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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第327話「耐えろ般若レディ!」

 アリボールを使うのは勿体なかったので、途中から火薬草を使う方針に切り替えた。複数個地面に向かって投げつければ大体同じような事ができるのでこれで大丈夫だ。そして投げつけたと同時に薬草を食べる。火薬草を投げつける。薬草を食べる。毒狸の母を少しずつ削っていく。私自身も火薬草でダメージを負うが、薬草で回復するので実質ノーダメージだ。

「へ…へへ、さぁもっと攻撃してきなよ。」

「あんた。本当にイかれちまっているね。一体何回攻撃をしたと思っているんだい。」

 既に何十回と続けていますが何か。たったそれだけで根を上げるのか毒狸の母め。ちなみに、私以外の皆も攻撃を仕掛けているが、基本的に見えなくなるので、全く当たっていない。ビスケットはというと未だ戦線復帰してこない。やはり相当ダメージを負ってしまったようだな。


「いくらでも付き合ってやるよ!」

 今、私は毒狸の母の姿を一瞬とらえられるよになってきている。またしても慣れだ。なんとなくどこから攻撃を仕掛けてきているのかが分かってきたような気もしているし。いつも通りの展開だ。私はこういうことに慣れやすい! 反復していけばいずれは必ず攻撃をかわせるようになるだろう。だがそれにはまだまだこいつの攻撃を受ける必要がある。だけど、どうする? そろそろ別な攻撃に切り替えるか?

「その心意気よし! やってやろうじゃないか!」

 おっと、意外にも熱血系だったか。まぁいい。こっちもとことんまで付き合ってやると決めているんだ。攻撃し続けてくるのなら、何度だってやってやるぞ。

「火薬草!」

 ここまで繰り返してなんだが、私は重大な事に気が付いた。そういえば火耐性があったじゃないかと。また忘れてたよ私! そうだよ。火薬草のダメージとかも多分ほとんど受けていないはずだよ! だからこんなに沢山食べなくても良かったんじゃないかと。いやでも、たまに毒狸の母から攻撃をうけてたりしたし、これはこれで良かったんじゃないだろうかと思った。

 

 今ここで食べるのを辞めたらやめたで、逆に警戒されそうだし、これも作戦みたいになっているから継続する事に決めた。たまたま作戦がはまった事実に気が付いてため息がでそうになったがしょうがない。というか薬草を無駄に食べまくっている方がきつい! あんなに集めたものが少しでも減るのがやっぱり辛すぎる!


「はぁ。くそう。はぁ。」

「んん!? どうやらばててきたみたいだねえ! そんな無茶していれば当然だね!」

 毒狸の母が全く見当違いの事を言っている。私はただ、ストレスが溜まってイライラしているだけだ。薬草をこんなに無駄に食べている自分がかなしくてしょうがない。くそう。

「そっちも、大分きつくなってきたんじゃないか!? もう限界なんだろう! ほら、こっちはまだまだやってやれるぞ!」

「はっはっは。この私がこんなもんでへばるわけないだろう! あんたのほうが先にまいっちまうだろうね!」

 また同じことの繰り返しが始まった。何度も私にほぼ見えない攻撃をしてくる毒狸の母と私の火薬草バリアー作戦。ほぼ作業のようにこれが繰り返されていく。

 一応言っておく。私はこういうやり方が得意だ。ひたすら耐え抜いて反撃を伺うような戦い方は得意なんだ。じっくりと時間をかけて守りを固めていき、そして最後は勝つという執念深い戦いが。こちらは現状薬草が尽きるなどということは考えられいし、私は決して諦めない。


 ということは、だ。どちらかが折れるまでこの戦いは終わらないと言う事だ。この場合は絶対に毒狸の母だろうけれどね。薬草で回復できる私に勝てるわけがないだろう! だから絶対に私が勝つんだよ。半永久的に回復できる状況で負けるわけがない! そうして、時間が過ぎていった。


「ハア。ハア。あんたはおかしい。本当におかしい。な、なんなんだい。その草はいくつあるっていうんだい。」

「さぁね。へへへへ。私は執念深いんだよ。絶対に負けるわけにはいかないんだ。絶対になあ。ここで負けてしまったら、ドラゴンフルーツが手に入らなくなるからなあ!」

「それだけ耐久力があるなら、ドラゴンフルーツなんていらないだろう!」

「いるに決まっているだろう! ドラゴンフルーツには未来がかかっているんだよ!」

 例えばスキルを何度も使わざるを得ない時が来たとして、それが使えなければどうにもならない。だからそこで回復アイテムが必要になってくる。今のこの状態と同じようなものだ。薬草があるから生き延びられている。しかし今、ここで薬草がなかったら私はとっくの昔に負けているのだ。

 アイテムの重要性を私は良く知っている。だからこそ、ここで集めないといけないと何度も言い続ける。


「一応聞いておく。アンタ、私達にドラゴンフルーツがなくなったらどうなるか分かっているかい?」

「知らん。」

「飢え死にするんだよ。食べ物は他にもあるが、ドラゴンフルーツは他よりもずっとエネルギーが補給できる。だから私達の餌なんだ。それがなくなったら、私達は大変な事になる。」

