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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
388/473

第388話「お笑い担当?」

明日追記しますっ! 

※最近このパターンが多いので、この作品の最新版を読むときは1話前を読むことをお勧めします。

12/15追記しました



「ずるい。」

「ねこます様。そう言われましても…。フ。フフッ。」

「サンショウ。ダメやで思い出し笑いは。ワ、ワイやって笑いたいのを堪えとるんや。だから絶対ダメやで笑ったら。ゲフンゲフン! プ。プ。」

 だいこんの笑い声から、余程面白いことだったらしいのが分かるが、それを共有できなかった私はとても悔しく思ったのだった。

「くっ。こうやって私だけ仲間外れにして、仲間割れを狙った高度な攻撃だったというわけか!」

「は、母上。そんなことはないですよ…多分。」

「大事な魔者がどうなってもいいのですか? だ、だいじなまじゃがどう。ブフー。」


 ブッチがゴーストロガノフの真似をして笑っていた。全くもう。私が合流した途端、みんなして盛大に吹き出すんだもんなあ。それもこれも、あのお笑い担当のせいだ。

「まぁあいつのことは一旦忘れようか。どこか行くか。それとも今日はここで解散するかとか。」

 今は、町はずれの森の方に来ていた。人目につかない位置にはいるけれど、誰か来るかもしれないというのもあったので、ここで全員が一か所に集まるというのもあまりよくない。

「俺は今日眠れそうにないなあ。戦いは楽しかったし、オチは楽しめたし。」

「あたしもですよ。結局最後はねこますさんに譲っちゃいましたけど、まさかあんな。」

 はいそこ! 笑いを堪えない! それだけで羨ましくなっちゃうし、いっそ清々しく笑いまくってくれた方がいいし!


「それで、結局あのお笑い担当はどうしたの?」

「というのは軽い冗談でした。みなさんの大事な魔者は生きていますのでご安心を。では失礼致します。って冷静を装ってたよ。」

 逃げた! 逃げたのかあいつ! うわぁ恥ずかしい! 恥の上塗り! 流石お笑い担当! なんかもう逆に私まで恥ずかしくなってくるよ! よく取り繕うことができたな。今頃は恥ずかしさと悔しさで地団駄でも踏んでいるんじゃないだろうか。それとも今回の件で腹が立って、必ず私をあの世に送ってやるとか決意しているんだろうか。


「ねこますサマ。アイツノナマエハ、オワライタントウニカワッタノデスカ?」

「まぁね。だってどう考えても笑うでしょ。たけのこだって笑ったでしょ?」

「イ、イエ。ワタシハ、ねこますサマガ、シンパイデシタシ。フ。フ。フーッ。」

 あ、これ息が荒いんじゃなくて、笑いをこらえているんだな。どれだけ面白かったんだよ。

「わんころさえも笑いをこらえるのに必死なんやで。」

「ダ、ダレガ、ワライヲコラエルナドト。フ。フ。」

 あ~! 見たかった見たかった! お笑い担当の生ライブが見たかった! くそう。次に会った時は私の目の前で披露してくれよ!


「それじゃあ、ひとまずお笑い担当の事は置いといて、これからどうしようか。」

「次のクロウニンは襲い掛かってこないの?」

「一匹倒した後はしばらくないみたいだよ。そのしばらくがどれだけなのかは分からないけれど。」

 このしばらくという表現は、あまり良くないものでもあるんだけどね。なので、ゲーマーはこういう曖昧な言葉に対して、どの程度の物なのか具体的な数値を検証することが多い。

「しばらく待つってゲームで言われて1時間待ってたことあるなあ俺。そしたらゲームが動かなくなってたみたいで時間を無駄にしたよ。」

「あたしは、しばらく待っていたのでちょっと目を離したすきに勝手にゲームが進んでて困りました。」


 私は、ゲーム内であるアイテムがあぶり出しで文字が浮かぶようになっているとかあったから待ってたときに、今どのくらいかなって確認でコントローラーのボタンを押したら失敗ってなったことがあったなあ。という感じでこういう曖昧な表現があると警戒してしまうことがある。

「結局、どのくらいで襲い掛かってくるのかは分かってないから、いつでも戦える準備はしておかないといけないね。」

「まるで暗殺者に狙われているかのようだ。」

 …確かに。心休まる日がこない感じ。クロウニンを徹底的に倒すまで私に安息の日はないのか。でも別に毎日<アノニマスターオンライン>だけやっているわけでもないし、そういうので疲れるようならプレイしなきゃいいだけだしなあ。


「それじゃあさぁ、ここ以外の街を探しに行くとかはどう?」

「そうだね。別にこのナテハ王国とやらだけにいなきゃいけない理由はないしね。」

 世界はかなり広大なはずなので、ここから色んな所に冒険する事はできるだろう。

「俺らみたいなモンスターとかでも受け入れてくれそうな国とかさぁ! 探したくない!?」

「ワレワレヲウケイレテクレル…?」

「ソレハ、モンスターノオウコクノコトデスカ?」

「え。もしかして何か知ってるの?」

 何か急にイッピキメとニヒキメが食いついてきたのが気になった。

「モンスターノオウコクハ、ドコカニアリマスヨ。ソコニハ、マオウガイルハズデス。」


「魔王!!?」

「我も知っていますよ。そこにいる者こそが、クロウニンが一匹、マオウペンギンです。」

 なんだってー!? というかサンショウ! そういう情報を知っているなら出しなさいっての!

