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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
359/473

第359話「この先」

すみませんが明日追記します。

11/16追記しました

 私達は、草原に帰ってきた。以前はどこかに出かけると必ず帰り道で何らかの問題にぶつかってきたが、ここ最近はそうでもないので、大分落ち着いてきている。

 あるいは、黒騎士マーシャルあたりが手を回しているのかもしれないけれど、何事もなく終わっているのであれば何か言うつもりはない。

 折角、落ち着ける場所に帰ってきたというのもあるので、ももりーずVの全員に今後の活動について相談する事にした。

「ゴーストロガノフと会いに行くか。」

 唐突にそんな言葉が出てしまったのは、逃げ続けている現状をそろそろなんとかしたかったからだ。ドラゴンフルーツを満足するくらい集め終わってはいなかったが、熱帯雨林にもう一回行って集めるという作業を継続する気分でもなかった。

「ねっこちゃん。ドラゴンフルーツが集め終わってなかったんじゃ?」

「そうなんだけれど、このままだと、どんどん先送りにして、私は一体いつになったらまた人間の大陸に行けるのかなぁなんて言うのが強くなってきたんだよ。」


 魔者の大陸内をもっと冒険してもいいかもしれないと思ったけれど、人間の大陸はほぼ全く冒険していない状況にあるので、そちらを優先したい気持ちが溢れている。

「あのー。倒しに行くんじゃないんですか? ねこますさんなら、いきなり奇襲をかけようって言いだすのかと思ったんですが。」

「確か私に頼みがあるとかなんとか言ってた気がするんだよねーあいつ。だからまずは話だけでも聞かなきゃいけないだろうなぁって思って。」

 あの時に出会ってから時間が経っているので問答無用で襲い掛かってくるなんてころもありそうだけれど、それでも話くらいはしてくる気がしているので、そこで内容を聞ければ聞く。

 元々は、エリーちゃんの言う通り本当はさっさと倒してしまいたいのだけれど、それも問題が起こりそうなので止めておきたかった。私が対話を面倒くさがって倒してしまえば、魔者に対する反感的なものがまた大きくなりそうな気がしているからだ。


「なんだか話し合いって言うと現実っぽさを感じますね。」

 …そういえばそうだな。現実で他人と打ち合わせするかのような対応じゃないか。本当にゲームをやっているのかって感じがしてきた。ここがまたVRとしての面白さってことになるのかもしれないけれど現実と似すぎているなぁ。大きな違いとしてはご近所さんとか仕事の取引相手とかじゃないところか。むしろ敵対している奴と話すってことだもんな。

「話し合いが通じる相手なのかどうかが気になります。ねこます様、相手がいつ襲い掛かってきてもいいように構えておくことが大事ですよ。」

 サンショウの言う通りだった。ゴーストロガノフは割と温厚そうな気がしているが、そういう奴が突然キれだして、暴れだすなんていうパターンも考えられる。

「マフィア同士の話し合いみたいで面白そうじゃん! 威嚇しながら話し合って、交渉決裂したら、どちらかが倒れるまで抗争をやめず、徹底的に相手を潰すってところがさぁ! なんかいいねぇ!」


「ワイらにかなうと思ってんのかこのおばけ野郎! ええんか!? こちらのブッキニキがたっぷりお前をかわいがってくれてもええんか!? って言ってみたいやで。」

「だいこん、キサマハヤハリ、タリキホンガンカ。マッタクナサケナイヤツダ。」

「なんやねんわんころ! 大体ブッチニキが出張れば、相手も泣いて謝るはずなんやで!」

 泣いて謝るってなんだよ。そこまでやったら、倒しちゃうんだから泣いて謝る余裕も何もないじゃないか。その程度で終わるような抗争なんかないだろう。

「ところで、そのゴーストロガノフって言うのは、すぐに会えるものなの?」

「私のいるところは分かっちゃうみたいだよ。クロウニンの連中は。」


 私が魔者であることがばれてしまっているのは称号が見えてしまっているか、あるいは魔者だけが放っているエネルギーみたいなものがあるからだと思うんだけれど、それがまだ分からない。ともかく、私はクロウニンから常に付きまとわれていると思わなければいけない。

「魔者の大陸にはやってこれないのはなんでだろうね。」

「やっぱりここが隔離されているからだとは思うんだけれど…。」


 魔者の大陸はとても特殊な場所だというのはもう理解している。ここには私達三人以外のプレイヤーはいないのではないのかというような状態だ。あるいは、ブッチやエリーちゃんみたいに閉じ込められたような場所で開始したことで辞めてしまったプレイヤーもいるかもしれないが、それは現状では確認しようがない。

 まだ私達が探索していない場所に、もしかしたら他のプレイヤーがいるかもしれないので、探すのもいいのだけれど、私は現状そちらの作業よりもこの先ぶつかるクロウニンとの戦いに備えたかった。それとやっぱり、薬草を売って稼ぎたいなんていうのもあるし。

