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アノニマスターオンライン  作者: 超電撃豚豚丸
第5章「般若レディは備えたい」
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第297話「ゴーレム戦その2」

 ゴーレムを間近で見ると、その巨体ぶりに圧倒されそうになるが、これまで同じ

ようにでかい奴らを相手にした時の事を思い出す。っていってもこいつは体が固そ

うなので、大きな建物が迫ってくるような感じがして恐怖を感じる。もしも現実で

こんなのと戦えなんて言われたら一目散で逃げてしまうだろう。

「ゴアァアアア!」

ゴーレムの声がすごくうるさい。追い詰められてきて怒っているのかどうかは分か

らないけれど、こちらを威嚇して、戦闘意欲を削ごうとしているのだろう。だった

らここは、私も全然意味がないけれど威圧を使っておく。

「威圧!」

「!」


あれ? 今一瞬だけゴーレムが怯んだような、んなわけないか。よし、もうちょっ

と近づけば鎌で斬りに行ける! 急げ私!

「ゴオオオ!」

ゴーレムが腕で殴ってこようとする。が、この時私はカブトスピアーを取り出して

いた。これを使ってスキルを使う。

「加速!」

私の移動速度が飛躍的に上昇する。これでゴーレムの腕は回避できたと思ったら、

もう片方の手でも殴りかかってきていた。これはまずいと思っていたその時。

「ジュウアツ!」

「ゴアッ!」

たけのこの重圧によるフォローが入った。ゴーレムの腕は、私の眼前で地に伏した。

よし、ここでこの腕を鎌で斬り裂いてみよう! 力を込めて…! ええいっ! ん。

あれ? え?


「ゴ。」

 鎌が弾かれた。え、嘘でしょ。そう思ってゴーレムの体をもう一回斬ってみよう

と鎌を振り上げたが、全く斬れない。な、なななんで!? そう思って鎌を見てみ

ると前みたいに赤黒くなっていない。ええっ!? あの状態になる発動条件を満た

していないとかそんななのか!? あの時というかあの後も気合いを込めると毎回、

赤黒くなっていたからいけると思ったのに! そりゃあないよ!? こんな肝心な

時に使えないとかだめじゃんか!

「ゴゴ。」

 まずい、ゴーレムがまた動き出そうとしている。くっそぉ。ふざけるなよ! こ

のままじゃやられてしまうじゃないか。うう、やむをえない! ここはこうする!

鎌をしまって。

「雷獣破!」

 私の右手から電撃がほとばしる。あれ? また威力が上がっているか? いやそ

れよりもこれをそのままゴーレムに当ててやらないと! もう動き出してしまう!

「ゴゴゴゴ!」

うわぁやっぱり拳を振り上げてきたか! くっそ! もうどうにでもなれってんだ!

