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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第389話「新しい事を始めよう」

明日追記します!

12/16追記しました

「先生のところでまた錬金術を学んでくるので、だいこん以外とはまたここでお別れだね。」

 私はみんなにそう告げた。ももりーずVご一行は、新天地であるモンスターの国を目指して旅をすることになったからだ。私はと言えば、しばらくはナテハ王国内で、ドーラ先生から闇の錬金術を学ぶつもりだ。

「えー。ねっこちゃんも一緒に行こうよ! 俺が守ってやるからさ!」

「錬金術をもっと学ばないとこれから先やっていけなくなるんだよ! ブッチに守って貰うのもいいけどさー。ここらで私もステップアップしていかないと、やっていけないんだよ!」


 自分の力不足を痛感している。これはいつものことだったけれど、もっと錬金術士としての能力が向上すればやれることは増えるはずだと確信していた。そもそも先生から教わったことはほとんどない。そんでもって、アイテムの種類だとかなんだとかもっと詳しく知れば敵に有効な攻撃手段が増えるし、それ以外でも役に立てるだろう。

 第一、今のほうがおかしい。鎌とか隕石拳でごり押ししているようなものだし。もうちょっと錬金術士らしく道具を工夫して戦うみたいなやり方をしていきたい。般若レディって種族自体が戦闘系に向いているのかどうかもよく分かっていないし。


「姉御、ワイはなんで一緒なんや?」

「私が習得しているスキルなんだけど、だいこんがいないと発動しないのがあるの。だけどそのスキル、だいこんがいても上手く発動しなかったからその練習。」

「ファー!? ワイも一緒に修行ってことやんけ! いややー! ワイはもっと遊びたい年頃なんやで! そんな厳しそうな事したら死んでしまうやで!」

「いや、そんなことにはならないって。簡単なことをやるだけだから。」

「嘘やで! そこのわんころなんて簡単な事とか言いながらワイをゴブリンが大量にいるところのど真ん中に投げ捨ておったんやで!」

 たけのこスパルタぁあ!? 結構厳しくやっていたんだね! 全く気が付かなかったよ。でもそのくらいやらないとだいこんもサボってばかりになりそうだからしょうがないよね。うんうん。


「本当にそんな厳しい事はしないっての。むしろ錬金術の勉強の方が大事だから、だいこんには全然かまってられなくて放置が多くなりそうだし。」

「ファッ!? それはそれで嫌やで! そのうちワイのことが忘れ去られてしまうやんけ!」

「はっはっは。だいこんの事を忘れるなんてないじゃないか。」

 仮に忘れたとしても現実でだいこんを食べる事だってあるんだから、その時にふと思いだすだろうし。という感じで笑ってごまかしておいた。

「ところで、ブッチさん。行く当てはあるんですか?」

「え? 適当にぶらぶらしていればいずれはつくかイッピキメ達が知っているんじゃないのかな?」

「エッ!? バショマデハシリマセン。」

「エエ、ワレワレモナマエダケシカ。」

 …予想していたけれど、あてのない旅ってことだね。道中大変そうだなあ。突然、恐ろしい強敵が出てきたりして、全滅なんてこともありえそうだよなあ。レトロゲームのRPGなんかがそうだった。ちょっと外れた道に行くと、わけが分からないくらい強い敵が出てきて、あっという間にゲームオーバーになってしまった苦い思い出が蘇ってくる。


「ブッチどの。いわばこの旅は武者修行ということでござるか?」

「嫌だなぁ。のんびりした旅だよ。そもそも、俺ら転移石あるんだし、すぐに帰ってくれるんだよ? 無理して色んな所に行くことはないからみんな、安心してよ。」

 そこまでブッチが説明した後でみんな黙り込んでしまった。誰も安心している様子はない。これまで、散々敵と戦いまくってきたようなので、信じてもらえないと言う事だろう。私だってブッチがのんびりした旅なんて言っても絶対に信じないし。どうせ大暴れするに決まっている。

「ブッチ殿はどちらの方角に行こうと思っていますか?」

「そりゃあ北だよ北。多分北に行けば面白いことがあると思うんだ。」


 北ねえ。なんとなく北って強いボスがいるような雰囲気があるんだよなー。寒い地域とか不毛な大地とかにモンスターが沢山いるみたいな設定のゲームが結構あったし。ブッチも、それを思い出して北なんて言い出したんじゃないかと考えてしまう。

「プレイヤー…。他の人間達と遭遇したらどうするつもり?」

「そりゃもう問答無用で命を刈り取るよ。あ、俺からは襲うつもりはないんだけどね。大体プレイヤー達って俺の姿を見ると、新種のモンスターだ! とか騒ぎだしたあと、いきなり武器持って襲い掛かってきたり、魔法で亡き者にしようとしてきたりするから、仕方なくやるんだ。」

 新種のモンスター。何かレアアイテムを落とすかもしれないって思ったら確かに私もやるだろうな。ってそうか、私達は、人間系のプレイヤーから見たら珍獣みたいな扱いになるのか。こいつを倒せば何か凄い事が起きるかも! みたいな妄想をされているってことかぁ。


「ねっこちゃんは、街の中にいるから平和主義で行くと思うけれど、納得がいかないことがあるからって簡単にキれないようにね! 人間が沢山いるから、むかつくことってありそうだしさ。」

