第299話「ゴーレム?」
今回から、スマホでも改行位置が見やすくするように変更していきます。
過去分は、訂正作業がとれたらやっていきますのでご了承くださいorz
まさかずっと読みにくくなっていたなんて思いませんでした。
スマホで読まれていた方、読みづらくても申し訳ございませんでした。
そうそう、今回倒したゴーレムから何かアイテムが手に入らないのかと思い、残骸に近づいてみたのだけれど、何も手に入らなかった。
結構手強い敵で、頑張って倒したのに、こんなオチになってしまったのが悲しい。だけど、ここで諦めるのも嫌だったので、粗探しをすることにした。
残骸をじっくり見るとゴーレムを形作っていた部品が沢山あったけれど、これは何も使えないのだろうか。
念のため、手にとってみたり、色んな場所に近づいてみたけれど、変わった物が無いなあと思ったその時だった。青く輝く結晶のようなものがあった。これは、もしかすると、ゴーレムの核みたいなものだろうか。ひょっとして、これがあれば、私もゴーレムが作れるのではないだろうか。そう期待した時だった。
メッセージ:ゴーレム生成器を手に入れました。
あっ!? やっぱり当たりだった! だけど核じゃなくてゴーレム生成器? これを媒体にしてゴーレムが生成できるという感じだけれど、どんな風になるのだろうかと疑問に感じていたら、メッセージが更に流れてきた。
メッセージ:ゴーレムの生成を行ってください。600秒以内に行わない場合、ゴーレム生成器は効力を失います。
ええっ!? これ、すぐにやれってことか! そうか、倒したゴーレムの物だから、ここで使わないと、効力を失ってしまうって事か。というか600秒って短いなっ! さっきまで色々お喋りしてしまった時間分もマイナスされてそうだ。
あれ、でも待てよ。ここでゴーレムを生成しても大丈夫なのか? 実はここで生成してしまったら、また襲い掛かってくるとかいうオチじゃないのか。うぐぐ、悩む。時間が無いというのに。これは一体どうしたらいい。
「ねこますサマ? ダイジョウブデスカ?」
「あはは。えっとね、みんな聞いて。さっき戦ったゴーレムを生成できるみたいなんだ。」
「ソレハ・・・!? マサカサッキノゴーレムガフッカツスルノデハ!? ソレハマズイノデハ!」
イッピキメが心配そうな目でこちらを見てくる。あー、やっぱり敵として復活するって思ったか。仲間になるなんて確信はないもんね。
「私も、それが心配なんだよね。だけど、多分こっちの仲間になってくれるんじゃないかなぁと。」
「ダガ、テキトシテフッカツシタラ、モウイッカイ、サッキマデトオナジタタカイヲスルノデハ? コノジョウタイデハカテルカドウカ。」
それそれぇ! 私もそれが心配なんだよ! 隕石拳が使えるかどうかも分からないし。というか時間凍結まで使ったから多分もう無理。ここでゴーレムが敵として復活したら勝てる気がしない! 一応鎌は、赤黒くなるからゴーレムの体を斬り裂ける。だけど完全復活したとしたら両腕も使えるようになっているだろうから、その場合は、絶対にきつい。
「デスガ、ゴーレムガ、ミカタニナッタラ、ココロヅヨイデスナ。」
そうなんだよね。だから私は迷っているというわけで、あの巨大なゴーレムがこれから味方になってくれるというのなら助かる。何より、移動が格段に楽になるだろうと考えると、ここで生成してしまいたくなってくる。
普通に考えたら、倒した敵からこういうアイテムが手に入ったのだから、使ったら味方になるのが筋だとは思うんだけれど、このゲームだとそういう常識破りなんてこともありえそうなので、使うのを躊躇してしまう。
「ワタシハ、ねこますサマノ、ハンダンニマカセマス。」
「ワレワレモデス。」
(母上、私は反対です。ここは、もしもの事を考えて行動するべきです。)
私も、この状態でみんなを危険に晒すわけにはいかないと思っている。
であれば、やはりゴーレムの生成なんてしない方がいいだろうが、それはそれですごい勿体ない気がしている。これが今後手に入るのかどうかも分からない物だったらどうするのか。
「残り時間が…くっ。」
ゴーレムがもう一回現れたら倒せばいいというのができないのは、消耗しきっているからだ。
この状態で私達が戦って勝てる確率が低いから、戦いたくない。だとすれば、考えろ、どうすればいい。
メッセージ:ゴーレムの生成器の効果、残り300秒
もう半分も経ったのか。早い! こういう時は、悩んだ時は、面白そうなほうを選ぶ。これまでのゲームではそうしてきた。リセットが出来ないローグライクゲームだとか、オンラインゲームではそうやって選んで、成功したこともあれば失敗したことも沢山ある。
結局、私の気持ち次第か。自分がどうしたいのか。ここで我儘を通したいのか。それともリーダーとしての責任で辞めるのか。ゴーレム生成器をじっと眺める。綺麗な結晶だなあ。これでゴーレムが作れるのはなんでなのかは分からないけれど、そういうものなんだろう。
「…。これ、もしかして。いや、でも。」
