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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第399話「邪馬の森を駆け抜ける」

明日追記します。

メッセージ:プレイヤー、アトム、リュウオウ、マサオを倒しました。


 漫画だと連続攻撃をひたすら撃ち込むのって、相手に大したダメージを与えられずに終わるってパターンが多かったんだけどなあ。私が火薬草を投げつけまくっていたら、戦いが終わってしまった。

 投げつけまくっていれば、相手も本気を出して突撃して来るんじゃないかと思ったんだけれどそんなこともなかった。実はどこかに伏兵が隠れていて私の事を狙っているんじゃないかと気配感知も常にしていたんだけれど、そんなこともなかった。

 これは、勝ったといってもいいのかもしれない。だけど争いの種も生んでしまったな。今回倒したプレイヤー6人は、きっとまたここにやってくるだろう。もしかしたら、転移石か何かを使ってすぐにでもやり返しに来るかもしれない。今度はもっと大人数でやってくるかもしれない。怖いなあ。

 今、気になっているのは、どうやって土潜りをしている私が分かったのかってところだったけれど、聞きだす方法がないのでそれはまた今度ってところだなあ。

 まぁ、ナテハ王国の街に人間化した状態で行けば会えるかもしれないので、その時に聞いてみたりするのもいいかもしれないな。


 とりあえず、邪魔者は始末したことだし、さっさとエリーちゃん達の所に急ごう。カブトスピアーを持って加速だー! ってうおおお。なんか速いな!? スキルの効果が上がっているみたいだ。これならすぐに追いつけそうだな。だいこんがどこまで突っ走ったのか分からないけれど。あ、そういえば待っててねとは言ったけれど、大丈夫なのかな。もし、他にも敵がいるなら先に行って貰って良かったんだけれど。

「姉御おおおお!?」

「だぁぁあ!? 戻ってこなくていいっていったでしょっ! うおおおっ!? だっ!?」

 いきなりだいこんがこっちに突撃してきたもんだから。そのままぶつかってしまった。ああもう。だいこんだけ戻ってきたってところかな。何なんだよもう! こんなアホみたいなことやっている場合じゃないでしょって。


「姉御すまんかったやで。ワイも、ハリキリすぎてしまったんやで! 許してクレメンス!」

「あー。はいはい。分かったから。もう。さっさと私を乗せてみんなのところに連れて行って。」

 私は、だいこんの背中に乗り込んだ。はー。やれやれ。これでみんなと合流できる。

「姉御。実は怒っていたりするんか? ワイの事を後で叱ったりするんか? 本当は、激おこやったりするんやないんか?」

「そんなことないからその疑心暗鬼をやめなさい。」

 やれやれ。まぁ痛恨のミスって言えばそうだもんなぁ。何せ私だけを置き去りにしてしまったわけだし。でもまぁ反省しているしわざわざ私が怒鳴るまでもないな。

「それより、エリーちゃん達、他の皆が襲われたって聞いたんだけど。」

「それやで! ニンゲン達は、エリーネキの魔法一撃で死んでしまったやで!」

 エリーちゃん。いつの間にそんな強くなっていたんだ。凄いじゃないか。やっぱりももりーずVの中で一番弱いのは私じゃないのか。うう…。なんか私のレベル低すぎ! みたいな感じだ。

「そんなあっさり倒せたの?」

「むこうさんも魔法で攻撃してきたみたいなんやが、エリーネキの魔法で全部防がれてたやで。」

「何それ。すごいな。」

 私も、もうちょっとエリーちゃんと組んで戦いたいところだなあ。大分成長しているはずなのに全然一緒に遊んでいない気がするし。なんとかならないもんかなぁ。


「まぁそんなこんなで、ワイが姉御を迎えに来たってわけやで! 本当にすまんかったやで!」

「ああうん。」

 そのせいでプレイヤー6人を倒すと言う手を汚してしまったような気がしないでもないけれど、まぁいいか。どの道、私の邪魔をする奴らにはあの世に行って貰うような気持ちだし。悪人プレイでやっていこうって考えはそのままだからこれからも襲われたら、情け容赦なく反撃する事にしよう。

「姉御の方にはプレイヤーはきていなかったんか?」

「返り討ちにしたよ。」

「ファッ!? 流石姉御やで!」

 うむ。褒められて悪い気はしないな。まぁもっといい戦いができるように頑張らなきゃいけないけどね。


「ねこます様が倒したのは何人ですか?」

「6人だね。他にもいないか探ってみたけれど、いなかったよ。」

「マスターはあっという間に6人も人間を倒したのですか。凄いですね。」

 ここも褒められたということだと思ったんだけれど、具体的に自分で6人と言って気が付いた。そうか、私は6人も倒したのか。これって本当に凄い事じゃないだろうか。私のような大してプレイヤースキルが高くない奴があっという間に6人も倒した。…なんて思っちゃいけないか! 私が勝てたのは偏に、この装備があってだし。あ、だけど今までのプレイで集めてきたものだし、これもこれで私の力と言えばそうなるよね!