 それは確かに言えてる。街に行ったときにナンパ野郎に絡まれたし、スラム街でも変な奴らに因縁をつけられるたもんな。ああいうことが何度も続いたら、それこそ鎌を使って亡き者にしようと実力行使に出てしまうかもしれない。

 うーん。こう考えると私って意外と短気なのかもしれないなあ。だけど前回は我慢できたし、今回もなんとかなるだろう。

「あ、聞いて下さいよ、ねこますさん、ナンパされたんですよ。」

「とんでもねえ命知らずがいたもんだなー!」

「話が長くそうなのでその話はここでストップ! もうそろそろ二手に分かれることにしよう。」


 私は先生のところでしばらく厄介になるけれど、他の皆は野宿みたいになってしまう、か。できればそういうのも解消できる道具を錬金術で作りたいもんだ。

「ねっこちゃん! 俺が人間の姿に化けられるような変身アイテムをそろそろ頼むよ!」

「ああ、そうだね。そろそろ本気で街の中に入りたいよね。」

 そういえば仮にブッチが街の中に入ろうとしたらどうなるんだろうか? 実の所一回も試してみたことがないから、何がどうなるのかさっぱり分からないんだよね。

「モンスターが攻めてきたぞーとかそういうのを一度くらいは見てみたいなあ。」

 ゲームでは、仲間のモンスターが街中に入る事を許さないなんてことがあった。これまで一緒に旅をしてきたモンスターの仲間がおらず、街にいる兵士だとかと一人で戦う羽目になったこともあったな。


「面白そうだし、いつかはやってみたいところだね。」

 そんな感じで軽く雑談を済ませて、ようやくみんな北に移動するのだった。残されたのは私と、私の肩の上にいるだいこんだけだった。なんか寂しさが漂うなあ。

「そういえば姉御。」

「ん? 何?」

「この状況でクロウニンに襲われたらやばいんやないか?」

「それは分かってるよ。だけどねえ。」

 しばらく襲われないってことだからとりあえず安心しておく。仮に襲ってくるにしても多分ジャガーちゃんだろうから、ジャガーちゃんとなら私一人とだいこんのコンビで戦うのも悪くないって思っている。それ以外のクロウニンだったら、運が悪かったってことにしておきたい。


 襲われるかもしれないのだから、しばらくはみんな一緒にいたほうがいいんじゃないかとも思ったけれど、そうなると新しい場所に移動できずに面白みがなくなってしまう。特にブッチ。ずっと街の中にも入れずにこのあたりをうろちょろばかりしてるので、不満が募ってくるだろう。だったら好き勝手に旅して貰ったほうが私とてもありがたい。

 私のせいで、特定の地域に縛り付けっていうのもやりすぎたらいけないし。

「みんな、モンスターの国に入れれば、そっちでは特に周りを気にする必要もなくて良さそうだからねえ。」

「人間達の街というか国は結構窮屈な気がするやで。」

 人と人型モンスターだったらほとんど同じようなものだし、一緒にいても何も問題ない気はする。だけど、人と、人以外の形をしたモンスターの場合は、ちょっと違う気がするからなあ。エリーちゃんは悪魔のサキュバスだけれど、人型だから問題ない感じ。かといってブッチの場合は顔がサイコロ型なので、これが不気味に思われる要因になりかねない。うーん、なんか変な気はするな。


「そういえば、人間とモンスターの対立についても調べておきたいところだね。」

 ゲームでよくある謎として、そもそもなんで人間とモンスターが戦っているのかなんてところだ。領地争いなのか、それともモンスターが侵略を始めたのか、あるいは人間がモンスターから略奪をしたのがきっかけだったのか。魔王がモンスターを率いて襲い掛かっているなんて言うのもあるけれど、たまにそれはおかしくないかっていうのがあるもんなあ。

 たった一匹のモンスターが出てきて、どう考えても弱小モンスターなのに襲い掛かってくるとか。そんな命知らずがいるほうがおかしいと思うんだよなあ。

「だいこん。そこらにブッチみたいな人間が数人いたとして、殴り込みに行きたい?」

「ファッ!? 嫌に決まっとるやないか!? ワイはそんな命知らずやないで!」

…だよなぁ。普通に考えて、そんなことするわけないよなあ。ゲーム的設定で行けば、雑魚モンスターであっても命を捨てて戦いに行くのが基本なんだろうけれど、一匹だけで挑むのなんて無謀だよな。


「あ、そういうことしてって言ってるわけじゃなくてね。世の中の魔王とかが、だいこん一匹で、屈強な人間達を倒してこいって指示することもあるんだろうなって考えてただけで。」

「そんな魔王がおったら、モンスターからも嫌われると思うやで。頭が悪すぎてワイならおさらばするやで。」

 ですよね~! そんな無謀な事するわけがないよね。でもあるんだよなぁゲーム的設定だと。このゲームの魔王がそういうことしていて、聞く機会があったらいいんだけどなあ。あ、でもマオウペンギンだからそいつとか必ず遭遇するかな。

 その時は、モンスター一匹で勇者を倒して来いとか、頭悪いんじゃないですか? なんて聞いてみることにしよっと。


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