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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
401/473

第401話「木こりになる?」

明日追記します!

12/28追記しました

「おいしょっと!」

 10本目。これで10本切り倒したが、何も変化はない。あれぇ。木を切り倒しても何も起こらないとか、じゃあどうすればいいんだこれ?

「何も変わらないんだけど。」

「ジャアモヤシマスカ?」

「いやいや…まだ。それはまだ止めておこう。」

 燃やすのは最後の手段にしようじゃないか。といっても大体いつも最後の手段で燃やしている気がするけれど。なんだ私、森を見たら燃やさずにはいられないのか? どこもかしこも燃やしてしまえば全部解決するみたいな危険な考えが頭に染みついてしまっているんじゃないか。危険だな。私も、もう少し温厚にならないといけないな。


「…これで11本。やっぱり何も起きないなあ。」

 軽く切れてしまうのでいいんだけれど、何も起きないって言うのはどういうことなんだろうか。これまで切ってきた木が全て外れだったということなのかな。

「ねこます様。この際燃やしてしまったほうが良いのでは? いつものように。」

「もうちょっと! もうちょっと頑張ってみるから待って!」

 これでまた今回も燃やして解決してしまったら、森なんて燃やしてしまえばいいのさという考えが確実に根付いてしまうだろう。もう既に根付いているかもしれないけれど。そう思わせないようにするために、ここはじっくりと鎌で切り倒していこう。もう真空波を使って一気に切ってみようかなぁ? そうすれば当たりがあるかもしれないし。


「ちょっとまとめて切ってみるからみんな離れててー!」

 みんなに私から距離をとるよう注意する。よし、後は気合いを込めて、黒薔薇の型にして。

「真空波!」

 鎌から、大きな漆黒の刃がいくつも放たれた。直線状にある木がどんどん切れていき、そして倒れていく。巨大な木がまとめて倒れるので音が大きく、森がざわついた。これでモンスターか何かが出てきてくれてイベントが進行してくれればいいんだけれど、そう上手くいく気がしないなあ。

 これで数十本も切り倒したはず。だけど何も変化なしか。なんでだろう。何かヒントでもあればいいんだけど分からないなあ。もう本当にひたすら切り倒していくしかないのか? このままだと職業が錬金術士じゃなくて木こりになってしまうよ…。

「…何も起きないし変わらないかぁ。」

 つまり、闇雲に木を切り倒しただけでは無意味ということか。そうなると特定の木を切り倒せって事になると思うけれど、真っ赤にしか見えない状況ではそれも困難だ。まるで全部が真っ白のジグソーパズルでもさせられているような気分になってきた。


「…次はこの状況の影響範囲を調べてみようか。たけのこ。一緒に空から確認して欲しい。」

「ガッテンショウチデス!」

 今度は飛行を使って上空から見てみることにした。たけのこだけに絞ったのは、他のプレイヤーから探られる可能性もあるので極力数は少ない方がいいと判断した。

「あ、みんな、もしかしたらこの上に登ってもこの場所にそのまま戻ってこれないかもしれないから、そうなったらエリーちゃんをリーダーにして色々やってみていいからね。」

「ワイ、知ってるやで。そういうことを言うと大体戻ってこれなくなるんやで。ブッチニキがフラグとか言ってたやで。」

「ボクも知っているチウ。第一ご主人はフラグを立てるのが得意って、ブッチさんが言ってたチウ。」

 私の場合、そういうフラグを立てているにも関わらず、全く違う結果になるって言うのが多いんだけれどなぁ。

「よーし。じゃあこの空の旅に行ったら、私、マオウペンギンと遭遇するんだー。はっはっは。」


 こういうのなら大丈夫だろうこういうのなら。明日地球に隕石落ちるからとか言うレベルの冗談みたいなものだし。

「…。」

「いや、なんでみんな悲壮感を漂わせているの? ペンギンが空を飛ぶわけないでしょ。」

「ねこますさんがありえないって思っている事って大体ありえる気がしてきて…。」

「えー。」

 ペンギンだよね。多分。しかも魔王だよ魔王。魔王がこんな森を遊覧飛行していたりしたら笑うしそもそもペンギンだし。ペンギンは空を飛ぶわけない。飛べないのがペンギンだ。飛んだらペンギンじゃない。

「…とにかく。この状況をなんとかするためにも、空から何か怪しい物がないか探ってみるから!」

 そう言って、私はたけのこに飛行を使い、背中にまたがった。あぁこのもふもふは素晴らしいなあ。全くみんなして。冗談が現実になるみたいなことがあるはずないじゃないか。そんなことがあるんだったら、宝くじなんて当たるわけないって言って当たる? 当たらないよね。


「ねこます様。どのくらいまで上昇しますか?」

 ゆっくりと浮き上がっていくたけのこ。あまり高すぎても戻れなくなるかもしれないし。ある程度見渡せるくらいになってもらえればいいかな。

「この森全体が見渡せるくらいかな。あまり高くは飛び上がりすぎなければ大丈夫だよ。」

 といった感じで、指示を出した。そして木の高さよりも上に来たあたりで、全てが赤く見えていたものが、薄れていった。ということは、だ。この赤く見える現象はこの森全体が引き起こしている可能性が高いと言う事だろう。