「くらええええええ!」


 私の右手とゴーレムの左手が激突したその瞬間、ものすごい衝撃が走った。これ

は、雷獣破でゴーレムの左手が破壊されている! だけど、なんか私にも衝撃がす

ごいきているような!? あっ! もしかしてこれって、ゴーレムの左手のダメー

ジは相殺できてなくて私にきているってことじゃないのか!? ううう、雷獣破で

壊したんだからいいじゃないかと思ったが、そう上手くはいかないようだ。

 私は薬草を取り出して食べ始める。むしゃむしゃと。そして、残りは口に含んで

おくことにした。さっきまでやっていなかったのは、たけのこ達に指示をすること

が考えられたからだが、1、2個程度なら口に含めたからやっておけばよかったな。


「ゴオオオ!?」

 左手が破壊されたことで錯乱状態になるゴーレム。ん? 左手じゃなくて左腕ま

でいってるじゃないか。雷獣破強いなおい。そこまでぶっ壊せるのか。でもこれ、

消費は大丈夫なんだろうか。幸い今までこういうスキルを使っていて、もう一回撃

てなくなったみたいなことがなかったけれど、さっきの鎌のように突然使えなくな

ったら、とても困ることになる。


「カエンホウシャ!」

私が少し考え込んでいる時に、イッピキメが口から火を吐き出し、フォローしてく

れた。いけないな。次の一手を考えないと、と思うが、やはり決め手に欠ける。と

いうか雷獣破で壊せたのが左腕だけなので、あともう一回使ったとしても、右手を

壊して終わりになってしまう。両腕を破壊すれば勝ったも同然とは思えない。あの

巨体で体当たりされたり、足で踏みつぶされしまうかもしれない。まずいな。やっ

ぱりここは鎌でいきたいんだけれど。

「…なんでだ。」


 鎌が赤黒くならない。草刈りの時だってなったのに。なぜだ。何が原因だ。何か

のエネルギーが溜まっていてそれが尽きてしまったのか。それとも今の私に不足し

ている何かがあるのか。

「ぬああああ、赤黒くなれやあああ!」

 力強く念じてみても何も起こらない。くっ。思い出せ、今までゲームをプレイし

てきた経験を。こういう時は何が足りない。発動条件は何だ? 考えろ、考えるん

だ。これは、私が鎌の力に頼っているからというのがあり得るか? こういう武器

の力を当てにして戦おうとするとむしろ武器が力を貸してくれないみたいな話があ

ったと思うけれど。他にはどうだ。私の危機感が足りないとかか? こういう時、

ギリギリまで追い詰められないとやっぱり効果を発揮しない武器があったはずだ。

でも草刈りをしていた時だって、発動していたし、違うのかなあ。


「ゴゴゴゴ!」

「っぶないなああ! もう!」

 右手を振るってくるゴーレム。攻撃は早いけれど、片腕だけになったので、回避

はしやすくなった。これなら勝てそうな気がするが、こちらの攻撃もほとんど通ら

ないので、そこが難点だ。というかこのままだとこっちがジリ貧になって負ける。

どうするか。あ、そうだ! また忘れていた。吸魔石でこいつの体力を削って行っ

てみるか!「これでもくらえー!」

 私が頑張って作った、そう、正統派な錬金術で作った吸魔石をとくと味わうがい

い! ゴーレムに向かって3個ほど思いっきり投げつけた。

「ゴゴ。ゴ!?」


 ゴーレムにぶつかった吸魔石は、黒い靄のようなものを出し始めた。よし、成功

だ。ゴーレムの体から、何らかの力を奪い取っている。これで倒せると言うわけで

はなさそうだが弱体化させることには成功するだろう。だけど、出来ればこいつの

体を柔らかくするような作用をしてもらいたいなあ。なんとかならないのか、この

岩みたいな体は。ああ、そうかこいつを岩だと思えばいいのか。だけど、岩の弱点

って、水はどうだろう。微妙な気がする。火は違う気がするし。あ、そういえば高

熱になった岩を急激に冷やすと熱疲労だか何かで壊れるって聞いたことがあるけれ

ど、そこまでしっかりしたゲームはやったことがないな。

 そもそも、今は氷系を使える仲間がいない。エリーちゃんがいれば氷系の魔法を

使ってもらっただろうけれど、いないのだからしょうがない。となるとやっぱりこ

こで必要なのは、鎌での攻撃だ。


「ああもう、なんで肝心な時に発動しないんだっあっ!?」

え、赤黒く光っている。だから何でだ!? 何が発動条件!? 感情? 怒りの感

情か何かか? それと気分が高揚している時とか!? ええいよく分からないけれ

ど、この機会を逃すものか! 行くぞゴーレぶああぅ!?


