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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第352話「ももりーずVの面々」

 私達は、転移石に場所を登録するため、魔者の大陸内を歩き回っている。一度登録してしまえば簡単に移動する事ができるのだから、さっさと片付けてしまおうと思っていた。時間をそれなりに要してしまったけれど、これで面倒くさい移動が減るので、遊べる時間も増えるのが嬉しかった。

 今は、魔者の塔付近にいるが、ここも登録が終わったので、ひと段落していたところだ。


「ワイは、御役御免になってしまうやで。きっとこのままワイの存在意義がなくなって、肩身の狭い思いをすることになるんやで!」

 だいこんが、転移石の存在に危機感を覚えたのか、突然叫びだした。

「だいこん。何の役にも立たなくなるなんてないから安心して。」

 当然フォローアップする。白蛇のだいこんは、体を大きくしたり小さくしたりすることができる。大きくした場合は乗り物として役に立つが、転移できるようになれば、あまり役に立たなくなるという風に捉えてしまったらしい。

「いつも乗り物として役に立ってもらうわけじゃないよ。今後は私の為に頑張って貰うことになるし! 良かったじゃん!」

「姉御の為にはいつも頑張るつもりやで。他に何をするって言うんや?」


「私と連携できるようになってもらう。」

 真蛇モードとか言うのをまだ使ったことがないが、使うにはだいこんがいないと駄目なので、今後は極力私と共に行動をして貰う事にしている。更に、忍術についても、同じようにだいこんを対象として使う事ができるので、これもまた一緒にいてもらう理由になる。

「フアッ!? それはワイも戦うっちゅーことやないんか! ワイは危険なのは極力勘弁したいんにゃで!」

 だいこんは戦闘が苦手だけれど、それもどこかおかしいと思う時がある。巨大化すれば噛みついたり巻き付いたりすればそれなりに脅威になるのに、戦闘自体一切したくないとしたら、どうやって生きていくのだろうなんて思った。


「だいこんも、それなりに戦えると思うんだけれど、苦手意識持ちすぎじゃない?」

「姉御。ワイは結構どんくさい方なんやで。せやから、戦いになったら、素早い行動ができずに、相手から攻撃されてグエー死んだンゴってなるのが関の山なんやで。こうならないために出来るだけ戦闘に参加しないように心がけとるんやで! どや!」

 …いや、それを自信満々に言われてもね、と思ったがだいこんはそういうものだったかと納得したのでやっぱり補助が向いていると思った。

「うんうん。それじゃあ私の補助を頼むよ。いつも戦うわけじゃないからよろしくね。あと私も戦いが苦手だから似た者同士頑張ろう。やで?」

「なんでや!? ワイは、ワイはもっと乗り物になって楽そうで安全な位置にいながらみんなからちやほやされたいだけなのにどうしてそうなるんやで!?」


(だいこんさんって面白いですね。)

 まぁ、悪い奴ではないと思うんだけれど、ひじきは真面目だし、だいこんみたいないい加減そうな奴とむしろ相性がいいのかもしれないね。私は、仲のいい仲間がいない気がするけれど。はは、ちょっと自嘲したくなっちゃったよ。

(え、ブッチさんと仲がいいじゃないですか。)

 ひじき。私は確かにそこそこブッチと仲がよく見えるのかもしれない。だけどそれは、距離のある仲の良さどまりなんだ。つまり、ものすごく仲良くなるのができないってことなんだ!

 そう、そうなんだ。少し疎遠になるとそのまま一切何の連絡も取らなくなってしまうようなタイプ。それが私なんだ。実はあまり仲良くなっていなかったというのがそういう時に露呈してしまうんだ。


「ねっこちゃん。どうしてそんな不気味に笑いながら俺の事を見つめているんだい。」

「たまにチラチラあたしの方を見ていますが、どうしたんですか。」

 …もしかして、この二人は仲が滅茶苦茶良かったりするんじゃないだろうか。そんな気がしてきたぞ。

はっ!? 私に隠れて実は親密な関係になっていそうだぞ。確か前にやっていたオンラインゲームでもそういうことがあった。

 ギルドのマスターと副マスターが付き合っていて、そこから段々とギルド内が不穏な雰囲気になっていき最終的にギルドが解体となり、マスターと副マスターは二人だけのギルドを立ち上げなおしたとかいうそういうのを!

 この二人もそういうことになるかもしれないぞ! これは要チェックだ!