「魔王とかマジ強そうだけど、ペンギンかぁ。ペンギンの魔王かあ。戦ってみたいなぁ。」

 急にうずうずし始めるブッチがいた。あぁ、強い奴がいるかもしれないっていうと、わくわくしちゃうって例のアレだね。楽しそうで何よりだ。だけどそれよりも。

「サンショウ、もしかして他のクロウニンの事も知っているんじゃないの!?」

 これまでみんなにもクロウニンの話はしているはずだけれど、何か知っていることがあれば教えてとか言ってきたのに、今さら知っているかのような態度が気になる。もしかして、クロウニンを一匹倒すごとに何らかの記憶が蘇るとかいう仕組みなのかもしれないなあ。


「とても大きな象。それがエレファントボスになります。そしてタイショウイカ。こいつは海を統べる者などと言われていたはずです。」

「ねこますサマヲ、メノカタキニシテイルノハソイツラナンデスネ?」

「そうだね。ということは、モンスターの王国は私が入れそうにないって事になるかな。」

 モンスターのための王国なのだろうが、魔王でありクロウニンでもあるマオウペンギンとやらがいるのであれば私が入るのは難しいだろう。それと問題なのは、そのマオウペンギンを私が倒してしまった場合、モンスターの王国の大混乱を招くに違いない。だから迂闊にはいけないな。

「人間達の国にはブッチが全然入れなかったけれど、モンスターの王国では私が待機だね。」


「なんでチウ? 第一ご主人が入ると何かダメチウ?」

 マオウペンギンが私にいきなり襲い掛かってくるかもしれないということを説明しておく。それだけでなく、他のクロウニンも、魔者に襲い掛かるような衝動を持ち合わせていることを改めて説明しておくことにした。

「強い奴から狙われ続けるなんて超羨ましい!」

「ブッチニキ。それはブッチニキだけやで。普通は嫌がるもんやで。四六時中襲われるなんて、夜なんてまともに眠れないやで。」

 そうそう、だいこんの言う通りなんだよね。どこからか襲い掛かってくるかもしれない奴がいるなんて安心とは無縁になるわけだ。これがゲームだから軽い気持ちでいられるけれど、現実においては、いつどこで敵に襲われるか分からないなんてなったら発狂してしまいそうだ。


「マスター。マスターはそんなクロウニンと戦う宿命にあると言うのであれば、今よりも更なる力を手に入れなければいけないのではないですか?」

 真剣な面持ちでこちらを見てくるくろごま。そりゃあね。もっと強くなろうとしないと、この先やっていけないからね。あっ。そういえばそうだ。ネガティブータの指輪を手に入れたし、装備してみるか。


メッセージ:ネガティブータの指輪を装備したことでスキル「肉生成」と「分身」を使えるようになりました。


 う、うーん。なんだかゲテモノなスキルと割と使えそうなスキルが使えるようになったな。ちょっと使ってみるか。

「肉生成。おもっ!?」

持ちきれないくらいの大量の肉が、突然手の上から出現した。

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」

 ここでいきなりたけのこが吠えた。ど、どうしたたけのこ!?

「わんころ。いきなり叫ぶんやない! 姉御も驚いてるやんけ!」

「ウォ…!? ス、スマン。ハフハフ。」

 おぉ…。たけのこがだいこんにまともに謝罪する場面なんて滅多に見れないってのに。で、そんなに大量に涎を出しているってことは食べたいって事ね。でもこれ食べても大丈夫なのかな。


「ねっこちゃん。なんでいきなり肉が出てきてんの?」

「ネガティブータを倒してから使えるようになった。肉生成とか。」

「に、肉生成!? ねっこちゃんがまたおかしなスキルを覚えたのか!?」

 または余計だけれど、おかしなスキルと言えばそうだった。何もない所からいきなり肉を生み出すとかどれだけ凄い力なんだよ。あ、私の魔力とかスキルポイントとかは使っているのか。あ、それともアイテムインベントリにある肉が減っているってことは…ないな。ということはやっぱり無から有を生み出しているって事か。やばいなこのスキル。


「ア、アノ、ねこますサマ。コ、コレハタベテモ?」

「あ、ちょっと待って。軽く焼こうか。狐火っと。」

生のままでは食べない。生食はしない! 昔はしてたけどもうするつもりはない! ということで焼いて食べることにしたんだけれど、ブッチとエリーちゃんはなぜか口を抑えていたね。後でこの二人にはお説教だね。

「ウマイ! ウマイデス!」

「あっ!? まだ生焼けだよたけのこってば!」

そんながっつかなくても。なんて思っていたけれどほぼ全員涎を垂らしているな。臭いが凄くいい。何なのコレ? もしかして高級な肉なのか? おいおい、ネガティブータ、なんてとんでもないスキルをよこしてくれたもんだな。これがあればゲーム内の食糧問題が解決じゃないか!


「あ。あー。まぁネガティブータを倒したことだし、ここらで肉を食べて祝杯を上げようか。」

「おっしゃー! がっつり食べるぜ! 現実では悲しいオチだけど!」

「そうですね! 現実では…。」

それは言わないお約束だよね。まぁ私も食べるとするかな。


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