「グオオオオオオオオオオ!」

ここっ! こいつっ! 小刻みにジャンプをし始めやがった。これは、体に纏わり

つく吸魔石を吹っ飛ばしたかったって事か! ああっ、折角吸収していたってのに、

こいつめって。うううう。揺れる。ゆれ、いい加減にしろ! ここは、そうだ。

「たけのこ! ちょっと私を背中に乗っけて!」

「ガッテンショウチ!」


 急いでこちらに向かってくるたけのこの背に、なんとかしがみつく私。おっなん

か今のはかっこいいな。…よし、鎌は赤黒いままだな。こりゃやっぱり私の勢いか

何かが足りてなかったようだ。もっとこのゴーレムをぶっ倒すだとか、薬草を大量

に集めるぞ、みたいな要するに意志力に呼応している気がする。それが鎌を強くな

れみたいに念じただけでは何も起こらなかった理由、だと予想している。


「たけのこ、行くよ! 飛行!」

「ハイ! ウォオオオン!」

ここでたけのこに飛行を使い、そのままどんどん空に上昇してもらう。よし、ここ

で私がやる作戦は。

「体当たりだ! 鎌であいつをぶった斬る!」


 天高く昇っていくたけのこにしがみつく私。ゴーレムは空を飛ぶことはできない

ようで、私達を追いかけることはできない。最初からこれを使って逃げればよかっ

た気もするが、時間制限があるので、逃げ続けることができなかったと推測する。

というかあのゴーレムは明らかに私を狙っていたので、どこに行っても狙い続けて

きただろう。まったく、あんな奴、どこからやってきたんだろうか。誰かが私の命

を狙ってきているのだろうか。


「たけのこ、ここでストップ。」

「!? ハイ!」

 気づけば雲の上まで上昇していた。このスキル、ここまで出来たのかと思えるく

らい凄いものだったんだなぁ。これで私に使えないのがむかつくところだけれど。

よし、私は精神を集中させる。

「たけのこ! あいつをぶった斬るよ!  このまま急降下してあいつに接近!」

「ハイ! イキマスヨ! ねこますサマ!」

 作戦なんてものじゃない。空中から、ただ突進してその勢いでぶった斬るという

だけのことだ。だけど、正確にはそうじゃない。


「ウォオオオン!」

 たけのこはそのまま勢いよく急降下していく。私は、気配感知を使って、ゴーレ

ムの位置を的確に探っていく。よし、リザードマン達には手を出していそうな感じ

はない。このまま一気に突撃だ。

「よおおおおし! それじゃあねたけのこおおお!」

「ね、ねこますサマ!?」


 私は、たけのこから飛び降りた。そのまま鎌を構えて、ゴーレムの位置方向へと

下降していく。いや、ただの落下だ。このまま落下する勢いを利用して、ゴーレム

を鎌でぶった斬る!

「ひゃああああああああああああああ!?」

あっやばい。これきつい。あれ、あの感じ。ジェットコースターで急速に落下した

時におなかがひゅんって、内臓がひゅんって浮き上がるような感覚が襲い掛かって

きた。ふおおおお! だ、だ、だめだ、ちゃんと強く意識してえええええ、うおっ

し! 見えた!


「錬金術師の杖!」

ここで左手で錬金術士の杖を持つ。このまま行くぞ!

「ゴオオオオオオオオ!」

地上にいるゴーレムが私に向かって吠えた。すると右手で拳を作り、殴ろうとする

姿勢をとった。おおし、勝負してやろうじゃないか!


「うぉりゃああああああああ!」

「ゴオオオオオオオオオオオオオ!」

お互い絶叫を上げる。そして、私は鎌を振り上げ、ゴーレムの拳に当たろうとした

瞬間。

「時間凍結!」

ゴーレムの動きが、いや、世界の動きが止まった。何もかもが動かなくなった世界。

だけど、私だけは動き続ける。そしてそのまま落下をしていく。どうやら時間凍結

していても重力の影響は受けるようだ。…そういうものなのか疑問に感じたが、私

はそのままゴーレムの巨体に向けて攻撃を放つことに集中した。

「真空波ッ!!」

真空波を超接近しながら使い、更にそのまま、赤黒くなった鎌で、ゴーレムを斬り

裂いていく。落下速度を活かした攻撃だ。これならいけると思った。そして、ゴー

レムの体はどんどん斬り刻まれていく。ここで時間凍結を解除。あまり長いと前み

たいなデメリットがあるからだ。


「ゴ、ゴオオオオオオオオオオオ!?」

「ぐぅう!!?」

そして私は地面に落下する。なんとか死ななかったけれど、これは死んでもおかし

くない攻撃だった。時間凍結まで使ったのだから、素直に隕石拳を使っておけばよ

かったとも思ったが…これで終わりだろう。ゴーレムが、一刀両断されて、そこに

横たわっていたからだ。これは、前回と同じ勝ち方だな。ふぅ疲れたああ。

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