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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
354/473

第354話「般若レディと錬金術士の杖」

明日追記します…。!

11/11追記しました。

 人間記録は、要約すると人間が嫌いだという話だったので、先に他の本も読んでみることにした。私としては魔者の正体や錬金術のこと、そしてこの世界の成り立ちのようなものでもあればと思っているので、それ以外の本だったら、あらすじだけ読んで、別な本を読むことに決めた。

 次にとった本は「魔力の研究」というものだった。これは、ひょっとしたら魔力とは何なのかについて書かれているのかもしれないと、思うと、わくわくしてきた。

 恐る恐るページをめくってみると、面白いことが書かれていた。魔力の操作方法というものだ。魔力を操作することで相手の魔法を妨害することや、相手の魔法の主導権を奪うことができるなんてこれはかなり強い能力だと、内心では、かなりびびってしまった。


 スキル妨害ができるんだし魔力妨害なんてのもこれで出来そうだな。これで相手が魔法を使うことができなくなれば、かなり有利に戦える! いいねいいねぇ! こういうちょっとした事が分かるだけで楽しくなってくるなあ。

 後は、ひじきに魔力を与える時のやり方か。魔力操作で、効率よく魔力を分け与えられるようになるといいんだけれどな。

 魔力操作が上手くなれば、それだけ燃費もよくなるのなら喜んでやっていかないといけないな。人間の大陸に行く前に多少は覚えておきたい。


「他にも面白そうな本はないかなぁ?」

 なんて探しては見るけれど、あくまで本命の魔者について知りたい。魔者についての情報が今後の私の<アノニマスターオンライン>でのプレイが変わってくるので、それが分からないままだと、結局今までと変わらないままになってしまいそうで嫌だし。

「ああ、そっか、これも取り出しておくか。」

 錬金術士の杖を取り出した。これで先代だか、どれくらい前なのかはっきりしない魔者が声をかけてくるかもしれないし。


「久々に見たな、この部屋。」

 あ、早速語り掛けてきたな。こいつの存在もそろそろ解き明かしたいと思っていた頃だし、ここらではっきりと言って貰おうかな。

「そんなことよりも、魔者について詳しく話してよ。」

「えー。やだよ。めんどくさい。」

 これだよ、この錬金術士の杖に精神生命体で入り込んだと思われるのは、先代なのか、それともそれよりもずっと前の魔者なのか分からないから聞いているのに、そういう情報は教えてくれない。だからこいつは、いつも全然役に立たない奴なんだよなぁ。

「おい。俺があまり教えないのは、お前の成長を妨げないように調節してやっているからなんだぞ。だからもっと俺を敬え。」


 そんなことを私に言われても困るんだけれど。いや、むしろそんな事を気にするよりも、私に魔者について教えてくれればいいだけなんだよ。

「お前は、強引なタイプなんだよなぁ。何がなんでも教えろって言ってきそうだし。そんな奴に何かを教えるのは危険過ぎる。」

 一体、私の何が強引だと言うのか。生きるのに必死で頑張っているだけだろう。さっさと答えを教えろと言ってるだけなのにさぁ。

「お前はパズルをやっている時に最初からその答えを知りたいのか?」


 お前は命に危険が迫っている時にパズルを解きたいと思うのか?

「パズルを解かなきゃ死ぬかもしれないならパズルを解くよな?」

 だからそのパズルの答えを持っているのがお前だとしたらさっさと教えろと私は言っているんだよ。他人だったら知らないけれど。

「お前はすぐに答えを出そうとしているな。少しは悩もうって気がないのか。

 お前が答えを知っているのに、今、私が悩まなきゃいけない理由はない。簡単に終わらせられそうな事があるんだったらそれを片付けたくなるだろう。


「面倒くさくて我儘や奴だなぁ。じゃあこれだけは言っておく…。俺は魔者で合っている。」

 こいつからはっきり自分が魔者ということを聞き出すことができた。これはまずまずの成果だな。こいつもきっとここに来なければ話すこともなかっただろうが、こうして来たのだからもっと私にぺちゃくちゃと喋りまくるべきだ。

「私から数えて何代前なの。」

「さぁな。もう忘れてしまったぞ。」


 なんでそういう事を忘れちゃうかなーこいつ。もう気になる事だけさっさと吐いてくれと。私の目的は、魔者について知る事なんだけれど。そもそもクロウニンがなんなのかとか、なんで私というか魔者が恨まれてばかりなのかとかそういう事も知りたいんだっての。恨まれているのは大体想像ついているけれどさぁ。過去の魔者が一体どんなろくでなしだったのか知りたいんだよね。

「…お前、今かなり強くなっているのに自分で気が付いているか?」

「なんとなくかな。というか唐突に何だよ。」

 ヴァンパイアロードの漆黒の壁を吸収してから、なんだかパワーアップしたような気がしている。なので、色々できそうな気がするけれど、こう思っていると足元をすくわれると考えている。

