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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第328話「般若レディは疑り深い」

 直撃したら死ぬ恐れがある攻撃なら、かわせばいいという単純明快な回答があるので、私は土潜りで毒狸の母の攻撃を回避した。

 しかし、どのタイミングで地上に戻ればいいのだろうか。出た瞬間にもろに攻撃をくらいそうな気もするし、かといってこのまま出なかったらきっとたけのこ達が狙われしまう。それは困るので、すぐに出なければいけなかったが、まだ攻撃が終わっていなかったら、出た瞬間にやられてしまう。これをどうにかする方法は、ひじきだった。召喚中でも、私と頭の中で会話ができるような状態になっているので、現状を確認した。

(かなり大規模な攻撃でしたが。今、終わりました!)


 よし、ここで地上に出て攻撃をしかけようと、土潜りを回避した。

「ウォリャア!」

「むぐっ!」

 地上に戻ったばかりの私を待っていたのは、毒狸の母の蹴りだった。多分私の位置を読まれているだろうから攻撃されるとは思ったが、まさかここかで正確に狙ってくるとは思わなかった。私はここで負けじと鎌で反撃を試みたのだが、これが全く当たらず、一方的に蹴り飛ばされてしまった。

「薬草薬草っと。」

「オソイヨ!」

 食べる猶予など与えてもらえなかった。私を蹴り飛ばしたはずの毒狸の母が、もう寸前まで迫ってきていた。早いっつーの。やっぱりこれが本当の本気か。まずいな、私の反応速度よりも上じゃないか。このままだと削られて終わる! だったらここは!


「浮遊!」

「ナニ!?」

 久々に使ったが、やはり敵の大勢を崩すのに有効なのが浮遊のようだ。毒狸の母の体が数秒浮きあがり、身動きが取れない状態になった。あれ、結構長いな。もしかしてこれもいつの間にか効果が強化されていたんだろうか。

「甲殻化! そんでもって照眼!」

「ウグッ!?」

 目から眩しい光を発して、毒狸の母の視覚を妨害して更に足止め。一応効いてくれたようで良かった。こういう視覚への攻撃は目を瞑られてしまうと、回避されやすい傾向にあるので、その先まで読まなきゃいけないのが大変だが、取り越し苦労に終わってよかった。


「ウットオシイネエ!!」

 さて、ここでやれるかどうか攻撃を実行してみようと思う。成功確率はかなり低いと思うが、物は試しなので、やってみようと思う。

「スキル調合! アリボールと空間転移で 空間転移ボール!」

 ゲーム好きなら絶対、誰だって思いつくことだ。空間転移が使えるのなら敵の体内に何かを入れてしまうという凶悪な攻撃を、だ。大体こういう強すぎる攻撃は禁止されていたり、使えないようになっていたりすることが多いが、私は試す。さて、どうなるだろうか。結果が気になり、毒狸の母を凝視した。

「グボァァアアア!? ガハッ!?」

 出来た。出来てしまった。毒狸の母の体から爆発が発生したのが確認できた。隙を作ったから直撃させることができたが、動いている時だったら絶対に当てられなかっただろう。


「ナンダ。ゴハッ。イマノハッ!?」

 これは反則といってもいい攻撃だ。体内への攻撃なので大体防御無視することができるはずだ。体内に爆発物を生成しているようなモンスターには効かないだろうが、そんなのも限られているはずだし。だけど、アリボールじゃなくても、他の物を空間転移させて攻撃するって事もできるな。これは、凶悪な攻撃だな。だけど私は勝つためには手段を選ばない。選んでいたら負けるのでやるべきことはやる。

「ウボアッ。グアッ。ハアハア。クソッ。」

 よろめく毒狸の母。瀕死の状態と言っても過言ではないだろう。内部からの攻撃なんてどうにもならないだろう。

「マサカ、コンナコトニナルナンテネ! アンタノツヨサヲ、ミアヤマッタヨ!」


 あれ、この流れはこいつが降参するって感じかな。降参を許すつもりはないんだけれどな。狸って化かすというか騙すことが得意な奴らだから、ここできちんととどめを刺しておかないと余計な問題が浮上してくるだろう。

「そうだな。さっさとドラゴンフルーツを私に渡しておけばそうならなかったんだよ。」

「フッフッフ。デキルカイソンナコト! コッチダッテヒッシナンダヨ! アンタニヤマホドモッテイカレタラコチトラウエジニダ!」

「他の食べ物をとればいいだろう。というか時間稼ぎはうっとおしいのでさっさととどめを刺させてもらうよ。」


 私はこの毒狸の母を倒して、ドラゴンフルーツを手に入れる。ただそれだけの話だ。私利私欲のために、そこまでやるのかと言われればその通り。

 私は、これまでオンラインゲームをプレイしていて気に入らなかったことがある。それは「いい人」が求められていることだった。常識だとかモラルだとかマナーだとか、何をするにしても、それが足枷となっていた。

 なぜもっと自由でいられないのだろうと思っている。例えば、悪役としてプレイできるゲームなんかもあったが、それをやるだけで痛烈な批判を浴びてきたことが多々ある。折角そういうやり方もあるというのに、やってしまうと批判の嵐だった。


 ここで毒狸の母をお涙頂戴で倒さなかったらどうなるだろうか。答えは簡単だ。復讐しにくる。なので倒すのが筋なのだが、多くのプレイヤーが可哀想だとかそういうことを言ってくるだろう。だけど私はそれが大嫌いなのだ。何故なのかというと、それは。


