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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第320話「復活?」

(魔者の大陸には、手の付けられないモンスター達が沢山いてな。それを黒騎士マーシャルがいることで牽制していたというわけだ。おしまい。)

 おしまいじゃないだろ。分かりやすい説明でいいと思うが、なんでその黒騎士がそんな役目になっていたのかと全然分かんないだろう。

(えー。だってお前、別にそういうの気にしないみたいなこと言ってたじゃん。)

 確かにそう言ったが、何かしら説明してくれるならしろよ。大体、いつも肝心な事を濁して消える何の役にも立っていない存在なんだし、たまには何かの役に立つところを見せろ。

(うわー。ひでー。折角この俺が時間を割いてまで教えようといていたってのに。もういいや。何も教えてやらねーわ。)


 よし、折角の出番をおじゃんにしてもいいようなので、無視するか。

(えー? いいのか? 折角この魔者の大陸の説明もしてやろうってのに。)

 こういう風に言われたら、どうでも良くなってきた。私は勿体ぶった発言が嫌いで、さっさと答えを言えと思うような短気なところがあるしな。テレビ番組のいい所でCMが入ると、その瞬間全く見る気を無くしてしまう。やたらCMが長くなっていて、まだかと待ち遠しく思ってやっと終わったと思ったら、CMに入る直前30秒くらい前の映像から始まったときは、時間の無駄だと思う。

(まじかよ。お前結構短期なんだな。)

 そりゃあね。魔者が話してくれるかどうかも分からない、不確定要素なんかに依存というか期待するだけ無駄なんだよね。


(おいおい、それで面倒くさがって知りたい情報を知ることができなくなってもいいのか? 困るのはお前なんだぞ。)

 元々手に入らない情報だったってことにすれば何の問題もないしなあ。苦労してまで手に入れなければいけない情報があるかもしれないけれど、石橋をたたいて渡るようなことばかりしていても、何の成長も見込めないからなあ。

 攻略本片手にゲームをプレイしたりするのも何か違うと思うし。魔者から情報が貰えればいいと思う事があっても、そればかりに頼ろうなんて気持ちは私には一切ない。というわけで魔者君、何も話す気が無いなら消え失せたまえ。

(ほー。なら俺はもうどうなっても知らんからな。お前が俺に泣きついてこようが一切お構いなしだから全部自分でなんとかしろよ。)


 よし、たけのこ達がどこかに行ってしまったようなので探しに行くか。魔者にいちいち構っているのも時間の無駄だし。

「あー。お前なあ。そういうのが駄目なんだぞ。いいかよく聞け。ここは、マーシャルが統治していたようなものなのに、それがいなくなったらどうなるか分かっているのか? つまり無秩序になって、色んなモンスターどもが暴れだしたり、縄張り争いしたりするようになるんだぞ。」

 それは別に何の問題もないな。権力者がいなくなったらその後釜になろうとする奴がいるのは当然な事だし。というかそんな程度だったら別に悩む事でも何でもないな。この世は弱肉強食の世界だし、結局強い奴こそが支配することになるわけだろうからな。

 そういう戦いに巻き込まれることや、今まで平和だった土地に攻め込んでくる恐れがあるなら、そいつらを片っ端から倒して行けば行ってことじゃないか。あ、草原に攻め込んできた奴に限っては何がどうあろうと絶対に許さないな。薬草は私達のものなのにそこに来た奴は倒す。


(随分やる気だが、つまり今後は、お前自身がマーシャルのやっていたことを全てやらなきゃいけなくなるんだ。そう、魔者の大陸全土をお前が管理しなきゃいけないってことだな。)

 面倒なのでそういうのは適当でいいや。それに、他の強いモンスター達だって、実際統治だとかなんだとかしたいなんて思っていないんじゃないだろうか。わざわざ自分の領地を拡大していなんて思っている野心家がこの大陸にいるとは思えない。

 後、やっぱり黒騎士がそこまで何かやっていたと思えないんだよなあ。あいつがそこまで活動していたと言われると謎だし。それよりもあいつは何で熱帯雨林にいたのかが気になるな。ここで会ったのは偶然だったのだろうが、何かこの大陸を管理するのに問題を起こしそうなモンスターでも現れたってことなんだろうか。


(ひょっとすると魔者の大陸にいるモンスターの相手をしようとしていたんじゃなくて、魔者の大陸の外から来る奴と戦おうとしたのかもしれないな。)

 外。そうか、ここが大陸だったら、どこからかこの大陸に攻め込んでくるかもしれない奴がいてもおかしくないもんな。あれ、もしかしてこの大陸が誰からも発見されないようにしているのも黒騎士が絡んできていたかもしれないんだろうか。

(くっくっく。お前は結局自分の首を絞めたってことだな。マーシャルがいなくなったことでこの大陸は未曽有の危機に瀕しているのかもしれないぞ。)

 そうなるとやっぱり、黒騎士に色んな事を任せって切りにしてきたってことになるんだよな。お前が先代になるのかいつの時代の魔者であるのか分からないけれど、お前も何もしてこなかったってことになるなあ?