 とあるゲームで高価な武器を手に入れた私が嬉々として戦場に行き、これなら勝てるなんて思い込んでいた結果負けてしまったということがあった。

 武器だけでは駄目だったし、猪突猛進みたいなことでは上手くいかない事もあると理解した時でもあった。

「つまり、それより更に上の強さを目指したいってことか? 死にたくないから?」

 その通り、私はまだまだ弱いので死にたくない。だからここでなんとか強くなれる方法がないかと探しに来たというわけだよ。その他の目的もあるけれどね。

そうだ、私は<アノニマスターオンライン>でやりたいことが沢山あるんだ。だからこそ死ねないし死にたくないので、ここで情報を沢山引き出さないといけないんだよ。


「お前が、魔者の大陸でだらだら暮らしていれば、別に問題なんて起きないんじゃないのか?」

 それは、当然考えたんだけれど、クロウニンとかに恐れをなしているということは、この大陸に閉じ込められている、あるいは逃げているようなことなので腹が立つ。実際、今もこうして逃げ回っているようなものだし。

 私がただ単に自由に動きたいだけなのに、それが出来ないのは気に入らない。私は自由にどこにでも行きたい。それが制限され続けるのはまっぴらごめんだ。だから将来的にはクロウニンは叩き潰すことは確定している。


「おーい。ねっこちゃん。なんか一人でぼーっとしているけれど何かしたー?」

「あー。ちょっと私だけのイベントが始まっているようなので後で説明する。」

「おお、分かった! 進展があって良かったな!」

 傍目から見たら、ただぼーっとしているだけに見えたのか私は。魔者と会話しているなんて言ったら偉いことになるのでとりあえずイベントとだけ誤魔化しておいたけれど、この状態を見られたらぼーっとしている人とか言われ続けるようになるのは嫌だな。これからこいつと話すときは気を付けないと。


 ところで魔者。クロウニン以外の敵がいるんだったらそれも教えてくれ。

「多分、クロウニンだけだと思うぞ。魔者であるお前にとっての敵は、ああ、、強いて言えば、全人類何だろうな。お前の敵になりそうはな。」

 また大きくでたなあ。魔者が人間嫌いって設定だから、人類を全て滅ぼすべきとかいうノリなのかな。うーん。こいつ意外と初代魔者だったりするんじゃないだろうか。

「お前がそう俺を断定するならそうなんだろうなぁ!!」

 うん。じゃあそう言う事にしておくか。じゃあ次の質問をするか。

「面倒くさくなってきたな。もうお前ここらの本を全部読め。それである程度分かるからな。」


 それに時間がかかるからこうして質問してやっているんじゃないか。で、ゴーストロガノフって奴は名前の通り幽霊にでもなれるの?

「どうだろうなぁ。お前も自分の脳を使って考えればいいだろう。」

 いや、それはお前がやらんか。そういって私は軽く錬金術士の杖で壁を叩いてみた。何も起こらなかったけれど、なんだかこれはこれですっきりするなあ。

「おい、何してくれているんだ。お前が持っているその、錬金術士の杖、かなりいいものなんだから雑な扱いはよせ。」

 と言われましてもねえ。腹が立ったらこれに八つ当たりするべきなんじゃないかと思ったので。

「嫌な奴だなーお前。やっぱり魔者に向いているよ。」

 ほうほう、それはどうも。ところでさ。

「ん?」

 私の体を乗っ取ろうとか虎視眈々と狙っているのは分かっているんだからな。

「は?」

 お、一瞬震えたような声になったな。お前やっぱり、いずれ私を乗っ取るつもりだったんだろ。そうはさせないっっつーの。


「一体、何の事を言ってるんだ?」

 わざとらしい演技はしなくていいよ。こういうアイテムに意思が宿っているんだったら、大体何かを乗っ取ろうとしていると私は考えているし。だから私に助言は全然しないし、私に死んでもらったらそれはそれで困るから、時折話しかけてくるんだもんな。

(母上、聞き捨てならないのですが、母上に話しかけてきているこの錬金術士の杖とやらは、とても危険なのではないですか?)


 そりゃあそうでしょうね。そもそも魔者の正体がどんななのかも分かっていないし、こいつも魔者とは名乗ったものの、本当にそうかなんて証明をしていないか分からないし。正体不明過ぎて、敵として認識してくださいって思っても当然だと思うんだよね。というわけで、答えろ。

「そんな事あるわけないだろ。第一、それだったらお前がもっと弱いうちにでも乗っ取ったほうが便利だろう。」

 それが出来ないんだろう? 私がある程度強くならないと乗っ取れないとかいう制約があるんだろう。私に誤魔化しは通用しないぞ! いつもあらゆるものを疑ってかかっているからな! お前が魔王とか言われても全然驚かないぞ! へへへへ、今まで一体どれだけ騙されてきたと思っているんだ。


 主人公の暮らしていた街の偉い人が実はラスボスだったとか、むしろ主人公こそがラスボスだったとか! 今まで仲間だと思っていたら、実は自分よりいつも上の立場に行く主人公の事が許せなくてたまらなかったとか! そんでもってその仲間に同情した女キャラが、主人公を罵倒した末自害するとかねぇ!? くっくっく。私はどこの誰も信用していないぞ。何が起こるか分からないからなぁ。


 というわけで、乗っ取るつもりならさっさと言え。

「…さぁな。そんなことをして何になると言うんだ。」

 あっ、こういうしらばっくれる奴もいたなぁ。まぁいっか。


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