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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
340/473

第340話「2匹のヴァンパイア」

いつも通り明日追記します・・・。

10/28追記しました。

 女ヴァンパイアは大して強くない。もしかしたら急に強くなる手段があるのかもしれないけれど今の所そういう挙動はなし。老ヴァンパイアは強い。こちらの様子を伺っている感じだ。どちらも空を飛んでくるのが厄介だけれど、そこまできつい感じはしない、というのが私の感想だった。

 ところで、魔者である私を狙ってきているらしいことは分かるのだけれど、その理由はいまいち分からないので頭の中で推定してみるが、どうせ先代の魔者が何かやったのだろうということしか分からない。あるいは、魔者という存在が何か危険な者なので始末してしまおうというものなのかもしれない。

 私自身、魔者って何なのか分かっていないが、事実こうやって襲われているので、危険な存在だから消そうと考えられていそうな気がしている。

 毒狸の母に紫色のワイバーン、それに黒騎士マーシャル、クロウニン、なんだか魔者っていう存在が毛嫌いされているというか、いるだけで邪魔みたいな扱いをされている気がしてならなかったし。


 魔者とは何か。魔者の謎とは何か、っていうのが<アノニマスターオンライン>でとても大きな物になってしまっているのではないのだろうか。だけど常識的に考えてありえない。オンラインゲームってみんなで楽しめるために特別なプレイヤーを作るのはご法度なはずなのに、それを実行してしまっている。魔者以外にもと特別な称号を与えられているプレイヤーが多数いるのならまだいいけれど、一人だけって設定が公開されるくらいだから貴重な存在なのは間違いないだろうし。はぁ、この謎を解き明かすのが私の役目ってところなのかなぁ。

「ヴァンパイア程度が魔者にかなうと思っているのかな?」

「貴様など我らの足元にも及ばない!」

「いいや、私が及ばないのはそっちのおじいさんのほうだね。」

 という風に、格上の方を褒めて、格下の方を小馬鹿にしてイライラさせて動きを単調にさせる作戦をすることにした。この金髪女ヴァンパイアが若者だというのはよく分かる。だからこそ、こういった挑発に弱いと判断した。


「まさか魔者に褒められるとは。だが安心を。すぐあの世に送ってやります!」

 このおじいさんヴァンパイアは私が相手しないとだめだな。強い。多分実力を隠している。今は様子見だけれど、全力で来られたら私もまずいかもしれない。だけど不思議と負ける気がしないのが変な感じがするなあ。

「私を、私を馬鹿にするなあああああああああああ!」

「というわけで、たけのこ達はそっちの女ヴァンパイアをよろしくね。私はこっちと戦うから。」

 そして私はたけのこから降りて戦う事に決めた。だけどこれは嘘。当然たけのこ達のフォローをする。更にヴァンパイアロードの警戒もする。


「吾輩の相手をしてくれるというのは光栄ですね。魔者殿。」

「お前がヴァンパイアロードなんだろ?」

吾輩とか初めて聞いたよ。笑っちゃダメなところここ? 笑っちゃダメ?

「ははは。吾輩がロード様のわけがありませんよ。」

であれば、あっちの金髪の方かもしれないな。力が覚醒していないとかの設定がありえそう。まだ若いから力がコントロールできていないとかね。ヴァンパイアロードがこの二匹の可能性もあるのはまだ捨てきれない。意識しておかないとなというわけでさっそく斬りかかる。

「真空波!」

「おっ・・・と。」

 私は鎌を振ったが真空波は出さなかった。警戒していたおじいちゃんヴァンパイアは一瞬だけ態勢を崩したがすぐに元通りになった。そんでもって防御の姿勢をとったね。やっぱりこのフェイントは便利だな。真空波が効くか効かないかって判定は結構重要だし、こういうやり方は今後も続けて行こっと。


「やり方がやはり魔者らしい!」

 鋭い爪を伸ばして攻撃してきたが、鎌で防御する。危ないなあもう。というか魔者らしいとか言わないで欲しいよ。私はあんなのと違って心優しい般若レディなんだからな!

「威圧!」

「ッ!?」

 おじいちゃんヴァンパイアは一瞬だけたじろぐ。私はその隙を見逃さず、左手で火薬草を投げつけてやった。火薬草が危険な物であると理解していたのか、触れずに回避されたが、後方にあった木に接触したようで、爆発が起きる。その衝撃により、おじいちゃんヴァンパイアは態勢を崩した。

 これは良い感じの隙だと思ったのだが、わざとらしい気がしたので、更に火薬草を投げつけるだけに留めることにした。

「どうぞ、プレゼントだよ。」


 これも簡単にかわしてしまうおじいちゃんヴァンパイアだったのだが、一発もくらわなかった当たり、やはり油断している振りをしていたようだ。というわけで、火薬草ではなく、火薬草を沢山詰め込んだ火薬瓶もおまけに投げてやった。

 私も巻き込まれる可能性はあったが、この程度であれば、薬草があるのでどうにでもなると判断した。ここで瓶を跳ね返されたとしても大丈夫な状態で使った。それよりもたけのこ達の邪魔になってしまうことのほうが心配だった。あの金髪ヴァンパイアが何か仕掛けてきていたらということを常に留意しなければいけないのは面倒に感じる。