 レトロゲームやら高難易度のゲームで散々苦渋を舐めさせられてきたからに決まっている! 例えば、仲間だと思っていたイケメンのドラゴンナイトに裏切られたことがある! お前敵になるのか! と憤慨したものだった。

 ヒロインに優しくしてあげていたにも関わらず、そのヒロインは敵国の騎士と恋仲となり、主人公を見捨てたというのも許せなかった。しかも主人公の前で二人して教会に入って式をあげた時は、なんだこいつら、ふざけんじゃないと罵ったものだった。

 宇宙船が壊れて困っているからと、宇宙船の材料を集め終わった後、裏切って攻撃を仕掛けてきたことも忘れられない。


 うんまぁ、ゲームで裏切られた事なんて多分千回以上はあるからね! もう私はゲームに関しては無慈悲だよ無慈悲! 毒狸の母をここで生かしておいても絶対に逆襲に来るからな! ゲーマーとしては絶対に譲れないんだよね! 是非ともゲーマーには理解して欲しい所だよここは! というわけでさっさととどめさす!

「ぐ、グググ。フン。ヤルナラサッサトヤリナ!」

「よし、じゃあ冥土の土産を持たないまま死ぬがいい!」

「かーちゃんをいじめるなー!」


 くそっ!茶番が始まったかっ! 毒狸たちが何匹も現れて、母親を囲み始めた。こんな同情イベントに今さら参る私じゃないんだよ! なんでかって? それはだな。ここでこいつらを許すなんて選択肢を選ぼうものなら死ぬのが定番だからなあ!

 高難易度ゲームを作ることで有名な老舗メーカーのゲームはすさまじい物だった。ここで一匹でも生き残らせると、自爆するのだ。そしてその自爆をくらうとこちらは即死。「敵に一切の情けをかけるな」というのがキャッチコピーのゲームだった。

 

 人情がありそうな物語が始まるのだが、どれもこれも、最悪な展開だった。借金の肩に売られたペットを買い戻そうと資金稼ぎをすることになるのだが、実はそれがマッチポンプ。主人公の良心を利用して金を巻き上げようとしていたという最悪な展開だった。このペット自身も共謀していたという事実に私は唖然とさせられたものだった。


 ふふっ。ふっふっふっふ。私は甘くないんだよ。こういうストーリー展開、一般的なプレイヤーだったら仕方ないなぁで終わるかもしれない。だけど今、ここにいるのは私なんだよ! 徹底的にやってやる精神のねこますなんだよ! というわけで、仲良くあの世に送ってやる!

「くたばれ! アリボール!」

 まとめて吹っ飛ばしてやると思いっきり投げつけてやった。良心なんて微塵もないぞ私には。ここで私は何としてもドラゴンフルーツを手に入れてやるんだ!


 そして、爆発が起きた。よし、これでようやくこの茶番もおわ、終わってない。気配感知で大きな反応が残っているな。これは、どういうことだ。やっぱり何か裏があったということか!


「ククク。ハハハハァ! アンタァ。ヤッパリコッチガワダッタカ!」

 おやおやぁ!? なんか悪そうな声が聞こえてくるなあ。これはどう考えても毒狸の母の声だなぁ、ということはやっぱり私の予想が当たったって事かなあ!?

「私は、そんな茶番は見飽きているからね。」

冷静に返事をしてやった。さて、どうなったのかな、爆発の煙が消えて、毒狸の母の姿が見えた。


「いやぁ。実に役に立ってくれたよ。このガキどもは!」

 ほらね!? だから私は言ったんだよ! 考えていたんだよ! 絶対にこういうことになるってさぁ! こいつ、見たところ毒狸たちの生命力を吸い取ったって感じだな。毒狸たちが干からびたような感じになっているし。

「どうせこういうことになるって知っていたからなあ!」

「そうかい! なら死ね! ゴミクズが!」

 毒狸の母は、猛烈な勢いで私に攻撃を仕掛けてきた。なんか黒いオーラみたいなのを纏っている。毒狸たちの生命力を吸収してからだろうか。一時的にパワーアップしているのかもしれないな。

 それにしても、お前がこそガキかよって言う感じの台詞がでてきたな。やっぱりこいつはろくでなしだったね。私ってばこういう時の勘が冴えているね!


「浮遊!」

「ぐぐっ! だぁっ!」

強引に体勢を変えて、そのまま突進してくる毒狸の母。動きが速いので、空間転移ボールは使えそうにないな。

「ひじき! 魔法で攻撃!」

「はいっ! プラントプラント!」

ってどんな魔法なのか分からないって思ったら、近くの植物が、毒狸の母に絡みついていった。おお、そういうことか。これで足止めされているなら、使えるぞ。はははは、二度同じ手が通用するなんてことはめったにないはずだけれど、この隙は逃さない!

「スキル調合! アリボールと空間転移で空間転移ボール!」


2発目だ! よしさっさとくたばれ! 毒狸の母もどき! お前なんかもう母でもなんでもない! ただのもどきだ!

「グアアアアアアアアアアアア!」


私はゲームをプレイしていく事で段々疑り深くなっていきました。

どうせこいつ裏切るんだろう! とか、絶対こいつ裏があるし、回復させたら後で

攻撃してくるかもしれない! とかそんな感じです。

それについてどうしても書きたかったのですがようやく書けてすっきりしました。

・・・お暇な方、どうか評価、感想等をお願いいたします。

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