ゴーレム生成器はただの結晶だ。これは、大体バレーボールぐらいのサイズがある。これ、ひょっとして、大きさによって生成できるゴーレムのサイズが決まるんじゃないか? だとすれば、これを、この結晶を小さくすれば、それで生成できるゴーレムのサイズも小さくなる? 今回戦った奴のサイズが小さくなれば、もう一回戦っても勝つことはできそうだ。
(あり得ます。この結晶を半分にしてその半分でゴーレムを生成すれば、元のサイズよりも小さなゴーレムが完成すると思います。)
おっと、ひじきから助言がある。それならと思い、鎌を取り出す。
この結晶を必ず斬るという強い意志を持つと鎌は赤黒く光った。
「これで、斬る!」
リスク分散というかリスク低減か。大きなゴーレムになったら困るなら、そうさせないようにすればいい。勿体ない気もするが、ゴーレムを手に入れられないのも、折角頑張って戦ったのに褒美がないので納得がいかない。
だから、私は、左手に持ったゴーレム生成器を右手の鎌で斬り裂いた。
メッセージ:残り100秒。
ゴーレム生成器の上半分が地面に落下する。そして私は願う。
「ゴーレム生成!」
メッセージ:これより、ゴーレムの生成を行います。
おし、これでもなんとかなったみたいだ! あ、でもこれで本当に半分のゴーレムが出てくるかは分からないままか。これは、まずったかもしれないが、きっといけると思う。だって、こういう結晶が半分になったら絶対エネルギーとかも半分になるはずだし。
例えばこういう結晶の欠片だけで、大きな結晶と全く同じ力を持っていたらおかしいと思うし。よし、これならなんとかなるだろう。
メッセージ:残り70秒。ゴーレムの名称を決めてください。名称決定後ゴーレムの生成を行います。
「はああああああ!? ちょ、待てい!」
ゴーレムの名前!? そんなの思いつかないよ! というか残り時間まだあるとか狡い! ぎりぎりで決めなくてよかった。あっ自動で名前がつくとかったのかなってそんな場合じゃない! 名前だよ名前! えーっと。あーっと。うー。いつもの食べ物シリーズで行くか!?
メッセージ:残り55秒。ゴーレムの名称を決めてください。名称決定後ゴーレムの生成を行います。
あー。もう何でもいい! 分からんし!
「ビスケット! ゴーレムの名前はビスケット!」
適当に決めた。いつも適当な気がするけれど、今回は、本当に本当の適当に決めた。毎回、食べ物系で決めているから今回もそうしたけれど、これで良かっただろう。咄嗟に思いついて決めた割には良かった気がするし。
メッセージ:ゴーレムの生成を開始します。
半分になったゴーレム生成器が私の手から離れ、宙に浮かんだ。そして、青白い光が輝いた時、そこにゴーレムの残骸が集まっていく。あ、なんだこれ、やっぱり敵として復活するんじゃないのか? ああでも名前まで付けたくらいだし、そんなことはないか? うぅ、どっちだよ! どうなるんだよこのゴーレムは! 早く結果を教えてくれ!
「マ、マブシイデス!」
「スゴイヒカリダ!」
「確かにこれは!」
すごい光が放たれている。直射日光を浴びているような気がしてくる。
(母上、念のため下がったほうがいいです。仮に敵として復活していたら危険です。)
おっと、そうだった、ここでみんなには、この場から離れる指示を出した。私自身は下がるつもりは一切なかったけれど。敵として復活した直後に攻撃ができるようにはしておきたい。
ここで生成されるゴーレムがどんな風になるのかといえば、元のサイズの半分、3メートルくらいの奴だろうか。それならなんとかいけるような気がしてくる。
「はぁ、緊張するな!」
仲間になる、きっとなると念じてみるが、そうじゃなかったらどうしようかという不安な気持ちもある。いや、どんな奴になるのかは見てみないと分からないんだけれどね。
メッセージ:ゴーレムの生成が完了しました。
生成完了のメッセージが流れてきたが、青く輝く光は消えなかった。ああもう、こういう勿体ぶったことはしなくていいから! さっさと、結果だけを教えてくれ!
「ゴゴゴー。」
ゴーレムの声のようなものが聞こえてくる。戦っていた奴とはちょっと声が違う気がした。どこか明るい声というか、甲高い声というか、子供っぽいというか、そんな感じだった。
これは油断させようとしている作戦なんじゃないだろうか。それはそれで腹が立ってくるな。だけど私は油断しないぞ。あれだけ手強かったゴーレムなんだから、サイズが小さくなっても危険な事には変わりないだろうってサイズ小さくなっているよね!? ほら、早く光消えてよ!
(母上、出てきますよ!)
鎌を身構える。いきなり攻撃されても防御できるようにしておく。そして口の中には薬草を含んでおくことにした。これで一回くらい攻撃をくらっても平気だろう。そんなことを考えていた私の前に、ゴーレムは姿を現した。
サイズは、予想通り小さくなっていた。半分の3メートルくらいになっていた。だけど、その姿を見て私は唖然としてしまった。
だってそれが、ゴーレムの下半身部分だけだったのだから。
「ゴゴ! マスター! おれ、ビスケット! これからよろしくたのみます!」
どこから声が出ているんだよとツッコミをいれたくなる、ゴーレム、ビスケットがももりーずVの仲間になった瞬間だった。