第315話「体調不良」
結論から言えば、体調不良になってしまった。当然、その間<アノニマスターオンライン>のプレイも控えることになった。たけのこ達の動向が気になったが、このような調子でプレイするわけにもいかず、当面の間は安静にして過ごした。
この間が土曜日のゲームプレイだったが、日曜日だけでは体調が万全に戻らなかったので、月曜日も仕事を1日休むこととなった。貴重な有給休暇を消費してしまったことは悔しかったが、こればかりはしょうがない。だけど、ただぼーっとベッドで寝ているだけなのも何だったので、<アノニマスターオンライン>をプレイしていて気になったことなんかを調べてみるなどしていた。
ゲーム内の情報を調べたわけではなく、今どれぐらい人気のゲームなのか、熱帯雨林ってどんなところなのかとかそういう間接的な事の確認だった。
やはり今、世界で一番人気なんて言われているようだ。人気の秘訣は現実のお金にも還元できるところなんて言うのも書かれていた。私がプレイする前はこういうことは書かれていなかった気がするが、遊びながらお金を稼げるなんて言われたらやはり一部のゲーマーにとっては、大きな魅力があるということなのだろう。
とはいえ、そのようなお金稼ぎが誰にでも出来るわけがないので、本気で取り組もうと思えば、かなり長時間プレイすることになるのは必須だろう。実際にどんな風に稼いでいるのかまで見ると、面白みがなくなると思ったので、そこから先は調べないようにした。
先日、<アノニマスターオンライン>でリュックを購入したお店、ハーツの特集なんて言うのを見つけた。実際の店舗と同じように営業しているが、こちらは店舗にかかるお金などが0なので、こちらの利益も相当出しているという話があった。うわぁ、だからこういうのは見たら駄目なんだってと思ったがお気に入りのブランドなので目についてしまった。
そうなると、<アノニマスターオンライン>で飲食店なんかも流行っているということにならないだろうか。ゲーム内で食べても現実ではお腹がが膨れるというわけではないが、味は楽しめるはずなので、現実で我慢してゲーム内で食べるというやり方があるだろう。となると、味の再現が出来れば、ゲーム内での売り上げも凄い事になるんじゃないのだろうか。ううむ、これは色んなお店があるのも納得ができるなあ。
だけど、味の再現の為だけに<アノニマスターオンライン>をプレイするというのも、凄いなあ。そこまでやれるだけの熱意がただただ感心してしまう。
ひょっとして、逆にゲームで料理を作って現実に再現するなんてこともあるんだろうか。それはそれでかなり凄い気がする。あり得る話だろうけれど、これはもうどっちが現実なのかさっぱり分からなくなってきてしまうな。
一昔前に、VRゲームは現実で区別がつかなくなり、生活が破綻してしまう恐れがあるなんて言われていたけれど、確かにこれではそうなってもおかしくないような気がしてきた。
私もそうだが、一度熱中してしまうと長時間プレイすることが当たり前になってしまい、結果として日常生活に支障をきたしてしまうこともあるだろう。お金を稼ぐことができるのならばなおさら、ゲームばかりしてしまうようになるかもしれない。
だけど、お金の為にゲームをプレイするっていうのもなんだかなぁと思ってしまう。もうゲームというくくりではなくて、仮想現実世界が現実世界から拡張されたとでも言うような感じだ。二つの世界を行き来して商売をすることや、様々な経験ができる。これが凄いとしか思えない。
仮想世界であっても現実と同じようにルールはあるだろう。とはいえ、法律とかそういうレベルではないだろうから現実よりもより一層、自由な世界になっているな。
これ、私が思っていた以上に<アノニマスターオンライン>の世界って大きすぎじゃないだろうか。それなのに私がいるのは魔者の大陸という閉鎖的な場所と人間の大陸の局所的な地域だけだ。あまりに狭すぎじゃないだろうか。逆にそれがいいのかもしれないと思うが、やっぱり私達、魔者の大陸組だけ特殊な環境に置かれ過ぎていて怖いな。
他のプレイヤーもこういう限定された地域、いわば未開の地やら秘境やらにいる可能性もあるのだろうが、一体何がどこまで公開されているのだろうか。
ふぅ、なんだか体調不良も相まって頭もくらくらしてきた気がするなあ。考えていくときりがないんだけれど、これじゃあ自分が<アノニマスターオンライン>をプレイしているなんて絶対に他人に言う事はできないな。未公開になっているような場所にいるということなんて以ての外だ。
嫌だなぁ、別に他人にそういうことを伝えるつもりもなかったけれど、かなりお金が稼げる手段があるためばれたら現実でも身の危険を感じてしまうかもしれないじゃないか。
私がゲーム好きということはこれまでも周りには特に公開してこなかったけれど、<アノニマスターオンライン>をプレイしていますってことは絶対に秘密にしよう。今後が怖い。
