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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
353/473

第353話「魔者の部屋・再び」

本日で30万PVを超えました!読んでくださっている方!本当にありがとうございます!

よろしければ!ブックマークや評価等もよろしくお願いしまあああああす!(Enterキー)

後、すみません。明日追記しますのでよろしくお願いしまああああす!(Enterキー)

11/10追記しました。

 結局、魔者の部屋に行くことにしたのだが、意外にあっさりとついてしまった。当然、魔者の塔の入り口から入ったのだけれど、メンバーの中で、ビスケットだけはその大きさの為、中に入る事が出来なかった。一人だけ置いておくのは可哀そうだと思ったので、誰か一緒に待機して貰おうと思ったのだけれど。

「なんか俺、塔の番人って感じでかっこいいと思いません!? ここで待ってますのでみなさんは昇ってもらってていいですよ! ここに来た奴は全員みなごろしにしておきますんで!」

という軽いノリだったので、そのまま任せてしまうことにした。これでいいんだろうかとも思ったけれどきっとそれでいいんだろう。


魔者の部屋は、相変わらず、中世ヨーロッパにあるような普通の部屋だった。部屋の中が特に変わった様子はない。ここでふと思い出したことがあった。

「そういえば今さらだけどさー、魔者の大工道具とか七つ道具とかって、二人が使っているところまともに見たことがないんだけれど。」

 私は魔者の鉢金を使って忍術を使っているけれど、二人が道具を使っている所は全然見たことがなかったので聞いてみた。


「あー。俺のは本当にただの工具だよ。ハンマーとかノミとかカンナとか。」

「あたしの七つ道具も鏡とか、口紅とかそういうお化粧道具が入っていただけでした。」

「は。はぁ。なんかすごい効果があったりするんじゃないのかな?」

「俺もそう思って使ってみたけれど何も無かったよ。」

「あたしも、口紅とか使えば魅了とかそういうスキルが使えるんじゃないかと思ったんですけれど、何もありませんでした。ああ、見た目が変わるって意味では役に立ちそうですが。」


…魔者とか大層な名前がついている癖に、本当に何も効果がないのか? おかしくないかそれ。まぁ呪われてたりしないだけ良かったんだろうけれど。

「まぁそれはひとまず置いといて、だ。石碑が復活しているんだけれど。」

「お!? 本当だ! 確かこれをねっこちゃんが電撃の鞭で叩いてぶっ壊したら、魔者になってしまったとかいう奴だよね!?」

「説明ありがとう! その通り! だけど復活しているってことは! これをブッチが壊せばもしかしたら魔者になれるかもしれない!!」


 なんて淡い期待を持っているのだけれど、そうなるとは到底思えなかった。現在称号を持っているのは私だからだ。このゲーム内で魔者になれるのは一人だけとかこの間、運営がメッセージで言ってたし。ブッチに譲渡されるなんてこともないだろうなぁ。

「まぁそれは後でやろうよ。探し物する前にこれ壊したら邪魔でしょうがないよ?」

「うっ。確かに。」

 石碑の欠片が散かかって歩きにくくなりそうだなとは確かに思った。よし、それじゃあここいらにある本だのをじっくり読んでいくとしようかなあ。

「みなさん、ちょっと動くのを待ってください。」

 早速本を読もうと手に取った時、エリーちゃんから待ったがかかった。どうしたんだろう。

「この部屋、前に来た時と雰囲気が違っています。何か罠があるかもしれないので注意してください。」


 それ…つ、つまり二回目のイベントか! 一度行った場所であっても、もう一度訪れると新たなイベントが発生することがあるけれどそれか。これは、何か期待できそうだ。新しいアイテムが手に入る事とか、魔者についても何のことなのか分かるかもしれない。

 ふー…。ちょっと緊張してきたな。下手に動いてまた魔者みたいな称号がついたら嫌だし、ここは慎重に動かないと!

「あれ? エリーちゃんって、罠は発見できるんじゃなかったっけ。」

 ブッチが、疑問の声を上げた。最近忘れがちだったけれど、エリーちゃんは職業が盗賊なんだよね。私が錬金術士で、ブッチが力士ってなんかパーティのバランスはとれているのかどうかよく分からない構成だけれど。


「私でも探知できないものがあるかもしれないってことですよ。魔者の部屋っていうからには、私が発見できない何かが仕掛けられていてもおかしくないです。」

 確かに、私以外の魔者って言うのがひねくれものが多かったようなので、それを考えていくと、罠が仕掛けられていてもおかしくない。

「それに、前来た時だって、この部屋に何が仕掛けられているかさっぱりでしたし、盗賊のスキルが無効化されている可能性だってあるんです。だから気を付けてくださいね。」

 などと言われても、何をどう警戒すればいいんだろうかというのもある。いきなり床が抜けるとか、どこかに閉じ込められるなんてこともありそうだけれど、そうなってしまった時点でおしまいのような気がするし。

 うーん、ローグライクゲームのように、武器を振ると、すぐ前にある罠が見つけられるような仕組みでもあれば便利なんだろうけれど、そんなものは、なさそうだしな。でもやるだけやってみようかな。


「ねこますサマ。カマヲトリダシテドウシタンデスカ?」

「武器を振ったら、罠が出てきたしないかなーなんて思ってね。」

「あー。あたしもそれ試してみてますけれど、何にも効果なさそうです。」

 あぁ、やっぱり先にやっていたか。となると前回も試していたのかな。

「ふむ。この部屋には、魔力が込められていますね。それと、何か不思議な感じがしてきます。違和感といいますか、何かがありそうなのですが、それがよくワカリマセン…ン?」

