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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第376話「赤鬼」

すみません。ついにまた投稿をミスしてしまいました。

今日中に頑張ってあげたいと思います。12/3 2:48追記しました。

本当にすみませんでしたorz

「貴様から名乗らんかぁ!」

「うるさい! お前から名乗れ!」

 このやり取りを何度も繰り返しながら、私と赤鬼は激突していた。私は、強情な赤鬼をなんとしてもぶった斬りたい一心で鎌を振り回すが金棒で防がれてしまう。

「貴様ぁ! いい加減にせいよ! 名前を尋ねる時は自分から名を名乗るが礼儀であろう!」

 今度は、赤鬼が私に金棒を叩きつけようとしてきた。こいつこそいい加減にしろっての。私はそのやり取りが大嫌いなんだよ。なんで大嫌いなのかって? もう見飽きたやり取りだから。後は、このやり取りをすると相手の方が偉そうな感じがするのが気に入らないから。更に言えば、こちらが誰だお前と聞くときなんて大体は不審者か怪しい奴だから。

 なので、自分が何も悪いことをしていないというのなら、さっさと名乗ればいいじゃないかと思う。なんて理由を述べてみたけれど、私が気に入らないからっていうのが一番の理由だな。


「浮遊!」

「うぉっ!? うぉ!?」

 体が一瞬だけ浮きあがったことで、大きく姿勢を崩した赤鬼だった。相変わらず浮遊は使えるスキルだなぁと思ったところで、隙を見逃さず、赤鬼の左足を斬りつけた。当然、黒薔薇の型を使ってだ。

「ぐっあぁああ!? ぎぎぎぎぎ!?」

ようやくこいつに一泡吹かせることに成功したというわけだが、足そのものを切断する勢いで攻撃したって言うのにそこまでには至らなかった。どれだけ頑丈なんだ。だけど真っ赤な血飛沫が飛んできているのである程度のダメージは与えたことだろう。

 しかし、このままだだと、攻撃を堪えた赤鬼からすぐさま反撃される予感がしたので、更に攻撃を仕掛けることにした。


「雷獣破!」

 左手で雷獣破を放ち、先ほど傷つけたばかりの赤鬼の左足へぶつける。ここで徹底的に赤鬼の左足だけ攻撃して動けなくしてやろうという作戦を実行する事にした。

「ぐぎぎぎぎ!? ががががあ!? あ、足をおお! 貴様ぁぁあ! ぐぅう!?」

 絶叫する赤鬼。同じ所を何度も狙われたらそりゃあ痛いよね。だけど私はやめるつもりはない。こういう巨大な相手は一点集中でもしないと、なかなか攻撃の隙ができないのだから、勝つためにはやる。

 雷獣破から放たれた電撃で、赤鬼の左足は黒ずんでいた。だというのに、まだ赤鬼は立っていた。とはいえ踏ん張りがきかなくなっていたようで、よろよろしていたが。

「う、ぐ。あ。おうっ!?」

どうやら大分無理して立っていたようで、ふらついた後、その場に倒れてしまった。よし! いい感じに効いているようだな! まだまだやるぞー!

「ほいほいほいほいっ!」

 左足に火薬草を投げつける。起き上がれなくするために、いくつも投げつける。

「ぐおおお! 卑怯な! このようなやり方! 卑怯なりぃいい!」


 どこが卑怯なんだろう。この赤鬼ってかなり筋肉質なので、まともに戦ったら私が負けるに決まっているだろう。そこで知恵だよ知恵。私のようなか弱い般若レディが。分厚い筋肉に向かって同じように筋肉で挑むなんて馬鹿げたことをするつもりなんてないよ。

「どうしたー? 名前を名乗るつもりになったか?」

「貴様から名乗るのが筋だ! うおおぅ!?」

 久々に電撃の鞭を取り出し、赤鬼の左足を何度か叩きつけた。その瞬間、赤鬼は全身を痙攣させ、うめき声を上げたのだった。


「ぐおおおお!? もう許さん! ここからは本気で行かせてもらう!」

 え? 今まで本気じゃなかった理由は一体なんなんだろう。やっぱり私をなめていったことなんだろうか。あー、腹立つなー。こういう奴にはもっとお仕置きが必要だな。おらおらぁ! 電撃の鞭だ! どうだ! 苦しめ!

