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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第396話「地獄の特訓」

明日追記します!!

「はいこれを生体調合!」

「ふぁいっ!? うぶっ!」

「錬金釜をもっと一生懸命かき混ぜなさい!」

「うぶぶぶ!?」

 口の中にものを突っ込んで生体調合を行う。それが終わった直後にすぐに一般的な釜での錬金術を行っていく。忙しい。本当に忙しい。なんだこの忙しさは。

「はい、そこで闇の素をいっきに解き放つ!」

「んぐううう!」


 休まる暇が無かった。なんだこれ。会社で働いている時よりも忙しいんじゃないだろうか。今が繁忙期なんじゃないかってくらい必死になって錬金術をやっている。先生には特訓してもらうようにお願いはしたけれど、まさかこんなことになるとは思わなかった。

 お金があるので素材は沢山買うだけ買って、ひたすら調合をしていく。本来は素材集めするべきが、それを飛ばしてひたすら錬金術だけをやると言う効率重視のやり方だ。

 このやり方が悪いとは一切思っていないし、やれることはやれとは私も思っているからいいとは言え、結構酷い状況だ。先生は、私が生体調合もできるということを知っているので、生体調合も使ってさっさと調合を終わらせるようなやり方をお勧めしてきた。

 時間がかかるはずの調合もこれでかなり時間短縮になるのだけれど、先生は一番効率のいい方法を追求しているようなので、私はその指示に従ってひたすら頑張っているというわけだ。だけど。


「はい次はこのカエルと、このクモを…!」

「んぐがああ!!?」

 酷い。あまりに酷い状況だ。泣きたくなってくる。現実よりも辛いかもしれない。ゲームをしているのに泣きを見るなんて、子供の時以来だ。あぁ確かホラーゲームで泣いたっけなあ。なんだか走馬灯のような物が見えてきた気がする。ううっ、私頑張れ、頑張るんだ!

「でも先生~! ちょっとこれは口の中にいれたくないですよぉおお!」

「一番ヤバそうなのは我慢させているでしょ! ねこます! 錬金術は根性よ!」

 厳しすぎるぅう! さっきもグロテスクな物を口の中につっこまされたけれど、もっとやばそうな物も当然入れられそうになったりはしていた。それについは当然拒否したけれど。

「うごええ。先生、これも生体調合できませんでした…。」

「ということはまだレベルが足りていないって事ね! それらも出来るくらいになりましょうね!」

「ういっす…。」

 生体調合は確実に調合してくれる素晴らしいものなのだけれど、生体調合にスキルレベル的なものがあるようで、そのレベルが見たないと生体調合は出来ないという恐ろしい物だった。つまり口の中に含んだはいいが、そのまま吐き出すしかないとかいう最悪な結果になる。


「あ、姉御。頑張ってクレメンス。ワイも今、魔力を解放する特訓が…ファーー!?」

「だいこんはまだ余裕がありそうねえ。ならもうちょっと厳しくいきましょうか。」

「ファッ!? 待ってくれやでええ!」

 だいこんは、かなりの魔力を秘めているというのが先生の出した結論だった。しかし、秘めているだけでそれを解放する力がほとんどないということだったので、先生から指導されることになった。だけど、今やっているのはほぼ強制的に魔力を解放するようなものなので、だいこんは急激に疲労を感じるようになっているようだ。

「ひぃいい。なんかこれめっちゃ疲れるんやで!? しかもなんか体のあちこちがいだだだ!?」

「それだけの魔力があったのに今までさぼっていたからよ。まったく。むしろ使っていなかったせいせ不健康になっていたのよ。」

「んごごごご!」


 だいこんが苦しそうにしているが、それに構っていられる余裕が私にもない。闇の素などは集中していないと霧散していくし、先生は私がどの程度までの生体調合ができるのかを確認するためにすぐに口の中に素材を詰め込んでくるし。むがぁぁあ。

「ねこます。あなたが生き残るためには、これくらいしないとね!」

「わがっでまずぅうう。」

 ちなみに今、錬金釜で作っているのは、重力爆弾とか言われるものだ。名前的にどんなものかは想像がつくのだけれど、調合に失敗すると、家が吹っ飛ぶかもしれないとか脅されたので、そりゃあもう絶対失敗しちゃだめだろうと、必死になっている。

 こうやって追い詰められることで、能力を底上げしようというのが先生のやり方なのだろう。なんて厳しさだ! 新入社員研修の何倍もきつい!


「はいそこから逆回転!」

「はいっ!」

「次にその玉を入れて! 入れたらひたすら色んな方向に全力で混ぜ合わせなさい!! そんでもってこれを食べて!」

「は、はぶぶぶ!?」

「すぐに生体調合!」

「んぐぐぐぐ!」


メッセージ:爆裂草が完成しました。


ば、爆裂草!? なんだそりゃ!? 物騒だな。火薬草の上位互換的なものか!?

「せ、先生! ばくれつそう、爆裂草が完成しましたっ!」

「火薬草が5個で、爆裂草1個が出来上がるみたいねえ。良かったじゃない!」

 さっき食わせたのは火薬草5枚が束になったものだったか! ふぅう。なんてことするんだ。


メッセージ:重力爆弾が完成しました。


お!? こっちも、完成した!?

