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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第37話「ハッチ・ブッチ・フォレスト」

 30cmもある蜂なんて二度と見たくないと思っていたのだが、一匹倒してから相次いで襲

撃されることになった。だいこんが気づき、ブッチが先制攻撃で倒すという流れでなんと

かなっているのだが、襲撃の度に数が増えている。2匹、3匹、4匹。これは、完全に蜂を

怒らせている流れだろう。

 こんなでかい蜂がいるということは、それだけ大きな巣があるということだと思うが、

そんな大きな巣なんて見たくないし、うじゃうじゃいる蜂なんてもっと見たくない。そん

な巣など燃やしてしまえとしか思えなかった。

 そうそう、いつもはこういうモンスターを倒すと、たけのこが真っ先に食べようとして

いたけれど今回は見向きもしない。やはり毒があるからだろうか。

「たけのこは蜂を食べたりしないの?」

「マズソウデス。」

 そういうものだよね。30cmもあるでかい蜂とかまずそうだよね。


「蜂蜜なら美味いんだろうなぁ。この蜂はスズメバチとか凶暴そうなタイプだから巣に蜜

なんてなさそうだけどね。」

「なんや。百害あって一利なしやんけ。」

 だいこんの言う通りだ。こいつらを倒しても特にアイテムなんか手に入るわけではない

し。針でも採取すれば毒として役立てることができるかもしれないけれど、触って毒にな

ってしまったらたまらない。

「死骸にも気をつけないとだよ。死んでいても何かの拍子に針が飛び出したりして危険な

んだよ。」

 ブッチはひょっとして、現実では蜂に刺されたことがあるのではないだろうか。妙に詳

しいし。子供の頃に蜂の巣に石ころ投げて遊んでいる男子がいたけれどそういう好奇心が

抑えられないタイプだろう。

「ブッチは蜂に詳しいんだな。」

「そりゃあ俺、子供の頃に蜂の巣に石ころ投げて遊んでいたし。」

 おい!私が思っていたことそのまんまじゃないかこいつ。だめだこいつ。典型的なバカ

じゃないか。

「ブッチニキは怖いもんしらずなんやなあ。怖いもんはないんか?」

「いやーちょっとそこの般若なレディさんとかビビっちまいますぜ」

「か弱い般若レディに何を言うかバカタレ!」


 ブッチは、私を何だと思っているんだよ。

「この流れはもういいから先に行こう。とにかくこの森の奥まで行けば、何かがあるかも

しれないんだしさ。」

「オイシイエモノガイルトウレシイデスネ。」

「そうだね。食べられるものがいいね。」

 豚、しまうま、兎、鮎を食べたが、まだまだ食べたいものは沢山あるなあ。まあ<アノ

ニマスターオンライン>内部では、満腹感を得ることができるけれど、ログアウトしたら

それもなくなってしまうんだけどね。

「ブッチニキ。また蜂の気配がするで」

「またかー。今度は5匹かなー。」

 嫌な報告が入る。そろそろブッチ一人で一気に仕留めるのは難しいんじゃないだろうか。

あと絶対あちらさんも一層警戒している可能性があるから、まずいかもしれない。


「そろそろ、色んな方向から、襲われるかもしれないし、ブッチと逆側の方向を私とたけ

のこで戦うよ。」

「おっ。そうだね。俺もそろそろ取りこぼしでるかもなあなんて思っていたところだよ。

分かった。そっちは頼むよ。」

 たけのこと一緒に、ブッチと反対方向を警戒する。カチカチと音が鳴る!茂みから4匹

30cmの蜂が出現して向かってくる!

 私も蜂へ向かって走り、鎌を持って私は一気に2匹を斬り裂いた。意外にあっけない。

あっけないが、後ろにまだ他の奴が控えている可能性もあるので油断はしない。

「ウォウウ!!」

 たけのこが、吠えると同時に、爪で蜂の胴体を切りさいた。蜂は結構柔らかいのかもし

れない。まぁこれで堅かったら、それこそ狐火を使わなきゃいけなくなるので良かった。


「おっ。そっちも終わっているね。早いねー。」

 ブッチは楽勝だったようで、もう4匹を叩き潰していた。だけど。

「ブッチ後ろ後ろ!」

ブッチの後ろから、もう1匹の蜂が襲い掛かっていた。

「わかってる分ってる。ちょっと遊んでいるだけだよ。」

ブッチは即座に後方に向かって張り手を繰り出した。

「どすこーい!っとね!」

蜂が思いっきり突き飛ばされて、木にたたきつけられる。そしてそのまま動かなくなった。


「たまには力士っぽいことしておかないとなあって思ってね。」

「素手のほうが強い気がしてきた。」

「力士だから当然だよ!」

それはそうなんだが、武器より筋肉のほうが強いってどうなんだ。

「で、なんで気づいていないふりをしたんだ。」

「ああいう騙し討ちしようとしている奴を騙し討ちするのが大好きなんだよ。」

ああ、なんかそういう趣味持ってそうだよなあブッチって。

「ブッチニキは卑怯者には鉄槌を食らわすんやな。」

「そうなんだよ。今のは張り手だけどね。はっはっは。」

いや、別に面白くはないぞ。


「まあ真面目な話すると、俺たち、蜂に囲まれているよ。絶対にね。多分わざと徐々に数

を増やしていって、最後に絶望させようとしているんだと思う。この森燃やす?」

 いきなり結論をぶっこんでくるじゃない。そんな簡単に燃やすとか聞くな。

「ブッチドノ、ハチハナンビキクライイルトオモイマスカ?」

「多分、1000匹はいるね。絶対に。」

は?1000匹とか嘘だろ?いやいやいやいや、ちょっとまて、そんなの想像したくない。

「何それやばい。」

「うん、だから燃やせるなら燃やしちゃっていいんじゃないかなあって思うんだよねえ。

逃げ道はなんとか確保してさ、燃え上がるだってちょっと時間はかかるからいけると思う。」

 囲まれたから燃やせというのも短絡的な考えな気がするけれど、それしか方法がないなら

そうするべきだろう。

「うーん。でも森林火災は煙とか色々やばそうだしなあ。」


「俺だけならなんとかなるんだけどさ、流石にみんなを守りながらっていうのがきつい。」

「そこは守ってみせるよとかいうところじゃないのか。」

「おっ!?いいこと言うねえ。じゃあここの蜂を俺が全部倒して、ハッチ・ブッチ・フォ

レストなんて名付けちゃおうか。はははは。」

茶化しやがる。なんだよハッチ・ブッチ・フォレストって。昔のテレビ番組かよ。

「ブッチニキなら1000匹くらいいけると思うで!だから燃やすのはやめようや!」

「ソウデス!ブタガ…デハナク、ブッチドノナラヤレマス!」

「まぁハッチ・ブッチ・フォレストはともかく、やれるとこまでやっていこうよ。」

なんか説得のようなことをする私達だった。


「しょうがねえなあ!よーし!じゃあパパ、1000匹狩り達成しちゃおうかな!へっへっへ

俄然燃えてきた!あっ、燃やしちゃダメだよ。」


1000匹なんてどうしようもない気もしたが、なんだかノリで行けてしまうのではないかと

思ってしまった。この時までは、なんてな。ああっくそ、ブッチのノリが移ってしまった。

とにかく、やってやろうじゃないか。


サブタイトルは昔やっていたTV番組から少し変えたものです。好きな番組でした。

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