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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第2章「般若レディと優雅な目標(仮題)」
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第31話「拠点」

 私が<アノニマスターオンライン>を始めてから行ったところは、森、草原、川、野原

とそして洞窟になるが、現状、他のプレイヤーは、サイコロプスのマブダチことブッチと

しか出会えていない。これについては少しブッチと会話をしたが、やはり種族が関連して

いると思われる。

 電子掲示板などでは、他のプレイヤーたちが活発に交流をしているらしい。らしいとい

うのは、ブッチも、ネタバレなどは避けているようなのだが、購入前には少しだけ調べた

り、偶然知った情報などがあるとのことだった。


 種族として人間以外を選んだプレイヤーが異常なほど少ないということなのだろうか。

それにしたって世界中にいる多種多様な人間が、全くといっていいほど選択しないなんて

ことはないと思うのだが、あるいは、何か条件があったとかなんだろうか。考えていても

答えなんてでないが、こういう風に考察してみることがゲームでは重要だろう。分からな

いから分かろうとするというのを止めるようではやっていけないし。

 現在、気になっていることは、ここがどこなのかということだ。辺境の地というのはな

んとなく分かる。人が全然来ることがないからだ。秘境とでも言えるかもしれない。草刈

りをするだけで薬草を手に入れられるなんていうのは人気スポットになってもおかしくな

いだろう。

 

 私は、ここが好きだ。沢山いるプレイヤーが全然気づかずにいることができる場所なん

て最高だろう。私だけの特別な場所のようなのが優越感に浸れるのだ。

 なので、ここを拠点として今後の冒険を継続していこうとしている。つまり、どうしよ

うと思っているのかと言うと。


「ここに村を作ろう。」

「何を言い出すのかと思ったら、村って何のために?」

「薬草が沢山とれるし。」

「うん、それは分かったけど。」

「他のプレイヤーがいないならいっそここで村を作って、私達が仲間作ったときの拠点に

でもしようかなって。」

「おっ。それはいいね。でもこんなところよりも、もっといいところありそうだけど。」

「それはそれ。現状、ここが安全地帯でもあるんだから」


 そう、草原はたけのこと戦った時以外はモンスターと出くわしたことなどない。つまり

ここは現状最も安全な場所ということになる。他の場所に移動すれば、襲われる危険性が

あるが、ここならその心配はない。

「うーん。まぁそれならいいんじゃないかな。で、村を作って言ってもどうすんのさ?こ

のあたりの草はすぐ生えてくるし、どうしようもなくない?」

「向こうのほうに丁度平原というかほとんど草が生えていないところあるし、あのあたり

に作ればすぐにここに来れるしベストだよ!」

「調査済みかあ。あとは小屋とかそういうのが建てられればいいね。」

「鎌じゃあの森の木を倒すの無理そうだしなぁ。狐火や火薬草やだと燃えちゃうし。」

「じゃあ俺のモーニングスターで何度も殴ってみるか・・・。」


 モーニングスターで木を切り倒せるのだろうか?それはそれですごそうな気がする。

「なあなあ、ワイらは何かできそうなことないんか?」

「ダイコン、ワレワレハショクリョウカクホガデキルダロウ。」

「わんころ、ワイはわんころたちと戦った時みたいな戦闘力はないんやで。だからワイは

姉御の肩でのんびりと」

「キタエナオシテヤルカラコイ。」

「なんでや!?ワイ関係ないやろ!」

 角の生えた狼ことたけのこが白蛇であるだいこんを引きずっていった。


「私達はこの世界で食べるのは必須じゃないけど、あの二匹は違うからね。」

「そうだよねー。ってかAIすごいよなぁ。たけのこちゃんもだいこんも人間みたいだ。」

 本当に私たちと何も変わらないような感じですごいと思っている。

「さてさて、とりあえず俺は森の手前あたりで木を倒せないかやってくるけど、ねっこち

ゃんは、また薬草狩り?」

「いえいえ、おじいさん、わたしゃ川で洗濯ですよ。」

「洗濯って・・あ?それ。」

「ゴブリンから手に入れた薄汚い布だよ。何かに使えそうだし。」


「じゃあ俺が手に入れたぶんも渡しておくからよろしくね般若おばあちゃん。」

「はいよ。じゃあ森で木を切り倒してかぐや姫とかださないようにねおじいさん。」

「いやぁわしがかぐや姫のように可愛がっていた兎をおばあちゃんに・・・」

「うるせー!!とっとと行けボケが!」


 蒸し返すんじゃないこのサイコロプスが!というわけで蹴飛ばすとしぶしぶと森へ向か

っていった。

 そんなわけで、別行動になったので、だらだらと川に選択にむかう。薄汚い布だったら

多分あの川は綺麗だから洗えるだろうと思ったのだった。川が汚れるといえばそういう感

じもしたのでまずは川から手で水をすくってかけてみようと思う。

 ここで、一人というのはゲーム開始直後だけだったのでどこか寂しさを感じた。これま

ではほぼずっと、たけのこがいたのでそんな気持ちがなかったのだが、初めてすぐに会え

たことから、いて当然の存在になっていたのだ。これからは、もっと大事にしたいと思っ

た。


「相変わらず綺麗な川だなあ」

 そんなに遠くないので少し歩けば川についてしまう。そういえば、先日この川にきたと

き、水面から魚がいたのを発見したのだが、残念ながらとることはできなかった。いつか

とれるようになりたいものだ。


「さてと、しゃきしゃき洗濯といきますかー。」

 ジャージの袖をまくった後、薄汚い布を取り出した。きたねえなあこれ。

「まずはそれっと!」

川に直接浸さず、水をすくってかけてみた。すると、

メッセージ:「薄汚い布」が「布」になりました。


 やった!綺麗になった!なった!とはいえ、これじゃただのタオルみたいなものなのだ

が何かに使えるかなあ。ほっかむりとかには使えそうな気がするけど、あまりサイズは大き

くないからなぁ。そのうち使い道はでてくると思うから、忘れずにとっておくけれど。


「あっ、あとはゴブ棒とかどうなのかなぁ。」

水をかけてみる。

メッセージ:ゴブ棒は綺麗なゴブ棒になりました。


綺麗になったか。確かにいい感じだ。よし、沢山あるゴブ棒と薄汚い布をどんどん洗濯し

ていくことにしよう。ん?待てよ。その前に、この二つはどうなるかな?

しまうまの杖は…。何も起こらなかった。次に鎌に水をかけてみた。すると


メッセージ:鎌の攻撃力が向上しました。この効果は今回の1回のみです。

なんだと?すごいなこの川の水。最初に見た時から綺麗だと思っていたがまさかこんな効

果があったとは。もしかすると、ブッチのモーニングスターにも効果があるかもしれない

ので今度連れてきてやらねば。

 そんなことを思いながら洗濯を始めた。水をかけるのが面倒になってきたので川に直接

浸してして洗っていくことにした。そして沢山洗っていたら


ズズズズズズズズズズズズズズ!

川の流れが急に早くなった。なんだ?何かがでてくるのか?まさか、川が汚れたことで怒

った主とかか?なんだ!?何がでてくるんだ!?やばいかもしれない。

そして私は、臨戦態勢に入った。

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