 とはいえ、特定の木がこの現象を起こしている可能性もあり得るので、怪しい木がないかひたすら探していく。それっぽいものが見当たらない。というかこの森、広い! また大森林か! つくづく大森林に縁があるなあ私! 地平線の彼方にまで続くってさぁ。なんなんだこの森。いや待てよ? もしかして魔者の大陸にある森はこの森をモチーフにして作られたとかありえるかもしれないな。


「ねこますサマ! マッカニミエテイタノガ、ナクナリマシタ!」

「私もだよ。どうやらこの森の中に入っていると周りが赤く見えてしまうようになるみたいだね。」

 あれ? そうなると他のプレイヤーもこの事実を知っているってことになるのかな。私が戦ったあのプレイヤー達も赤く見えていたかもしれない? ああでもあそこは木の幹まで真っ赤だったってわけじゃないから違うのか。

「とりあえず、一旦戻ろうか。」

「ハイ!」

 まだ、はっきりとは分かっていないけれど、森から脱出すれば赤くなる現象が収まるというのが分かっただけでも満足だ。後は、魔者の試練の影響範囲も調べようと思ったけれどやめることにした。滞空していられる時間も限られているし。

 今地平線の先まで森が続いているように見えるのは、魔者の試練中だからってこともありそうだけれどそれも答えは分からないので留意しておくことにした。


「ねこますサマ!! ナニカキマスッ!?」

「んっ!? うぉっ!? 」

 何かが高速でこちらに飛んでくるのが見える。なんだ!? 危ないな。魔者の試練から逃げ出したとか判定されたか何かのペナルティか!? そうだとしても、黙ってやられるわけにもいかないので、とっとと逃げ出すことにした。しかし、追ってきている。こちらに向かって飛んできている。なんなんだ!? 鋭利な刃物っぽく見えるぞ? まるでギロチンみたいだ。ええい、だったら反撃だ!

「黒薔薇の型ッ! たけのこ! あれを迎撃するよ!」

「ハイッ!」

 まだ飛行できる時間には余裕があるが、さっさと降りてしまいたい。だけどこのギロチンみたいなものを放置して森に下りたら、見えない位置から攻撃される可能性があるので、ここで壊しておきたい。


「でいりゃっ!」

 ミス! ねこますの攻撃は外れた! といった具体で当たらない。なんだこのギロチン! 早すぎるだろう! というか今回避しなかったか!? 私の鎌に恐れをなしたか!

「おりゃっ! とりゃっ! ああもうなんだこれ!?」

 全く当たらない。だけどこのギロチンの攻撃は私にかすったりすることがあるので、私だけどんどん削られていく。ふざけるなよこいつ!

「…ならこいつだよこいつ!」

 錬金術士の杖を出した。時間凍結だ。時間凍結をしてこいつが動けない間に攻撃をする! とても単純な攻撃だ。どれだけ早く動いても、これで止めてしまえばどうということはない! スキルを使った反動は大きいが、短時間なら大丈夫だろう。私はやるぞ!


「さぁ来てみろっ!!」

 そうして挑発すると、ギロチンがこちらに向かって飛んできた。ほほう、私の言葉が分かるようだな。ということはこれを操作している奴がどこかに隠れているって事だな! 残念だったな。これで終わりだ!

「時間凍結!」

 そして、全てが真っ暗闇になったような感覚が全身に襲い掛かる。私は眼前に迫ってきていたギロチンに鎌に思いっきり力を込めて当てると同時に、時間凍結を解除した。よし! 一瞬だけでも十分効果があるな!

「でいりゃああ!」

 鎌を持つ私の腕に衝撃が走った。見るとギロチンは粉々に砕け散った。よし、やった。こんなふざけた攻撃を仕掛けてきた奴に一泡吹かせてやった。私の命を狙おうとする輩は絶対に許さんぞ。

「ねこますサマ。オミゴトデス!」


「ほほ~う? なかなかやるではないか魔者。」

「…マジで?」

 わたしとたけのこの目の前に一羽の鳥がいる。しかし私はその事実を認めたくなかった。誰だって目をそむけたくなるようなことがあると思う。私の場合は今だ。ありえないなんて思っていることが悪い意味で起こってしまうと、誰だって認めたくなくなるだろう。

 だってさぁ…ついさっきだよ、ついさっき。これ、絶対話を聞いていただろうとしか思えないし、そんな冗談あっちゃいけないって思うんだよ。こうして私がぐちぐち言ってるのもなんだか自分でも嫌になるのは分かっているけれど、さ。

「誰だお前。」

「マオウペンギンだ。」

「ふざけるなお前! 普通ここは、名前を尋ねる時は、自分から名乗れとか言う馬鹿な流れをやるべきタイミングのはずだろう! 何がマオウペンギンだ。空を飛ぶな!」


 自分でも無茶苦茶言ってるのは分かっているが、叫ばずにはいられなかった。お前さっき宝くじの話を出してばかりだってのになんだよお前。こんなところで運を使ってしまっているってことじゃないのか私は。というか魔王がいきなりしゃしゃりでてくるんじゃない!

「我はマオウペンギンだ。」

 私がどうせ偽物だろうとか言ってやろうかと思っていたタイミングでもう一回名乗った。こいつ。私に嫌がらせをしたいだけなんじゃないのか。くそう。なんてことだよ。絶対出会うわけないと思っていた奴に出会ってしまった。マオウペンギン。クロウニンの一匹に。


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