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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
363/473

第363話「久々の街中」

文字数が少ない時は大体次の日に追記する事にしています。

すみませんがヨロシクオネガイシマス!

11/20追記しました!

 私は人間化を済ませた後、背中のリュックにおばけとだいこんを詰め込んだ。エリーちゃんとねずおは、モンスター使いのような感じで登録されているようなので、特に問題なく街中に入れるようだった。あれ、じゃあ私がだいこんを隠して入るのは駄目なんじゃないのかなぁと思ったが、前回も入ったし大丈夫だろうと思ったら、やはりそのまま通過させてもらえた。ここの警備はザルなんじゃないのかと思ったがゲームだしこんなものということで納得する事にした。だけど今回はおばけまでセットだったのにそれで大丈夫なのかと心配にはなった。


「平和ボケしすぎな気がしてきたよ…。」

「ゲームの街ってそんな感じですよね。街を警備する人とかあまりいないというか、そもそも全然いないような村とか町が多いですし、それで滅びないのが不思議だと前から思っていました。」

「完全に同意だね…。」

 実は、通行許可証みたいなものを毎回出さなきゃいけないとかいう裏設定みたいなものがあれば良いとは思ったのだが、そういう設定が無く、簡単に街に入れてしまうのがゲームだったもんなぁ。あったらゲーム性が損なわれて面倒になるのは確実だけれど。

「さて、と。それじゃあ街につきましたし、どこに行きます?」

「情報収集の基本と言えば酒場が定番だけれど、エリーちゃん。いったことは?」

「前回来た時は行きませんでした。適当にぶらついてても声をかけられたりしたので。」


 なるほどねぇ。今現在街のほぼ出入り口付近にいるだけなのに、エリーちゃんをじっと見つめているプレイヤーなのかNPCなのかよく分からない連中が沢山いた。

 エリーちゃんの今の服装は、キャスケットをかぶり、パーカーにホットパンツとリュックというシンプルな物だった。髪の毛は後ろで一本縛りにしている。可愛いキャラクターなので、他のプレイヤーからナンパされたりしそうなイメージがある。種族もサキュバスだし、魅了されてしまう輩も結構いるんじゃないだろうか。


「ねぇ君たち。今暇してる?」

「今暇してない。人生終了のお知らせ。」

 なんかいかにもチャラそうな戦士と魔法使いっぽいコンビが来て、ナンパされたが即答した。こういうゲーム内でのナンパというのは結構多いようだが、もっと面白そうな誘い方をして欲しいものだ。昔、いきなりチームを解散して俺のチームに来い、なんてアホなこと言っていた奴がいたが、そのくらいアホなことを言って欲しいものだ。

「あはは。そっちの子はどう?」

「あはは。そういうの間に合ってますので。」

 ニコニコ笑顔で答えるエリーちゃんだった。おいおい、そんな風に答えたら、しつこくなるのが関の山なのにいいのか。


「いやぁ。折角だし俺らと一緒に冒険しない!?」

「楽しい冒険だよ! 冒険!」

 こいつら冒険を間違って認識していないか。危険な事を敢えてやるのが冒険で、それを軽々しく他人を巻き添えにして楽しむなんて言えるだけの剛の者なのか。かなり弱そうに見えるんだけれど。いやひょっとしたら物凄い実力者なのかもしれない。


「俺らさぁ、このゲームのプレイ歴二か月のベテランだぜ。」

「そうそう、色々教えてやるよ?」

 二か月でベテランとは凄いな。この二人実はなかなかやると言う事なのかもしれない。もしかすると、片手でクロウニンを倒せるレベルだったりするんだろうか。是非とも特攻して貰いたいものだ。

「ねこますさん。バトンタッチしてもいいですか?」

 えっ。ちょっとぉ。そこで私に振るんですかいエリーちゃん。全く、私はお姫様を守る騎士じゃないってのと思いながら、一歩前に出た。やれやれ、まぁももりーずVのリーダーとして、仲間に降りかかる火の粉は払ってやらないといけないしな。

「それじゃあ私達は用事があるので、失礼しますね。」

 自称ベテランどもに頭を下げた後、エリーちゃんの手を引っ張り走り出した。こういう面倒くさい相手は無視するに限る。丁重にお断りすれば大体何事もなく終わる。今回もそんなものだろうと思った。


「ん~? まだ話は終わってないよー?」

 私の横を戦士っぽい男の方が、走ってついてきていた。うわっうざい! なんだこいつ。今時こんなしつこい勧誘をする奴がいるのか。

 どうしてこう面倒くさいことが起きるんだろうか。さっさとゴーストロガノフの情報収集と行きたいのに。こんな邪魔する奴はとっとと消えて欲しいが、ここで騒動になるのも避けたい。

「こちらにはありませんので、失礼しますね。」

「だからまだ終わってないつってるじゃん。」

 なんなんだこいつ。絡んでくるなつってるのに物分かりが悪すぎるだろう。これは腹が立ってくるなあ。でもなぁ、こういうところで反撃したりすると、私が魔者ってことがばれるかもしれないし、簡単に手を出せない。