「だから私達が今戦っているんだろう。未来を賭けて。」

 私がやろうとしているのは簡単に言えば略奪行為だ。ドラゴンフルーツは、毒狸の領地的な場所にあると考えてもいいだろう。それを私は奪おうとしている。それだけの話だ。

「あんた、自分が生き残るために他のものを犠牲にしようってのかい?」

「自分が生き残るために犠牲になるものなんてないだろ。」

「この! 大馬鹿がッ!」


 というわけで、毒狸の母は更に怒りだしてしまった。火に油を注ぐような事を言ったけれど、実際はほぼ私の本音が含まれている。私は何も犠牲にしていない。毒狸に犠牲になってもらうなんてことはいっていない。毒狸がここにいて飢え死にするならどこか別な場所に行けばいいだろうと、その程度にしか考えていない。

「火薬草!」

 ここで、さっきまでよりも多くの火薬草を使うことにした。この毒狸の母がブチ切れている状態なので、多分攻撃も激しくなると思ったからだ。

 それにしても、縄張り争いに敗れたら他の場所に移動するという考えはないんだろうか。あるいは今このあたりにいる毒狸全てを救おうなんて考えがあるんだろうか。うーん。そのあたりは良く分からないなあ。それとこいつは何か誤解しているよなあ。

 私は常時ここでドラゴンフルーツ狩りをするわけじゃないんだから、その間は別に使わせてやってもいって考えなんだよね。


 でも、あくまで自分たちの縄張りとして認識しているようなので、ここでそれを改めさせるためにはなんとしてもこいつを倒さないといけない。最初はここまでやる必要はないだろうなあなんて考えてはいたんだけれど、やっぱりそれは難しいみたいだし。戦いが始まってしまったのだからもうやるしかない。当然負けるつもりはないし。


「あんたみたいな奴に絶対に負けられないねえ!!」

 いい感じに頭に血がのぼっているな。これは良い感じだ。挑発した甲斐があった。私としてはこういう単調な攻撃を繰り返してもらう方が好都合だし。そしてそろそろ動きになれてきた。私の前から消えるような動きをしていたけれど、すごい早く動いていただけのようだ。高速移動というか瞬間移動的な感じで動いているけれど、姿は目視できるようになってきている。敵の動きが分かるようになるというのは戦闘ではとても重要だ。最終的にこいつの動きに対応できるようになれば、ここで火薬草をぶつけまくるような作戦はしなくて済むしな。


「動きが遅くなってきたんじゃないの?」

「ずああああ!」

 実際にはより素早くなっているが、もう疲れているであろうことを指摘する。そう、こいつはもう何度も火薬草をくらっている。それを気合いだけで持ちこたえているような感じだな。なのでもうすぐで倒せるような気がしている。

 だけどなあ、追い詰められた獣って何をするか分からないから、そう簡単には終わらないだろうな。私はそれを知っている。


「どうやら耐久戦は私の勝ちのようだね!」

「あぁ。もういい。あんたは目障りだ。消えてもらう!!」

やっぱりきたか! いつも通りの最終形態! もうこの耐久戦は使えないと思ったほうがいいな。私は錬金術士の杖を取り出した。

「巨大化! グアアアアアア! ウオオオオ! アンタニハシンデモラウ!!!」

 巨大化って。おいおい。それは悪手だろう。大体それをやった奴はみんな死ぬのが定番だというのに。ああ、ってもう大きくなってきたな。大体5メートルくらいか。そこまで大きくはなっていないけれど、強そうだな。

「グオオオオ!」

いくつか、真空波のようなものが飛んできたので鎌で防いだ。私にあたらなかったものは、後方の樹に命中し、いともたやすく斬ってしまった。おいおい、なんて威力だよ。やばいじゃん。

「最終決戦ってことか。いいね!」

時間凍結をどこで使っていくかが問題だな。隕石拳も…使うしかないなこの状況だと。こいつを倒すことについては別に良心がいたんだりしないし。まぁしょうがない。やるしかないわけだし。

「キエロオオ! ジネエエエエエ!」

 理性を失う系の強化ってあんまりよくないんだよなあ。とはいえ、もう大分消耗しきっていたから賭けに出てきたんだろうけれど。

「グオオオオオ!」

「!? やばっ!」

 毒狸の母の口に何かオーラのような物が滅茶苦茶集まってきている。あれは高威力のビームみたいなものを発射して来るに違いない! 絶対にまずい。くそっ! たけのこたちは、よし、逃げているみたいだな。そんでもってあれは私狙いか。よーしよし。これはなんとか回避できると思うけれど、タイミングが大事だな! うー緊張してきたああ! 大事な所でミスしやすいのが私なので、ここでとんでもないことをやらかしてしまいそうだし。


「ゴアアアアア!」

もう少し時間がかかると思ったら撃ってきた。そして私がとった行動は。

「土潜り!」

回避の一手だった。こんなもん逃げるに決まっているじゃん! くらったら死ぬし!


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