライン>は世界中でプレイされてんだよ? あそこで戦っている連中でもすごいゲーマーとかいそうなのに、よりによって私が魔者とか。


「エリーちゃん。こんな世界的に有名なゲームでたった一人だけに与えられる称号を貰ったらどう思う?」

「すっごく羨ましいです。」

 そんな可愛い笑顔でこちらを見ないでくれ頼むから。

「あと、ねこますさん? いざとなったら、逃げればいいんですよ! 魔者だからといって何かしないといけないわけじゃないですし。」

「だよねえええ!?」

 そうそう。そうなんだよ。私は自由なんだよ。なのにこうしてここまで出張ってきてクロウニン退治とかよくやってるよ全く。

 普段は、草原で草刈りばかりしているのんびり屋だってのにさ。あ、そういえば最近、薬草集めの草刈りもしていない気がするな。今回の戦いが終わったら、またしばらく魔者の大陸でのんびりしよう。そうしよう。


「ブッチは今頃どうしているかなぁ。」

「我としては絶対に無事だと思います。あの方がやられることなど想像もつきません。」

「え、それはどうかなぁ? あんなすごい衝撃破とか魔法が飛び交ってるし、意外と重傷を負っている気がするんだけれど。」

 ブッチはそこまでスキルが多彩じゃなく、単純にその身一つで戦っていることが大半だから、ああいう風にスキルで攻められたら流石に劣勢になるんじゃないかな。まぁこっちに連絡してこないって事はまだやられてはいないと思うんだけれど。

「我の魔法を…全て回避するのです。高範囲の魔法でどうあっても当たるはずの魔法が、あの方には当たりません。一体なぜ。なぜなのでしょう。ふ。ふふ。ふ。」

「マスター。拙者もブッチ殿に攻撃を当てられた試しがないでござる。ですので、あれだけ沢山のモンスターや人間がいても、やられるわけがないと思います。」


 みんなしてブッチの評価が高くて嫉妬しちゃうなあ。強いのは分かるけど、そこまでありえるものなのかな。オンラインゲームのバランス的なもので考えたら、ただの一人のプレイヤーがそこまで戦力になるなんて考えにくいと思うんだよね。

 <アノニマスターオンライン>はそういう調整もおかしなものになっているってことなのかなぁ。だとしたらこれまでのオンラインゲームとは相当かけ離れているってなりそうだけれど。まぁVRで世界一のゲームだし、もしかしたらそこが売れている要因なのかな。

(母上。よろしいですか?)


 ひじきから連絡がきた。早いな。どうしたんだろう。

(あの…。森側の方に近づいてみたんですが…その。)

 ん? どうしたの。何か歯切れが悪くない。まずい事があったの!?

(ブッチさんが、モンスターとプレイヤーの両方を相手取って戦っているみたいで…。どちらも段々ブッチさんに集中攻撃をかけるようになってきています。)


 …は。はああああああ!?


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