第4話「狼との主従関係」
私の目の前に角が生えた狼がいる。
そして私に向かってご主人様と話しかけてきた。
これはモンスターを仲間にしたってことなのかな。
「ご主人様って私のこと?」
自分を指さして狼に聞く
「ハイ。ゴシュジンサマ!」
わー。この狼、私の言葉が分かるんだ。よしよし。
「一応聞くけど、なんで私がご主人様なの?」
「ゴシュジンサマ!ワタシニカッタ!ツヨイ!」
やっぱり弱肉強食の世界か。暴力がモノを言うわけなんだね。
だけど、いきなり狼なんて仲間にしちゃってどうすればいいんだろう。
うーん。これからずっと一緒についてくるのかなぁ。
「ねぇ。これからどうするの?」
「コレカラ?ワタシ、ゴシュジンサマトイッショ!」
やっぱりついてくるみたいだなぁ。ここで置いていくとかだめなのかな。
「えっと、私はあなたと一緒についていけないかもしれないんだけど」
「エッ!!!!???」
その時、冷たい風が吹き抜けた。いやいやちょっと待って
いきなり狼を連れ歩くとか、なんていうかねぇ?
だって私、般若レディよ!?
この見た目で更に狼とか連れていたら、どうよ!?
「そういえばあなた私が怖くないの!?」
クワッと顔面を近づける。
「ゴシュジンサマ、カッコイイ!」
あらやだ、かっこいいなんて、うっふっふ。じゃなくて!
「まぁその、ついてくる?」
「ガウ!」
頷く狼。まぁ仕方がないか。私、こんななりだけど。鬼ではなくてよ。
「あなた、名前はあるの?」
「ナマエ?」
「ないんだねー。うーんじゃあえっと」
うーん名前か名前。やはり一本角といえば・・・。
「あなたは今日から「たけのこ」よ!」
安易に食べ物系の名前からとってみた。
「ガウ!ワタシ!たけのこ!」
「それと私の名前は「ねこます」よ!」
「ガウ!ゴシュジンサマの名前はねこます!」
私に猫要素は皆無だけどな!ただの猫好きだし。
ってか猫好きなのに犬系の狼を飼うなんて。
まぁよく見たら結構かわいいし。もっふもっふ。
「じゃあえっと、たけのこ!これからよろしく!」
「ガウ!」
主従契約を結んだ私とたけのこだった。
「あっとでも今日はいったん帰らないとだからまた明日ね、たけのこ!」
「ガウ!?」
ずっとたけのこと戦い続けていたから疲れたのでログアウトすることにした。
あー今日も楽しかったなー。
~次の日~
今日もログインしたよーって。
「ねこますサマアアアアアア!」
「わわわ!?」
ログインと同時にタケノコが私に一直線に向かってきた。
「ど、どうしたの!?」
「ねこますサマ消えて悲しかった」
「ああ、そううんうんよしよし。」
なんだこいつ可愛いな。もっふもっふしてやろう。
くっそ私は猫派なのになんだこいつ。
昨日はあれだけ派手に暴れやがった癖によう。この甘ちゃんがぁ。
「たけのこ。私はこのあたりのことよく知らないんだけど」
「ココ、クサシカナイデス。ムコウ、モリガアリマス」
たけのこが示した方向には森があるようだ。
「そうなんだ。もしかしてたけのこはそこで暮らしてたの?」
「ハイ、ブタヲカッテマシタ」
「豚ねぇ・・・。」
まぁ狼だから食べるんだろうけど、豚っていうと、オークみたいなイメージしか
ないなあ。あとはもしかして猪とか?
「グゥゥ」
「あれ、たけのこもしかしておなかすいてる?」
「ハイ。アレカラナニモタベテオリマセンデシタ」
そうか、昨日の私との壮絶な死闘からそのまま待っていたのかな。
それじゃここは一肌脱ぎますかぁ!
「じゃあその豚狩りを私もするからタケノコも手伝ってね」
「ガッテンショウチデス!」
え?なんでいきなりそんな言葉が?って思ったけどスルーした。
これから仲良くなっていけばいいしね。
といあえず私とたけのこは森に向かうことにした。
ちなみに私も猫派です。