最悪な状況も考えてしまう。周りの人たちが、もしも<アノニマスターオンライン>をプレイしていますって話になって、私も誘われてしまったらということだ。アカウントは1つしか登録ができない。よって、一緒に遊ぼうと言われた場合、既にアカウントがあるとかそういう話になってしまう。うわぁこういう時の対処方法はないのか。これについては、調べておかないといけないな。
興味が無いのでと断ることもできるが、断り切れない相手がいた場合に問題になってくるな。これまでは特に何も言われなかったけれど、これだけ世界的に大人気なんて言われたら、興味を持ってプレイしてみようなんてありえるだろうし。
はぁ、これまでは運が良かっただけだろうなあ。うーん。お金を支払ってもいいから、何かアカウントを追加できる方法を調べておかないといけないな。もしかしたらそれで追加アカウントが作れるかもしれないし。これまでそのあたりの情報がどうなっているのかも曖昧なままだったので、こういう状況に備えてなんとかしてもらえそうな気がする。
うん、絶対に何かできるはずだ。秘匿にしておきたいのに公開せざるを得ない状況になるなんて事を放置しておくことはないと思うし。
でも、どっちみち誰かに誘われてもやりたくはないな。これまでずっと、ねこますでプレイしてきたのに、わざわざ新しく初めて他人とプレイしていくっていうのはどうもやりにくいし。現実で付き合いのある友達もいるけれど、私には特に親友などと言われるような存在はいない。あくまでも多少古くから知っていて仲がいいですよ程度の人間関係だ。
本音で話せるなんて仲のいい友達なんていたことが無いなあ。ネットの世界の友達でもそこまで踏み入って話したことが無いし。<アノニマスターオンライン>では、ブッチやエリーちゃん達にだってそこまで打ち解けているかというと、微妙な所だな。
あっ、でもマブダチじゃんブッチは。いや違うか。ああでも名前はマブダチか。ややこしいな。でもなんだかあの二人にはそこそこ本音で話しかけているような気がするなあ。現実での付き合いがあってもいいような気さえしてくる。
みんな魔者の大陸出身だから話しやすいだけっていうのもあるけれど、ゲーム好きのようなのでそこも話しやすいんだよなあ。私がゲームの話題なんて出した日にはドン引きされてしまいそうなことも沢山あるけれど、あの二人は全然そうじゃないからな。
レトロゲームの話題にもついてきたりするし、知りすぎだろう。
ブッチは、特にプレイヤーとして凄い気がしているんだけれど、格闘ゲームの大会とかで優勝していたりするだろうなあ。格闘ゲームのプレイヤーで調べていたらもしかしてそれっぽい人が出てきたりするのかな。
私がこれまでプレイしてきたオンラインゲームでは、ブッチのようなプレイヤーはいた気がするけれど本人かどうかは分からないな。聞くつもりもないし。こ
戦争ゲームで私の遠距離攻撃を全て回避するようなプレイヤーと出くわしたことがあったけれど、あれがブッチだった、なんて言うのもありえるか。
私はゲーム内の名前を毎回変えているし、ブッチだってそうかもしれない。だけどなんとなく以前戦ったことがあるような気がするんだよなあ。
接近戦をずっと仕掛けてくるので必死に逃げ回りながらやっとこさ倒したプレイヤーがいる。その時の戦いでは運よく私が勝ったけれど、もう二度と戦いたくないという思い出が残っている。
そういえば、あの時の戦いが、あらゆるアイテムを使いまくって生き残ったというのがあるので、<アノニマスターオンライン>でも、大量にアイテムを保有しておかないと安心ができなくなってしまったんだな。
逆に超遠距離から的確にこちらへ攻撃を当ててくる凄腕スナイパーのプレイヤーもいたなあ。そんなのから狙われてなんとか生き残ったんだよなぁ。ほぼ瀕死の状況でよく頑張ったなあ私。
うう、こうやって色々と懐かしんでいるとまたゲームがやりたくなってくるなあ。体調不良だっていうのに。みんな今頃何しているのか気になるなあ。それとあの時のプレイヤーも<アノニマスターオンライン>をぷれいしているのかなあ。あー早くゲームをやりたい。早く体調がよくなって欲しい。この状況でいるのは嫌だなあ。
気になる事が沢山あるのに、何もできずにじっとしているのってもどかしい。敵からやられてしまって何もできなくなったときと同じような気分だ。
ゲームだったら、こういう病気も魔法でぱぱっと治ってしまうこともあるけれど、現実はそうもいかないからなあ。
これが現実と仮想現実の越えられない壁だな。結局のところ、命は現実にあるのだから、それが無くなってしまえばどちらの世界からも消えてしまう。現実があって、仮想現実があるってことを忘れてはいけないんだな。お、今の私は結構カッコいい事考えていた気がするな。
あー、こんな考えるだけなのもいいけれど早く<アノニマスターオンライン>がやりたいな。