「ぐぁぁぁぁぁ!? このぉ! 絶対に許さん! ぐおおお!」

 赤鬼は、痛みをこらえて立ち上がったようだ。で、たまに思うんだけれど、怒った時に、叫び声をあげてくる敵が多いけれど、そういう叫びたくなるウイルスにでも感染しているんじゃないのかなんて思ってしまう。


「ぐ…ふふふぅ。この俺様は火の力を自在に操ることができるのだ。さっき貴様が投げつけてきた草も大して効いてはいなかったのだ。くっくっく。今からその力を存分に振るってやろう! ハァァ!」

 赤鬼の体全体から赤い水蒸気のようなものが上がり始めた。

「ウォータープレッシャー! フリーズストライク!」

 ひじきが、魔法で大量の水を放った後にすぐさま、大きな氷の塊を放った。それが赤鬼の全身に当たり、赤い水蒸気はすっかり消えてしまった。

「…あ?」

 口を開けてぽかーんとする赤鬼。なんだこいつ。馬鹿なのか? 火の力を自在に操るとかなんとか自分で言ってたんだから、それに警戒してひじきが水と氷の魔法をかけたんだろうが。これから暴れますよって宣言したらそりゃそれを抑えるために対策しますよって話だろう。


「…がぁぁぁ! 火の力よぉおお!」

再び、赤鬼の体から、赤い水蒸気が上り始める。

「ウォータープレッシャー! フリーズストライク!」

 ひじきがさっきと全く同じ魔法を放った。またしても赤鬼に命中して、元通りになる。いや、そりゃそうだよね。そんな無防備な状態を誰が放っておくんだよ。というかネガティブータにしろこいつにしろ、なんでこっちが待つと思っているんだ。アホなのか。ネガティブータに連なるものはみんなこういう風にアホだというのか。

「いやいやいやいやいや!? 何をしているんだ貴様! 今から本気を出すと言っているだろう!? なぜ邪魔をする!」

「本気を出したら強くなりますよね?」

 ひじきが赤鬼に問う。

「当たり前だろう。そのための本気だ! 我が本気になれば何倍もの強さを発揮するぞ!」

「そうですか。じゃあそんなことになったら母上が困るので止めますね。」

「…。」


 この場にいる全員が沈黙した。何とも言えない空気が流れる。ひじきの言う通り、私はこの赤鬼に本気を出されたくないので、本気を出させないように邪魔するに決まっている。ここにいるのがブッチならまだしも、私は別にこいつと戦いたいわけでもないので、さっさと倒せる戦い方を選ぶ。

 この赤鬼は、なぜか自分が本気を出すまでこちらが待ってくれるものと思い込んでいる。ここは戦場だというのにそんな甘い考えが通用しないと言うのがなぜ理解できないのか。そういえば正々堂々がどうとか言ってた気がするけれど、そんなの私達には知ったこっちゃないんだよね。

