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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
373/473

第373話「豚の石像の正体」

明日追記します!

11/30追記しました!

「そういえばモンスターが出てこないね。」

 雑魚でも何でもいいから出てきてもらえればある意味、安心ができるのだが、こうも謎解きだけさせられ続けていると、不安になってくるな。単純に力任せでいかないっていうのがこちらの不安を煽ってきているかのようだ。

「ワイは出てこない方が安心できるやで。こんな状況で襲われたら二重の責め苦やで。」

 確かにそうとらえることもできるか。頭を使わなきゃいけないのにモンスターからも襲われるのはむしろ止めて欲しいってことなのか。私は安心できるんだけれどなあ。

「それで、ここからどうするんや姉御。」

 最後の行き止りの付近を調べた後から二か所目の行き止りにたどり着いた。周囲を調べているがおかしな点は見当たらない。豚の石像も壁も床も天井も全て調べた。ここは、外れだったようだ。

 当然、行き止りの壁も鎌で攻撃してみたが、新しい道が拓けるなんてことはなかった。ただの壁があっただけだ。結構奥まで壊してみたのだが、ずっと壁しかなかったので途中でやめた。


「何か変わったところはないんだよねえ。」

 どうしたもんかと思いふける。また二か所調べただけだ。たまたま運が悪かったと言えばそうなのだが、総当たりの作業をするべきかが焦点となってくる。確かあと8か所ほどか。このくらいなら全部移動してもいいんだけれど、実はここが正解でしたなんてことがありえそうなのが嫌な所だ。

 何か実落としていないかを調べないといけない。例えばここの豚の石像だけ他と何か違う点はないのかとじっくり見て行かないと。

「豚をじっくり眺めないといけないとかなんだかね。」

「これが本物やったらわんころがかぶりついてそうやな。食い意地がはってるから今頃はこの石像を見て涎をだらだら垂らしているんやないか?」

 石像だしそんなことはないだろうと言いたいところだったが、たけのこならありそうだなあ。なんか想像したら和んだ。


「他の皆も同じような状況だろうからね。私達が頑張らないと。ああそうだ、ひじき召喚。」

「母上はいつも突然召喚しますね…。それで、何か調べたいことがありますか?」

「このあたりの魔力感知とかできないかなぁ。」

「かしこまりました。」

「ひじきちゃんは真面目やなぁ。それに比べてわんころは、どうしてあんなに食っちゃ寝することしか興味がないんや。」

 たけのこが食っちゃ寝好きなのは本当なので否定する事ができなかった。だけどそこがいいんじゃないか。私はたけのこが好きだぞ。狼らしいと言うかなんというか。それにしても、だいこんもこうしてたけのこの事を話題に出すって事は結構好きだったりするんじゃないだろうか。

「あの、母上…。」

「おおっ!? 何か分かったのかひじき!? 流石だよ! おかあさん嬉しいよ!」

「流石やでひじきちゃん! マジ頼れる仲間や! わんころのような食っちゃ寝しか興味のない奴とは大違いやで!」

 ひじきが何か言いたがっていたが、とりあえず先に褒めておくことにした。これは何か分かった時の態度な気がしたし! うちのひじきは超優秀だ!


「え、あの、そんなに期待されると困るのですが、その、ここの石像と壁なのですが。」

「ふんふん!? ここの石像と壁が!?」

「なんやてええええ!?」

「まだ早いっての!」

「こりゃたまげたやでぇ!」

「だから早いっての! そういうのいいから!」

 テレビ番組でよくあるコマーシャルに引き伸ばしするようなことはやめろと。こういう風に焦らされるのが私は好きじゃないんだ。

「この壁や石像ですが、魔力で出来ています。それも、とても高密度の魔力です。」


 高密度の魔力。ということは、本物の石ころってわけではなくただの魔力の塊ってことか? ネガティブータが作り出した魔力的な物質?

「豚が魔力を持っているとかおかしいやで。ただの脂肪の塊やないんか。」

「いや、豚って脂肪の塊なだけじゃないから。」

 そうだよ。豚がただの脂肪の塊なわけないだろう。栄養価が高く、って何を説明させようとしているんだ全く。


「それで、母上ならこの魔力を吸収してしまえるのではないかと思いまして。」

「…あー。魔力で出来ているなら、いけるのかな。」

 漆黒の壁を吸収したみたいな勢いで出来るって事なんだろうか。だけどなぁ。うーん。

「よっしゃ! 姉御! 脂肪吸引やで! この脂肪の塊を姉御の物にするんや!」

「だから私が言いにくそうにしていたことを言うなっての!」

 いやぁ別にこれが脂肪だとか言うつもりはないんだけれど、高密度の魔力なんて言われるとね。こういうのを吸収し過ぎたら私が爆発してしまうんじゃないのかなーなんて思って。あれ、でもそう考えるとヴァンパイアロードの時はよく爆発しなかったな。あれもあれで危険だったってことになるのか。