 ついうっかり攻撃をしてしまったというところから、正体が露呈していくというのはよくある事だ。そういうのが嫌いな私としては、ここはなんとしても切り抜けたかった。

「あの。あたし達は用事があって忙しいので、失礼します。」

 今度はエリーちゃんが断りを入れたが、戦士っぽい男はやれやれと言わんばかりに首を振った。

「大丈夫だって。その用事は俺が解決してやるから。」

「いいえ。結構です。」

 エリーちゃんは真剣な顔で否定するが、男はここでまたへらへらと笑い出した。一体なんなんだこいつは。なんでこんなにしつこいんだ。本当に粘着質な奴だな。私達の邪魔をしないで欲しいんだが。どうしてこう平然としていられるんだろうか。


「あのさぁ。俺と、さっきのあいつもだけど、折角誘ってやってるんだから、ちょっとくらい付き合ってもいいだろ? そういう雰囲気は読まないと駄目だぞ。」

 今ならついカッとなって人をぶん殴ってしまったという人の気持ちが分かる。こいつは、それくらいうざい。これは、ひょっとしたら何者かが私を怒らせて暴力を振るわせようと企んでいるのではないかとすら思い始めてきた。

「いえ。ですからこちらも忙しいんですよ。事情を理解してくださいね。それでは。」

「おっとぉ! はっはっは。そうはいかないぞ。」

 立ち止まって会話をしてしまったせいか、魔法使いの方もこちらに追い付いてしまった。そして今いる辺りは通行人もそこそこいるような場所で、ここで口論しても、大して気にも留められないだろう。

 目の前で迷惑行為をしている二人のプレイヤーがいるってのに。これ、どうにかならないもんかね。


エリーからのメッセージ:なんだか面倒な事になってきましたね。


 本当にそう思う。まさかこういう展開になるなんて思わなかったのに、最悪だ。こいつらは何か私達に固執する理由でもあるんだろうか。

「おい、お前らやめないか。」

 私達に声をかけてくる二人の男に声をかける新たな人物が現れた。身長が高く、右目に黒い眼帯をつけている。頭にはバンダナを被っており、比較的筋肉質な体をしており、着ているシャツがぴちぴちのようにも見える。こいつは、いかにも盗賊とかそういう感じのするキャラクターだった。 見た目的には30歳以上はしているような気がした。まぁ結構髭を生やしているし。

「何だお前。俺たちになんのようだよ。」

「困っているみたいだろう。お前たちの迷惑行為に。」

 …あ。あ、あーはいはい! そういうことか。やっとわかった。


 これ、あれだ。マッチポンプって奴だな。こいつらが私達に絡んでくるところを颯爽と現れて助けてかっこつけて親しくなるみたいなそういう奴だ。これ、ゲームとか漫画で散々見てきたし! となるとこいつが黒幕ってことになるんじゃないのか! つまり、最初から目をつけられていたってことになるぞ。くそー、こいつらぁ。この三人組がぁ!

「あぁ? 何、正義の味方面してんだよ。」

「お前、俺らはこっちのこ達と仲良く話していただけだぞ。」

 定番すぎる展開になってきた。こんな茶番をわざわざ見せつけられるこっちの身にもなって欲しい。もういいや。こいつらの事はほっといて、もう一回逃げるか。という事で、私達は逃げることにした。

 今回は何も言わずにただ黙って去る事にした。こんな演劇に付き合う必要はないし。


 最初はゆっくりと動き、そこから一気に加速して逃げ出した。よし! 馬鹿三人の相手をするところから逃げ出すことが出来そうだ。ここからは全力疾走だ。どっちに走っているのかはよく分からなくなってしまっているけれど、あいつらが追ってこれない位置まで急がないといけない。

 全くもう。久々の街だっていうのもつまらない騒動を起こして。ああいう迷惑行為をやるプレイヤーは運営に通報してしょっぴいてもらうしかないな。

 オンラインゲームでは、こんな感じで迷惑行為をする奴らが後を絶たない。運営側も対策をしているのだが、プレイヤー数が非常に多くなると、対処しきれなくなり、このような行為が横行してしまう。それにうんざりしたプレイヤーが、結果としてゲームを辞めてしまうということもあるので、運営側にとってみても、頭の痛い問題のようだ。

「ど、どこまで行くんですか?」

「安全そうな場所まで!」

 ここが街中なんだからむしろ安全であるべき場所なのに、外よりも危険というのがなんとも残念だった。外でモンスターに襲い掛かってこられたら、ただ戦うだけでいいのだけれど、そういう単純な考えではいかないのが面倒くさい。


 嫌なパターンが頭の中で浮かび、どうしても手を出しにくい状況にある。私が攻撃してことで私の事が他のプレイヤーに伝わってしまう。プレイヤーは大量にいるので、すぐに噂となっていき、ちょっかいをかけられることも多くなると思う。そこから過熱していき、最終的には争いが勃発して、魔者であるとバレていくなんていうのが起こり得る。

 いちいちこんなことを気にしていたらきりがないんだけれど、こういうのは極力避けていかないと今後の活動にも支障がでそうなので我慢するところはしないといけなかった。

 何よりも、薬草を売るということも出来なくなったらそれがすごい困るし。

 はぁ、なんだか余計なしがらみが増えてきたなぁ。あー面倒くさい。今後は姿を隠して行動できるような道具とか作れるようにならないといけないな。そのあたり先生に相談してみようっと。


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