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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第36話「一匹の虫」

 森の奥では何かないかと探しながら歩いているが特に何も見つからなかった。茸や山菜

などがあってもいい気がするのだがそれらしいものは全く見当たらない。こんな奥までき

ているのに前に少しうろついた時と変わっていなくて残念だ。

「はあ。こういう森に伝説の剣が台座に刺さってあったりしたら面白そうだよね。」

昔プレイしていたゲームなどではこういうところに剣が突き刺さっていたものだ。

「勇者しか抜けないとかそういうオチだよきっと。俺なら意地でも抜いてやるけどね。そ

れこそ埋まっている地面事。それで俺が勇者になって勇者を倒す。」

何か勇者に恨みでもあるのかこいつはと思ったがあえてスルーした。

「とにかく私はお宝が欲しいんだよー。鋸とか金槌とか」

「姉御はおっかないもんばかり好きすぎやで!フルーツとかそういうのを探したりするの

もええんちゃうか?」

「私は、パイナップルが好きだな。でもここにはきっとないな。おわり。」

「俺は、苺と林檎と梨と桃とメロンとバナナと」

「たけのこ、こういう時に思いつく限り答える奴をバカって言うんだよ。覚えておいてね。」

小学生かよと心の中でつぶやくのも忘れなかった。

「ハイ、ねこますサマ。」

「うぐっ。たけのこちゃんの俺の評価が下がるのが辛い。くそう。」

おい、私からお前への評価は右肩下がりだぞ。少しは自重しろ。、


「ちょっと待ってや。ワイ注意報や。何か周りにおるで。」

 だいこんがひそひそと告げる。何がいるって言うんだ。ひとまず鎌を取り出して警戒す

る。しまうまだったらブッチがやる気十分に戦ってくれるはずだ。

「何か音が聞こえてこない?」

カチカチッと音がする。いや待てこの音は、聞き覚えがあるぞ。嫌な予感がするぞ。

そして、木陰から一匹、飛来するモンスターがいた。黄色い体に黒い縞模様、そして鋭い目つき。

こいつは!

「スズメバチ!?にしちゃでけえ!」

 全長30cmくらいはあるぞ。やべえよ。こいつは絶対にやばい。こんなサイズのスズメバチなんて現

実で見たこともないぞ。一番やばいのは尻尾の針だけど、このサイズだと毒がやばい気がする。こん

なんに刺されたらひとたまりもないぞ。

「こいつ絶対やば・・・?」

 私が距離をとろうとした瞬間に、大きな影が見えた。ブッチだ。すごい勢いで、スズメバチに向か

っていく。おい、いきなりどうするんだと思っていたら、そのまま思いっきりモーニングスターでス

ズメバチを叩き潰した。地面にひれ伏すスズメバチ。数秒間ぴくぴくと動いたのち完全に停止した。


「ふー。あっぶなかったなー。でもなんとかなったな。」

「なんとかなったじゃないっての!ひやひやさせて!」

 確かにブッチの急襲は助かったが、一歩間違えれば反撃されていたかもしれない。全く恐ろしいこ

とをしてくれるな。

「毒なら、だいこんから血をとれば解毒薬できそうって言ってたし、あといざとなったらだいこんに

囮として前にでてもらえばいいかなーって思ってたからね。」

さらりと言ってのけるブッチ。

「ファッ!?ワイは嫌やで!毒は効かん言うたけど、針は痛いやんけ!そんなん死ぬわ!」

「馬鹿だなぁ。ここには無限に回復できる薬草があるじゃないか。」

「そんなんワイの頭がおかしくなるで!」

「スバラシイゾダイコン。オマエノギセイデラクニタタカエルノダカラナ。」

「無茶言わんでくれやで~。」

 だいこんが色々と喚いているが気にせずにいた。そうか、確かに毒が効かないなら前にだせるよな。

いやーついこの間言われたことだったのにもう忘れていたよ。


「ところで、ここで一つ問題が。」

「何?」

「こいつがフェロモンを出して仲間を呼び出していたかもしれない。もしかしたら、ここにこの蜂と

同じタイプの奴が何匹か集まってくるかもしれない。」

「それやばいやつじゃん!」

 蜂の生態なんかそこまで知らんけど、それがやばいのはよくわかる。あんなでかい奴が何十匹もせ

めてきたら、森林火災覚悟で狐火や火薬草を使うしかなくなるな。やりたくはないけれど、30cmのあ

るスズメバチ数十匹と戦いたいとは思わない。だいこんを囮にするにしても限界があるだろうし。


「そんでもって厄介なのが、俺のモーニングスターにこいつの体液がついちゃってるからもしかした

らそれでおびき寄せてしまう可能性がある。うあーどうしよう。」

 おい、なんでそこで棒読みになるんだよ。なんとかしようとは思わないのか。あんなのに襲い掛か

られたら私は嫌だぞ。か弱い般若レディにあんなの見せやがって、くそっ!

「いざとなったら、全部俺が撃墜するから大丈夫だよ。心配すんなって!」

 ブッチの根拠ない自信はどこからくるんだろうか。

「あんなのが数十匹わいてきて追いかけられたら怖いっての。もう顔面蒼白だよ。何で落ち着いてい

るのかわけわからんって。」

「そりゃあ、そうでしょ。あの蜂なんて、この間のだいこんと比べたら雑魚みたいなもんだよ。俺の

攻撃を回避できなかったでしょ。俺、結構やるときゃやるからみときなって。」

 確かにブッチは、攻撃をかわすのが異常なほど得意だ。こいつはいったい何者なんだろうか。実は

名のあるゲーマーだったりするのだろうか。いや、こいつのことだしそれはないか。


「金がないのに金の心配すんなって言われてる気分なんだけど」

「そこらへんは実力を示してみるよ。はははは。」

 楽しそうにしやがって。まぁこいつが呆れるほど馬鹿っぽい態度なのでなんとかなるような気がし

てきた。

「今のところは何の気配もしないで。」

「よし。とりあえずこいつの死骸はここに捨て置こう。こに残せばこの死骸の臭いの方にきそうだし。」

 私のところにスズメバチがこなければなんだっていいのだ。いざ私が戦う番になったら、痛い目み

ること間違いなしなので、できるだけ避けたい。獣の骨とか投げればいいと思うけど命中率がそんな

に高いわけでもないからね。


「くるなよくるなよ。」

「あっそれは実は来て欲しいってことなのかな。さすがねっこちゃん。」

「ああもう、茶化すな。本当にああいうのは嫌いなんだよ!」

こうして、蜂を警戒して更に森の奥に進むのだった。

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