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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第39話「包囲網」

 私は、空に向かって火薬草を投げつけた。このままでは、森林火災より先に私達の体が

先に「蜂の巣」されてしまうと思い咄嗟に行動を起こした。火薬草が上空にいる蜂に触れ

た瞬間、爆発が起こった。数匹は、倒しているだろう。

 蜂は機会を伺っていたのだろうが、私も覚悟するタイミングを見計らっていた。危険が

迫ったら真っ先に火薬草を使おうと、それがどれだけ甚大な被害を出そうが、私は一向に

かまわなかった。

 爆発が終わると同時に、無数の蜂がこちらに向かってきた。戦闘開始の合図となってし

まったようだ。

 火薬草は在庫が大量にある。森林火災のことなど気にしなければ、蜂など一網打尽にす

るくらいは用意している。このような事態が来るかもしれないことを想定して作ったのだ

から当然といえば当然だ。

「だいこんは巨大化!嫌かもしれないけど囮になれ!んでほら!リュックに薬草一杯詰め

込んでいるからこれ食って耐えろ!」


 だいこんにとっては酷なことかもしれないが、毒への耐性ががあるのだから、ここは攻

撃を引き受けてもらうしかない。私達ではまずい。

「うぉおお。ワイも腹を括るでえええええ!」

雄たけびを上げ、巨大化するだいこん。おうっ!今のお前は最高に輝いているぜ!


「ブッチも火薬草使って!ここら辺が燃え広がったらそんときゃ逃げるからよろしく!あ

あとみんなピンチになったら散り散りになってでも逃げてよ!」

誰かが危ないかもしれないからとどまらないといけないなんて考えではいけない。いざと

なったら自分一人でも助かるようにしないとだ。まぁまだ逃げる気はないけど。

「ヒャッハー!これから毎日森を焼こうぜ!」

 火薬草を色んな方向に投げつけまくるブッチ。ちょっと待て、それはまずい。あまり一

気に投げつけまくっても、蜂を見失うし、火や煙が危険だ。これは攻撃感覚が大事なんだよ。

「ブッチ!一気にやりすぎ!ストレスたまってたのは分かるけど自重しろ!」


「ん?森を燃やしながら奥に行く作戦じゃなかったの?」

 はっと思った。確かに、それはいい考えだ。襲い掛かってくる蜂に当てまくり、道を

開く。そして目的である森の奥地に行く。逃げながら戦うようなやり方になるし、一方向

に進めば包囲網からも脱出できるかもしれない。なんだこいつ。結構頭使えるじゃないか。

パワーだけじゃないだろこの野郎!

「よしその案乗った!そうしよう!真っ直ぐ森の一番奥地を目指そう!そんでもって襲い

かかってくる蜂は火薬草で爆発だ!」

「いいねいいね!スリル満点で最高だぜ!はっはっはっは!よっしゃ!行くぞ!」

「ねこますサマ!ワタシハ、ねこますサマヲマモリナガライキマス!」

「ありがとう!たけのこ!だいこん!作戦変更!リュック持ってこっちにこい!」

「なんやてえ!?蛇使いがあらすぎやでええ!勘弁してくれやで!おーイタタ!イタタ!」

蜂の針にさされながらもなんとか逃げてくるだいこんだった。


「モリガ、モエテマス…。」

 走りつつ、後ろを振り向きながらたけのこが言う。本当に燃えている。火薬草をあれだ

け使ったんだから当然といえば当然だ。森林火災が免れることなどできるわけがないだろう。

たけのことしては、故郷を思う気持ちがあるのだろうが、こればかりは仕方がない。

「ブタハモウタベラレナイノデショウカ。」

そっちかよ!!!いやうーん。豚以外でも多分色々いるかもしれないし頑張れるんじゃな

いのかな。ってまた後ろから蜂!

「ワウォーッ!!!」

たけのこが爪で、蜂を軽く3,4匹を切りさいた。そういえばたけのこも強くなってきている

な。こんな瞬殺できるなんてすごいって。


「あぁー爆発させるって楽しいもんだねえ。」

「そうだろそうだろ?そのために薬草狩りしてきたんだからな!私のおかげだろ!」

「やく・・・・そう・・・・・・・。」

おい、どうした。なんで黙る。

「んで、この戦いが終わって草原に戻ったらなくなった分の2倍は集めるからな!」

「何!?くそっ!俺は蜂が憎い!この野郎!死ね!お前らのせいでこの火薬草がなくなっ

たんだ!お前ら!!爆発して死んで爆発しろ!くそが!」

ブッチが突然キれ始める。どうしたんだ一体。蜂がそんなに憎いのか。


「ブッチニキ!気持ちは分かるで!その怒りは思う存分ぶつけるんや!!!」

「おう!だいこん!俺はやってやるよ!蜂なんてこの世から絶滅させてやる!」

「そのいきやで!やったるんや!」

 おうおう、やる気があるのは十分だが、とにかくここは逃げないと話にならないんだ

から攻撃よりも逃げを優先しようよ!

「ブッチドノ!ワタシモオウエンシマス!」

まぁ私もいい加減こんな蜂にうじゃうじゃと追いかけられてむかついていたのですっきり

するっちゃあする。もう余計ないこと考えずに火薬草を投げつければいいだけだからな。

なくなったら草原で集めまくるし。さっき2倍って言ったけどこんなことがまた起こった

ら怖いし、3倍にしようかなあ。


「私も投げるか。邪魔すんなこらぁ!気持ち悪いんじゃオラァ!」

火薬草を投げつけながら奥地に逃げているが、どれだけ倒しているのかは見当もつかない。

それにしても、ここまでやっているのに全く恐れもなく、追いかけてくるのはやはり女王

蜂の可能性が高いな。それと、今思いついたことなんだけれど。

「ねっこちゃん。俺嫌なこと考えちゃった!」

「私もだ!!せーので言うぞ!」

「これ多分無限沸きかもしれない!」

「無限沸きかもしれねえ!」

この考えに行きつくよな。あぁくそ、でもこのタイミングなのがむかつく。

「無限沸きスポットは経験値集めの最高のスポットなのにいい!ってまだくるか!」

<アノニマスターオンライン>では経験値とかどんなものなのか分からないけどね。こう

いうのを倒しても経験値が手に入らないなんてゲームもあるわけだし。


「火薬草はまだまだあるから平気だけど、森はどこまで続いているのかが問題だよね。」

「迷いの森みたいなとこだったらやばいかも。ありえそうでこえーなあ。」

 この状況ならごめんだ。この状況じゃないなら謎解きってことで楽しいんだろうが。

「女王蜂がいる限り、脱出が出来ない可能性は?」

「それが最悪のパターンだな。そんでその女王蜂が実はすごく小さくて、見つけにくいと

かなってるとやばい。」

 嫌なことばかり考えてしまうが、そういう嫌なことから考えていかないといけないくらい

色々とゲームをやってきてしまったのだからしょうがない。ゲーム脳ってやつなのかどうか

は分からないけれど、想定できることは想定するっていう癖がついてきてしまった。

「私達のうちの誰かの体にくっついているとかもありそうだ。」

「とりあえず、もうちょい追っ手を引き離そう!」

「おっオイまさか!」

「肩車だよ!だいこんは小さくなってねっこちゃんの肩に!たけのこちゃんは抱っこ!」

ああっもう!でも木にぶつかったりするなよ!

「俺はドジっこじゃないので大丈夫!よし飛ばすぞ!」

こうして、私たちは森の奥地へ突き進んだ。

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