第367話「クロウニン探索作戦!」
あした追記します!!
11/24追記しました
「俺が思うに、ネガティブータとゴーストロガノフって同一人物だったりするんじゃないのかな。」
「どっちもいがみ合っているように見せかけて、尻尾を掴ませないようににして、こちら騙そうとしているなんて確かにありえそうですよね。まぁ、要するにマッチポンプってやつです。」
「つっこんじゃいけないと思いつつも言わせてほしい。人物じゃない、モンスターだ。」
「あー、今日学校あるって聞かれて学校はいつでもあるっていうのと同じつっこみだ。懐かしいなー。」
「はい、また脱線してます! いいですか二人とも。クロウニンを2匹も相手にしなければいけないんですからもう少し真面目にいきましょう!」
こんな感じで、私たちは街の外で話し合っていた。だってねぇ、ゴーストロガノフは街の中にいるらしいけれど姿を見せないし、ネガティブータもダンジョンに引き篭っているみたいだから、それじゃどうしようもないし。だったら何をどうすればいいのかなって考えなきゃいけない。
「なんだか面倒くさいんだよね。出てくるならとっととかかってこいって感じなんだけれど。」
「あるある。敵を見つけることのほうがきついんだよね。こそこそ隠れてないでさっさと出て来いっていうのはよーくわかる。」
「ダンジョンがどこかにあるっていうのは、そこのおばけが言ってたんですよね。」
ゴーストロガノフの使者的な存在の白いおばけ。こいつに色々聞いてみているんだけれど、自分は知らないだのなんだのと言っているのが怪しいんだよね。
「お前がゴーストロガノフなんだろ。そうなんだろおお。」
両手でおばけの頬の部分をぐにゅーっと潰す。
「ひ、ひはいまふぅううう!」
あっ、なんだかおもしろい顔をしているなあ。あはは。でもこいつがゴーストロガノフだとしてもおかしくないんだよね。ゴーストだけに。あるいは力を使い果たしたか何かでこの姿になって記憶喪失になっているかもしれない。
「よし、じゃあゴーストロガノフってどんな奴なのか言ってみるんだ。」
「すごいかっこいいゴーストなんです!」
「おいおい、ねっこちゃん、こりゃあこいつ自演にしか聞こえないって! 俺には分かる! 普通こういう下っ端は上司の悪口をいうはずだよ!」
あー。確かに上司って悪口を言われるのが常だなぁ。うちの会社でも誰々が気に入らないみたいな話が本人の知らないところで散々言ってるし。全ての上司がそうだってわけじゃないけれど、往々にして上司なんて嫌われるものだよなあ。
「ゴ、ゴーストロガノフ様は、超イケメンで、超強くて、超賢くて、凄いんですよ!」
何それ怖い。そこまで褒めたたえるなんて、怪しい新興宗教の教祖みたいな感じじゃん。多少褒めるくらいならまだしも、そこまでぶっちぎって褒めているのは、私ですら自演に聞こえてくる。もうこいつがゴーストロガノフってことでいいんじゃないかな。
「あたしもそこまで褒めているのを聞くと疑惑の目を向けてしまいますね。」
「そ、そんな!? 実際に会ってみれば分かります! 素晴らしい方なんです。」
「姉御、ワイでもあそこまで姉御を褒めたりできないやで。そんでもってワイやったら自分をあそこまでべた褒めできないやで。恥ずかし過ぎて死にたくなるやで。」
普段結構調子に乗っているだいこんですらこんな感じになるか。でもなぁ、恥ずかしくなるくらいまで自分の事を褒めるって言うのはありえない気がするしなぁ。やっぱり別人ならぬ別モンスターなのかな。
「まぁそこのわんころなら、姉御の忠犬やから、そこまで言うと思うやで! でもワイは姉御の為と思ってたまに無茶ぶりをするんやで! それがワイの生き様や!」
「オマエハソノイイカゲンナトコロヲナオセ。ジュウアツ。」
「オウオッ! これやからジョークが理解できない奴は困るんやで!!」
確かにたけのこが、私に付き従ってくれるのはありがたいけれど、そういう信仰ばかりするみたいなのは問題ありかな。私はどちらかといえば相棒みたいな感じが好きだしなあ。主従関係を結んでいるし今までもきっちりした関係ではあったけれど、たけのこの機動力とか私を凌駕しているしなあ。
「話が脱線しているでござる…。マスター。それでこやつをどうするのですか?」
「まぁ死んでもらうしかないよねぇ。でもゴーストって死んでいるってことなのかな? サンショウは何か知っている?」
「ゴーストは、霊体と言われている存在なので、死んでいるというよりは死にながら生きているようなものだと言うのが分かりやすいでしょうか。」
なるほどねー。分からないや。でもとりあえず分かったつもりでいよ。
「なるほどー! 流石サンショウだぜ! 俺にはさっぱり分からないよ! ねっこちゃんはあんなに頷いているし分かっているんだろうけれど! マジぱねえっす!」
こいつわざとか! 嫌味か! ここでリーダーとしての威厳を保つためにちょっとかっこつけてみようと思っていたところなんだから空気くらい読まないか!
