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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
302/473

第302話「黄金のリンゴ」

また追記します。

9/20追記しました。

 怪しいので近づきたくない。が、気になるのも確かだ。もし本当にアイテムだったとしたら、かなり有益なアイテムだと思われる。だけど、これが偽物だった時が怖い。

 何かの罠というのも考えられる。近づいたら落とし穴に落とされるとか、どこからともなく矢が飛んでくるとかあってもおかしくない。一番嫌なのは、黄金のリンゴに偽装したモンスターだった時だ。大体こういう時のモンスターは意外と強く設定されている。

 私がプレイしてきたゲームだと、宝箱に偽装していて、即死魔法を使ってくるモンスターがいた。<アノニマスターオンライン>でもそういう奴がいてもおかしくはない。

 即死は、嫌だなあ。だってたった一回魔法を唱えられただけで、何もできなくなってしまうし。


「マスター、とらないんですか?」

「考え中だよ。どうするかなぁ。」


 黄金のリンゴは神話か何かでは、不老不死になると伝えられていたはずなので、本物だとすれば相応の価値があるだろう。だけど、そこまでのアイテムを運営側が用意するとは思えない。良くてステータスがアップしたりする程度だと思われる。

 期待してはいけない。オンラインゲームはアイテムの価値のバランス調整が行われているはずだ。不老不死なんてゲームバランスの崩壊まっしぐらだと思うので、期待しすぎも良くない。だけど、すごい気になるなあ。なんであんなところに一個だけあるんだろうか。

 

「んー。どうするかなぁ。」

「ねこますドノ。フユウヲ、ツカッテミレバ、イイノデハナイダロウカ?」

 ニヒキメが私に助言をしてくれる。浮遊を。なるほど、いいかもしれない。黄金のリンゴを浮遊させて攻撃を仕掛けてくるかどうかを確認すればいいんだろう。よし、試しにってやっぱりだめだ。木に実っているのだから、浮遊をしたところで、浮かせることができない気がしてきた。。

 その辺の石ころを投げてみるとかでもいいのかもしれないが、傷をつけてしまうだろう。で、本物の黄金のリンゴだと判明したら、価値は一気に下がるような気がするし。あー悩ましいなあ。

(あのー、母上、こういう時の私ですよ。私なら、召喚獣なので死にませんし。)


 確かにそうだな。まさか簡単に解決できる方法をひじきから提案されるとは。よし、それならここはひじきに頼むか。

「ひじき召喚!」

 の手から、黒蛾であるひじきが召喚された。よし、それはあ後は頼んだよ! 本物かを確認してきてくれ!

「分かりました!」

「おぉー!? マスター、あの黒い蛾はなんですか!?」

 自由に飛び回るひじきに興ひじき味津々のビスケットだった。初めて顔を合わせ、とは言わないか。ビスケットには顔がないしって何を考えているんだ私は。

「ひじきって言ってね。私の召喚獣だよ。」

「なんかすごそうですね! 獣じゃないのに召喚獣ってところが特に!」

「うるさい、召喚虫って言いたいけれど、そこは使い慣れた言葉だから言えないだけだ!」


 分かるよ。分かる分かる。ビスケットが言いたくなるようなことを私も何度も考えてきたことだし。召喚獣ではなく召喚中だとか、召喚機械兵とか、そういうのが正しいんじゃないのかと思ったときは何度もあった。


「母上、確認しました。」

「お、どうだった?」

「本物です。」


 う。うぉおおおお!? マジか!? それは、どうなんだよ! バランスブレイカーのアイテムなんじゃないだろうな! 大した効果はないのかもしれないけれど、怖い、怖すぎる。だって、黄金のリンゴが本物だと言うのなら、効果だってずば抜けていると期待してしまうっての。あぁー怖い。なんて思っていたんだけれど、実は大して問題ないことじゃないだろうか。

 例えば、私は、このゲーム内では不老不死だと思われる。これは、死んでも生き返るというプレイヤーの特徴だろう。だから、不老不死だと言える。となると、それを私が食べても意味がなく。ここでたけのこに食べさせれば、死んだとしても復活できるようになる、すなわちプレイヤーと同等の存在になるのではないだろうか、という考えだ。


 でも、死ぬけれど不老不死というのはおかしいな表現だな。死んでも復活するんだから、不老で何回でも生き返ることができる。うーん、なんだか面倒くさい言い方だな。もう不老不死でいいや。

「母上、持ってきました。」

ひじきが、黄金のリンゴを私に手渡した。ってうわっ。これに触れたらいきなり効果が発動したりとかあったらまずいんだから、いきなり渡すのもだめだよ!

(すみません。もう消えてしまいそうだったので渡してしまいました。)

 む、そういう事ならしょうがないね。ってこれどうすればいいんだ?


