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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
369/473

第369話「操られたブッチ」

明日追記します!

11/26追記しました。

「俺は狂気に戻った!」

「うるさいバカ!」

 何が狂気に戻っただよ!? 普通に操られているんじゃないか。ていうかこれは絶対にわざとだろう。私と戦いたいとか言ってたし、そのためだけにわざと乗っ取られたんじゃないか。

「なんかこの姿、裏切り者っぽくてかっこよくね?」

「ちょっとかっこいいと思った私がいたよ! いいから正気に戻れ!」

「ブッチさーん。もう少し真面目にやりましょうよー。」

 ほら、エリーちゃんも呆れているぞ。そんなアホみたいなことやめてさっさとゴーストロガノフを片付けてくれっての。

「グググ! ウゴケ! ウゴクンダヨ! イマウゴカネエデイツウゴクンダ! ウゴケウゴケ!」


 必死過ぎる。あのおばけもとい多分ゴーストロガノフが冷静さを失っているようだ。なんか前に会った時はクール系な感じだと思ったんだけれど、違うのかな。それとも、こいつがネガティブータのほうになるのかもしれないけれど。この際どっちでもいいや。なんかボスがいるって認識で。

「あー。じゃあ頑張って動いてみろ。俺の操作を任せたぞ。」

「グヒャヒャ! バカナヤツメ!」

 すると、黒い甲冑を纏ったブッチが構えをとった。結局私達が戦わなきゃいけなくなるってことじゃないか。あーもう! ブッチはこういう面倒くさいことをするのが得意なんだよなあ!


「イクゾ! ブ。ブゲッ!オッ。ウボッ!? ナ、ナンダコレ!? シカイガグルグル!? ウゲゲ、ナンダコレハ!?」

 なんか急に苦しみ始めたぞ。どうしたんだ。私達は何もしていないのに。ブッチが裏で何かやっていたってことなんだろうか。うーん、さっぱり分からないんだけれど。ああやって油断させて急に動いて攻撃してこようとでもしているのかな。

「姉御。ブッチニキが乗っ取られているようにも見えないんやが。」

「私もなんだが気が抜けているんだよ! そういう罠かもしれないからみんな集中!」

「ブッチドノガ、ホンキデシカケテキタラ、マズイ! ゼンリョクヲダスゾ!」

「マスター。我々はブッチ殿を甘く見てはいないでござる! ブッチ殿が本気を出せば、我々は全滅するかもしれないでござる!」


 私だってそれは分かっている。だけどこの光景。ブッチというか乗っ取られたブッチが地面に突っ伏して、気持ち悪そうに嘔吐をしているようなところを見てしまうと、気が抜ける。夜中に飲み過ぎてそこらの道で嘔吐している会社員とかそういう奴と同じような感じだし。

「ウグッ!? ドコダ!? クソ!? ナンダコレ!? ドッチドッチ!? メガ、メガ、メガメガメガメガメガメガ!!!?」

「…もしかして、視界が定まっていない?」

「あ、ブッチさんの目。」

 サイコロの目を切り替えて色んな方向を見ているなんてブッチは言っていたっけ。それはつまり、常に色んな視点から様々な物が見えるのだろう。あのおばけは、もしかしてそれに順応できずに苦しみ続けているなんて言うんだろうか。


「マジャ!? オマエカ! フザケンジャネエ! コンナ、クソ!」

 私は何もしていないのにとばっちりをくらっている。いや本当に何もしてないんだよなあ私。ブッチに乗り移ったのはむこうだし。そもそも、そういう乗っ取りを得意としているんだから、他の何かに乗り移っても能力を十全に発揮できないのは駄目だろ。

 もしも私が同じ能力を手に入れていたらどこまで自分は乗り移った対象の能力を引き出せるのか検証くらいはしている。そんなことも出来ていないこのおばけの頭が悪いだろう。

 ゲーム好きだったら、自分のキャラクターの性能とかそういうのをきっちり掌握しておくし、それだけじゃなくて、他のキャラクターとの相性だって調べるだろう。

 そういう徹底的な準備が必要な能力なのに、そこまで考えられないなんてダメだろう! 少なくとも私が対戦してきたプレイヤーなんか、そういう細かい所を全部調べていたぞ!


「ウググ。クソ。ヤムヲエン! リダツヲ。…ナ、ナンダ!? リダツデキン!」

 あー。これ絶対ブッチの仕業だな。さっき言ってたもんなあ。自分を操作してみろって、だからきっちり操作できるようになるまで付き合わせてやろうって自分から離脱できないようにつなぎとめていたりするのかもしれないな。怖いなー。

「ハ、ハナセ! ハナサンカア! ウグッ。オエエエエ!」

「嫌だよ。俺の姿で醜態をさらしたんだから、汚名返上でここにいる俺の仲間をみなごろしにするとかそういう事をしてくれないとさぁ!」

「デ、デキルカァ!? ソンデモッテオマエノナカマダロウ!? イイノカソンナコトシテ!?」

「いいかどうかじゃねえ! やるかやられるかなんだようちは!」

「シュ、シュラカ!? オマエラハシュラノアツマリカ!」


…自作自演に近い感じでなんか見ていて面白いんだけれど、おばけが情けなさすぎる。もうちょっと根性を見せてくれてもいいと思うんだけれどなあ。なんかコントやっているだけに見えてきたし、これでおしまいにしちゃってもいんじゃないのか。さっさとブッチ自身で倒してもらいたいんだけれど。いつまでかかるのかなあ?

