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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
339/473

第339話「火の海から脱出」

明日追記します!!

10/27追記しました

 折角、熱帯雨林に火を放ったというのにも関わらず、何からも襲われず、ひたすら熱帯雨林からの脱出をはかる私達だった。あれ、これはどういうことなんだろうと思ったのと、もしかして何か騙されたんじゃないのかと不安になってきてしまった。

 私に森林火災を引き起こさせて、その間に何かをしでかそうとしてきたというのも考えられなくはないか? 今更だけれど、そういう事も考えてしまう。だけどあの時は迷っている暇は無かったしな。これは私の下した決断だし、何かあったとしたらそのとき後悔しよう。ただ、今は考えられそうなことは考えておくべきだ。

 ヴァンパイアロードって言うのは本当にモンスターなのかといったところから考えてもいいだろう。たまに人間だと思ったらモンスターだったとか、武器だと思っていたらモンスターだったとかそういう展開もあるし。

 ヴァンパイアロードが辺りを闇で包み込む現象自体の名前の可能性もあるし、もしもそうだとしたら、私がやっていることは無駄になってしまっただろう。あるいは、ヴァンパイアロードがそこに存在するだけで自然発生してしまう現象というのもあり得る。


 存在するだけで天候を変えてしまうモンスターなんて結構ざらにいる。これまでプレイしてきたゲームだと嵐を吹き起こすモンスターだとか、そういうのが多かったかな。環境そのものといってもいいモンスターだ。

 そういうのが、たまたま今現在闇という形態をとっているだけだとしたら、どうしようもない。だけど辺りを火の海にしてやるんだ。何も影響がないことはないと思う。ヴァンパイアロードなんて言われていてもそんなものに巻き込まれたらただじゃすまないだろう。

 それと、だ。ゲーム制作者側の考えを想定してみることだ。こういうことをやるんじゃないのかと考えたりすると結構敵がやってきたりする。今回の場合だと、闇のような状態だからといって完全に無敵というわけではないと考える。そもそも、絶対倒せないモンスターというのはいるものだけれど、それはゲームとして面白くなるならいいが、そうじゃないなら存在しないほうがいい。


 倒せない理由などがあればいいが、そうじゃなくただ倒せないというのも腹が立ってくるし。ヴァンパイアロードが倒すことができないという設定だったらそれも嫌だな。拍子抜けするというか、折角強い敵なのに倒せないなんて、何の面白みもない。ブッチだったらそういうだろうし、流石に私だってそう思ってしまうよ。

「たけのこ。熱帯雨林からは確実に脱出するよ。脱出した後も必ずヴァンパイアロードに一泡吹かせてやるけれどね。」

 これは決定事項だ。おかげさまでドラゴンフルーツを燃やすことになったからなぁ! 絶対に許してなる者か。

「カシコマリマシタ! イソギマスネ!」

「というわけで、ビスケットも急いでね!」

「ううー木が邪魔ですけれど頑張りますー!」

 とにかく、熱帯雨林から脱出しよう。それが一番大事な事だ。後方を見ると、激しく木々が燃え盛っている。急がないと私達も巻き込まれてしまう。そこでふと思い出した。時間制限イベントのことを。

 何分以内に脱出しないとゲームオーバーになるというようなイベントで、私はこれがとても苦手だった。尤も、何度かプレイしていくうちに慣れるというのはあったけれど、やはり初回はどうしても焦って失敗する事も多かった。一番苦手だったのが、ラスボスを倒した時の何分以内に入り口まで戻れといったレトロゲームだった。倒した直後にタイマーが現れるのだが、突然出てきてしどろもどろしているうちに時間切れになり、ゲームオーバーになったのだった。

 ボスを倒した後も油断はしなくなったのはそのゲームをプレイしてからだった。もしかしたら敵に第二形態があるかもしれないとか、倒したあと、時間差で復活してくるかもしれないとか、やっぱり時間制限イベントがあるかもしれないとか、警戒心が強くなった。


 思えば、ゲームでは様々な事を学んできた気がすると思いを馳せながら、たけのことと共に私は熱帯雨林から脱出をはかろうとしている。

 この状況もまた、何らかの問題が発生しているに違いない。そうだ、ここから脱出する寸前にでもヴァンパイアロードが出てくるなんてことになったら相当意地が悪い設定だな。というわけでその可能性が高い事を考える。ゲーム開発者はプレイヤーを驚かせるような設定を考えるだろう。私がこの状況でされたら嫌なのは、あと一歩で終わると思った時に絶望のどん底に叩き落とされるような出来事だ。

 あるいは、仲間同士が分断されてしまうイベントだ。今、私達はできるだけ同じ速度で移動しているが、やはりどうしても距離が離れてしまっているので、分断されてしまう可能性がある。敵にしてみれば分断させて有利になるというのがあるだろう。


 嫌な事ばかり考えてしまうが、こんな嫌な事はゲームで沢山あったからだ。エンディングを迎えたと思ったら、二週攻略しないと真のエンディングを見ることができないというのもそうだ。つまり、だ。ゲームというものは、いつ、どんな時でも油断ならないものだということだった。

「えーっと! 熱帯雨林から脱出する瞬間にヴァンパイアロードから攻撃されるかもしれないから注意ね! 後、私とたけのこコンビと、ビスケット達で分断されるかもしれないから、その時は根性で乗り切って!」

