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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第33話「解体」

さてと、問題は、この巨大な鮎をどうやってみんなのところに持っていくかだ。多分わ

ざわざ、川まで来てくれることはないと思う。水面からはなんとか引っ張り上げること

ができたけれど、陸からは動かせそうにない。これはもう、私だけで食べるしかないんの

ではないだろうか。

 それとも、ここで解体していけばなんとか持ち運びできるのだろうか。包丁ではなく鎌

で捌くことになるのだろうが、こんなもんで出来るのか。

 そもそも、もうまる焼けというか焼けてしまっているのでこのままがぶりとでもいった

ほうがいいのではないかと思われるが、気が引ける。こんな陸に上がった5メートルもあ

る鮎をそのままぐっちゃぐっちゃ食べていたらまた誤解されそうな感じがするし。

 そういえば、川魚って寄生虫がどうとか聞いたことあるけれど、これはどうなんだろう。

焼けば多分大丈夫だと思うけど、なんか生焼けっぽい感じなんだよなあ。ああもうどうす

りゃいいんだ。ここで三枚おろしとかすればいいのか?鮎の捌き方を調べにいったんログ

アウトしたい気分だけれど、それはそれでなんか負けた気がするので嫌だ。それに、だ。

5メートルの鮎の捌き方なんてきっとないだろう。そんな大きい魚じゃないはずだし。


「ひとまず頑張ってみるか…。」

まずは、鎌で鱗を取り除けるかやってみる。あれ?意外とすんなりいったぞ?

メッセージ:魚鱗を手に入れました。

 まじかい。使い道なんて思いつかないけど、これで防具でも作れるようになるのだろう

か。そんなことを考えつつ、どんどん鱗をはいでいく。め、面倒くさい。どんどん魚鱗が

手に入るけど、5メートルもあるから、すごいかったるい。

「次はえーっと、頭を落としてみるか。」

 鎌で頭を切り裂いてみるが、今度はあまり切れなかった。硬すぎるんだよこいつ!何度

も鎌で切っていく。傍目から見たらまたおかしな人だと思われそうな動きだよなこれ。ど

うしてこう、楽をさせてくれないのか。こんなところはリアリティこだわらなくてもいい

じゃないか!

 そこから何度も何度も何度も頭を切り離すべく切り続けた。ようやく頭がとれた。次は

ようやく腹のあたりをざくざくやっていくのか。ああもう、私は魚をさばくのは得意じゃ

ないんだよ!外食では魚食べるけどさあ。自宅だとこういう処理が面倒くさいから極力食

べないようにしているのに!

 愚痴を言っても仕方がないが言いたくなる、そして作業を続ける。横からざくざく、や

っぱり上手くいかねええ!板前さんとかスススーッって綺麗に切れるのに何が悪いんだよ。

鎌か?鎌が悪いのか?んん?どうだよこんちくしょう!オラオラ!切れろ切れろ!ひぃひ

い。なんだこいつ、やっぱりでかすぎじゃないのか、5メートルとか絶対アホだろ。


 私は、根気よく、巨大な鮎の腹を鎌で引き裂いていく。ふぅ。次は、内臓をとればいい

のか?よくわからないけどやってみ・・・血かよ!また血塗れかよ!ああもう、近くに川

があるからいいものの、勘弁してくれ。ふぅふぅ。内臓を取り出すぞ。よし、引っ張って

ひっぱって、うおおおおおおおおお!手がぬるぬるして気持ち悪い!もうなんなんだよ!

どうして私はこんなことやっているんだよ!馬鹿なのか!

「魚を解体するのって、まじ大変すぎないか。はあ…。」

 ここまでやるのに大分時間がかかっている。誰か私の用を気になって見に来てくれよ。

もう最後までやるのが辛い。

 とりあえず内臓は取り出した。次は、尻尾のあたりから切ればいいんだっけ。いやもう

うろ覚えの知識しかないのでやるしかないんだ私は。どっせい!どっせい!おっと、骨に

当たるな。こ、この感覚か?ふぅふぅ。でも鎌が小さいのと私の技術がないので身ががさ

ついたような感じでとれる。ああもう、難しすぎ!


「ふぅここで一休みするか。」

大変なのは分かっていたが、まさかここまでとは思わなかった。最初から焼いていつもの

ように、がつがつ食べればよかったと後悔した。ここまでやったからには最後まで解体を

してみるつもりだが、とにかく疲れる。

「でも早く解体しないと腐っちゃうとかあるのかもしれないしなあ」

 それが一番気になっているところだ。このゲームで腐るなんてことがあるのかは分から

ないが、ありえない話ではない。そういうところにはやはり警戒しないとだめだ。魚を食

べるだけでそこまでやるのかというのもあるけれど。


 小休止したことで少し落ち着きを取り戻し、作業を再開した。

「次は…。逆側からやればいいのか?」

逆側の尻尾あたりから鎌で切り開いていく。どっせい!どっせい!私は素敵な般若レディ!

と、自分を励ましながら何度も切りつけていく。最後に尾の部分を切って、ようやく上の

身の部分を解体することに成功したのだった。

「これで二枚おろしか。あとは逆から同じことをすれば三枚おろしなんだろうけど・・」

 こんなもんひっくり返せるわけないだろ!いい加減にしろってんだ!というわけで、上

の身を細かく切っていくことにした。ざっくりざっくりと頑張ってみるが、当然綺麗に切

れるわけがない。言い訳させてくれ、これは包丁じゃないからなんだ絶対。


メッセージ:鮎の身一切れを手に入れました。

なんかメッセージがでてきたぞ。アイテムインベントリにはそのまま鮎の身一切れと表示

されている。こ、これでどんどんインベントリに送れるぞ!腐るかどうかは分からんけど。

とにかく頑張ってザクザク切っていき、ようやく上部の身を全部切り終えた。次は・・・


「これ、いったん川に戻してそこからならひっくりかえせるかな?」

量的には半分になっているはずだから行けると思う。よし、押してみるか、ぐぎぎぎぎぎ。

それでも重たい、なんとか川に押し込みぷかーっと浮かぶ。よし、これを・・・

川に潜って下からひっくりかえすように頑張ってみる。おもてぇえええ。おもてえよぉ!

もう!こういうのはパワー系のブッチの出番だってのにどこいったんだよ全く。

ひぃ・・・ひぃいい。ようやく反対にすることができた。


「鮎にこんな苦労させられるとは思わなかった。食べる時は味わって食うぞ。」

そう心に誓い、反対側の身を切り離し、必死になって三枚おろしを完成させた後、身を捌

ききったのだった。ちなみに真ん中の骨のあたりは中落ちとして鎌でざくざくすくった。

そうしたら。

メッセージ:鮎の中落ちを手に入れました。


そのまんまじゃないか!というアイテムが手に入った。

これでようやく解体が終わった、疲れ果てた。もうこんな作業は二度とやるものか。

よし、いったん草原に戻ろう。

1000円でブリが買えるやった!と思わず買った時に、捌くのに苦労しました。

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