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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
402/473

第402話「マオウペンギン」

12/29 少しだけ追記しました。

「私、この間ネガティブータをぶっ倒したばかりだから、まだクロウニンと戦わなくてもいいと思っていたんだけれど、何? 破壊衝動でも湧いてきているの?」

 確かクロウニンと戦闘後はしばらく襲い掛かられることはなかったはずだけれど、何のためにこいつは私の前に姿を現してきたと言うのだろうか。宣戦布告か何かの為か?

「宣戦布告と言ったところだ。」

 腹立つ。なんかこいつむかつくなぁ。そんでもってでかいなこいつ。4メートルくらいあるペンギンとか。圧巻だな。

「あぁ、つまり私に唾をつけておくってことか。要するに次の苦労人の相手はお前か。」

「その通り。グローリーアントやネガティブータを倒したようだが、我は負けるつもりはない。我が負ければ我の配下の者共が苦しむことになるのだ。」


 なんて言われたところで私は、どうとも思ってないんだけれど。同情を引こうとしているのかもしれないけれど、私はそういうことを割り切れる奴なのでどうなろうが知ったこっちゃない。

「そうか。私は勝たなきゃいけなくてねぇ。お前が私に襲い掛かってくる以上はね。ところで、ペンギンの癖になんで空を飛べるわけ?」

「何、魔力で空を飛んでいるだけだ。今は遊覧飛行を楽しんでおったのだ。その余興で貴様に攻撃を仕掛けてみただけだ。」

「こいつ、結構腹が立つ奴だなって私は思った。って感じで思ったんだけれどお前何いきなり攻撃を仕掛けてきてんの? 魔王の癖に卑怯だな。」

「魔者に褒められても嬉しくはないな。反吐がでる。」


 …こいつ、今ここであの世に送ってやるか? すごい生意気だな。魔王だからって偉そうにしやがって。魔王の癖に生意気だぞ! ペンギンはペンギンらしく地べたとか海とかを泳ぎ回れよ!

「それで、お前の治める国はどこにあるんだ?」

「この森の更に北にある。来たら歓迎しよう。特に死体となってきてくれれば大歓迎だ。」

「ああそう。むしろお前が自分の戦闘衝動を抑えきれなくなってかかってくるようになると思うけどな。」

「我が正気を失えば、魔者、貴様だけでなく貴様の仲間もみな、死ぬことになるだろう。」

 魔王だからって自信ありすぎじゃないか。自分が負けるとは微塵も思っていないようだな。

「ねこますサマ。ソロソロジカンガ…!」

「ん。分かった。おいマオウペンギンよぉ。私は、お前らクロウニンがいちいち私に襲い掛かってくるから邪魔でしょうがないんだ。だから全員倒すと決めたんだよ。」

「殊勝な心掛けだな。」

「お前がどこの誰だろうと、お前の国の誰が犠牲になろうが私は戦うからな。覚悟しておけよ!」

「我はマオウペンギン! 誰の挑戦でも受けてたつぞ。」

「というわけであばよっ!」

 たけのこに合図を送り、そのまま地面に向かって急降下してもらう。ぶっちゃけこれは逃げだ。というか魔王が見逃してくれるわけないと思ったが攻撃は仕掛けられていない。ということは、このまま問題なく戻れるだろう。

「あぁー。憂鬱だぁ。あいつと出会った事をみんなにすぐ話さなきゃいけないなんて。」

「ダマッテイテモイイノデハナイデスカ?」

「それは駄目だよ。」


 なぜみんなに話さないという選択肢がないのか。それは情報共有が大事だからだ! こういうことを内緒にしていたことが後で発覚して大問題に発展することが多い。さっさと話しておけば何も問題なかったのにってことだからこそさっさと話すのだ。ここでみんなからぼろくそに言われたり、笑われたりしても、話さなかったことで起きる問題に比べたらどうということはない。

「私はちゃんと情報共有をするリーダーだからね!」

 そしてさっきの事だ。気配感知には引っかからなかった。私は常に使っていた。だけどそれでもマオウペンギンが来ていたことがさっぱり分からなかった。もしかして空間を制御する能力とか持っていたりするんじゃないだろうか。そう考えるとかなり手強い敵になるだろうな。それとも、私の気配感知の精度がまだまだ低いってことか? そう考えると私も、更に強くならないといけないな。


「ねこますサマ! モウスグモドレマス!」

「よーしおっけー! でもってみんながいない…ね。」

 最後はゆっくりと地面へと降りたが、そこには誰もいなかった。みんな移動したのか? それとも戻ってきた位置がずれてしまったんだろうか。さっきマオウペンギンのギロチン攻撃で動き回ってしまったから別な位置になってしまったようだなあ。ってそういえば今は、魔者の試練中だったんじゃないか。そんでもって、また赤くなってきたぁ。あぁ。嫌になってきたなあ。