 サンショウの方を見ると、骸骨の姿に戻ってしまった。あれ、もしかして強制的に解除されたのか、それとも何らかの攻撃を既に受けてしまったんだろうか。


「サンショウ大丈夫? なんか骸骨に戻っちゃってるけれど。」

「ナンラカノ、マリョクノセイデショウガ、ナカナカキケンナヨウデスネ。」

 サンショウを強制的に骸骨状態に戻せる魔力ってまずいんじゃないのか。ここはみんなには一旦出て行ってもらった方がいいのではないかと思った。

「ねこますドノ。ココマデキタラ、イチレンタクショウデス。」

「ワレワレハイッポモヒキマセンヨ。」

 なんかカッコいい事を言いだしたイッピキメとニヒキメだった。いやでもねぇ、ここで何かあったら困るから出て行ってもらった方がいい気がするんだけれどなあ。

「マスター。我々は覚悟をしてこの部屋に来ていますので、マスターを置いてここから去るなんてしませんよ。」

 猿だけにかとツッコミを入れたくなったのだがそれはやめることにした。茶化すような場面では絶対にないだろうと思ったし。


「それはくろごまが猿だけにってことで!?」

「いえ、そういうわけでは…。」

 ブッチ、私がツッコミを入れるのをやめたことをわざわざやらなくていいだろうと思った。

「ふぅ。まぁ分かったよ。とりあえず私は、本棚を調べるから、みんなはそれ以外の物が何かないか調べてもらえないかな」


「おっけー! ここに来るのは2回目だけれど、今度はもっと面白そうなものを見つけよっと!」

 みんなは、張り切って魔者の部屋内を探索し始めた。その姿はどう見ても泥棒と言うか空き巣というか、そういうものにしか見えなかった。

 RPGなんかだと民家に勝手に入ってアイテムを持っていくなんて正真正銘泥棒のような事をすることが出来ることが多かったけれど、犯罪にはならなかったんだもんなぁ。

「よし、私も何か探すとするか。」

 といっても本棚にある本を一冊ずつ調べていくといったものだったけれど。もしかしたら、錬金術に関係した本もあるかもしれないなあ。そう思って、ふと一冊の本を手に取ってみた。


「人間記録」

 背表紙にそのように書かれていただけで、表紙も裏表紙も真っ黒い本だった。人間記録って一体何を記録していたんだろうと、気になったので、その場で読んでみることにした。

 えーっと? 人間がうざすぎる。毎日無駄に争いあって、相手より優位に立とうとばかり考えている。人間がこちらにお願いしてくる事は、相手が悪いことをしたんで懲らしめてくださいというものだったが、その自分たちも悪いことをしていることに自覚がない。人間達は総じて屑だ。

 …なんか延々と人間に対する恨み言のような事ばかり書かれているな。これはあまり役に立たなそうだと思ったので、そこからはパラパラめくりながら読んだ。


「ん? これは。」

 本に栞が挟まっていた。キラキラと光る栞だが、結構高そうな気がする。こんなものを挟んでいるということは、このページに何かが描かれているんじゃないかと期待して読んでみたのだけれど。

「人間は自分勝手すぎる。人間を滅ぼしたい。人間が喧嘩を吹っ掛けてきたくせに、自分たちは被害者だとか言い張るのことに虫唾が走る。あいつら、絶滅させたい!」

 なんだかやたらとキれている。人間に嫌な思いをさせられたというのは想像に難くない。人間達は、きっと魔者になんでもかんでもさせていたんじゃないだろうか。それで全部の責任を魔者に押し付けるということもやったのだと思う。

 …現実でもそんなことは沢山あるしなあ。うんざりしてしまったから、この魔者の大陸にずっと引き籠るようになったんだろう。私もたまに人間って面倒くさいなあって思う時はあるし。


「姉御、なんか面白い事書かれてたんか?」

「まだ読み始めたばかりだけれどね。魔者って人間嫌いだったみたい。」

「姉御もあまり人間好きそうやないし、そんなもんやないか?」

「いやいや! 私は、人間とも仲良くやれるし!」

 なんだか、だいこんからコミュニケーションに難がありそうなイメージを持たれてしまっているようなのでそこは否定しておきたかった。

「ねこますサマハ、ニンゲントナカヨクスルノデスカ?」

「ま、まぁね。」


 別に争いあう必要がなければ、私は喧嘩を吹っ掛けたりしないし。普通に仲良くしてもおかしくはないだろう。まぁこの間の傲慢なプレイヤーみたいな連中ばかりがわんさかいたら別だけれど。

「人間と無駄に争いたくはないなーって思っているからね。」

「いやいや、姉御、そんなこと言ってても、無駄に喧嘩ふっかられるんやないか?」

 その通りだけれど。別に争わなきゃいけない理由もないからなぁ。でもだいこんの言う通りでもあるんだよなあ。私みたいなか弱いキャラを相手にぼったくりをしようとするプレイヤーもいると思うし、そんなことされたら、徹底抗戦だな。

「姉御。まだまだ本はあるんやから、ガンガン読まないとまずいんやないか?」

「うっ。それもそうだ。頑張るとするか。」

こうして、しばし私は読書に励むことにした。


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