第294話「空間転移の検証」
明日追記します!(結局いつもの流れです。)
9/12追記しました。
だいこん野原と浮遊の川付近にある坂道を下り、荒れ地を移動、そしてそこから
ずーっと歩き続けるとようやく密林にたどり着く。というのを思い出すと、やっぱ
り移動って面倒くさいなあと思った。だがここで思い出す。私、空間転移ができる
ようになったから、これを使えばいいんじゃないかと。というか空間転移の事も忘
れてずっと草刈りをしていたのか私。馬鹿じゃないか。さっさと検証しておかなき
ゃだめだろうに。夢中になりすぎだな。
さてと、私、たけのこ、イッピキメとニヒキメのパーティは、現在、野原を歩い
ていたので、ここで試しに使ってみることにした。
「みんな、ちょっと離れていてね。」
空間転移の効果が私を対象としていない可能性が高いので、試しに使ってみたら
たけのこ達を対象にしてしまうかもしれない。なので、少し離れてもらうことにし
た。私自身に使えないのであれば、何も起こらないはずなので、とにかくここで一
旦使ってみることにした。後は、仮に成功したとしても近くにある木とかにめりこ
んだりするのも怖かったので、障害物からはできるだけ離れることにした。
「よし、じゃあ早速やってみるか! 空間転移!」
川の水が流れる音だけが聞こえた。うん、分かっていた。何も起こらないだろう
なってことに。いや、でもたまたま上手くいかなかっただけかもしれないので、も
う一回くらい使ってみることにした。今度は、別な場所に転移するようなイメージ
を頭に思い描いてやってみることにした。こういう事が重要なのかもしれないし。
「空間転移!」
二回目。やっぱり何も起こらなかった。あぁぁ! 結局、今回も自分には使えな
いスキルって事か。どう言う事なんだよ全く!
「おーい、たけのこ達。ちょっと戻ってきて!!」
みんなを大声を出して呼び出す。みんなに空間転移を使ってみることにした。ここ
で気がかりなのは、空間転移の効果は長距離なので短距離なのかということだ。例
えば、長距離型だったら、ここから人間の大陸まで飛ばすこともできるので、かな
り便利だ。
一方短距離はそれはそれで使い道があるだろう。戦いの幅が広がると言ってもい
いだろう。
「たけのこ。今からたけのこを別な場所に空間転移させられるか試してみるよ。」
「カシコマリマシタ。ヨロシクオネガイシマス!」
「それじゃあ早速。空間転移!」
すると、たけのこの姿が目の前から消えた。成功したようだ。が、これでまたして
も自分自身には使えないと言うのが確定された。あぁーなんでこうなるんだ。
「で、どこに行ったのか。あ。」
長距離転移をしていたらまずいと思っていたが、元の地点から約10メートルほど
先に移動していた。10メートルを強制的に移動させる、か。これ、やっぱり使える
な。敵が近づいてきた時に、このスキルを使って強制的に位置を移動させれば、攻
撃を回避することができるし。遠距離での戦いをしたいときは、これを使って戦え
ばいい感じになりそうだ。
問題は、どれだけ使えるかってところだ。こういう有用なスキルは、使える回数
が限られてくることが多い。
「空間転移ってスキルを使うと、みんなや敵の位置を強制的に動かせるみたい。」
「オオッ! ソレヲツカエバ、テキノイチヲウゴカシタアトニ、ワレワレヲハイゴ
ニテンイサセレバ、グサリデスネ!」
たけのこがすごい賢い。なんかすごい優秀。空間転移を2回使って位置取りをし
ていけば、背後から攻撃が可能。これは、みんなとの連携がとれればということ
が問題だけれど、それをもりクリアできたら、必殺技になるな。
「フム。ねこますドノガツカウ、シンクウハヲ、デタラメナホウホウヘトバシタ
アトニ、テキヲテンイサセレバ、ヒッチュウトナリマスナ。」
ニヒキメが冴えてる! それは良いやり方だな。が、距離感覚が問題だな。空間
転移させられる距離が10メートル固定だとしたら、その10メートルに合わせて位置
取りをしていかなきゃいけないので、戦いの最中にそれが出来る様なレベルになら
ないといけない。となると、結局私の腕次第ってことになるか。
敵に使う場合で試したいことは、敵を壁の中などに転移させられるかどうかだな。
それで敵を一撃で倒せると言うのならかなり強いスキルになる。だけどなあ、そん
な強力なスキルには設定しなさそうな気がする。壁の中までは空間転移が効果しな
いで、壁に激突するみたいになるんじゃないのかな。今度敵が出てきた時には使っ
てみよう。
「イッピキメは、何か言いたいことある?」
「クウチュウニテンイサセルコトハカノウデスカ?」
空中に。あぁ、それもいいな。これも敵と遭遇したら、高さどのくらいまで転移で
きるのか確認してみないとな。もしもこれも10メートルまで転移させられるとした
そこから落下させることでダメージを与えることができる。というかこの使い方が
一番いいんじゃないだろうか。まぁ敵の姿を見失ってしまうかもしれないデメリッ
トというのがあるけれど。
「今度敵と遭遇した時に使ってみるよ!」
というわけで、これは移動用のスキルというよりかは現状は戦闘用のスキルと言
うことで決着がついた。まぁまだ改善の余地はあると思うので、積極的に使ってい