(おいおい、俺は魔者だった時は真面目にやっていたぞ。)

 嘘をつけ。そんなに真面目にやっていたのなら、クロウニンが魔者を恨むことなんて無かっただろう。私にそのツケが回ってきているし、いやぁ本当に何もできていなかったってことなんじゃないか? 魔者だったのに何もしてこなかったから黒騎士が全部苦労する羽目になったような気がするし。

(むぐっ!)

 あっ、図星だな。やっぱり自分じゃ何もやっていなかったんだな。それじゃこいつの事は一旦置いといて。黒騎士がこの魔者の大陸の管理者だったが私が倒してしまった。その後に発生する影響としては、モンスターが暴れだすかもしれないのと、この大陸の場所がばれてしまうかもしれないってのと、管理者が不在なので、今後何かまずいことが起こり得るってことか。


 となると、まず私に管理者の権限が欲しい所だな。そこにある黒騎士の躯の近くに行けば、そういう権利が与えられないだろうか。よし近づいてみるか。

「こいつ、本当にくたばっているのか?」

 なんだか今にも動いてきそうな気配があるんだよなあ。気配感知からはもう消えているはずなのに。どう頑張ったってここから復活するなんて事はなさそうなのに、復活しそうな気がする。

(見れば分かるだろう。)

 いや、おかしいな。こいつ仮死状態だろ。ここまでぐちゃぐちゃにしてやったけれど、そんな気がしている。こいつを倒したというのなら何かアイテムが手に入ってもおかしくないのにそれがない。それがないのならこいつは多分生きている。


(おい、この状態で復活するなんてありえないだろう。)

 それもそうだと思ったが、疑問点がある。魔者、お前が生きていた頃にこいつも生きていたってことはそれからずっと生きているって事じゃないか。何でそんなに長期間動き続けることができるんだ? こいつはもしかすると、死んでもなお復活する事が出来るってことじゃないのか?

(…。)

 あ、黙ったな。私の予想だ。黒騎士を管理者として任命するか何かしたのは恐らく魔者だ。そして魔者がこいつに何かの力を与えていたに違いない。それが何なのかは分からないが、それを与えればこの黒騎士は復活するのかもしれない。

 ここで復活させる意味があるのかというと、ある。だがそれは、私に服従させた状態で復活してもらわないと困る。


「おい、起きろ黒騎士。」

 何も起きない。うーん。どうすればいいんだろうか。ひじき、こういうモンスターと契約する儀式みたいなものって知らない?

(母上、やっと冷静になってくれたんですね。良かったです。)

 あー、ちょっと頭に血が上っていてね。まだ昇っている感じだけれどね。たけのこ達を苦しめたこいつを許すことはしたくないけれど、これから面倒な事が起こるかもしれないので、こいつを私に服従させた状態で復活させたいんだけれど、無理かな?

(母上の生命力と魔力を分け与えて契約をすれば可能だと思います。契約は私の方で実行する事ができます。しかし、よろしいのですか?)


 後先考えずに倒したのはむしゃくしゃしていたからしょうがなかったね。今は散々苦しめて倒したからすごいすっきりしているし、生まれ変わらせるようなものだし、私に服従するなら許してやらんこともないよ。これまでのみんなも大体私と戦ってきているしね。

(…かしこまりました。)


 ということなんだが、どうだ魔者? これで全部解決だぞ。お前はこうなるように誘導したかったんだろうが、まんまと引っかかってやったが満足か。

(ああ満足だよコンチクショー。ここでお前が何も気が付かなかったら馬鹿にして笑いものにでもしてやろうと思ったのに、あーつまらん。)

 やっぱり性格がひん曲がっている奴だなあ。だから各方面から恨まれているんだろうな。もうちょっと優しくなるとか親切になるとかそういうことができないのかたわけ。

(いや、だから俺は後輩のお前に結構親切にしてやったじゃねーか。あーくそ興ざめだ。もっとこうお願いしますみたいに言わせたかったのによー。)

 むしろお前が私にお願いします、哀れな先輩の為に動いて下さいとか言いだしてくれると思ったのに興ざめだよ。

(お前も、俺と似た者同士だな。性格がひん曲がっているな。魔者なんてそんなもんだろうが。)

 魔者って言うのは性格がひん曲がっている奴だけが成れるって事なのか? いや待てよ。私のような真っ直ぐな性格で慈悲深さを兼ね備えている者が、そんなわけないだろう。

(いや、そういうこと言う奴ってどう考えてもひねくれていると思うぞ。)


 嫌だなあ。こいつと同列扱いって。私、そんな酷いことしないのにね。かなり周りに優しい般若レディだっていうのになんだかなあ。

(母上、準備ができましたよ。)

 お、そうか。よし、それじゃあ黒騎士を復活させることになるけれど、いきなり襲い掛かってきたりはしないよな。なんだか緊張した来たけれど、大丈夫だよね?


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