「問題がいくつもある状況でまた問題が増えちゃったな。」

 魔者の試練を乗り越える。赤くなる原因を突き止めて解決する。マオウペンギンを倒す。今の目的はこんなところか。

「ねこますサマ。アノ、マオウペンギントイウヤツハ、オッテコナイノデショウカ?」

「本人はまずは軽~く挨拶しにきただけっぽいことを言ってたからないと思う。」

 ここで襲撃をしかけてきていたらそれはそれで面白いとは思うけれど。それはない気がしている。なんとなくだけれど、あいつ、私が喜びそうなことは絶対にやらず、私が苛つきそうな事をやるようなタイプだと思った。


「じゃ、まずはみんなを探そうか。」

 エリーちゃんには戻ってきたことをメッセージしておいた。あれ? 返事速いな。


メッセージ:私達も魔者の試練をなんとかするためうろうろしていますー。ねこますさんだけに任せるのも駄目だと思ったので。


 ということなので、みんな頑張っているようだ。まぁそれならそのうち再会できると思うので、私も木を触ってみたりして調査してみるか。たけのこにも色々やってもらおうかなぁ。

「それじゃあ調査再開と行こうか。」

 近くにある赤い木を触ってみる。特に何か分かるわけでもないけれど、今までは切っていただけで、触ってみるようなことがなかったので、何かあるかもしれないと思ったからだ。だけど、ただの木って感触しかない。枝も触ってみたりするけれど、ただの木なんだよなぁ…。この木の根っこなんかには何かあるかなぁ。

「もしかして、本当にただの赤いだけの木だったりするのかな?」


 …ある。あり得る。なんかこういうところにあるから特別な物かもしれないって思い込んでいるだけなのかもしれない。これは本当にただの木で。別に何かおかしなところはないのかもしれない。特別な物だと認識してしまって、いつまでたってもそれに執着してしまいたくなって、答えから遠ざかっている気がしてきた。

 そうだ、そういうことが他のゲームでは結構あったじゃないか。なぜか草原に一体だけモアイ像が置かれてある場所があったが、それを調べても何も無かっただとか。マップに大きな絵のようなものが描かれているから調べてみてもただの絵だったとか。それと似ている。

 実際に木を沢山切り倒しているのに何も変化がないことからも、その可能性があるな。ただ赤いだけで何も意味のない木。

「ああ、なんかそんな気がしてきた。はぁ。」


 ため息がでてしまう。ここまで苦労してきてそんなことにも気が付かなかったなんて。まぁ状況の切り分けが出来てきたので結果的には良かった気はするけれど。だけど今それが分かったところで問題解決はしていないんだよなあ。となるとやっぱりどこかに赤くなる原因が隠されているってことだよね。そうなると、この広大なマップ全域をひたすら歩き回らないといけないってだけか。

 モンスターが全然出て来ないから余裕があるけれど、何が起こるか分からないからな。突然大量のモンスターが発生する事があるかもしれないからそれには警戒しないと。気配感知だって突然出現してきたモンスターは発見することができないわけだし。


 マオウペンギンもいないとは思うけれど、一切何もしてこないと考えるのはやめておこう。私を亡き者にしたいと思っているようだしね。

「ねこますサマ。ダイジョウブデスカ?」

「ああうん。ちょっとどうしようか考えていただけだから大丈夫。それよりたけのこ。この問題の原因を探すので、ここから結構頑張って探し回らないといけないけど大丈夫?」

「大丈夫です。」

 しかし、次の瞬間に、たけのこのお腹が鳴った。あぁお腹空いたのか。ここは肉生成を使って、軽く焼いて食べてお腹を満たすとするか。

「スミマセン。」

「いやいいんだって! お腹がすくのはしょうがないよ!」

 そんなわけで、食事休憩をはさむことにした。でもなぁ、周りが真っ赤に見える様な状況で食事って食欲が下がってくるよなあ。はぁ。


 それでも、たけのこに何も食べさせないという選択肢はないので、食べてもらうことにした。私は仲間には優しいのだ。敵には厳しいのだ。

「ヤイテモラッテアリガトウゴザイマス!」

 …生肉はね。私はもう多分二度と食べないと思うよ。これからは焼いて食べるよ。絶対に。生肉を見るたびに懐かしい思い出として蘇ってくるけれどね。

「狐火!」

 ふぅ。まだ謎は解けないけれど、こういう悩んでいる時が楽しいんだ。なんとしても解き明かして、先に進んでマオウペンギンもぶっ倒してやる!


「ねこますサマノダスニクハ、ヤハリウマイデス。」

「それは良かった。」

 真っ赤じゃなければもっと良かったんだけどなあ。いっそ目を瞑って食べてしまえばいいだろうか。こんな目に見えるもの全てが赤くなるなんてさぁ。あ、いや待てよ。レトロゲーム機であったなぁ。背景が真っ黒でそれ以外は真っ赤な画面になるゲーム機が…。懐かしいな。一応これでもゲーマーなので、高いお金を出して買ったんだよなあ。

 そうか、あのゲームをやっていると思ってプレイしてみれば、少しは気分転換になるかもしれないな。よーし、これはあのゲームの世界…。

「ねこますサマ?」

「…やっぱり無理だ。」

 そもそもあのゲームやっていた時目がきつかったし! ゲーム自体は悪くなかったけれど、目が辛くなってあんまりプレイしないまま押入れの中にしまっているし!

 …もう、早く元通りになって欲しいなぁ。


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