「ここって、やっぱり特殊な場所なんですよね…。運営も何を思ってこんなところを作ったのか。」

エリーちゃんも思う所はあるだろうなあ。スタートが閉鎖空間だったわけだし。


「ねっこちゃんは超運が良かったってことだよね! いきなり草原に投げ出されるとか!」

「右も左も分からないまま投げ出されるとか自由度が高くて、本当に良かったね! 何したらいいのかさっぱりとか、レトロゲームみたいなノリだったし!」

 私はそういう自由があるのが好きなので開始した時はやっぱり良かった。今も今で楽しいが、余計なしがらみが増えたのは確かなので解決をしたくてたまらない。

「それで、今から海底洞窟まで行く?」

「いやーとりあえず、軽く草刈りをしてからにしようかなーなんてね。」

「エ!? ねこますサマ!? モウ、ヤクソウハタクサンアルカライイノデハ!?」

「あー。ちょっと試してみたいことがあってね。」


 今日は、全力で鎌を振るってみようと思っていた。ヴァンパイアロードの漆黒の壁を吸収してから、私のレベルは上がっているような気がしていたのだけれど、どこまで強くなっているのかが分からなかった。ここで試しに鎌を振ってみたら、どのくらい草が刈れるのか分かるので、やってみようと思った。

「…ねっこちゃん。なんかその鎌。」

「ん?」

 鎌が赤黒く輝いていた。それもいつも以上に。黒薔薇の型として発動しようとしたわけでもなんでもないんだけれど、自然と輝いている。そしていつもよりも禍々しい雰囲気が漂っている。これってひょっとしてレベルアップしたからってことなんだろうか。

「なんかそれ、危険そうな気がするんですけど。」

 エリーちゃんが思わずたじろいでしまった。そして他のみんなも私から少し距離を置いた。えぇ、何だそれ、まるで私が爆発物を持っているかのような扱いじゃないか。だけどこんなものを見てしまったらその行動もしょうがないとは思う。


「姉御、それ絶対ヤバいやつやと思うで。なんか呪いとかそういうのがあるんやないか?」

「いつも使っている鎌だし。呪いとかあるわけないって! まぁ見てなよ。そんな恐ろしいものじゃないと思うし。」

 そう言って私は、辺り一面に草が生えているあたりまで近づく。あれ、そういえば草原に生えている草も結構伸びているような気がするなあ。私の背丈よりも更に上まで伸びている。まぁいいか。そういう時もあるだろうし。

「まずは軽くやってみようかな。」

「ねこますドノ。アマリムリヲシナイヨウニ。」

「オソロシイチカラデス。フリマワサレルコトガアルカモシレナイノデ、シンチョウニ。」


 リザードマン達が私に警告までしてくれるとは、前よりかは多少距離が縮まったかなあ。というわけで、早速やってみるとしますか。ほいっと。あれ、なんだ。いつもと変わらな…くない!? 前方にあった草が全部消滅していた。そう、草を刈ったというよりも、草を根こそぎ消滅させたというような勢いだった。

メッセージ:薬草を手に入れました。薬草を手に入れました。…。

「姉御! 絶対それやばい事になってるやで!? なんや今の! 草が消滅してしまったやで! なんなんやその鎌!」

「いや、本当に軽く振っただけなんだけれど。うう。これはこれでまずいね。」

 これだけの威力を発揮したのは良かったけれど、全く制御できていないのはまずい。

「ねっこちゃんまた強くなってるじゃん! くそー! 俺も追いついたと思ったのになぁ。なかなかねっこちゃんを追い越せない!」

「何、寝言を言ってんの。ブッチだって、ヴァンパイアロードの力を手に入れているでしょ! その力を使えば私みたいなことできるでしょ!」


 ブッチだって強くなっているのに、それはないんだよなぁ。何かすごい力を隠し持っているはずだし、多分私が今やったようなことを出来るようになっているはずだ。…あれ、もしかして今ならゴーストロガノフとか結構楽に倒せるんじゃないかと言う気持ちにすらなってくる。

「おっ。じゃあまた俺と戦ってくれるかな!?」

「それは嫌! というか私もこれ制御できていないみたいなので、制御の練習をしないとだよ。」

「この威力、凄まじいでござる。マスター、この威力で草を刈ってしまったら、草も生えてこなくなってしまうのではないですか?」

「…え?」

 そういえば、なんか今刈った部分が全然生えてこないような。ま、まずい!? この状態で草刈りを続けてしまったら、薬草がとれなくなってしまうかもしれない!? そ、それは駄目だ。絶対にダメだ。そんな危険な事が出来るわけない。私の薬草がなくなるなんて!

「困る。すごい困る。でも練習しないといけないのに!」

「じゃあ荒れ地の辺りで素振りすればいいんじゃないかな。」

「うう、折角マイホームに帰ってきたような感じなのに。また外にでなきゃいけないなんて。」

「ねこますさん。ここも外ですよ!」


 外ではあるんだけれど、まるで家にいるかのような感じになっちゃんだよなあ。それにしたって、なんなんだこの鎌。制御不能になるとか、勘弁して欲しい。なんだか威圧や気配感知もそうだったけれど、きっちり制御するのには練習しないとだめなのが大変だなあ。

 ついでに他のスキルの使い方とかも練習しておこうかな。はぁ。これからゴーストロガノフを倒しに行こうみたいなノリだったのに出鼻をくじかれた気分だよ。まぁしょうがない。ここで慣れておかないと後で困るし。頑張ろっと。


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