「ま、まぁ装備が良かったからだよ。」

 ああ、やっぱりこう言いたくなってしまった。装備に頼っている言うのは本当の事だし、魔者であるということも他のプレイヤーよりも優遇されているから、だから勝てて当たり前ってことになるんだよね。うーん、こうして考えてみると、ちょっとそれは不満があるかな。自分の力だけで戦いに勝てるようになりたいなあ。


「ねこますサマ。ドウシタノデスカ。ナニカナヤンデイルヨウデスガ。」

「ああごめん。能力に差がなく勝負してみたいなぁなんて思っただけだよ。」

「ねこますさん。それはブッチさんみたいになりたいってことですか。」

「流石にあそこまでは…と言いたいところだけれどあれは理想だね。」

 自分の身一つで戦っているから凄いんだよなあ。キャラクター性能的には優れているというのもあるだろうけれど、よく分からない動きで攻撃を回避して当てているのは確かだし、あれはブッチの実力ってことになるもんなあ。ああ羨ましい。

「スキルなしでもある程度戦えるように、今度ブッチに訓練でもつけてもらおうかな。」

「ついに姉御も戦闘狂の仲間入りをするんやな。頑張ってクレメンス。」

 そこまではしない。無理過ぎる。私は格闘ゲームとかもそこまで得意ではないので、一瞬一瞬の攻撃を当てたり回避したりするのはきつい。そこまで熱心にプレイしていたら神経すり減らしそうだし。ゲームでそこまでなってしまうと、嫌になってきてしまうのでほどほどにしておきたいな。

「そういえば、ブッチ殿はそろそろ戻ってきてもいい気がするのですが、人間共の殲滅に時間がかかっているようですね。」


 サンショウの言う通り、いつもだったら、何食わぬ顔で終わった、楽しかったなんて戻ってきそうなものだったけれど、まだ戻ってこないなあ。

「ブッチ殿のことです。きっと、相手をじわじわと、じっくりと痛めつけているのではないでしょうか。」

「…。」

 それを聞いて、みんな沈黙した。確かにブッチならありえそうだな。だけどそれだけじゃない気がするなあ。どんどん敵が増えてきてそれを相手にしている気がする。

「メッセージの返事もこないしなあ。もしかしたら、どんどん増援が来て、いつまでも戦い続けているだけなのかもしれないね。」

 ということは、私達のところにプレイヤーが来ないのは、ブッチが戦い続けてくれているからなんてこともありそうだな。ありがとうブッチ。君の犠牲は忘れないよ。


(母上、ブッチさんが死んだみたいな言い方になっていますよ。)

 ブッチが死んでいたら、それはそれでどういう反応するのか知りたい気もするな。ブッチだって万能じゃないし、これまでプレイしてきたゲームで一回もミスしたことがないってわけでもないしな。凄いプレイヤーなのは分かるけれど、神格化し過ぎるのも良くない。むしり神というよりは悪魔みたいなもんだしな。

「私達は、この森と更に北に行ってモンスターの国を頑張って探そう。もしかしたらどこかに別な空間につながっている場所があるかもしれないし。」


 だけどノーヒントなんだよなあ。こんなの途方に暮れるしかない気がする。昔プレイしたレトロゲームで、1マス1マスを全て調べた時の事を思い出すよ。脱出ゲームで言えば、ひたすらクリックしまくって何かないかを探すと言う地道な作業。この広大なマップでそれをやるというのは辛いけれど、仲間がこれだけいるのだからきっとなんとかなるだろう。

 ふふ。私は広大な砂漠の中から一粒の欠片を探してこいと言われたら、時間をいくらでもかけていいというのなら、絶対にやってやるって意識を持っているからなぁ。ゲームプレイヤーっていうのは、そういうことに燃えたぎってくるものなんだ。

 そんなこと不可能だとか、何年かかると思っているんだってことを、絶対にやり遂げようとする意志が強いのがゲーマーなんだ。それに、私じゃないけれど、実際にそういうことをやってのけてきたプレイヤーは沢山いるからな。

 スタート地点から数十秒間動かないでいるとアイテムが出てくるとか、敵の攻撃を何回か食らうと扉が出現するとか、部屋の隅を全部歩きつくすとボスが出現するとか、そんなのノーヒントで分かるかってことも何故かプレイヤーはやってのけてしまう。きっとみんな謎を解き明かすのに夢中になってしまうのだろう。私もそれに負けるわけにはいかないと意気込んでしまう。


「要するに宝さがしなんですよね。モンスターの国が宝なのかどうかは分かりませんけど。」

 私にとってみれば宿敵マオウペンギンがいるところに行くのだから宝でもなんでもないんだけれどね。そう考えるとずっと見つからなくてもいいかもなんて考えてしまうな。

「…なんかペンギン退治とか言葉にすると拍子抜けする感じがするなぁ。」

「ペンギン可愛いですよね。実際どんなものなのかは見てみない事には分かりませんけれど。」

 私やエリーちゃんが頭の中で想像しているペンギンは、きっと現実にいるあのペンギンであっているだろう。しかしこのゲームのペンギンが、同じようなものだとは限らない。ペンギンなんて名前がついておきながら全く関係ない生物かもしれない。


「多分。想定外な奴が出てくるんじゃないかなあって思う。」

もう私は理解している。<アノニマスターオンライン>では、きっとこうだ!って思っていると裏切られてしまう事に! それは出会ってみてのお楽しみにしよう!


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