「くっ!!」

 極力弾き返しにくくするために、足元付近に投げつけて、見事地面に当たり爆発が発生したが、大規模な爆発だったため、それはおじいちゃんヴァンパイアにも衝撃を与えたようだった。私にも振動が伝わってくるが、これには慣れているので、どうってことはなかった。ある意味では爆発への耐性があるようなものだった。


 だけど問題があった。爆発が発生するとやはり爆風で煙が上がるし、敵の位置を見失いそうになるなど、良くないこともあるので、連発は控えざるをえなかった。

「いやぁ。なかなかやるねぇおじいちゃん。」

「おじ…? それはまさか吾輩の事ですかな!?」

 真横から爪を伸ばされて攻撃されていたが、またしても鎌で迎撃した。おじいちゃんという言い方に気に障ったのかもしれないが、私にはそう見えるのだから仕方がない。

「まっ! まさかあっちの金髪の方がおじいちゃんだったなんて!?」

「そのようなことがあるわけないでしょう。」

 おじいちゃんヴァンパイアの殺気が増した。貫禄というものが目に見えたような気がした。これで怒りを見せたということは、金髪ヴァンパイアの事を少なからず大事に思っているような感じかな。多分、孫というかそれに近い形であることは間違いないだろう。


「そうなんだ。まっ、いいか。仲良くまとめてあの世に送ってやる!」

「そんなことは吾輩が許しません。」

「黒薔薇の型。」

 私の持っている鎌が赤黒く光った。そして、おじいちゃんヴァンパイアの爪をあっさりと打ち砕いた。それに動揺することなく、おじいちゃんヴァンパイアは再度爪を伸ばしてくる。なるほど、壊れても痛覚がないから平気ってことか。当然と言えばそうだけれど、そんなものがあったら、武器として役に立たないもんな。

 爪というのを武器にしているモンスターなんてよく見るけれど、爪の周囲って神経が集中していることも多いから、壊せば痛みで苦しむのかもしれないと思ったがヴァンパイアには関係なさそうだな。


「ブラックムーン。」

 おじいちゃんヴァンパイアは、漆黒の球体をいくつも放ってきた。これは当たるとまずいやつだと即座に判断してかわそうとしたが、私の左足をかすめていった。すると、その部分が突然重くなったような感覚があった。これは、サンショウが良く使っている重力系魔法とほぼ同じものだと判断した。ほぼ同じというのは違いがあったからだ。

 かすったあたりから、全身に重さが伝播していくかのような感じだったので、命中した範囲だけではなく当たればそれ自体が他の場所にも作用するようなものだった。といっても私はサンショウの重力魔法をくらったことがないので、こういうものだと知らなかっただけかもしれないけれど。


「ぐっ!」

 これは当然、そのまま追撃がくる。私が重さで膝をついたのだから、この隙を逃すわけがない。私の脇腹におじいちゃんヴァンパイアの爪が突き刺さった。うわー、すごい不快感。痛みとかじゃないのはいいんだけれど、腹が立ってくるなぁ。まっ、口の中に含んでいた薬草を飲み込んで回復はしたけれど、ちょっとこれは穏やかではいられないな。私も油断していたわけではなかったけれど、あの重力魔法が早いのが問題だな。サイズは小さいけれど、動きが早くて当たればこんな感じで足止めされるので使い勝手が良さそうだな。くそー、私もああいう便利なスキルが欲しい! というわけで、ひじき召喚。

「プラント・プラント!」

 黒蛾ひじきが、周囲の植物を操作して、それがあっという間に、おじいちゃんヴァンパイアの体に巻きついていく。形勢逆転だ! なんて私は思っていない。私もまだ、まともに動けない。これは一旦仕切り直しにするための作戦だ。なんとか起き上がるが、それとほぼ同タイミングで、おじいちゃんヴァンパイアも、植物による拘束をといてしまった。


「なかなかやりますね。」

「うっわ! おじいちゃん足腰大丈夫? そんなんであの金髪の子守れるの?」

「あなたはなかなかどうして。吾輩を怒らせるが上手ですな。」

 そりゃあね。今までのゲームで悪役が使ってきそうな言葉とか覚えているし。大体、悪役って自分の事しか考えてないもんだから、他者がどうなったって構うものかと、これでもかって傲慢っぷりを発揮してくる。それが他者の神経を逆なでするのは分かっている。

 だけどこの程度、どうってことはないね! ことちら匿名の日記サイトやら匿名の掲示板やらで叩かれなれているし、それこそオンラインゲームでもそんなのと沢山であってきたしね! むしろこうやって相手の神経を逆なでするのを楽しむみたいなノリだってあったからねぇ!


「まぁ、私達に牙を剥いた時点で、あの世に送る事は確定だからね。」

「何を言いますか。あなた方こそ吾輩たちに牙を剥いたではないですか。」

 …。あぁなるほど。ふーん。なんか解釈の違いがあるけれど、この二匹、利用されたか何かの可能性もあるな。んー。まぁでもいいか。私そういう裏設定的なのはどうでもいいし。このまま戦おう!


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