「姉御。吸収したらすぐに吐き出せばええんやないか。」

「そうだね。吸収した魔力を解放すればいいのかもしれない!」

 ここで吐き出すとか満腹になって吐き出すみたいな感じに聞こえるのでやめて欲しいなあ。

「あ、それなら私に魔力をいただけませんか? 私なら大量に魔力を宿すことができますし。」

「ほうほう。それは名案だね。でも、吸収している最中にそのままひじきに魔力を上げるってできるの?」

「ええ。大丈夫です。あ、母上も魔力が欲しいなら別ですが…。」

 私は別に欲しいわけじゃないから大丈夫だなぁ。あ、別に脂肪の塊とかいうのを気にしているわけじゃない。特別魔力を使わなきゃいけない理由がないからね。


「ひじきに上げられる分は全部あげるから大丈夫だよ。というわけで、早速やってみようかな。」

「姉御頑張ってやで!」

 だいこんの声援を受けるが、どこかからかい口調な気がしてきた。まぁいいか。

「吸収!」

壁に右手を当て、吸収を使ってみる。うわっ、なんかいきなり右手が真っ黒くなっているけれど、大丈夫なのかこれ。魔力の塊とか言うけれど、高脂肪というか取り過ぎたら栄養過多になって病気になりそうな気がしてきた。こ、これは早めにひじきに渡さないとまずい気がしてきた!

「ひじき! 魔力! 魔力貰って!」

「では遠慮なく!」

 私の右手から吸収された魔力が、ひじきへ受け渡されたようで、真っ黒だった手が元通りになった。こわいなーこれ。


「…これ結構怖いんだけど。ひじきは大丈夫?」

「ええ、魔力の塊をこれほどいただけて、力が溢れてきます。」

「それはつまり、姉御の持っている魔力では、今まで栄養失調やったってことやないんか?」

「うっ。」

 そういえば私って魔力がそんなにないんだったっけ。となると、ひじきは私のせいで成長があまりなかったとかそういう風になってしまうんだろうか。

「だ。だめなおかあさんでごめんね。うっうっ。そうだ。ここにいるだいこんを食べる?」

「なんでワイやねん!?」

「い、いえ結構ですし、母上の魔力でも日頃十分いただいてますので大丈夫ですよ。」

 なんていい子なんだ。よし、それじゃあもっとこの魔力の塊を吸収してやらないといけないな。


「吸収!」

今度は両手で吸収をする私だった。またしても手が黒ずんでいくが、それがすぐさまひじきに流れ込むため、問題なさそうだ。

「どんどん吸収行くよ!」

「はいっ! お願いします!」

 壁からどんどん魔力が流れ込んでくる。すると近くにあった豚の石像が崩れ去っていく。ああ、魔力がなくなって維持できなくなってきているってことなのかな。これはいいな。このままどんどん吸収し続ければ、このダンジョンも消滅するかもしれないね!


「どんどん吸収していくよおお!」

 なんて言ってたら、本当に吸収する速度が上がったような気がする。もしかしてこれもスキルの慣れみたいなものなんだろうか。まぁ早いに越したことはないし、ガンガンやっていこう。

「すごいです! 力がみなぎってきます!」

「おお、それは良かった!」

 栄養失調というわけではなかったみたいだけれど、折角ここで大量の魔力が手に入るんだったら、ひじきには沢山魔力を分け与えてあげないとね。でも、それを受け止めきれるひじきってどういうことなんだろう。無尽蔵に魔力を蓄えることができるなんて凄すぎじゃないか? これって仮にもクロウニンの一匹の魔力だし。それを溜め込めるって、まさか! うちのひじきは優秀だった!? というわけじゃないか。確か黒アゲハ様とか言われていた気がするし、潜在能力とか、もしかしたらすごいものだったりするのかもしれない。

 今だってガンガン吸い取っているのに、全然なんともなさそうだし。それともなんだろう。ネガティブータも実は大したことがなかったりするんじゃないのかなー。

「壁がどんどん薄くなっていくやで! すごいやで!」

 見ると、周囲の壁と、床もだったが、その全てが透けて見えるようになってきた。これは全て魔力で構成されていたというのが確定した。

 …考えてみれば、魔力を塊にすればこういうダンジョンなんかも作れるっていうのがすごいな。これを応用すれば、武器も魔力で作れたりするんじゃないだろうか。魔力を超圧縮、あるいは凝縮すれば、できそうな気がする。


「…あれ!? ひじき、サイズが!? というかその姿はああああ!?」

「はい! 進化してみたいです!」

 え。えええ! そんな!? 今まで蛾だったのにアゲハ蝶になっているじゃないか! いやまぁ分かっていたけれどね! 黒アゲハとか呼ばれていたし! でも、サイズもかなり大きくなっている! 

大体150cmくらいかな。なんか威厳もありそうな感じだし!

「おおお? おめでとう! だけど、このまま魔力吸収続けても大丈夫?」

「まだまだいけますよ!」

 …まじか。どれだけお腹を空かせていたというんだろうか。

「姉御はひじきちゃんにご飯も食べさせてあげられなかったんやな!」

「そういうちょっと心に刺さる言葉を言わないでくれる!? まったくもう! だったらここで魔力食べ放題だよ! これならいいでしょ!」


 ひじきにはここでたらふく魔力を食べてもらうしかない。これから先だって私の魔力の総量なんて全然増えないだろうし。あ、というか魔力を食べるってなんだよもう! だいこんのせいで本当にこれが脂肪みたいに見えてきてしまったじゃないか!


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