「まとまりがないチウ…。」
「ねこますドノニマカセテオケバダイジョウブナノダ。」
「ウム。ダイタイナニカアッテモ、ケッキョクカイケツシテクレル。」
おーいそこ、聞こえているからな。というかもうなんでみんなすぐに別な話になるんだよ。
「はい! じゃあちょっとねこますさんの事は置いといて、多数決でいきませんか?」
「絶対に嫌。」
「え。即答ですか。他のみなさんは…。」
エリーちゃんがみんなの顔を覗き込むが、誰も頷かなかった。あれ? なんでだ? ちょっとちょっと、そこはみんな反論するべき場所じゃないの?
「…多数決だめなんですね。」
「待てい! 皆の衆! なんでそこで何も言わないんだ! ブッチにだいこん! そこのでこぼこコンビは何か意見はないの!?」
おい、なんか悩んでいる顔をしているぞ。じゃあ他のみんなは、なんかうつ向いているぅう! あっこれあれだ! なんか気まずいからとりあえず黙っておいてほとぼりが冷めるまで待とうって雰囲気! でもどうしてそんなことをしているんだよ!?
「あー。ねっこちゃんが、絶対嫌とまで言うくらいだしねぇ。みんな直感とか、ここは絶対従っておいた方がいいって思ったんじゃないかな。」
「姉御がはっきり言い切るときって、何か重大なことやから、何も言わないで、姉御に任せるのが一番やってみんな知っているんやで。」
それはない! 私だって沢山間違うし、失敗する事があるんだからさぁ! むしろこうやって誰も反論してこないで私の意見が押し通ってしまう方が怖さを感じるよ! 責任重大と言うか責任を持ちたくないと言うか、リーダーだから責任取らなきゃとか!
「じゃあ多数決が嫌ならどうするの?」
「少数決にしよ。」
「…! なるほど。面白いね! 少数派の意見の方が採用されるっていうのはいいね。」
「そんでもって、ひじき召喚!」
「あれ…母上、私を何のために召喚したんですか。」
「これで11匹だからね。まぁ人じゃないのはご愛敬というわけで。あぁ、ビスケットは今いないからなしだからね。」
「これで、どちらかで決まるってことですか。」
少数決なんてする意味がないと思う人は沢山いると思う。が、私は何かあるとすぐ多数決という方向性に行くのが嫌いだ。なんでもかんでも多い方が優先していくというのは、大多数の人を幸福に導くかもしれないが、言ってしまえばそれは少数派の切り捨てでもある。
現実じゃ、何をするにも多数決が基本になるが、それにいい加減飽きてきたところだった。そりゃ少数派の方を優先してしまったら、大多数の人が困るというのがあるけれど、幸い、私達のメンバーはそこまで多くない。
だったらむしろ、少数派の意見を多数派が支えてやろうみたいなのがいいんじゃないかななんて思ってしまったから絶対嫌なんて言ってしまった。
でも、ただの思い付きだったんだけどなあ。威圧的だったかな。
「ちなみに、ですが、引き分けがあったときはどうしたんですか?」
エリーちゃんが首をかしげながら聞いてくる。何か今どきっとしたぞ!
「あー。意見が分かれるんだから、分かれたもの同士で組んで行動を共にする、とかね。」
好き勝手に動くのと大して変わらないじゃないかといえばそうだ。だけど私はそれでいいと思っている。ゲームプレイというかやりたいことなんて基本的には自由なわけだ。自由気ままにやりたいようにやるのが一番だ。とはいえ少数派の意見に従えなんて言ってる時点で自由ではないんだけれどね。
まあ、私も行き当たりばったりでいってるようなものだし。
「ここで一人だけ別な意見がでたら、それをみんなが支えるなんてことになったら面白そうだねえ。」
「なんか、一人はみんなの為に、みんなは一人の為に、って言葉を思い出しますね。」
そういえばそんな言葉もあったなぁ。少数決って実は結構良かったりするんじゃないだろうか。少数決をするのが余程おかしなことでなければ、だけどね。過激なことだとかだったりすれば、流石にそれは受け入れられない物になりそうだし。
「えーと、それじゃあ、このおばけをどうするかということで、少数決をとるということで、みんなはそれでいいのかな? というはこれ自体も決をとらなきゃいけないかな?」
「それは面倒だからいいよ! ねぇみんな!」
全員が頷いた。早いなおい。
「ねっこちゃん。それじゃあ何を決めるのかな!?」
「ここでこのおばけをぶっ倒すかどうかを決めようか。」
こいつを倒せばゴーストロガノフが現れるかもしれない。だったらこいつをここで倒してしまえばいい。だけどそうしたらネガティブータのダンジョンに行けなくなるかもしれないリスクを背負うことになる。さて、みんなはどっちを選ぶのかな。
「じゃあ、おばけをぶっ倒したい奴!!」
おい、そこはブッチが決めるのか。えーっとそれじゃ。え。
「サンショウ一人だけ?」
おいおいまじですかサンショウさん。というか私含めてみんな結構、平和主義だったんだな。ブッチも手を上げていると思って。あ。
「おーい! 俺、俺! 今ジャンプしたでしょ!? ぶっ倒したいよ!」
…少数決で、おばけをぶっ倒すことに決定した。