「先生! 先生! なんかこっちも出来上がったっぽいんですが!」

「へぇ。それじゃゆっくり取り出してみなさい。」

 おたまのような道具で、中にある丸い球を取り出してみる。おぉ。なんだこれ。直径10cmくらいんの鶏卵のようにも見えるな。あっ。もってみると結構軽いな?

「…。まあまあってところねえ。この、重力爆弾はね、出来がいいほどサイズが小さくなるのよ。それで持ち運ぶのが便利になるから、品質がいいものが望まれているわ。」

 なるほどねえ。だけど、これよりも小さいサイズって、それはそれでなくしたりしそうな気がするんだけれど。


「何を考えているか分かるわよ。今度は小さすぎて困るってことね。そういうのを防ぐための道具もちゃんとあるのよ。はいこれ。」

 渡されたのは、卵パックを大きくしたような入れ物だった。これ、鉄製か? 私が作ったサイズだと6個は入りそうだ。

「こういう入れ物の中に入れて保管しておくのよ。これは、余っていた容器ね。これに入れておけば、暴発するなんてこともないから便利よ。」

 まぁそうだよね。普通に考えてそこらへんに爆弾を置いといたら危ないよね。でも、私の場合はあまり必要ないな。アイテムインベントリがあるから。だけどこれがあればリュックの中に入れておくって事もできるな。


「ありがとうございます先生!」

「どういたしまして。で、それにはあと5個入るから、あとでもう5個作ってもらうわよ。」

「え!? でも品質に差が出た時はって…あ、これ。」

「くぼみのサイズが調整できるのよねーそれ。便利でしょ。」

 なるほど。便利だなあ。でも出来ればサイズを統一してもっておきたいよなあ。

「ところで先生、こういうのは黙っておくのが悪いと思うので言うんですが。」

「分かっているわよ。道具をしまえる空間があるんでしょ? どこからともなく薬草を取り出しているんだからそれくらいは気づいているわ。それでも、よ。そういう力があるからといっても、説明を省いたりはしないわ。」


 先生、本当に親切だな。現実の学校の先生から説明を省かれたりしたことが結構あるけれど、こういうこともきっちり説明して貰えると細かいことに知られるからいいんだよなあ。

「流石お嬢やで! 流石やで! すごいやで! お嬢すごいやで!」

「…褒めたら特訓を休止して貰えると言う甘い考えは辞めたほうがいいわよだいこん。」

「なんやて!? ワイを騙したんか!?」

「…だいこん。まだ余裕がありそうね?」

「ファー!? 勘弁やで! もう無理なんやで! これなんなんや! 尋常じゃないほど疲れるんやで! これならわんころの訓練の方がさぼれる分まだマシやで!」

 いや、そっちもさぼっていたのか。やれやれ。


「もう。しょうがないわねえ。それじゃあ一旦休憩にするわよ。」

「おおお! お嬢最高やで! 女神様やで! ワイもうこの国中にお嬢の事を女神様やって触れ回ってくるやでえええ!」

「やっやめなさい!? そんなことしたら、もっときつい特訓にするわよ!」

「ファッ! 分かったやで!」

 というわけで、一旦休憩する事になった。あー良かった。正直私もこのまま続いていたら耐え切れずログアウトしてしまいそうな勢いだったし。

 まさかゲーム内での特訓が辛くて投げ出しそうになるなんて思わなかった。本当にもうこれゲームなのか? って感じがしてきたし。何をするにもほぼ現実と同じなんだもんなあ。


エリーからのメッセージ:ねこますさん。大変です。ブッチさんが、他のプレイヤー達と戦い始めてしまいました。あたしが絡まれていたのを助けてくれたんですが…そのせいで…。すみません。そのまま抗争になってしまってて…。


 なんてメッセージを受け取った。その先の説明としては、現在ブッチだけが他の沢山のプレイヤー達と戦っている状況だそうで、エリーちゃん達はこちらの街の近くまで転移石で戻ってきたらしい。ブッチは久々に面白そうな戦いということでそのままずっと戦っているそうだけれど、後のことは私に任せると言ったらしい。

 そして今現在、ブッチからメッセージがきていないということは、あいつめ! 楽しんでいるな! プレイヤー達との戦いを! だから私に直接メッセージを送ってこないんだな!


「先生。なんか友達が揉め事を起こしているみたいなので、出かけたいんですがいいですか?」

「駄目よ。」

「え?」

 なんですと。先生。こっちでも何か重要な事があったんでしょうか?

「って言うのは嘘よ。ふふふ。やっとねこますに一泡吹かせてやったわ。」

「うっ。してやられたって感じです。」

 まさか先生もそういう冗談をやるようになるとは思わなかった。

「そういう事ならしょうがないわね。出かけてきなさい。それと、今まで作ったもの全部持っていきなさい。」

「ありがとうございます! あ、だいこんも連れていっていいんですか?」

「結構ぐったりしているみたいだけれど…。」

「ファッ!? 姉御。ブッチニキ達の揉め事とか早く行かないとあかんのやで! パワーアップしたワイの力を見せつけてやるやで!」

「…先生。ところでだいこんって何ができるようになったんですか?」

「魔力を解放するだけで後は何も教えてないので特に何も…。」

 そして訪れる沈黙。え。えぇー。

「ほな行くやで姉御! ワイは実戦で成果を出すタイプなんや!」

「はいはい。それじゃ先生! いってきます!」

「はい。いってらっしゃい。」

 こうして私達は、まずはエリーちゃんの所へ行くのだった。


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