「おおー! そんな卑怯な戦い方をするのかヴァンパイア! 笑わせてくれる!」

 煽るな。いや煽ってもいいのか。ここでビスケットの発言が聞こえていたらいい感じの挑発になるし、これはこれで悪くない気がするな。

「ねこますサマ! メノマエニカベノヨウナモノガ!!」

 おっと!? やっぱり出たな。ここから逃がさないぞって意味か? 目の前に闇の壁といったようなものが出てきたが、熱帯雨林全体を包み込もうとでもしているのかな。それじゃあ先手を打っていくか。

「照眼!」

 私の両目から、眩しい光が発せられた。これで目の前にある壁のようなものを照らす。すると、光を当てられた部分から闇が消え、空が映し出された。お、光が弱点なのか。単純だなぁと思い、ひたすら色んな所を見ていく。そして消えていく闇。


「おっけー! このまま先に進もう!」

「ガッテンショウチ!」

 とはいえ、これだけで終わるわけがないだろう。こんな単純に終わることが絶対に! そう絶対にないんだよね! よーし。それじゃあちょっと安い挑発でもかけてみるとするかなぁ! どうせ向こうも分かっていてこういうことをやっているんじゃないかと思うし!

「ヴァンパイアロードぉおおお! 私が魔者のねこますだあああああ! 姑息な戦い方しかできないんだったら、お前は私に絶対に勝てないぞ! ハッハッハッハ!」

 あっなんかノリノリでやってしまった。これはこれで結構楽しいな。でも高笑いってどうなんだろうね。なんかこう高笑いする人ってどこかお笑い系というか、なんかお調子者っぽくて、はっきり言うとなんか間抜け過ぎて死ななそうなイメージがある。


「ねこますサマ! サイコーデス!」

 たけのこだけじゃなく、ビスケット達からも絶賛されるけれど、恥ずかしくなってきた。楽しいけれどこういうのは勢いがないとだめだね。

 ところで、ここまで挑発してやったのに何も起きないな。まぁ安い挑発に引っかかるような奴ではないっていうのが分かって良かったかな。だけど。

「真空波!」

「ムッ!?」

 気配感知で2匹引っかかったのでそちらに真空波を放ってやった。やっぱりいたか。普通のヴァンパイア。ようやく敵さんがお出ましってことで面白くなってきたな。


「我々に歯向かう愚か者めが。」

「やはり貴様が魔者だったか。生かしては返さんぞ。」

 私達の左右から、ヴァンパイアが姿を現した。一匹は、眼鏡をかけて、タキシードを着た白髪で老紳士っぽいヴァンパイア。結構長身だな。もう一匹は、金髪のストレートヘアーでドレスを纏った女のヴァンパイア。こちらは少し背が低いかな。だけどどちらもいかにも強そうな雰囲気がでているというか定番っぽいデザイン! 強そう!

「我々に歯向かう愚か者めが! やはり貴様がヴァンパイアだったか!生かしては返さんぞ! ふふ。」

 言われた言葉をほぼそのまま返す。私の好きなやり方は、相手にぺちゃくちゃ余計な事を話さずに攻撃を仕掛け、無駄に喋っている奴に無駄に喋っていると言う事をアピールする事なんだ! これをこのゲームでやるのが楽しくてしょうがない。


「ッ!! 死ねッ!」

 女のヴァンパイアが死ねとか言ってきてるけれど、美女系というか可愛い系なので、拍子抜けをする。赤い光弾のような物を放ってきたが、これは…おっそ!? たけのこが簡単にかわしちゃったよ。何それ、ギャグか!?

「ナンダイマノハ…?」

 たけのこが驚愕している。あまりの遅さに。いや、これはそういう展開でこちらを笑わせて戦意を削ぐみたいなノリなんだろうか? あーあー。いるいる。ゲームでこういうおとぼけキャラっていうかどうも憎めない系。え、そういうノリ?

「ならば私がお相手しましょう。」

今度は老紳士ヴァンパイアが真っ暗闇の光弾を放ってきた。これは早い! たけのこもぎりぎりで回避するような感じだった。つまり、これは二人セットで、緩急をつけた攻撃を仕掛けてくるってことだな。よし、それじゃあ。たけのこ、頼むよ。

「ジュウアツ!!!」

たけのこが、目の前にいる二匹のヴァンパイアに重圧を放った。これを二匹とも回避したが、その後に待っていたのは、イッピキメとニヒキメの曲刀による攻撃だった。よっしナイス連携だと思ったのだけれど、それをどちらのヴァンパイアも爪を伸ばして防御していた。

「この程度でやられるわけがないだろう。」

「甘い!」

「辛い!」


 こういう時にからかう余裕ができてしまった。え、緊張感が足りていないって? だってこれは所詮前座みたいなものだしな。こいつら、私の見立てだと倒せないレベルじゃない。普通に倒せる。だけど問題なのは、ヴァンパイアロードだ。私はヴァンパイアロードの警戒を全力でしている。こいつらがヴァンパイアロードの正体の可能性もあるけれど、どこからか攻撃されないだろうかということの方に意識を向けている。

「我らをからかうとは、なめられたもんだな。」

「だって。高貴なヴァンパイアの癖に私達のような雑魚を一撃で仕留めきれないのはねぇ。」

「死ね!」

金髪の女ヴァンパイアちゃん、ちょっと冷静さ足りなくない?


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