「クソ…! シテンガキリカワッテキモチガワルイ! オマエ、コンナニ、コロコロカワルシテンニタイオウデキテオカシイゾ!」

「慣れだよ慣れ。」

「ソンナワケアルカ! グエエ。オエエ。カッテニキリカワルノガキモチガワルイイイ。」

 視点が勝手に切り替わるって、すごい酔いそうな気はするなあ。だけど、ブッチの言う通り、慣れの問題もありそうだ。

 三次元の視点でプレイするゲームで酔うなんて人もいるけれど、少しずつ慣れていく人もいる。だから根気よく続けてプレイしていけばなんとでもなるのかもしれない。


「コンナノニナレルナンテ、アタマガオカシイゾ!」

「だそうですが、どうなんですかブッチさん。」

「おかしーのはお前の頭だよ! って言いたい。あっ、俺の頭でもあるのか! 参ったね。こりゃ一本取られてしまった! でもお前が俺になっているんだから、もうちょっと物真似くらい頑張って欲しいんだけれど。」

「オマエハオカシイゾ! クルッテイル!」

 ブッチが酷い言われようだけれど面白いなあ。普通そこでモンスターが狂っているなんて人間に向かって言うもんだろうか。ああ、ブッチは人間じゃなくてサイコロプスか。中身は人間だけれど。ん? でもやっぱりそれって人間離れしているってことじゃないのか? 乗り移っているおばけがあんなに苦しそうにしていることを平然とやってのけているって…。


「クソッ! モウガマンデキン! コンニヤツカラハデテイッテヤル!」

 ブッチの体から、黒い靄が少しずつ外に出始めている。

「そんな勝手は許さん! 戻ってこい!」

 と思ったら、外に出た黒い靄がまたブッチの体に入り込んでいった。えぇ、普通はそういう時って早く出て行けってならないのか!?

「…ふ。ふふ。あれがブッチ殿です。自分が満足するまで徹底的に戦いを求める。あれこそがブッチ殿の真骨頂なのです! ふ。ふふふふ。ははははは。」

 サンショウがガタガタ震えながらブッチを讃えるようなことを言ってるけれど、トラウマでも思い出したかのように声も震えている。確か、あんな感じで、戦いに甘えは許さないと言わんばかりの行動にでることがあるんだよなぁブッチは。スパルタとでも言えばいいんだろうか。


「ゲェー!? オゲッ!? ナ!? ナンデモドッタ!? オマエナニヲシタ!?」

「う、うわぁ! みんな助けてくれ! 俺、今こいつに操られちゃって! 悲しいけれどみんなと戦うしかなくなったんだ! しょうがないからみんな! 俺が暴れちゃうかもしれないけれど、躊躇せずにぼこぼこにしてやってくれ!」

「フザケンナヨ!? オマエガサッキカラオレヲアヤツッテイルンダロウ!?」

「ううっ! 俺だって本当は戦いたくないんだぁ! だけど体が勝手に!」

「うわぁー!? だからなんで私を狙うっ!」

 ブッチが私に思いっきり突進してきたので、咄嗟にかわしたけれど、ぎりぎりだった。あっぶないなーもう!? そういう悪ふざけはやめろっての。心臓に悪い!


「許してくれみんな。もう俺は俺を制御できない。止められないんだ!」

「ウソヲツイテンジャネエ! オエッ! オレガオマエヲセイギョデキテイナインダ! モウイイカラヤメロ! キンキュウダッシュツ!」

「ぐっ! させるか! 俺がこいつを食い止めているうちに! みんな、俺に攻撃だ!」

「ナンダコイツウ!? ダッシュツデキネエエ! オマエノカラダカラデテイッテヤルッテイッテンダロウガ! ハナセエエエエエ!」

「頼む! 俺はもう誰も傷つけたくないんだ。たとえこの体が支配されていようとも、心までは自由にすることはできんぞ!」

「ギャア! デラレネエ! モウヤメテクレエエ!」

 …私はお笑いの劇場とかそういうところに来てしまったんだろうかと錯覚を覚えてしまう。普通に笑ってしまいそうになっている。普通に考えたら逆だろ逆。体を支配されたらもう出て行って欲しいとかそういうものだというのに、ブッチは全然困っている気配がないない。


「姉御、ありゃブッチニキは相当楽しんでるやで。」

「ブッチドノハ、アアイウヤカラニハ、ヨウシャシナイデスネ。」

 どこか遠い方向を見ているだいこんとたけのこだった。私もなんだかもう、どうでもよくなってきてしまった。それよりも、こんなのは無視して、街の中にいるかもしれない敵の方を探したくなってきた。

「ナンデ!? デラレナインダッ!? オカシイダロ! キモヂワルイイ! ハアハア! サッサトデナイト、コノママジャ、グオオオ!」

「ううっ。体が勝手に動く。勝手に喋る。このままじゃ、ぐおおお!」

「マネスルナ! コノクズヤロウ!」

「真似するな! このクズ野郎!」


 えーと、本当にもうブッチはこのまま放置してしまっていいかな。こんな茶番を延々と見せられ続けるこっちにもなって貰いたいし。え、なんでみんな私の方を見ているの? 私がなんとかしろってこと? ちょっとー。か弱い般若レディにみんな期待し過ぎだっつーの! ブッチとは付き合い長いけれど、こんなわざわざツッコミをいれてあげなきゃいけないとかさぁ。芸人のコンビってわけでもないんだからね! 全く!


そういえば、世の中には上下左右の操作が逆になるアクションゲームのステージがありますけれども

そういうのも慣れなんですよねー。久々にあとがきでした。

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