「な、なぜだ! 本気を出した我と戦えるのだぞ!」

「そんなの嫌だし。本気を出さないまま戦った方が楽じゃん。」

「正々堂々と全力を出した相手と戦うのが勝負だろう!?」

「そんなことをしたいのはお前だけ。私達はしたくない。そう思い込んでいるのは自由だと思うけれど私達が聞く道理はない。」


 愕然とした表情でこちらを見つめてくる赤鬼。なんなんだよこいつは。私達は遊びで戦っているわけじゃなくて生きるか死ぬか、命を賭けて戦っているんだろうが。

 たまにこういう輩がいたりするが、死んだら全て失って終了するという考えがないのだろう。私はゲームで失敗して様々な物を失ってきた。そうして失意のどん底に落とされたことも多々あった。負けると言うのは全て失うというのと同じだ。だから、勝つためには手段を選ばないというのはよくあることだろう。正々堂々、全力を出して戦う? それは、死ぬことのない場所でだったらいいだろう。だけどここは違う。負けたら死んでしまう。私がデスペナルティをくらうだけならまだしも、だいこんや、今だとひじきもかもしれないが、この二匹が二度と復活しなくなるというのなら四の五の言ってられない。

 そういうのがこいつは分かっていないのか?


「な、なんとしてもこの我が本気になるのを邪魔しようと言うのかこの卑怯者どもめが!」

「なんとでも言え! こっちは命がかかってるんだよ!」

 私は赤鬼に向かって特攻した。こいつにかなり腹が立っている。

「恐竜力!」

私の体に力が漲ってくる。もうこいつは黙らせてしまおう。私と相性がすごく悪い敵だ。私はゲームを楽しくプレイするのが好きなのだが、どうもこいつのやり方が気に入らない。というわけで、さっさとあの世に送ってやるに限る。

「んぐぅうう! 今度こそおおお! これが我の本気だぁぁぁ!」

 …こいつ、ふざけているのか? だからそれはひじきが止めるに決まっているだろう。

「…ウォータープレッシャー。フリーズストライク。」

 あ、ひじきもどこかうんざりしているような声だった。この赤鬼なんかしつこいもんね。


「な、なんなのだ!? なぜ我が本気を出すのを邪魔する!? 本気を出して正々堂々戦う事こそが我ら鬼の性ではないか!?」

 そんなことは知らん。いくら私が般若レディでそれが鬼として扱われてようがそんな事は知らん。私は別に自分を鬼と思ったことはないし。

「私は本気を出しているぞ!」

「ちっ! 違う! お互いに全力で本気を出してぶつかり合うことが我々の美徳ではないか!」

「だああああもう知らないって言ってるだろおお! いい加減にしろおおお! もうぶった斬る!」


 最初から問答無用で斬りかかってしまえばよかった。敵とこうやって会話するのも本当はしたくないんだけれど、こいつが最初に名乗らなかったことが尾を引いてしまった。

「ぐ、ぐおおお! 何たることだ! このままでは! ぐうう! ぬあああああ!」

 赤鬼もようやくこの状況を覚悟したのか、両手で金棒を持って私の攻撃を迎え撃とうとしている。やっとか。最初からやれることをやってくれればいいってのに全く。


「うっ。ぐっ。こんな、このような不完全の状態で! 戦うことになるとは!」

 それが戦いってもんだろうよ。状態異常にさせられたり、不意打ちをくらったり、あるいは罠を仕掛けられたり、仲間との連携を高めたり、そうして敵を倒すっていうのが大事なんじゃないか。私は赤鬼を倒すためにとにかく足狙いをしてきたわけだし、それが狡いなんて言われようが知ったことではない。

「これで終わりだああああああ!」

「ぐっぐそおおおおおお!」

 恐竜力の効果が上乗せされた状態で黒薔薇の型を使っている。この勢いなら、確実に赤鬼を仕留められると言う確信があった。絶対に行ける!

「だりゃああああああ! 真空波!」

「烈風破ぁぁぁぁあ!」

 私は更に真空波を放ちながら鎌で赤鬼を斬り裂いた。その時発射された真空波は、漆黒の刃となっていたのを私は見た。黒薔薇の型の力が真空波にも宿っていたようだった。それが、赤鬼の烈風破とやらを吹き飛ばした後、金棒を破壊した。更に、赤鬼の全身全てを斬り刻む。


「ぐぉあ…。見事だ。」

 そして赤鬼は倒れた。ふーっ。なんか微妙な戦いだったけれど終わったー!


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