メッセージ:黄金のリンゴを手に入れました。


 そのまんまじゃないか! えーっと、それじゃあこれはしばらくしまっておけばいんだろうか。効果が本当に不老不死になるかもわからないしなあ。もしそうなるのなら、これはたけのこに食べさせたいというのがある。やっぱり一番最初に仲間になったし。

 だけど、効果が確認できない今は食べさせないようにしよう。こういうのって食べた後で呪われる副作用とかありそうだし。

 あぁでもそれだといつ食べられるようになるのかも分からないか。どんな効果があるのかというのが分かるような能力でもあればいいんだけれど、そんなものはないしなあ。

 となると、絶体絶命の時に食べさせるということしかできないか。絶体絶命の時に食べる余裕なんかないだろうけれど、その時は意地でもたけのこに食べてもらうしかないか。

 私自身が使う場合はどうなるんだろうか。何の効果もなくなってしまうのかな。あー気になってきたなあ。こういうアイテムの効果の判別って出来ればすぐにでもやってしまいたくなるのに、それができない今がもどかしい。

 例えば、ローグライクゲームでは、どんな効果か分からないアイテムが出るが、そのアイテムを使っいくと、どのアイテムなのか切り分けができるようになってくる。そういう風に使ったらどんなものなのかが分かるようなシステムだったら良かったんだけどなあ。


「マスター。なぜリンゴを食べないんですか?」

「効果が分からないものをむやみに食べたくはないよ。」

 今食べるのはギャンブル要素が高すぎる。だから食べない。それにこれは貴重なアイテムかもしれないし、簡単に食べるのは勿体無さすぎる。

「食べれば不老不死なのに勿体無いなあ。」

 ん? ビスケットは今なんて言った? 私の聞き間違いじゃなければ不老不死と言っているように聞こえたんだけれどどうだろうか。


「なんで不老不死になれるって分かるの?」

「オレの膝の皿にある鑑定スキャナーで、黄金のリンゴの効果を確認しました。」

 膝の皿ってそこスキャナーだったのか。膝がそんな能力があったのか。だけどさあ。

「そんな便利な機能があるなら先に言っておきなよ!」

 当然、そんな風に考えるだろう。それにいつの間にスキャンしていたんだよ。まったく気が付かなかったぞ。

「はーい。わかりましたー。」

「それで、えーっと、この黄金のリンゴを食べれば不老不死になるんだね?」

「その通りです。」

 いきなり効果が判明してしまったので、ここでたけのこに食べてもらおうかなあ。

「デキレバ、エンリョシタイデス。フロウフシナンテコワイデス。」


 永遠の命が恐ろしいことというのは小説や漫画では沢山言われ続けてきたなあ。不老不死になって、しまったがために、生き続けることが辛いという問題だ。生きるのに飽きてもずっと死ねないと言うのが怖いんだよなあ。

 <アノニマスターオンライン>の場合、生き続けても、サービス終了したらおしまいになるかもしれないんだよなあ。そうなってくると、たけのこ達に二度と会えなくなるのだけれど、もしもそんなことになったら悲しくなりそうだ。

「じゃあ保留にしておくよ。まぁたけのこ危機が迫った時とかには強制的に食べさせるからよろしくね。」


「それじゃあ、ようやく進めるね。」

密林探索をしようとしていただけなのに、なかなか進まないなあ。

「ねこますドノ。ナンダカコノミツリン、ワルイケハイガシマスゾ。」

 えっそうかなぁと思ったら、ニヒキメが震え始めていた。毒狸の母がいきなりでてきてもおかしくなさそうだし。それ以外もいるのかもしれない。」

 私は、念のため気配感知をじっくりと発動してみたのだが、特に何も見当たらなった。真剣に使っているので、やはり敵はいない。

「あ。そういえば私たちって、ドラゴンフルーツを取りに来ただけだったよね。」


(母上は、トラブルに巻き込まれすぎですよ。そのせいで段々目的から離れていってしまうのではないかとも思います。)

 確かにそれは言えていると思う、私も好きで巻き込まれているわけじゃないけれど、知らない間に、ここにいるビスケットやらが仲間になってしまった。これは運が良いのか悪いのかと言われればどちらとも言えないような感じだ。

「ねこますサマ。ドラゴンフルーツノアルバショハ、ゴジンジナノデスカ?」


うん、すごい肝心なことだね。とても重要だったのに、今言われて、私は気づいたよ。

「忘れてしまったね。これだけ木々が生い茂っていると…。」

密林の中は、大量の草木が生い茂っている。虫の鳴き声だって、ずっと響き渡っているし、なんだか不思議な匂いもしてくる。

「あぁー。ドラゴンフルーツが欲しいのにどこにあるのか覚えてないとかぁぁあー!」


 この広大な密林を歩き続けろというのか。それは、何日かかるんだろうか。うぅ、くろごまだったらどのあたりにあるのか覚えていたかもしれないよなあ。はぁ、どうするか。このまま当てもなくひたすら歩き続けたらいいのか。

「マスター。ドラゴンフルーツの位置なら、オレがワカリマス。」

「…なんでわかったの?

「匂いのする方角を演算してみたらおおよその位置が掴めました。」


 こ、こいつ!? ただのポンコツじゃなかった! たまに優秀になるゴーレムだったのか! 意味が分からないな。いつもこうだったらいいのに!

「マスター、なんか失礼なこと考えてないですか?

 考えたけれど、口には出さないことにした。


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