(…母上ってたまに残念な人になりますよね。悲しいですけれど。)


「あれは絶対またろくでもないことを考えている顔だと思う。」

「そうですね…。あの顔になっている時のねこますさんのダメっぷりは本当にダメです。」

「やっぱり! 同じような事を言ってる! たけのこ! たけのこぉ! 私はもうおしまいだぁ! この世の破滅なんだぁ!」

 もふもふのたけのこだけが私の味方なのではないかとがっしりとしがみついた。あぁこれ癒されるなあ。

「ねこますドノ。ワレワレハ、ねこますドノヲシンライシテイマスノデ、ゴアンシンクダサイ。」

「エエ。コノアイダハ、ワレワレヲ、ツレテイッテクダサッテアリガトウゴザイマシタ。」

「おぉ。」

 やはり親密度を上げるためには、連れまわすのが一番いいんだな。出来るだけ長く一緒にいれば、仲良くなれるというのは確かだったのかもしれない。


「ところでブッチ。」

「唐突に何だいねっこちゃん。さては俺に惚れたな。」

「マブダチって名前なのに、私ともみんなともマブダチっぽいことをしていない! 名前負けしているんじゃないの!!?」

 もっとこう、懐の広さを見せてもらいたかったというか、久々にツッコミを入れたくなったので、ここではっきりと言っておくことにした。

「確かにそうだ! お、俺が間違ってたよみんな! みんなのマブダチになりたいのに、俺はなれていない! くそう! なんてことだ。この俺としたことが!」


 あれ、なんか急に悔しそうに地面を叩き始めたぞ。まぁいいか。ブッチにも悔しくなることがあったみたいだし、これでおっけーおっけー。

「ところで、ねこますさん。クロウニンと戦う決心がついたようですが、転移石に登録が終わったら、また人間の大陸に行くんですか?」

「うん。ただ、ちょっとだけ問題があってね。」

「なんですか?」

「ビスケットが海底洞窟に入れないかもしれない。」


 海底洞窟の天井の高さにぎりぎりぶつからないかもしれないが、天井が低い所もあるので、そこの移動が大変になると思われる。膝を折り曲げながら移動すればいけるかもしれないが、相当きついのではないかと思われる。そこに無理矢理連れて行くのはちょっとなぁと思ったし。かといって仲間はずれにはしたくなかった。

 クロウニンと戦う際には戦力はあればあるほど嬉しいので、できればビスケットも連れて行きたい。

「ビスケット。膝を折り曲げながら移動することになるかもしれないんだけれど、頑張れる?」

「そこで頑張れないと、マスター達と一緒にいけないんですよね!? だったら頑張りますよ! だけど俺もそこのねずお先輩くらいに小さくなれたら良かったのになあ。」


「チウ?」

 ねずおが首をかしげてビスケットをじっと見ていた。体格の差が激しく、どう考えてもビスケットの方が強そうだが、ねずおのこともきっちり先輩と敬っていそうだった。

「それで、影の薄くなっているござることくろごまは、最近調子はどうなのかな!」

「うぐぐ。マスター。拙者だって何もしていないわけではないでござる。ブッチ殿やサンショウ殿と稽古していることも多いでござるよ。」


 そうだったのか。この三名は戦いが大好きってことになりそうだな。覚えておこう。それと私も最近はくろごまとあまり話をしていなかったので、もう少し活躍できるように連れて行くかってところだな。


「なんだか、私もだけれど、みんなもやりたいと思っている事沢山あるね。」

「ええ。私はもっと人間の大陸で稼ぎたいです。だけどクロウニンがいるままだと、ねこますさんも向こうに気軽にいけないでしょうし、早く倒してしまいたいです。」

「え? そこはエリーちゃん一人でも儲けられない?」

「目を付けられそうな感じが怖いですので。そういうのが得意そうなねこますさんにも手伝って欲しいなあって思っていますよ。」

 そういうのが得意ではなく、単に社会人だから多少理解できているというだけで、至らない点は沢山あるんだろうけれどなあ。

「うーん。それなら私も、もうちょっと頑張らないといけないな。」


 クロウニンを倒すためだけに<アノニマスターオンライン>をやっているわけじゃないので、その他の事も楽しめるのは良いことだ。だけど、今の大きな目的としては、クロウニン退治になっているので、これからはそちらを意識していく事になるな。

 私が魔者でいる限り、クロウニンが襲い掛かってくる。だけどそれだけじゃない。私が魔者でいる限り、他のプレイヤーもその称号を奪いに襲い掛かってくる。

 …うぐぐぐぐぐ! なんか責任重大って気がしてびびってしまいそうだよ。なんか壮大な物語になってきている気がするんだけれど気のせいじゃないよね。


「ねっこちゃんは、クロウニンも、魔者を狙う輩も倒すと言う最強伝説を作っていかなきゃいけないもんな!」

「ブッチは、ブッチで、その更に上を行く伝説を作っていかなきゃいけないもんね!?」

「おうよ! 俺は<アノニマスターオンライン>で最強になるぜ!」

 自信に満ち溢れているブッチが輝いて見えた。流石ブッチ。私にはそんな光り輝いた反応ができない。といっても、上半身裸で廻しをつけている存在が光り輝いているっていうのはどうみても笑えてくる光景だったけれど。


「それじゃあそろそろ海底洞窟方面に行こうか。それで、転移石に登録が終わったら、もう一回魔者の塔に来るかどうかも決めていくとしよう。」

 魔者の事をもう少しだけ調べてから、人間の大陸に行きたいとおも思っていたし、そこはもう少しだけ悩んでおこうと思う。

「あー、そうですね! あたしも魔者の事が気になってきましたし! またあの部屋にいきましょうよ!」

 あの部屋にまた行けるかどうかも微妙だけれど、今度行けたら知りたいことが沢山あるのできっちり調べないといけないな。


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