き、今後はどのように使っていくのがいいか確認だ。それに、もしかしたらいつか
は自分に使えるようになったら、長距離間の移動も可能になるかもしれないし。そ
うだ、スキルには無限の可能性がある。例えば。
「威圧!」
今、私は意識的に威圧を発生させている。これがあれば、びびった弱いモンスター
と遭遇しなくなるだろう。前までは、勝手に発動しているなど全然制御ができなか
ったが、沢山意識的に使ってきたので、慣れて制御が可能になった。これは、だい
こんの応援があったから、と言うのもあるけれど。
「これで多分、坂道とか荒れ地ではモンスターがほとんどでなくなるよ。」
「オオ、ねこますサマ。スバラシイ、イアツノイリョクデス!」
「ワレワレニモ、ヒシヒシトツタワッテキマス。」
これで、大体のモンスターと遭遇しなくなるはずなので、移動が大分楽になるだ
ろう。後はひたすら歩くだけだ。
「ねこますサマハ、モンスタートタタカイタクナイノデスカ?」
「ああ。坂道と荒れ地ではね。ここで沢山戦っていたら移動に時間がかかるから、
できれば避けたいんだ。今回の遠征の目的は、あくまで密林に行ってドラゴンフル
ーツ狩りをすることだしね。まぁこのメンバーで仲良くなりたいって気持ちも当然
あるからね!」
ここが、私とたけのこだけだったら、私がたけのこの背中に乗って、はい終わり
と言うことになったが、イッピキメとニヒキメがいる。たけのこは、三人を乗せら
れる大きさはない。
なので、結局徒歩で移動することになるが、この移動中も、少しずつ親睦を深め
られたらいいなと考えているので、特に問題はない。できれば急いで移動したかっ
たというのもあるけど。
「で、みんな、最初はこの坂道を降るよ。何も無ければすぐに降りて終わりだろう
けど、念のため戦いの準備は忘れずにね。」
前回のように鳥に襲われることも考えられる。一匹だけならいいが、それが何匹
も出てくる事だってあり得るかもしれないので、それを心しておく。
「ねこますサマは、ココデ、ヒトリダケベツナトコロヘ、イドウシタンデスヨネ?」
「ん? ああそうそう、私だけ、ね。」
どうせ魔者だからだったんだろうけれど、そういう事があったんだよなあ。そうい
えば、あの場所は特殊というか、行こうと思って行ける様な場所じゃなさそうだか
ら、貴重な体験をしたとも言えるな。何か隠されたものがありそうだし、再度、行
ってみたいという気持ちはある。だけど、自分が行きたいと思えるタイミングじゃ
ないと困るんだよなぁ。
「行こうと思っていけるわけじゃないから、どうにもならないけど。あー。それじ
ゃみんな、目的地まではりきっていこう!」
こうして、のんびりとしたいつもの移動が始まった。あぁ、さらば草原よといっ
た感じだ。離れてしまうのが名残惜しい。草原から離れると、なかなか帰ってこれ
なくなるしなあ。
「ねこますドノハ、マダ、クサカリヲシタイノデスカ?」
「え? そりゃもう日課みたいなもんになっているし。薬草が沢山あればずっと回
復できて死なないでしょ。だから安心するんだよね。」
そう、その安心感が溜まらない。即死しなければ、薬草をひたすら食べ続ける事
で生き残ることができるし。今の私だったら昔よりもレベルアップしていると思う
し、ひたすら薬草を食べれば強敵との戦いも生き残れるんじゃないだろうか。現に
生き残っているし。
「ねこますサマトイエバ、ヤクソウナノダ。オボエテオクトイイ。」
お? たけのこがちょっと先輩風を吹かせているのが面白いな。そうそうこんな感
じでもうちょっと仲間意識を持っていきたいというか、距離感をなくしていきたか
ったんだよね。
「ねこますドノハ、ヤクソウ。オボエタゾ。」
「いや、私は薬草ではないよ。」
「ねこますドノハ、ヤクソウガナクテモイイ?」
「それは許せん。」
「ムゥ。スマヌ。」
そうだ。まだ一度もデスペナルティをくらったことがないけれど、それで今持って
いる薬草がなくなってしまったなんてことになったら私は発狂しそうだ。ここまで
折角集めたのがなくなるなんて…。それを考えたら、どこかに保管できる場所を作
りたいなあ。いや、でもこれだけ大量にあるのを保管できるかというと難しいか。
そうなると、やっぱり私が極力死なないようにやっていくしかないんだな。うぅ、
デスペナルティってどんな風になるんだろう。詳細が分からないからなあ。
「ねこますサマ。ムズカシイカオヲシテドウシタンデスカ。」
「私が死んだらどうなるのかと。」
「!? シナナイデクダサイ!」
「ねこますドノガシヌナドアリエナイ!」
「ソウダ! ナ、ナゼシヌナドトイウノデスカ!」
おっとぉ! しまった。このゲーム内のキャラクターなっているたけのこ達の基
準では死んだら当然生き返らないんだった。うっかりしていた。そりゃあ、死んだ
ら当然生き返らないよね。
「いや、もしもの話だから。そういうつもりはないから!」
「シンダラダメデス!」
「ダメ! ゼッタイ!」
「ウム! ワレワレで、ゼッタイニ、ネコマスドノヲ、オマモリシヨウ!」
あ、あれ、なんか掛声出し始めた。私の事が心配で、みんな一致団結しだしたか。
やっぱり命の危機にはみんな必死になるよね。私も、もっと死なないように真剣に
ならないといけないな。何より絶対に薬草を失いたくないからな!!!




